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公開番号2025074854
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-14
出願番号2023185934
出願日2023-10-30
発明の名称加飾フィルム
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C08L 23/04 20060101AFI20250507BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】本発明は熱伝導性、靭性、耐熱性、寸法安定性等に優れる加飾フィルムを提供する。
【解決手段】ポリエチレン系熱可塑性樹脂100重量部(A)に対して、平均繊維径1～1,000nmのセルロースナノファイバー(B)1～60重量部、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、カーボンナノチューブ、黒鉛及び炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の熱伝導性粒子及び/又は熱伝導性繊維(C)を20～150重量部含むポリエチレン系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを構成物として有する加飾フィルムであり、該ポリエチレン系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの熱伝導率の100分率による(厚み方向)/(平面方向)比率が60%以上である加飾フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
ポリエチレン系熱可塑性樹脂（Ａ）１００重量部に対して、平均繊維径１～１,０００ｎｍのセルロースナノファイバー（Ｂ）1～６０重量部、金属、金属窒化物、金属炭化物、カーボンナノチューブ、黒鉛及び炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも１種以上の熱伝導性粒子及び／又は熱伝導性繊維（Ｃ）を２０～１５０重量部含むポリエチレン系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムが構成物として有する加飾フィルムであり、該ポリエチレン系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの熱伝導率の１００分率による（厚み方向）／（平面方向）比率が６０％以上である加飾フィルム。
続きを表示（約 170 文字）【請求項２】
前記セルロースナノファイバー（Ｂ）がセルロースの水酸基がアセチル化又はアシル化されたセルロースナノファイバーである、請求項１に記載の加飾フィルム。
【請求項３】
前記ポリエチレン系熱可塑性樹脂組成物が、さらにバイオマス樹脂（Ｄ）１～１００重量部を含む、請求項１～２のいずれかに記載の加飾フィルム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、加飾フィルムに関するものである。
続きを表示（約 2,600 文字）【背景技術】
【０００２】
加飾フィルムは印刷、塗装、真空蒸着、着色などで加飾したフィルム（又はシート）を用いて、フィルムを成形品表面に貼合させる、あるいは意匠層のみを成形品に転写させる
フィルムである。加飾フィルムの基本構成としては、例えば、樹脂フィルム（基板フィルム又はシート）／接着層／加飾層／ハードコート層／剥離層からなるものが挙げられる。加飾フィルムの主な目的は、従来、表面デザイン（メタリック調、木目調、エンボス、メッシュ、シボ等）の付与、ハードコート、反射防止等であったが、近年、新たな機能として、撥水性、断熱性、遮熱性、紫外線遮蔽性、近赤外線遮蔽性、放熱性、抗菌・抗ウイルス性、電磁波シールド性、インクジェット印刷、３Ｄプリンター加飾等の付与が検討されている。特に、放熱性については、電気、電子機器、半導体、バッテリーの小型化や高出力化、あるいはパワーデバイスや発電機器の高出力化に伴い部品、機器、装置などの発熱量が増加し、発火や故障を抑制するため、優れた熱伝導部材への要求が高まっている。また近年の気候変動による気温上昇が部品、機器、装置などの発熱に及ぼす影響を軽減するためなどの目的によっても、優れた熱伝導性部材への要求は高まっている。なお、加飾フィルムを成形体と張り合わせる方法としては、主に金型内に加飾フィルムをインサートした後、溶融樹脂を射出成型してフィルムを成形品表面に貼合させるインモールド成形「ＩＭ－Ｄ、ＩＭ－Ｌ」とアウトモールド成形「ＯＭＤ」が挙げられる。
【０００３】
一方、従来から、成形品表面に加飾を施す方法として塗装が一般的に利用されるが、溶媒を用いる塗装は、手作業で生産効率が低い、歩留まりが低い、作業現場の汚れ、溶媒の乾燥工程における二酸化炭素排出量やエネルギー消費量が大きい、ＶＯＣ（揮発性有機化合物）排出基準の順守、労働者の健康被害防止措置が必要、等の問題点が指摘されている。また、粉体塗料や水性塗料による改善も図られているが、粉体塗料は吸引による健康被害が懸念され、また、水性塗料はＶＯＣを排出しないものの、乾燥工程でのエネルギー消費量が大きいことや、排水処理が必要などの問題がある。一方、フィルム加飾は溶媒を用いず、また、高精度、高生産性、省人化、高歩留まり、などの特長があることから、近年、自動車分野を中心に塗装レスの手法として注目が高まっている。
【０００４】
ここで、セルロースナノファイバーは植物由来のバイオマス素材であり、軽量且つ高強度、低寸法変化率、チキソトロピー性などの特長を有することから、インクや接着剤、プラスチックなどと複合化した素材や成形品が数多く提案されている（例えば、特許文献１～３参照。）。また、熱可塑性樹脂、セルロースナノファイバー及び熱伝導性フィラーを含む樹脂組成物が提案されている（例えば特許文献４～８参照。）
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特許第７２４８９８８号公報
特許第７３０３０１５号公報
特開２０２１－１０９９１１号公報
特許第６８７０４００号公報
特許第６９１３３０７号公報
特許第６７９５５５５号公報
特開２０２１－１４３２４９号公報
特開２０２１－５０３２７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
特許文献１～３に提案されたセルロースナノファイバーを含む組成物は、加飾に関して何ら記載されていない。また、特許文献４、６及び７に記載された組成物については、熱伝導率が十分満足できるものでないといった問題がある。さらに、特許文献５に記載された樹脂組成物については、靭性が十分満足できるものでないといった問題点がある。また、特許文献８に記載された樹脂組成物については、硬化性樹脂を用いたものであり、熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いた加飾フィルムに対して生産性が低く、リサイクルも困難になるという問題がある。
【０００７】
そこで、本発明は、熱伝導性、靭性、耐熱性、寸法安定性等に優れる加飾フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエチレン系熱可塑性樹脂、特定のセルロースナノファイバー及び特定の熱伝導性フィラーを含むポリエチレン系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを構成物とする加飾フィルムが熱伝導性、靭性、耐熱性及び寸法安定性等に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００９】
すなわち本発明の各態様は、以下に示す［１］～［３］である。
［１］ポリエチレン系熱可塑性樹脂（Ａ）１００重量部に対して、平均繊維径１～１,０００ｎｍのセルロースナノファイバー（Ｂ）1～６０重量部、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、カーボンナノチューブ、黒鉛及び炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも１種以上の熱伝導性粒子及び／又は熱伝導性繊維（Ｃ）を２０～１５０重量部含むポリエチレン系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを構成物として有する加飾フィルムであり、該ポリエチレン系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムの熱伝導率の１００分率による（厚み方向）／（平面方向）比率が６０％以上である加飾フィルム。
［２］前記セルロースナノファイバー（Ｂ）がセルロースの水酸基がアセチル化又はアシル化されたセルロースナノファイバー（Ｂ）である、［１］に記載の加飾フィルム。
［３］前記ポリエチレン系熱可塑性樹脂組成物（Ａ）が、さらにバイオマス樹脂（Ｄ）１～１００重量部を含む、［１］～［２］のいずれかに記載の加飾フィルム。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、ＶＯＣを排出せず、高い生産性、高い歩留まりで成形品表面に加飾を施すための熱伝導性、靭性、耐熱性、寸法安定性等に優れる加飾フィルムを提供することができ、その産業的価値は極めて高いものである。
【発明を実施するための形態】
（【００１１】以降は省略されています）

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