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公開番号2024118908
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-02
出願番号2023025488
出願日2023-02-21
発明の名称新規ポリヌクレオチド
出願人国立大学法人大阪大学
代理人個人,個人
主分類C12N 15/30 20060101AFI20240826BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】ヒト由来細胞においてSE36タンパク質を効率的に発現させる手法等の提供。
【解決手段】下記(i)又は(ii)のポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、前記ポリヌクレオチド又は前記ポリペプチドを含む、マラリア原虫感染症の予防及び/又は治療用ワクチンを提供する。
(i)特定の塩基配列からなるDNA配列、又は該DNA配列に対応するRNA配列を含むポリヌクレオチド。(ii)前記DNA配列又はRNA配列と80%以上の同一性を有し、かつSE36タンパク質の免疫原性を有するタンパク質をコードする、DNA配列若しくはRNA配列を含むポリヌクレオチド。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記(i)又は(ii)のポリヌクレオチド。
(i) 配列番号1若しくは3に示される塩基配列からなるDNA配列、又は該DNA配列に対応するRNA配列を含むポリヌクレオチド。
(ii) 前記DNA配列又はRNA配列と80%以上の同一性を有し、かつSE36タンパク質の免疫原性を有するタンパク質をコードする、DNA配列若しくはRNA配列を含むポリヌクレオチド。
続きを表示(約 240 文字)【請求項2】
請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項3】
請求項2に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
【請求項4】
請求項1に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド。
【請求項5】
請求項4に記載のポリペプチドに対する抗体。
【請求項6】
請求項1に記載のポリヌクレオチド、又は請求項4に記載のポリペプチドを含む、マラリア原虫感染症の予防及び/又は治療用ワクチン。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ポリヌクレオチド、組換えベクター、形質転換体等に関する。具体的には、熱帯熱マラリア原虫であるプラスモジウム(Plasmodium falciparum;以下、Pfとも称する)のSERA5(serine-repeat antigen 5)由来のSE36タンパク質の免疫原性を有するタンパク質をコードする、新規ポリヌクレオチド等に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
ハマダラカによって媒介される熱帯熱マラリアは、アフリカ諸国を中心に年間で約2億人の感染者と60万人を超える犠牲者を出している。犠牲者は、5歳以下の小児が60~80%を占めるといわれており、また、同地域の多くの妊産婦が妊娠マラリアの危険にさらされており、年間約20万人の胎児が犠牲となっているともいわれている。効果的なマラリアワクチンによる小児等のマラリア予防はグローバルヘルスの最大の関心事の一つである。さらに、健康被害のみならずアフリカ諸国の経済及び発展を大きく妨げていることも問題視されている。
【0003】
SERA5(serine-repeat antigen 5)ポリペプチドは、赤血球内期のPfsera5遺伝子により発現される合計989アミノ酸からなる分子量115kdのタンパク抗原であり、その構造はN末端からC末端方向に順に、47kd-50kd-18kdの3つのドメインからなる。これらのドメインの前駆体としてのSERA5は、合計5868塩基からなるSERA遺伝子(DNA)上に分散する4つのエキソンによる発現後、赤血球内期でのメロゾイト放出の際にプロセッシングされ、上記3ドメインに開裂する(例えば、非特許文献1及び2)。なお、SERA5遺伝子(DNA)とこれがコードするアミノ酸配列の完全長データは、GenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)で公開され入手可能である(Accession Number: J04000)。また、SERA5のN末端領域(以下、「47kd領域」とも称する)は、合計382アミノ酸残基からなり、その配列に係るPf株間のホモロジー検索によれば、アミノ酸の欠失、付加、及び約20ヵ所におけるアミノ酸の変異(非同義置換)等の散在がみられ、多様である(例えば、非特許文献3及び4)。熱帯熱マラリア原虫Pf由来のSE36タンパク質(SE36ポリペプチド;「SE36-Pf」とも称する)は、熱帯熱マラリア原虫PfのHonduras-1株のSERA5の47kd領域を基礎とするSE47’抗原(例えば、非特許文献5)に由来し、当該47kd領域を構成する合計382アミノ酸のN末端のメチオニンを起点(第1番目のアミノ酸)としてC末端方向に順次、序数付けした第16番目のアミノ酸(アスパラギン)のコドンを、開始コドン(メチオニン)に置換し、かつ、第382番目のアミノ酸(グルタミン酸)の後に翻訳停止コドンを隣接挿入し、更に、そのセリン反復領域を占める合計33個の重合セリン残基(第193番目から第225番目までのセリン)を切除した合計334アミノ酸からなるポリペプチドである(例えば、非特許文献5)。SE36タンパク質はマラリア原虫メロゾイト細胞の表面を覆うタンパク質であり、宿主の細胞接着分子(血清タンパク質)であるヴィトロネクチンがSE36タンパク質に結合し、さらにヴィトロネクチンに30種以上の宿主タンパク質が結合して、原虫表面を宿主タンパク質でカモフラージュしていることが知られている(例えば、非特許文献6)。また、SE36タンパク質とヴィトロネクチンの複合体が宿主の免疫系に提示されることにより徐々に免疫寛容が生じると考えられている。
【0004】
これまでに、赤血球期のマラリア原虫のSERA5抗原遺伝子を操作して、大腸菌で発現させた組換えSE36タンパク質をワクチン抗原とした、マラリアワクチン(NPC-SE36/AHG、NPC-SE36/CpG、等)が開発されている(例えば、非特許文献7及び8)。
一方、抗原タンパク質としてのSE36タンパク質を、大腸菌ではなくヒト由来細胞で大量発現させる手法や、さらには、例えば、ウイルスベクターワクチンや、DNAワクチン又はmRNAワクチンのように、抗原タンパク質としてのSE36タンパク質をコードする核酸分子をヒト免疫系に提示する手段の開発も検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Li, J., et al., Molecular & Biochemical Parasitology, vol. 120, pp. 177-186, 2002
Fox, B.A., et al., Experimental Parasitology, vol. 85, pp. 121-134, 1997
Tanabe, K., et al., Vaccine, vol. 30, pp. 1583-1593, 2012
Arisue, N., et al., Frontiers in Cellular and Infection Microbiology, (2022) 12:1058081. DOI: 10.3389/fcimb.2022.1058081
Horii, T., et al., Parasitology International, vol. 59, pp. 380-386, 2010
Tougan, T., et al., Scientific Reports, (2018) 8:5052. DOI: 10.1038/s41598-018-23194-9
Bougouma, E.C., et al., Frontiers in Immunology, (2022) 13:978591. DOI: 10.3389/fimmu.2022.978591.
Ezoe, S., et al., Vaccine, vol. 38, pp. 7246-7257, 2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況下において、ヒト由来細胞においてSE36タンパク質(又はそれと同程度の免疫原性を有するタンパク質)を効率的に発現させる手法等の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記状況を考慮してなされたもので、以下に示す、ポリヌクレオチド、組換えベクター、形質転換体等を提供するものである。
【0008】
(1)下記(i)又は(ii)のポリヌクレオチド。
(i) 配列番号1若しくは3に示される塩基配列からなるDNA配列、又は該DNA配列に対応するRNA配列を含むポリヌクレオチド。
(ii) 前記DNA配列又はRNA配列と80%以上の同一性を有し、かつSE36タンパク質の免疫原性を有するタンパク質をコードする、DNA配列若しくはRNA配列を含むポリヌクレオチド。
【0009】
(2)上記(1)に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
(3)上記(2)に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(4)上記(1)に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド。
(5)上記(4)に記載のポリペプチドに対する抗体。
(6)上記(1)に記載のポリヌクレオチド、又は上記(4)に記載のポリペプチドを含む、マラリア原虫感染症の予防及び/又は治療用ワクチン。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヒト由来細胞においてSE36タンパク質(又はそれと同程度の免疫原性を有するタンパク質)を効率的かつ大量に発現させることができるポリヌクレオチド等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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