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公開番号2024101860
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-30
出願番号2023006028
出願日2023-01-18
発明の名称炭化水素の製造方法
出願人個人
代理人
主分類C07C 4/02 20060101AFI20240723BHJP(有機化学)
要約【課題】太陽光を集光したエネルギーを用い、森林資源、プラスチックなどの炭化水素原料から低級炭化水素を製造する方法を提供する。

【解決手段】太陽光の集光エネルギーを用い、炭化水素原料を低級炭化水素に変換させる低級炭化水素の製造方法に関する。この炭化水素原料として、テレピン油、テルペン、ロジンの少なくとも一つを含むことを特徴とする低級炭化水素の製造方法に関する。また炭化水素原料として、熱可塑性プラスチックを含むことを特徴とする低級炭化水素の製造方法に関する。

【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
太陽光の集光エネルギーを用い炭化水素原料を低級炭化水素に変換させることを特徴とする低級炭化水素の製造方法
続きを表示(約 130 文字)【請求項2】
請求項1の炭化水素原料として、テレピン油、テルペン、ロジンの少なくとも一つを含むことを特徴とする低級炭化水素の製造方法
【請求項3】
請求項1の炭化水素原料として、熱可塑性プラスチックを含むことを特徴とする低級炭化水素の製造方法

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を集光した高密度エネルギーを用いた炭化水素の製造方法に関する。
これまで石油化学を中心とする化学産業は石油、石炭などの化石燃料資源を原料として、これら化石燃料資源を燃焼させて得た熱や蒸気、電力を用いたエネルギー源を用い化学製品を産生してきた。これら化石燃料資源は将来枯渇化が懸念されるとともに、大量の化石燃料消費は大気中への炭酸ガス放出とさらなる地球温暖化につながることが地球規模での環境課題となっている。また、石油化学産業の発展によりプラスチック大量生産がもたらされた一方で、使い捨てに伴う廃棄プラスチックは大きな環境課題となっている。プラスチックの廃棄量削減、回収、リサイクル、リユース、生分解性材料への転換が地球規模で求められている。
バクテリア、藻類、植物などからなるバイオマスや木材、チップ、ウッドケミカル製品など森林資源などいわゆるグリーン資源は、元来大気中の炭酸ガスからの産生物であり、これらの利用により化石燃料資源の使用を代替することは前記の地球環境問題解決につながることが期待されている。
これらグリーン資源、廃棄プラスチックは海洋、都市、山間地など広い範囲に分散存在するため、これらを処理するには小型、分散型装置を局所に設置して回収処理することが好ましい。これまでの化学産業は、大量生産を大型、集中型プラントで実施されてきたが、グリーン資源、廃棄プラスチックの回収処理にはこれら従来型の化学プラントは適さず、回収を含めた経済性で課題が多く非効率と考えられる。中小型で分散配置されたプラントを用いたグリーン資源の燃料化は、設備が安価で初期投資が少なく、運転条件の調整が容易で、小規模のため大規模災害に至る危険性が低く安全性に優れるなどの特徴を有する。
クリーンエネルギー源として太陽光は、光電変換による太陽光発電として広く利用されているが、熱源の利用は家屋屋根に設置した温水供給装置など極めて限定されている。太陽光は分散した場所で利用できるエネルギー源として有用である。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
太陽光を鏡で集光して敵の艦船に火災を起こしたことはアルキメデスの伝説として知られ、古代から太陽熱利用が進められてきた。太陽光の集光技術として、汎用技術として鏡、レンズ、光ファイバー等の導波路を本発明で用いることができる。
従来技術として、集光する反射鏡と集光位置に反応管を設置し、この内部に触媒層を設け、化石燃料ガスを反応管内部に流通させる太陽熱利用化石燃料改質装置(特許文献1)が提案されている。また集光太陽光の受熱装置、反応装置及び加熱装置(特許文献2)が提案されているが、具体的な原料リソースとして石炭を想定した装置構造が開示されている。また太陽熱利用化学品製造法として熱伝導流体を太陽熱で加熱し、これをメタン水蒸気改質とアンモニア製造装置反応器の熱源とすることが提案されている(特許文献3)。
森林資源であるセスキテルペンをクラッキングしてトルエンやシクロヘキサンなどの炭化水素を得ること(特許文献4)は公知であるが、太陽光エネルギーを用いることは開示されていない。
石油化学プロセスにおいて熱分解油、ナフサクラッキングは広く大手化学メーカーで量産実施され、廃プラスチックの処理に適用されている。またプラスチック種としてポリスチレンは熱分解によるモノマーへの高効率転換が可能で、リサイクルが実施されている(非特許文献)。ところが、これらクラッキング、熱分解に太陽光エネルギーが利用された例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許公開平2-252601
WO2015/174236
特許公開昭61-153136
特表2010-539300
【0004】
旭リサーチセンターリポートRS-1047(2020年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太陽光を集光したエネルギーを用い、森林資源、プラスチックなどの炭化水素原料から低級炭化水素を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、太陽光の集光エネルギーを用い、炭化水素原料を低級炭化水素に変換させることを特徴とする低級炭化水素の製造方法に関する。
また本発明は、前記の炭化水素原料として、テレピン油、テルペン、ロジンの少なくとも一つを含むことを特徴とする低級炭化水素の製造方法に関する。
また本発明は、前記の炭化水素原料として、熱可塑性プラスチックを含むことを特徴とする低級炭化水素の製造方法に関する。
【0007】
以下、本発明の太陽光の集光エネルギーを用いた低級炭化水素の製造装置、炭化水素原料、該原料を用いた低級炭化水素の製造方法について順次説明する。
本発明の低級炭化水素の製造装置は、太陽光の集光によりエネルギーを得る集光部および反応装置から構成される。
【0008】
太陽光集光部は、鏡、レンズ、導波路など公知の集光方法を適用して太陽光を集光し、反応容器に輻射エネルギーとしての熱または/および紫外、可視、赤外領域の光エネルギーを反応容器に提供する。
集光方法として鏡、フィルムなどによる反射体、フレネルレンズ、非フレネルレンズ、平面レンズ、凹レンズ、凸レンズなどのレンズ類、プリズム、光ファイバー、ビームコレクターなどの導波路が利用可能である。これらの集光方法を用い、反応容器に光エネルギーを伝達する配置構造を設ける。必要があれば輻射エネルギーや光の分光、フィルター、シャッターにより光エネルギーの範囲を選択することや、連続/逐次、パルスにより時間・空間的に分割、集合した光エネルギーを反応容器に伝達することができる。
【0009】
次に本発明に用いる反応装置について説明する。本発明の化学反応は炭化水素類の熱分解(クラッキング)を行うための反応温度として概ね100℃から600℃、さらに好ましくは200℃から500℃の温度範囲である。この温度範囲に耐える耐熱性、機械的強度などの物性が反応容器に求められる。具体的な反応容器材料として、鉄、ステンレス、ニッケル、チタンなどの金属、アルミナ、シリカ、石英、マグネシア、サファイヤ、グラファイトなどのセラミック、あるいはポリイミド、シリコーン、フッ素樹脂などの耐熱性樹脂、およびこれらの複合材料、積層材料も利用できる。
また、本発明の反応装置の反応条件として圧力は減圧、常圧、加圧に及ぶ広い範囲が適用される。利用する圧力に対応して反応容器の耐圧性、耐圧構造が求められる。反応容器の内部圧力を調整するため真空排気装置、バルブ、圧力弁を付随させることができる。
また、本発明の化学反応において、集光太陽光の少なくとも一部を直接または間接反応容器内部に導入し、反応物の分子構造を光切断(フォトリシス)して生成物を得ることもできる。このために反応容器の一部をガラス、サファイヤなどの光透過性材料で構成することや容器の表面や内部に光反射や光伝達の構造を設けることもできる。
また、反応容器に反応条件の温度や圧力を計測するセンサーを設けることや、反応生成物の成分を測定するためのサンプリングポートや観測、計測窓が設置可能である。また、容器内部に反応物の対流、拡散の促進、抑制を行う部位やフィルターを設けることもできる。反応容器の形状として、チューブラー、球形、楕円形状が可能で、これらに限定されない。
【0010】
化学反応は、反応容器内に反応物を封止、集光太陽光を照射し、所定条件(温度、時間)で反応させるバッチ形式、反応容器に供給ポートから反応物を逐次または連続で供給させながら集光太陽光を照射、取り出しポートから逐次または連続して生成物を取り出す連続形式のいずれも利用できる。
集光太陽光による化学反応の進行は、反応容器の外部温度を熱電対など接触型温度計測、放射型温度計など非接触温度計測によって反応容器の外部温度を測定することで評価できる。また反応容器に光透過性ポートを設け、ポートを通じ放射型温度計で反応容器内部の温度を計測することも可能である。また、集光太陽光照射は反応容器内の温度上昇や反応進行・熱分解に伴う内圧増加を誘起する。このため容器に設置した圧力計で容器内内圧を計測し、反応状態を評価することは好ましい。
本発明の化学反応装置は実質的に太陽光エネルギーのみを化学反応に利用するもので、通常の化学反応装置に比べ電力、蒸気などのエネルギー消費がなく比例費が低減もしくはされる経済性、メンテナンス性に優れる。また装置規模、設置場所に合わせて幅広く装置設計が可能なため、分散型の設備として炭化水素原料の搬送、輸送に関わる負荷が低減でき、必要に応じた設備稼働条件調整も容易であるという効果が期待できる。
(【0011】以降は省略されています)

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