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公開番号2024093998
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-09
出願番号2022210686
出願日2022-12-27
発明の名称非特異反応を抑制可能な抗体溶液
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類C07K 16/00 20060101AFI20240702BHJP(有機化学)
要約【課題】 免疫測定系での非特異的相互作用を抑制可能な方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、抗体又は抗体断片を生産する宿主細胞由来の不純物(例えば、宿主細胞由来タンパク質)を一定量以下にした、抗体又は抗体断片を含む捕捉抗体用の抗体溶液を提供する。この捕捉抗体用の抗体溶液を免疫学的測定法に使用することで、特異的相互作用を抑制し、偽陽性の発生を高度に抑制することができる。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
免疫学的測定法において捕捉抗体として用いられる抗体又はその断片を含む抗体溶液であって、抗体又はその断片を生産する宿主細胞由来の不純物の含量が0.001w/v%以下である、抗体溶液。
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
前記宿主細胞由来の不純物が、宿主細胞由来タンパク質(HCP)である、請求項1に記載の抗体溶液。
【請求項3】
前記宿主細胞由来不純物の含量が、0.0001w/v%以下である、請求項1に記載の抗体溶液。
【請求項4】
抗体又はその断片が、抗体又はその断片を生産する細胞の培養によって発現された抗体又はその断片である、請求項1に記載の抗体溶液。
【請求項5】
抗体又はその断片を生産する細胞が、動物細胞、酵母、カビ、植物細胞、昆虫細胞、藻類、放線菌、細菌、及び古細菌からなる群より選択される少なくとも1種の細胞である、請求項4に記載の抗体溶液。
【請求項6】
前記動物細胞が、ハイブリドーマ細胞、CHO細胞、HEK細胞、MDCK細胞、及びVero細胞からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の抗体溶液。
【請求項7】
前記細菌が、大腸菌及び枯草菌からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の抗体溶液。
【請求項8】
免疫学的測定法が、イムノクロマト法、酵素免疫測定法、化学発光免疫測定法、化学発光・酵素免疫測定法、放射免疫測定法、電気化学発光免疫測定法、及びラテックス凝集法からなる群より選択される少なくとも1種の免疫学的測定法である、請求項1に記載の抗体溶液。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の抗体溶液を用いて捕捉抗体を調製することを特徴とする、免疫学的測定法における非特異反応抑制方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の抗体溶液を用いて捕捉抗体を調製し、且つ、抗体又はその断片を生産する宿主細胞由来の不純物の含量が0.005w/v%以下である抗体溶液を用いて検出抗体を調製することを特徴とする、請求項9に記載の免疫学的測定法における非特異反応抑制方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体又は抗体断片を用いた免疫学的測定系における非特異的相互作用の抑制手法等に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
医療現場において、感染症の診断や、疾患マーカーを利用した当該疾患の早期診断などの様々な場面で、抗原抗体反応を利用した簡易かつ迅速な免疫測定法として、ニトロセルロースメンブレン等の試験片を用いたイムノクロマト検出法が広く普及している。
イムノクロマト検出法を用いて分析対象物質の量を定量する手法の一つとしては、抗原抗体反応を利用したサンドイッチ法が挙げられる。サンドイッチ法では分析対象物質に対してエピトープの異なる2種類の抗体を利用する。一方の抗体は、金コロイド、着色ラテックス粒子、蛍光粒子等の検出粒子と感作させた検出抗体として使用する。他方の抗体は、多孔質支持体の表面に線状に塗布した捕捉抗体としてテストラインを形成する。測定試料中に含まれる分析対象物質は、多孔質支持体の一端(上流側)から展開し、検出抗体と免疫複合体を形成しながら移動し、テストライン上で捕捉抗体と接触して捕捉され発色する。この発色を目視で判定あるいは光学測定装置を利用して定量することで分析対象物質を検出できる。
【0003】
検体中の抗原を高感度に測定する方法であるELISA(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay)法もまた、免疫検査などにおいて汎用されている手法の1つである。ELISAには、サンドイッチ法、競合法などが知られている。これらのうち、サンドイッチELISAは、あらかじめ目的抗原に対する抗体(捕捉抗体)を固定化させた固相表面に、検体を添加して、前記固定化抗体と検体中の抗原との抗原抗体複合体を形成させる。そこへ酵素標識抗体(検出抗体)を添加して、前記抗原抗体複合体に酵素標識抗体を結合させる。ここで余分な酵素標識化抗体を洗浄した後、発色基質を添加すると、試料中の抗原量依存的に発色反応が起こる。生成した発色物質の吸光度を吸光度計などにより測定し、濃度既知の標準品を用いて作成した標準曲線から、試料中の抗原の量を定量することができる。
【0004】
ところで、従来からイムノクロマト検出法やELISA法において、ブランク発色が問題となっていた。ブランク発色とは、検体により構成される液相中に分析対象物質が存在しないにもかかわらず、非特異的な反応により発色が生じることをいい、非特異発色とも言われる。ブランク発色は、特にイムノクロマト検出法における目視判定の場合には、誤って陽性と判定してしまう偽陽性の原因となり、正確な診断や治療の妨げとなる。また、光学測定装置による判定の場合には、検出感度、即ち特異的シグナルの検出能を悪化させる原因となるため、問題視されている。
【0005】
特許文献1には、ブランク発色の低減を課題として、イムノクロマト試験片の検出部に還元性を有する単糖類および還元性を有する二糖類を抗体と共に含むことで偽陽性を抑制する手法が記載されている。また、特許文献2には、タンパク質、ポリマー、塩類及びそれらの混合物からなる非特異反応抑制剤が記載されている。特許文献3には、偽陽性を抑制する手段として検体抽出液にブロッキング剤を添加することにより、偽陽性反応を抑制する方法が記載されている。このほかにも、非特異反応に起因するブランク発色を抑制するためにタンパク質や界面活性剤を添加する方法が採られてきた。しかしながら、このような非特異反応抑制剤を添加する方法の場合、ブランク発色が抑制されても、分析対象物質の検出感度も同時に低下してしまうことが多く、未だ十分な対策とはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
WO2020/085289号公報
特開2010-127827号公報
特許第6083907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、イムノクロマト試験片等の免疫学的測定法に用いるデバイスを構成する部材を工夫したり、検体前処理液等へのブランク発色抑制成分(非特異反応抑制剤)を添加したりすることによる、ブランク発色抑制のための手段は数多く存在するが、免疫学的測定法の主要構成成分である抗体又は抗体断片を含む抗体溶液(抗体原料ともいう)に関する改良はこれまで殆どなされていない。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記先行技術とは異なるアプローチにより、免疫測定法における非特異反応を抑制する新たな手法を提供することである。特には、非特異反応を抑制して偽陽性を回避でき、より特異性の高い検出を可能にする免疫測定用の抗体又は抗体断片を含む抗体溶液を提供することを目的とする。なかでも、捕捉抗体として使用された場合に起こりやすい特異反応(偽陽性リスク)を効果的に抑制する手法の提供を一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため、免疫測定法に用いる抗体又は抗体断片を含む抗体溶液中の不純物に着目した。免疫測定法に用いる抗体又は抗体断片は一般に、抗体を産生するハイブリドーマ細胞や抗体又は抗体断片を産生する組換え細胞を培養することによって細胞培養液中又は細胞内に産生される。そして、そのようにして産生した抗体又は抗体断片は、それらを含有する培養液又は細胞中から精製することにより、抗体又は抗体断片を含む抗体溶液として調製される。
【0010】
この精製工程において、所望とする抗体又は抗体断片のほかに、宿主細胞由来の様々な有機化合物(例えば、宿主細胞に含まれるタンパク質(宿主由来タンパク質(HCP: Host Cell Protein)等とも呼ばれる)、抗体又は抗体断片を生産する宿主に含まれるRNAやDNA等の核酸類、脂質、抗体の重合物等)に由来する不純物が混入する場合がある。これらの中で、HCPは、抗体又は抗体断片を生産する細胞に起因する不特定多数のタンパク質やペプチドからなる一群の総称であり、精製工程である程度は除去されるが、抗体又は抗体断片と物理化学的性質が似通っているために、精製工程での除去が容易ではない物質として知られている。
(【0011】以降は省略されています)

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