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公開番号2024097884
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-19
出願番号2024075610,2021558457
出願日2024-05-08,2020-11-19
発明の名称神経系細胞の凍結方法
出願人住友ファーマ株式会社,国立大学法人京都大学
代理人個人,個人,個人
主分類C12N 5/0793 20100101AFI20240711BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】
神経系細胞を含む細胞凝集体を凍結する方法を提供する。
【解決手段】
以下の工程(1)及び工程(2)を含む、立体構造を有する神経系細胞を含む細胞凝集体を凍結する方法を提供する:(1)立体構造を有する神経系細胞を含む細胞凝集体を、凍結前に0℃以上30℃以下で、保存液に接触させ、保存液に浸された細胞凝集体を調製する工程、及び;(2)工程(1)で得られる保存液に浸された細胞凝集体を、少なくとも、該保存液の凝固点よりも約5℃高い温度から、凝固点よりも約5℃低い温度まで、平均2~7℃/分の温度低下速度で冷却し、凍結させる工程。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の工程(1)及び工程(2)を含む、立体構造を有する神経系細胞を含む細胞凝集体を凍結する方法:
(1)立体構造を有する神経系細胞を含む細胞凝集体を、凍結前に0℃以上30℃以下で、保存液に接触させ、保存液に浸された細胞凝集体を調製する工程、及び;
(2)工程(1)で得られる保存液に浸された細胞凝集体を、少なくとも、該保存液の凝固点よりも約5℃高い温度から、凝固点よりも約5℃低い温度まで、平均2~7℃/分の温度低下速度で冷却し、凍結させる工程。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
工程(2)における温度低下速度が、平均3~7℃/分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(1)において、細胞凝集体を15分間~90分間、好ましくは15分間~60分間保存液に接触させる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
保存液の凝固点が、-1℃~-10℃である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
保存液が、7%~12%のジメチルスルホキシド及び/又はプロピレングリコールを含む水性液体であり、工程(2)が、0±5℃から-30±5℃まで、平均2~5℃/分の温度低下速度で冷却する工程である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(2)における温度低下速度が、平均3~5℃/分である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
更に、以下の工程(3)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法:
(3)工程(2)で得られる凍結した細胞凝集体を、-50℃以下に冷却する工程。
【請求項8】
神経系細胞を含む細胞凝集体が、多能性幹細胞由来の神経系細胞を含む細胞凝集体である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
神経系細胞を含む細胞凝集体が、FOXA2、TH及びNURR1の少なくとも1つが陽性の細胞を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
神経系細胞を含む細胞凝集体が、FOXA2陽性かつLMX1A陽性の細胞を含む、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願は、神経系細胞を含む細胞凝集体の凍結方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
ドパミン産生(DA)神経の移植は、胎児中脳細胞を用いた臨床試験の報告等から、パーキンソン病(PD)の有望な治療方法になると考えられている(非特許文献1)。また、胚性幹細胞(ES細胞又はESC)や人工多能性幹細胞(iPS細胞またはiPSC)等の多能性幹細胞(PSC)をドパミン産生神経細胞もしくはその前駆細胞へ分化誘導する方法が報告されている。本発明者らのグループは既に、ヒト人工多能性幹細胞からドパミン産生神経細胞、又はドパミン産生神経前駆細胞等を作製する方法を報告している(非特許文献2)。他のグループからも、PSC由来ドパミン産生神経の作製が報告されている(非特許文献3及び4)。
【0003】
細胞を有効成分とする医薬品においては、最終生成物の凍結保存の達成は細胞療法を広めるために不可欠な要素である(特許文献1~4)。細胞生物学の研究とは異なり、臨床に使用される場合、凍結保存細胞は解凍後回復培養を行わず直ちに移植されることが望ましい。したがって、凍結細胞としては解凍後に生着能、機能・活性および細胞生存率が維持されていることが重要である。
【0004】
固形組織の移植ではドナーの血管および抗原提示細胞がそのまま存在することにより、細胞懸濁液の移植よりも強い免疫反応が誘発されることが示唆されている(非特許文献5)。一方、同系移植または免疫抑制剤によって免疫応答が抑制されれば、この問題は解消され、腹側中脳(VM)組織の移植は細胞懸濁液の移植よりも高いドパミン産生神経の生存率および行動回復を示す(非特許文献6)。また、細胞懸濁液を取得するための機械的解離プロセスおよび酵素的解離プロセスは細胞特性を変化させ、細胞損傷を引き起こし得る。したがって、臨床用途においては移植される細胞を細胞懸濁液ではなく、細胞塊として投与することが望ましい。しかし、細胞塊は単一細胞よりも凍結保存が困難であるという問題がある。
【0005】
凍結保存したPSC由来ドパミン産生神経の単一細胞懸濁液をラット線条体に移植すると、生存TH

細胞の割合は非凍結細胞と比較して約60%に減少する(非特許文献7)。一方、ヒトまたはラット腹側中脳(VM)組織を凍結保存したほとんどの研究例では、インビボでのドパミン産生神経の生存率は非凍結組織と比較して20%未満にまで減少している(非特許文献8~10)。したがって、PSC由来ドパミン産生神経細胞塊の生存を維持することが可能な凍結方法の開発が必要とされている。
【0006】
一般的に、2つの細胞凍結保存法が存在する(非特許文献11~13)。このうち緩慢法は低濃度の凍結保護物質(CPA)(10%ジメチルスルホオキシド(DMSO)など)と共に細胞を約1℃/分で凍結させる方法である(特許文献5、非特許文献14、15)。一方ガラス化法は、高濃度の凍結保護物質を添加した後、直ちに細胞を液体窒素中に移行させる高速冷却法である(特許文献6、非特許文献16)。ガラス化法は厳密な時間制御を必要とするため、臨床用細胞製造への適用は技術的に困難である(非特許文献17)。
【0007】
一方、緩慢法では、氷形成がまず細胞外空間において開始し、細胞外液の濃縮をもたらす。その結果、細胞膜を隔てた浸透圧勾配によって細胞から水分が引き抜かれる。この細胞の脱水によって細胞内氷形成が回避される。しかしながら、過度に細胞が脱水された場合、濃縮された細胞内液および凍結保存液中のCPAにより細胞は傷害される。氷形成及び細胞脱水の正確な制御が必要であることから、細胞塊の臨床用凍結保存法は確立されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2017-104061号公報
WO2017/159862号明細書
特表2015-521469号公報
特表2008-501320号公報
特開2011-103885号公報
特開2013-110988号公報
【非特許文献】
【0009】
Piccini et al; Nature Neuroscience, 2(12), 1137-1140, 1999
Doi et al., Stem Cell Reports, 2(3), 337-350, 2014
Sundberg et al., Stem Cells 31, 1548-1562, 2013
Nolbrant et al., Nature Protocols, 12(9), 1962-1979, .2017
Redmond et al., Neurobiology of Disease, 29(1), 103-116, 2008
Fricker et al., PLoS ONE, 7(10), e47169, 2012
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Frodl et al., Brain Research, 647(2), 286-298, 1994
Sautter et al., Journal of Neuroscience Methods, 64(2), 173-179, 1996
Sautter et al., Experimental Neurology, 164(1), 121-129, 2000
Chong et al., Stem Cells, 27(1), 29-39, 2009
Smith et al., Fertility and Sterility, 94(6), 2088-2095, 2010
Jang et al., Integrative Medicine Research, 6(1), 12-18, 2017
Schwartz et al., Journal of Neuroscience Research, 74(6), 838-851, 2003
Woods et al., Cryobiology, 59(2), 150-157, 2009
Fahy and Wowk., Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols), vol 1257. Springer, New York, NY, 2015
Nagano et al., Biomedical Research, 28(3), 153-160, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願は、神経系細胞を含む細胞凝集体の凍結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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