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公開番号
2024092944
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-07-08
出願番号
2023151186
出願日
2023-09-19
発明の名称
金属錯体及び有機発光素子
出願人
キヤノン株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C07F
15/00 20060101AFI20240701BHJP(有機化学)
要約
【課題】安定で高効率・高色純度を実現できる発光材料を提供する。
【解決手段】Ir又はRhを有する金属錯体において、主配位子を1,4-ジ(ピリジン-2-イル)ベンゼンとする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記一般式[1]で表されることを特徴とする金属錯体。
ML
1
m
L
2
n
[1]
〔上記一般式[1]において、MはIr又はRhであり、L
1
、L
2
は、それぞれ異なる配位子を表す。
mは2又は3の整数、nは0又は1の整数であり、m+n=3である。
ML
1
は、下記一般式[2]で、ML
2
は、下記一般式[3]乃至[5]のいずれかで表される。
TIFF
2024092944000027.tif
67
137
上記一般式[2]において、R
1
乃至R
11
は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、置換又は無置換のアリール基、及び、直線状、分岐状又は環状のアルキル基、トリフェニルシリル基から選ばれ、前記アルキル基、トリフェニルシリル基の水素原子は、アルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
上記一般式[3]乃至[5]において、R
51
乃至R
65
は、それぞれ独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアミノ基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換の複素環基から選ばれる。〕
続きを表示(約 730 文字)
【請求項2】
前記一般式[1]において、金属MはIrであることを特徴とする請求項1に記載の金属錯体。
【請求項3】
前記一般式[1]において、m=3、且つn=0であることを特徴とする請求項2に記載の金属錯体。
【請求項4】
第一電極と、第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に配置される有機化合物層と、を有し、前記有機化合物層が少なくとも発光層を有する有機発光素子であって、
前記発光層は、請求項1に記載の金属錯体を発光ドーパントとして含有することを特徴とする有機発光素子。
【請求項5】
複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも一つが、請求項4に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は請求項4に記載の有機発光素子を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項4に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項4に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルタと、を有することを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項4に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体と、該金属錯体を含む有機発光素子、該有機発光素子を備えた装置、機器に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、第一電極と第二電極とこれら電極間に配置される有機化合物層とを有する電子素子である。これら一対の電極から電子及び正孔を有機化合物層へと注入することにより、有機化合物層中の発光材料の励起子を生成し、該励起子が基底状態に戻る際に、有機発光素子は光を放出する。有機発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子、或いは有機EL素子とも呼ばれる。
発光材料は、その発光原理から蛍光材料とりん光材料の2種類に大別することができる。有機発光素子では、一重項励起状態から発光する蛍光材料よりも三重項励起状態から発光するりん光材料の方が発光量子収率が高いことが知られている。その例として、非特許文献1には、緑色のりん光材料として下記構造に示す金属錯体のIr(ppy)
3
が記載されている。また、非特許文献2には、以下の金属錯体Aの発光スペクトルの記載がある。
【0003】
TIFF
2024092944000001.tif
89
39
Ir(ppy)
3
を4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(CBP)にドープした発光を有する有機発光素子は、発光波長510nmの緑色発光を示し、その外部量子効率は13%と従来の一重項発光素子の量子効率限界値(5%)を大きく上回ることが報告されている。
特許文献1には、Ir(ppy)
3
の配位子である2-フェニルピリジンのフェニル基に、アルキル基を付与したピリミジンやトリアジンを置換基として導入したIr錯体が開示されている。また、特許文献2には、Irに直接結合する配位子中にキノリン環やイソキノリン環を持ち、さらに置換基としてキノリン環やイソキノリン環を有する分子構造を持つIr錯体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-59528号公報
米国特許第8481173号明細書
【非特許文献】
【0005】
Appl.Phys.Lett.75巻、4項、1999年
Adv.Optical Mater.2015,3,1191-1196
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
Ir(ppy)
3
は、発光スペクトルがブロードであり、スペクトルの半値幅(FWHM)が59nmである。そのため、Ir(ppy)
3
を発光ドーパントとして用いた有機発光素子においては、発光スペクトルがブロードであることで、色再現範囲が狭くなるという問題があった。このような問題は、どの発光色においても同様であり、発光材料の発光スペクトルは狭小であることが望ましい。表示装置以外の用途においても、RGBYなどの色を用いる場合が有るが、一般に発光スペクトルを狭小にすることで発光色の範囲が広がることから、発光スペクトルは狭小である方が望ましい。
特許文献1に開示されたIr錯体は、Ir(ppy)
3
の配位子にアルキル基を付与したピリミジンやトリアジンを導入することで、発光スペクトルを狭小としているが、これらの置換基は、一般に電子受容性が高い。そのため、有機発光素子の発光ドーパントとして利用する場合、電子トラップ性が高いために、ホスト材料などの周辺材料の選択に制約が生じる可能性がある。
特許文献2には、発光スペクトルの形状や半値幅に関する記載はない。
本発明の課題は、安定で高効率・高色純度を実現できる発光材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の金属錯体は、下記一般式[1]で表されることを特徴とする
ML
1
m
L
2
n
[1]
上記一般式[1]において、MはIr又はRhであり、L
1
、L
2
は、それぞれ異なる配位子を表す。
mは2又は3の整数、nは0又は1の整数であり、m+n=3である。
ML
1
は、下記一般式[2]で、ML
2
は、下記一般式[3]乃至[5]のいずれかで表される。
【0008】
TIFF
2024092944000002.tif
67
137
【0009】
上記一般式[2]において、R
1
乃至R
11
は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、置換又は無置換のアリール基、及び、直線状、分岐状又は環状のアルキル基、トリフェニルシリル基から選ばれ、前記アルキル基、トリフェニルシリル基の水素原子は、アルキル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
上記一般式[3]乃至[5]において、R
51
乃至R
65
は、それぞれ独立に、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換のアミノ基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換の複素環基から選ばれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安定で高効率・半値幅が小さく高色純度の金属錯体を提供することが可能になる。また、係る金属錯体を有機発光素子において、発光ドーパントとして用いることにより、高効率・高色純度の発光デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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