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公開番号2024148921
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023062506
出願日2023-04-07
発明の名称化学反応方法及び反応装置
出願人ウシオ電機株式会社,国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類B01J 19/12 20060101AFI20241010BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】効率的に化学反応を行う方法及び反応容器を提供する。
【解決手段】前記方法は、極性溶質及び非極性溶質を含む混合液を反応容器に入れて、前記反応容器内で前記極性溶質を主に含む第一溶液層と前記非極性溶質を主に含む第二溶液層に分離させ、前記反応容器の外部の光を、前記第一溶液層及び前記第二溶液層のうち光吸収率の低い層を主に透過して、前記第一溶液層と前記第二溶液層の界面に向けて照射し、前記極性溶質と前記非極性溶質を化学反応させる。前記反応容器は、極性溶質及び非極性溶質の混合液を入れるための反応容器であり、前記反応容器の外部の光を前記反応容器内に入射させ、前記極性溶質を主に含む第一溶液層と前記非極性溶質を主に含む第二溶液層のうち、光吸収率の低い層を主に透過して、前記第一溶液層と前記第二溶液層の界面に向けて前記光を照射するように配置されている、導光部を備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
反応容器中の極性溶質と非極性溶質を化学反応させる方法であって、
前記反応容器内で、前記極性溶質を主に含む第一溶液層と前記非極性溶質を主に含む第二溶液層に分離させ、
前記第一溶液層及び前記第二溶液層のうち光吸収率の低い溶液層を主に透過して、前記第一溶液層と前記第二溶液層の界面に向けて第一光源からの光を照射し、
前記第一溶液層及び前記第二溶液層のうち光吸収率の低い溶液層に向けて、第二光源からの光を照射し、
前記第二光源が放射する光の波長は、前記第一光源が放射する光の波長と異なることを特徴とする、方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記反応容器内には、前記第一溶液層及び前記第二溶液層に占められていない第三空間があり、第三光源からの光を前記第三空間に向けて照射し、
前記第三光源が放射する光の波長は、前記第一光源が放射する光の波長と異なる、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第三光源が放射する光の波長は、前記第二光源が放射する光の波長と同じであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応容器内には、前記第一溶液層及び前記第二溶液層に占められていない第三空間があり、前記第三空間に含まれる物質を、前記第一溶液層及び前記第二溶液層のうち、前記第三空間に接していない溶液層に送り込むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記反応容器の中に、前記非極性溶質及び前記極性溶質の少なくとも一つを追加的に投入することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第一光源を点灯させた後に前記第二光源を点灯させることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第一光源は、点灯と消灯を繰り返し行い、
前記第一光源が消灯しているとき、前記第二光源を点灯させること、及び、前記第一溶液層及び前記第二溶液層を撹拌させること、の少なくとも一つを行うことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第一光源が点灯しているとき、前記第二光源を点灯させること、及び、前記第一溶液及び前記第二溶液を撹拌させること、の少なくとも一つを行うことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第一溶液層及び前記第二溶液層の少なくとも一つのPhを調整することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
極性溶質と非極性溶質を化学反応させる反応装置であって、前記反応装置は、
互いに相分離する前記極性溶質及び前記非極性溶質の混合液を保持する反応容器と、
前記極性溶質を主に含む第一溶液層と前記非極性溶質を主に含む第二溶液層のうち、光吸収率の低い溶液層を主に透過して、前記第一溶液層と前記第二溶液層の界面に向けて、光を照射する、第一光源と、
前記第一溶液層及び前記第二溶液層のうち光吸収率の低い溶液層に向けて、光を照射する、第二光源と、
を有することを特徴とする、反応装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、化学反応方法及び反応装置に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
光を使用して極性溶質及び非極性溶質を化学反応させる方法が、様々な分野で知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ダイオキシン類を溶解させた非極性溶質と、アルコール(極性溶質)を混合して撹拌しながら、低圧水銀ランプにより紫外線(UV250nm)を照射して、ダイオキシン類を分解する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2008-068227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にはどのような方法で紫外線を照射するのか開示していない。紫外線などの光の照射方法は、化学反応の効率性に大きな影響を与える。本発明は、非極性溶質と極性溶質の混合液に対し、効率的に化学反応を行う方法、及び、非極性溶質と極性溶質を入れた混合液に対し効率的に化学反応させる反応装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の方法は、反応容器中の極性溶質と非極性溶質を化学反応させる方法であって、
前記反応容器内で、前記極性溶質を主に含む第一溶液層と前記非極性溶質を主に含む第二溶液層に分離させ、
前記第一溶液層及び前記第二溶液層のうち光吸収率の低い溶液層を主に透過して、前記第一溶液層と前記第二溶液層の界面に向けて第一光源からの光を照射し、
前記第一溶液層及び前記第二溶液層のうち光吸収率の低い溶液層に向けて、第二光源からの光を照射し、
前記第二光源が放射する光の波長は、前記第一光源が放射する光の波長と異なる。
【0007】
二つの層の液中で化学反応させる利点は、極性のある物質と極性のない物質との化学反応が可能になることである。加えて、化学反応に酸素を必要とする場合、気中であれば、気中に酸素が多量にあるため、光エネルギーの付与を契機として発火や爆発のリスクがあるところ、液中であれば、酸素の量を制限できるため、光エネルギーの付与から発火や爆発のリスクを低減することに繋がるという利点がある。このような液中の環境において、適切に光を狙った個所に照射することは、非常に重要である。
【0008】
本発明の方法は、第一光源と第二光源という少なくとも二つの光源を使用する。そして、第二光源が放射する光の波長は、第一光源が放射する光の波長と異なる。詳細は後述するが、第一光源が放射する光は、極性溶質にエネルギーを与えて活性種(ラジカル)に変える。以降、活性種をラジカルと言い、活性種に変えることをラジカル化ということがある。極性溶質の活性種は、非極性溶質にエネルギーを与え化学的に変化させることができる。しかしながら、極性溶質の活性種は、極性溶質の活性種同士で結合したり、目的物以外の他の物質(詳細は後述する)を形成したりしてしまい、非極性溶質にエネルギーを与えられないことが多い。そこで、第二光源が放射する光を当該他の物質に照射して、活性種に戻す。なお、第二光源が放射する光の主波長は、第一光源が放射する光の主波長より短いことが多い。本明細書において、「主波長」とは、光源が放射する光のスペクトルの中で最も光強度の高い波長をいう。
【0009】
極性溶質は、分子中に極性を有し、極性溶媒に溶解する物質である。極性溶質として、亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、又は、金属酸化物が、例示される。極性溶媒は、分子中に極性を有し、極性溶質を溶解させる物質である。極性溶媒として、水、塩酸、アルコール、又は、アルコール水溶液が例示される。アルコール又はアルコール水溶液に含まれるアルコールは、炭素数が10以下であるとよい。特に、アルコール又はアルコール水溶液に含まれるアルコールは、メタノール、エタノール、ブタノールであると好ましい。
【0010】
非極性溶質は、分子中に、極性がないか、又は、極性溶質に比べて極性の小さい物質であり、非極性溶媒に溶解する物質である。非極性溶媒は、分子中に、極性がないか、又は、極性溶質に比べて極性の小さい物質であり、非極性溶質を溶解させる物質である。非極性溶質は、常温かつ常圧で気体の物質であるとよい。非極性溶質の例として、炭化水素、フッ化炭素又はフッ化炭化水素が挙げられる。非極性溶質は、不飽和結合をもたない物質であるとよい。非極性溶質として、メタン、エタン、又は、プロパンなどの炭化水素、パーフルオロメタン、パーフルオロエタンなどのフッ化炭素、又は、フルオロメタン、フルオロエタンなどのフッ化炭化水素が例示される。非極性溶媒は、常温かつ常圧で液体の物質であるとよい。非極性溶媒として、炭化水素、フッ化炭素又はフッ化炭化水素が挙げられる。非極性溶媒は、不飽和結合をもたない物質であるとよい。非極性溶媒として、ヘキサン、シクロヘキサン、n-デカン、n-オクタン、n-ノナン、オクタン、イソオクタン、パーフルオロヘキサン、テトラデカフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、オクタデカフルオロオクタン、パーフルオロノナン、エイコサフルオロノナン、パーフルオロデカリンが、例示される。
(【0011】以降は省略されています)

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