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公開番号2025083816
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-02
出願番号2023197419
出願日2023-11-21
発明の名称サイズ排除クロマトグラフィーにおける検量線のシミュレーション
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類G01N 30/86 20060101AFI20250526BHJP(測定;試験)
要約【課題】 本発明はカラム1本毎の検量線データをもとにして、同じグレードのカラムを複数本接続した場合や、異なるグレードのカラムを複数本接続した場合の検量線をシミュレーションするものである。また、前記技術から、実際の高分子試料の分離がどのように変化するかをシミュレーションするものを提供するものである。
【解決手段】
本発明により、サイズ排除クロマトグラフィーにおいて、予め用意された2種以上の前記の分離特性の異なるサイズ排除クロマトグラフィーのカラムの溶出時間と分子量の対数からなる検量線情報を記憶媒体に保持しておき、その2種以上のカラムの検量線情報を数学的な処理により組み合わせ、その2種以上のカラムを直列に接続した場合の検量線をシミュレーションする方法を提供できる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
分子量分布が狭く、分子量----が既知である2種以上の標準試料を分析することにより作製した検量線を用いて、分子量未知の高分子試料の分子量または分子量分布を計算するサイズ排除クロマトグラフィーにおいて、
予め用意された2種以上の前記の分離特性の異なるサイズ排除クロマトグラフィーのカラムの溶出時間と分子量の対数からなる検量線情報を記憶媒体に保持しておき、その2種以上のカラムの検量線情報を数学的な処理により組み合わせ、前記2種以上のカラムを直列に接続した場合の検量線をシミュレーションする方法であって、
前記数学的処理は、
(1).カラムごとに異--なる検量線情報について、その溶出時間がxとし、分子量の対数がyとし、xとyとの関係式を算出する工程と、
(2).すべてのカラムの検量線情報における、任意に指定した2以上のカラム毎に対応する分子量の対数yが同じになるように、前記(1)で得られた関係式により対応する溶出時間xを算出することにより検量線情報を補間する工程と、
(3).前記(2)で得られた溶出時間を加算することでxの和を得て、対応するyと、指定した2以上のカラムの組み合わせを用いた場合の検量線をシミュレーションする工程、
とを含む、検量線をシミュレーションする方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
分離特性が異なる又は同じである2種以上のカラムを直列に接続して使うサイズ排除クロマトグラフィーにおいて、
予め用意された標準試料の分子量の対数と前記カラムにおける溶出時間とからなる検量線情報を記憶媒体に保持しておき、それらの検量線情報を数学的な処理を通して検量線をシミュレーションし、検体対象試料の分子量または分子量分布を計算するサイズ排除クロマトグラフィー装置であって、
前記数学的な処理は、
(1).前記予め用意された標準試料は、その溶出時間がxとし、分子量の対数がyとし、
カラムごとに異なる検量線情報から、それぞれのxとyとの関係式を算出する工程、
(2).前記算出した関係式について、yが特定されて各対応するxを算出する工程、
(3).前記xを加算し、xの和と特定するyから、前記2種以上のカラムの組み合わせの検量線をシミュレーションする工程を含むことを特徴とする、サイズ排除クロマトグラフィー装置。
【請求項3】
前記(1)におけるxとyとの関係式は下記の式で表する、
TIFF
2025083816000028.tif
10
64
請求項1に記載の検量線をシミュレーションする方法。
【請求項4】
前記(1)におけるxとyとの関係式は下記の式で表する、
TIFF
2025083816000029.tif
10
63
請求項2に記載のサイズ排除クロマトグラフィー装置。
【請求項5】
前記方法は、さらに、
前記カラムごとの段数を記憶し、カラムごとの段数を加算して前記指定したカラムの組み合わせを用いた場合の段数をシミュレーションする工程を含む、
請求項1に記載の検量線をシミュレーションする方法。
【請求項6】
前記方法は、さらに、
前記カラムごとの段数を記憶し、カラムごとの段数を加算して前記指定したカラムの組み合わせを用いた場合の段数をシミュレーションする工程を含む、
請求項2に記載のサイズ排除クロマトグラフィー装置。
【請求項7】
分子構造が既知であり、分子量および分子量分布が推定可能な高分子試料に対して、前記高分子試料の重合度ごとの分子量を請求項1で得られた「指定したカラムの組み合わせを用いた場合の検量線」に当てはめ、ピーク頂点の溶出時間または溶出容量を算出し、また、請求項5で得られた「カラムの組み合わせを用いた場合の段数」から、下記の液体クロマトグラフィーの段数算出式(1)又は式(2)
TIFF
2025083816000030.tif
35
106
を使用してピーク幅を算出し、これらの値から、各重合度のピーク曲線を正規分布関数または非正規分布関数により算出し、得られた各重合度のピーク曲線を合算することにより指定したカラムの組み合わせにおいて得られるクロマトグラムをシミュレーションする方法。
【請求項8】
分子構造が既知であり、分子量および分子量分布が推定可能な高分子試料に対して、前記高分子試料の重合度ごとの分子量を請求項2で得られた「指定したカラムの組み合わせを用いた場合の検量線」に当てはめ、ピーク頂点の溶出時間または溶出容量を算出し、また、請求項6で得られた「カラムの組み合わせを用いた場合の段数」から、下記の液体クロマトグラフィーの段数算出式(1)又は式(2)
TIFF
2025083816000031.tif
35
106
を使用してピーク幅を算出し、これらの値から、各重合度のピーク曲線を正規分布関数または非正規分布関数により算出し、得られた各重合度のピーク曲線を合算することにより指定したカラムの組み合わせにおいて得られるクロマトグラムをシミュレーションする方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、分子量分布が狭く、分子量----が既知である2種以上の標準試料を分析することにより作製した検量線を用いて、分子量未知の高分子試料の分子量または分子量分布を計算するサイズ排除クロマトグラフィーにおいて、予め用意された2種以上の前記の分離特性の異なるサイズ排除クロマトグラフィーのカラムの溶出時間と分子量の対数からなる検量線情報を記憶媒体に保持しておき、その2種以上のカラムの検量線情報を数学的な処理により組み合わせ、その2種以上のカラムを直列に接続した場合の検量線をシミュレーションする方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
サイズ排除クロマトグラフィー(以下、SECとも称す)は、多孔質ゲルを充填したカラムからの溶出に基づいて高分子をサイズ別に分離する液体クロマトグラフィーの1つである。SECは、タンパク質、合成ポリマー、天然ポリマーの分子量測定に多く用いられる手法である。原理的にSECでは、分子量の大きな成分が早く溶出し、分子量が小さくなるほど、溶出が遅くなる。溶出時間と分子量の対数は、図2のような関係となる。
【0003】
実際に未知高分子試料の分子量を測定する場合、分子量分布が狭く、分子量値が明確な標準試料を複数用いて検量線を作製し、未知高分子試料の溶出時間を、前記検量線に当てはめ分子量を算出する。SECは測定時間が比較的長いことから、複数の標準試料を事前に混合した「標準試料混合物」を用いることが多い。図2は「標準試料混合物」3種類を用いた例である。
【0004】
一般的にSECの検量線は分子量を対数とした場合、分子量が一定領域では1次式で近似できるが、カラムの「排除限界」付近で大きく立ち上がり、カラムの「浸透限界」付近で大きく立ち下がるプロファイルとなる。そのため、広域では3次式または奇数の多項式で近似して測定に用いることが多い。
【0005】
また、SECのカラムは、低分子領域の分離に特化したもの、中分子領域の分離に特化したもの、高分子領域の分離に特化したもの、全領域で比較的分離が良好なもの等、複数のグレードが存在する。
そのため、検量線作成時には、SECカラム種に毎に、標準試料(分子量)の種類を使い分ける必要がある。
【0006】
また、SECでは、他の液体クロマトグラフィーと異なり、測定対象成分の分離を調整できる要素が少ない。逆相クロマトグラフィーでは分離の調整/改善は、ゲル特性、溶離液組成、溶出法(アイソクラティック溶出、または、グラジエント溶出法)、カラム温度等で行うことができるが、SECは分子の大きさで分離する手法であるため、原理的には溶離液に溶解していれば分離可能であり、溶離液の組成を変更しても分離を改善することはできない。SECにおいて目的の高分子試料の分離が不十分であった場合は、グレードの異なるカラムを直列に接続する方法か、同じグレードのカラムを複数の直列に接続する方法でしか分離を改善することができない(図1参照)。どのカラムの組み合わせが、目的の高分子試料の分離に適しているかを判断するには、カラムの組み合わせ毎によって作製される検量線のプロファイルを確認することが重要となる。しかしながら、カラムの組み合わせ毎に検量線を作製するには、多くの時間を要する。また、SECのカラムは他の液体クロマトグラフィー用のカラムと比較して5倍程度高額(20~30万/本)であり、検量線プロファイルの確認を目的とした試用のために購入することは一般的ではない。そのため、最適なカラムの組み合わせは、ユーザーの過去の経験等に委ねるか、メーカーの技術者の判断を仰ぐこととで決定しており、属人的な手段に依存しているという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許文献1:特開平11-51923
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、カラム1本毎の検量線データをもとにして、同じグレードのカラムを複数本接続した場合や、異なるグレードのカラムを複数本接続した場合の検量線をシミュレーションするものである。また、前記技術から、実際の高分子試料の分離がどのように変化するかをシミュレーションするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、サイズ排除クロマトグラフィーにおいて、予め用意された2種以上の前記の分離特性の異なるサイズ排除クロマトグラフィーのカラムの溶出時間と分子量の対数からなる検量線情報を記憶媒体に保持しておき、その2種以上のカラムの検量線情報を数学的な処理により組み合わせ、その2種以上のカラムを直列に接続した場合の検量線をシミュレーションする方法を設計することで前記課題を解決し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の通り例示できる。
【0010】
[1]分子量分布が狭く、分子量----が既知である2種以上の標準試料を分析することにより作製した検量線を用いて、分子量未知の高分子試料の分子量または分子量分布を計算するサイズ排除クロマトグラフィーにおいて、
予め用意された2種以上の前記の分離特性の異なるサイズ排除クロマトグラフィーのカラムの溶出時間と分子量の対数からなる検量線情報を記憶媒体に保持しておき、その2種以上のカラムの検量線情報を数学的な処理により組み合わせ、前記2種以上のカラムを直列に接続した場合の検量線をシミュレーションする方法であって、
前記数学的処理は、
(1).カラムごとに異--なる検量線情報について、その溶出時間をxとし、分子量の対数をyとし、xとyの関係式を算出する工程と、
(2).すべてのカラムの検量線情報における、任意に指定した2以上のカラム毎に対応する分子量の対数yが同じになるように、前記(1)で得られた関係式により対応する溶出時間xを算出することで検量線情報を補間する工程と、
(3).前記(2)で得られた溶出時間を加算することでxの和を得て、対応するyと、指定した2以上のカラムの組み合わせを用いた場合の検量線をシミュレーションする工程、とを含む、
検量線をシミュレーションする方法。
(【0011】以降は省略されています)

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