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公開番号
2024101078
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-07-29
出願番号
2023004767
出願日
2023-01-17
発明の名称
アデノ随伴ウイルス吸着剤の洗浄方法
出願人
東ソー株式会社
代理人
主分類
C07K
1/22 20060101AFI20240722BHJP(有機化学)
要約
【課題】 不溶性担体と当該担体に固定化したアデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質とを含むAAV吸着剤を、AAVの分離性能を保持しながら洗浄可能な方法を提供すること。
【解決手段】 AAV吸着剤の洗浄に用いる洗浄液として、界面活性剤を含む緩衝液を用いることで、前記課題を解決する。
【選択図】 図3
特許請求の範囲
【請求項1】
不溶性担体と当該担体に固定化したアデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質とを含むAAV吸着剤を洗浄する方法であって、前記洗浄に用いる洗浄液が界面活性剤を含む緩衝液である、前記方法。
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【請求項2】
AAV結合性タンパク質が、以下の(i)から(iii)のいずれかから選択されるポリペプチドである、請求項1に記載の方法;
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち312番目のセリンから500番目のアスパラギン酸までのアミノ酸残基を少なくとも含むポリペプチド、
(ii)配列番号1に記載のアミノ酸配列の312番目のセリンから500番目のアスパラギン酸までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該312番目から500番目までのアミノ酸残基において、1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、かつアデノ随伴ウイルス結合活性を有するポリペプチド、
(iii)配列番号1に記載のアミノ酸配列の312番目のセリンから500番目のアスパラギン酸までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該312番目から500番目までのアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつアデノ随伴ウイルス結合活性を有するポリペプチド。
【請求項3】
AAV吸着剤にAAVを含む試料を添加し当該AAVを前記吸着剤に吸着させる工程と、前記吸着剤を請求項1または2に記載の方法で洗浄する工程と、前記吸着剤に吸着したAAVを、界面活性剤を含む溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、AAVの精製方法。
【請求項4】
AAV吸着剤がカラムに充填した態様である、請求項3に記載の方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)吸着剤の洗浄方法に関する。特に本発明は、不溶性担体と当該担体に固定化したAAV結合性タンパク質とを含むAAV吸着剤の洗浄方法に関する。
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【背景技術】
【0002】
アデノ随伴ウイルス(AAV)はパルボウイルス科(Parvoviridae)、ディペンドウイルス属(Dependovirus)に分類される非エンベロープウイルスである。AAV外殻粒子は3種類のタンパク質(VP1、VP2およびVP3)で構成されており、約60のタンパク質分子がおよそVP1:VP2:VP3=1:1:10の比率で混在し集合することで、直径20nmから30nmの正二十面体の形状をしている。
【0003】
自然界でのAAVは自立性の増殖能を欠き、複製はアデノウイルスやヘルペスウイルスなどのヘルパーウイルスに依存する。前記ヘルパーウイルスが存在すると、AAVゲノムは宿主細胞内で複製され、AAVゲノムを含む完全なAAV粒子が形成され、宿主細胞からAAV粒子が放出される。一方、前記ヘルパーウイルスが存在しない場合、AAVゲノムはエピソームに維持された状態または宿主染色体に組込まれた状態(潜伏状態)となる。
【0004】
AAVはヒトを含む広範な種の細胞に感染可能で、血球、筋、神経細胞などの分化を終えた非分裂細胞にも感染すること、ヒトに対する病原性がないため副作用の心配が低いこと、ウイルス粒子が物理化学的に安定であること、などから、先天性遺伝子疾患の治療を目的とした遺伝子導入用のベクターとしての利用価値が注目されている。
【0005】
遺伝子組換えAAVベクター(以下、単にAAVベクターとも表記)の製造は、通常、AAV粒子形成に必須な要素をコードする核酸を細胞に導入することで、AAVを産生する能力を有する細胞(以下、AAV産生細胞とも表記)を作製し、当該細胞を培養してAAV粒子形成に必須な要素を発現させることで行なう。製造したAAVベクターはAAV産生細胞から回収精製し、治療用AAVベクター製剤を得る。
【0006】
AAVベクターの精製にあたっては、不溶性担体と当該担体に固定化したAAV結合性タンパク質とを含むAAV吸着剤を用いたアフィニティクロマトグラフィによる方法が知られている(特許文献1および2、ならびに非特許文献1)。当該方法では前記吸着剤を充填したカラムの態様で利用しているが、利用後に当該カラム内の残存成分が前記吸着剤に非特異吸着した場合、当該成分が堆積することで当該カラムの劣化を早める原因となり得る。劣化した前記カラムで精製して製造した治療用AAVベクター製剤は、薬効の低下による治療効果の減少や、重篤な副作用の誘因につながる可能性を有している。したがって、高品質な治療用AAVベクター製剤を製造するには、前記カラムの分離性能が保持されるよう、適切な方法で洗浄することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特表2018-507707号公報
WO2021/106882号
【非特許文献】
【0008】
Gerard A et al.,Pharm Res,36,29(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、不溶性担体と当該担体に固定化したアデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質とを含むAAV吸着剤を、AAVの分離性能を保持しながら洗浄可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、不溶性担体と当該担体に固定化したアデノ随伴ウイルス(AAV)結合性タンパク質とを含むAAV吸着剤の洗浄に、界面活性剤を含む緩衝液を用いることで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)
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