TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025090847
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-17
出願番号2025046268,2023517468
出願日2025-03-21,2022-04-20
発明の名称細胞培養基材及びその製造方法、多能性幹細胞の分化誘導方法、並びに細胞培養キット
出願人東ソー株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12M 1/00 20060101AFI20250610BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】細胞凝集塊を形成可能であるとともに、細胞凝集塊中の細胞の生存率を高くすることが可能であり、培養時の気泡除去作業を不要にする細胞培養基材及びその製造方法を提供すること。三胚葉細胞への分化誘導効率に優れる、該細胞培養基材を用いた多能性幹細胞の分化誘導方法を提供すること。
【解決手段】基材と、該基材の表面の少なくとも一部を被覆する層厚5~2000nmの親水性高分子を含有する層と、を備え、親水性高分子は、ホスホリルコリン基又は水酸基を含み、下記(A)領域及び下記(B)領域を有し、(A)領域と(B)領域の境界における凹凸高さは1~500nmである、細胞培養基材。
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する島状の領域
(B)前記(A)領域に隣接し、細胞接着性又は細胞増殖性を有しない領域
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基材と、前記基材の表面の少なくとも一部を被覆する層厚5~2000nmの親水性高分子を含有する層と、を備え、
前記親水性高分子は、ホスホリルコリン基又は水酸基を含み、
下記(A)領域及び下記(B)領域を有し、
前記(A)領域と前記(B)領域の境界における凹凸高さは1~500nmである、細胞培養基材。
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する島状の領域
(B)前記(A)領域に隣接し、細胞接着性又は細胞増殖性を有しない領域
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記親水性高分子が、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、又は下記一般式(3)で表される化合物を含む、請求項1に記載の細胞培養基材。
JPEG
2025090847000009.jpg
35
149
[一般式(1)中、R

及びR

はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R

は水素原子又は任意の有機基を示し、m及びnはそれぞれ独立に正の整数を示す。]
JPEG
2025090847000010.jpg
36
149
[一般式(2)中、R

、R

及びR

はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R

は水素原子又は任意の有機基を示し、x、y及びzはそれぞれ独立に正の整数を示す。]
JPEG
2025090847000011.jpg
48
149
[一般式(3)中、R

及びR

はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R
10
は水素原子又は任意の有機基を示し、a及びbはそれぞれ独立に正の整数を示す。]
【請求項3】
前記親水性高分子が、UV反応性の官能基又はUV反応後の残基を有する単量体単位を含む、請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
【請求項4】
前記(A)領域についてのXPS測定のC1sスペクトルにおける287eVのピーク強度/285eVのピーク強度の比が、前記(B)領域についてのXPS測定のC1sスペクトルにおける287eVのピーク強度/285eVのピーク強度の比よりも0.05以上大きい、請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
【請求項5】
前記親水性高分子を含有する層の表面に、層厚1~100nmの温度応答性高分子を含有する層を更に備え、
前記温度応答性高分子は、水不溶性ブロックセグメント及び温度応答性ブロックセグメントを含むブロック共重合体である、請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
【請求項6】
前記水不溶性ブロックセグメント及び前記温度応答性ブロックセグメントの総重量に対する前記温度応答性ブロックセグメントの重量の割合が90重量%超である、請求項5に記載の細胞培養基材。
【請求項7】
前記基材の屈折率が1.4~1.6であり、且つ、前記基材の厚みが0.01~0.5mmである、請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
【請求項8】
励起波長350nm、488nm、及び647nmでそれぞれ励起された前記基材の蛍光強度が、同じ励起波長で励起された、厚み1.2mmのポリスチレン板の蛍光強度よりも小さい、請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
【請求項9】
前記(A)領域の面積が、0.001~5mm

である、請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
【請求項10】
前記(A)領域の面積が、0.005~0.2mm

であり、
前記(A)領域の数が、前記(A)領域及び前記(B)領域の合計面積を基準として、200~1000個/cm

である、請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養基材及びその製造方法、多能性幹細胞の分化誘導方法、並びに細胞培養キットに関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの多能性幹細胞は、生体の様々な組織に分化する能力(分化万能性)を持つ細胞であり、再生医療分野や創薬スクリーニングのための細胞ソースとして大きな注目が寄せられている。多能性幹細胞を再生医療や創薬スクリーニングに応用するには、多能性幹細胞から目的の細胞へと分化させる必要があるが、その際、多能性幹細胞の細胞凝集塊を形成する必要がある。また、多能性幹細胞は様々な細胞へと分化することができるが、分化後の細胞の種類によって最適な細胞凝集塊のサイズが異なることが知られており、サイズを制御し、更にサイズの均一な細胞凝集塊を作成することが望ましい。
【0003】
細胞凝集塊を形成する方法として従来、多能性幹細胞が接着しない基材を用いることで多能性幹細胞に自発的に凝集体を形成させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は細胞凝集塊の量産性に優れるものの、均一なサイズの細胞凝集塊を得ることができないという問題があった。
【0004】
サイズの均一な細胞凝集塊を形成する方法として、表面に微細な凹凸を設けた細胞培養基材を使用する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平8-140673号公報
特開2015-073520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示されるような微細な凹凸を設けた細胞培養基材は量産性に乏しく、大量の細胞凝集塊を形成する用途には不向きであるという問題があった。また、微細な凹凸内で細胞を強制的に凝集させることから、死細胞が細胞凝集塊の中に混入しやすいという問題があった。また、微細凹凸を有する細胞培養基材に培地を接触させた際に、表面の微細凹凸に気泡が取り込まれやすく、培養を開始する前に気泡の除去作業が必要であるという課題があることを本発明者らは見出した。気泡を除去するためには通常、ピペッターを用いて培地の吸引と吐出を繰り返す必要があり、作業性に劣るという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、細胞凝集塊を形成可能であるとともに、細胞凝集塊中の細胞の生存率を高くすることが可能であり、培養時の気泡除去作業を不要にする細胞培養基材及びその製造方法を提供することにある。本発明の他の課題は、三胚葉細胞への分化誘導効率に優れる、該細胞培養基材を用いた多能性幹細胞の分化誘導方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基材と、該基材の表面の少なくとも一部を被覆する層厚5~2000nmの親水性高分子を含有する層と、を備え、上記親水性高分子は、ホスホリルコリン基又は水酸基を含み、下記(A)領域及び下記(B)領域を有し、(A)領域と(B)領域の境界における凹凸高さは1~500nmである、細胞培養基材に関する。
(A)細胞接着性及び細胞増殖性を有する面積0.001~5mm

の島状の領域
(B)(A)領域に隣接し、細胞接着性又は細胞増殖性を有しない領域
【0009】
本発明はまた、(1)基材の表面の少なくとも一部をUV反応性の親水性高分子を含有する組成物で被覆し、親水性高分子を含有する層を形成する工程、(2)親水性高分子を含有する層にUV照射を行い、親水性高分子を含有する層を基材の表面に固定化する工程、及び(3)固定化した親水性高分子を含有する層の表面の一部にプラズマ処理を行い、プラズマ処理を行った部分に(A)領域を形成する工程を備える、上記細胞培養基材の製造方法に関する。
【0010】
本発明はまた、(1’)繰り返し単位に芳香族炭化水素基を含む高分子から形成される基材を用い、上記基材の表面にプラズマ処理を行い、プラズマ処理を行った部分に上記(A)領域を形成する工程、(2’)上記基材の表面の少なくとも一部をUV反応性の親水性高分子を含有する組成物で被覆し、上記親水性高分子を含有する層を形成する工程、(3’)上記親水性高分子を含有する層の一部にUV照射を行い、上記親水性高分子を含有する層の一部を上記基材の表面に固定化する工程、及び(4’)上記親水性高分子を溶媒で洗浄し、表面に固定化されていない親水性高分子を溶解させて上記基材の表面から除去する工程を備える、上記細胞培養基材の製造方法に関する。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

東ソー株式会社
ゴム用接着性改質剤
15日前
東ソー株式会社
封止用オイルの除去方法
8日前
東ソー株式会社
基材の洗浄効率を評価する方法
20日前
東ソー株式会社
クロムシリサイド膜及びその製造方法
8日前
東ソー株式会社
基準電圧設定回路、駆動回路及び駆動装置
16日前
東ソー株式会社
免疫グロブリン結合性タンパク質の保存溶液
6日前
東ソー株式会社
重合体、その架橋物及びこれらを含む電子デバイス
7日前
東ソー株式会社
ハロゲン含有ポリマーからなる粉体及びその製造方法
7日前
東ソー株式会社
スピネル型マンガン酸リチウム組成物及びその製造方法
8日前
東ソー株式会社
ビフェニレン化合物、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ
21日前
東ソー株式会社
撮像素子用光電変換素子用材料、撮像素子用光電変換素子、および化合物
6日前
東ソー株式会社
耐衝撃性に優れる焼結体
13日前
公立大学法人横浜市立大学
胚の母体着床能を判定する方法及び判定試薬
20日前
東ソー株式会社
酸素発生電極触媒を含む電極
15日前
東ソー株式会社
含窒素縮環フルオレン化合物、有機電界発光素子用材料および有機電界発光素子
6日前
東ソー株式会社
鉄含有FER型ゼオライト及びその製造方法
13日前
合同酒精株式会社
麦汁の製造方法
2か月前
日本バイリーン株式会社
細胞用支持基材
6日前
杏林製薬株式会社
核酸検出用PCR溶液
1か月前
個人
細胞培養容器
1日前
学校法人近畿大学
培養肉の製造方法
1か月前
東洋紡株式会社
改変型RNAポリメラーゼ
1日前
サッポロビール株式会社
飲料
29日前
JNC株式会社
アデノ随伴ウイルスの精製方法
1か月前
株式会社東海ヒット
灌流培養ユニット
20日前
個人
ナノ微粒子の製造方法
29日前
オンキヨー株式会社
浸漬酒の製造方法、及び、浸漬酒
6日前
アサヒビール株式会社
柑橘風味アルコール飲料
1日前
アサヒビール株式会社
柑橘風味アルコール飲料
1日前
個人
超音波機能着きウィスキー熟成ボトル用のキャップ
1か月前
ヤマト科学株式会社
インキュベータ
1か月前
日本特殊陶業株式会社
メタン発生抑制装置
2か月前
株式会社アテクト
培養シート
2か月前
東洋紡株式会社
緩衝剤によるヘムタンパク質の安定化方法
1か月前
花王株式会社
リパーゼ変異体
13日前
池田食研株式会社
抗疲労用組成物
6日前
続きを見る