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公開番号2025015335
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2023118674
出願日2023-07-20
発明の名称二酸化炭素の地中貯留方法
出願人電源開発株式会社
代理人弁理士法人志賀国際特許事務所
主分類B01J 19/00 20060101AFI20250123BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】二酸化炭素遮蔽層の強度を確保するとともに、地層中における最適な深度領域に二酸化炭素を確実に封じ込めることができ、大量の二酸化炭素を効率良く貯留することが可能な二酸化炭素の地中貯留方法を提供する。
【解決手段】海底面Fから所定の深さまで存在する、二酸化炭素ハイドレートを生成可能な圧力条件及び温度条件を満たす地層からなる二酸化炭素シール領域Sよりも下方に、二酸化炭素を圧入して二酸化炭素貯留層Gを形成し、二酸化炭素貯留層Gに圧入された二酸化炭素の少なくとも一部を二酸化炭素シール領域S側に二酸化炭素の浮力で自然に上昇させて二酸化炭素ハイドレートを生成させることにより、二酸化炭素シール領域S中に二酸化炭素遮蔽層Cを形成し、海底面F下の中における、二酸化炭素の密度と孔隙水の密度とが平衡する圧力条件及び温度条件を満たす地層中の深度領域に、二酸化炭素を貯留する。
【選択図】図1A
特許請求の範囲【請求項1】
二酸化炭素が液化した状態で、音響基盤上の堆積物からなる海底下地層中に貯留する方法であって、
海底面から所定の深さまで存在する、二酸化炭素ハイドレートを生成可能な圧力条件及び温度条件を満たす地層からなる二酸化炭素シール領域よりも下方に、液体二酸化炭素を圧入して二酸化炭素貯留層を形成し、
前記二酸化炭素貯留層に圧入された前記二酸化炭素の少なくとも一部を前記二酸化炭素シール領域側に前記二酸化炭素の浮力で自然に上昇させて二酸化炭素ハイドレートを生成させることにより、前記二酸化炭素シール領域に二酸化炭素遮蔽層を形成し、
二酸化炭素ハイドレートからなる前記二酸化炭素遮蔽層によるスレッショルド圧力0.02MPaを管理基準として前記液体二酸化炭素の注入量を調整し、
前記海底下地層中における、前記二酸化炭素の密度と孔隙水の密度とが平衡する圧力条件及び温度条件を満たす地層中の深度領域に、前記二酸化炭素を貯留する、二酸化炭素の地中貯留方法。
続きを表示(約 520 文字)【請求項2】
前記海底下地層中における、前記二酸化炭素の密度と孔隙水の密度とが平衡する圧力条件及び温度条件を満たす地層の深度を計算し、計算して得られた計算値に基づき、前記二酸化炭素の、前記海底下地層への圧入位置を制御する、請求項1に記載の二酸化炭素の地中貯留方法。
【請求項3】
海底下地層で二酸化炭素ハイドレートが安定して存在する温度条件及び圧力条件における二酸化炭素ハイドレートからなる二酸化炭素遮蔽層の時間-強度関係及び海底下地層における二酸化炭素密度ρ
CO2
が海水密度ρ
35sw
と一致する温度条件及び圧力条件に基づいて、二酸化炭素の地中貯留に適した海域を探索する方法。
【請求項4】
コンピュータに、海底下地層で二酸化炭素ハイドレートが安定して存在する温度条件及び圧力条件における二酸化炭素ハイドレートからなる二酸化炭素遮蔽層の時間-強度関係及び海底下地層における二酸化炭素密度ρ
CO2
が海水密度ρ
35sw
と一致する温度条件及び圧力条件に基づいて、二酸化炭素の地中貯留に適した海域を探索させる、プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の地中貯留方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
化石燃料を用いて発電しながら二酸化炭素(CO

)排出量を抑制できる革新的技術として、二酸化炭素の回収・貯留(Carbon dioxide Capture and Storage:以下、単に「CCS」という)が注目されている。また、CCSの技術を用いて二酸化炭素を地中貯留する方法に関しては、実証試験及び貯留適地調査が積極的に進められている。
【0003】
一般的に、二酸化炭素は、圧力及び温度の条件に応じて、気(Gas)・液(Liquid)・固(Solid)・超臨界(Supercritical)の4相のいずれかの状態で存在する。また、二酸化炭素は、常圧で温度194K(-79.15℃)以下の条件で固体のドライアイスになるが、水と混合すると、上記と異なる温度と圧力の条件でハイドレート(固体)化することが知られている。なお、二酸化炭素ハイドレート(CO

hydrate)は、液体の二酸化炭素が水と混合し、温度10℃以下で、且つ、圧力4.5MPa以上の条件で生成され、液体の二酸化炭素の領域(液相の領域)の一部と重なる。
【0004】
上記のような二酸化炭素ハイドレートは、メタンハイドレートと同様の結晶構造を有する固体であり、水分子が構成する立体格子内にガス分子がトラップされた構造とされている。このような二酸化炭素ハイドレートは、一般にガスハイドレートとも呼ばれ、非特許文献1には、天然ガスの移送ラインにおいて二酸化炭素がハイドレート化して目詰まりを起こすことが、最初の研究報告として確認されている。また、二酸化炭素ハイドレートは、油ガス処理を行うプラント配管における閉塞物質としても確認されているとともに、地球惑星に係る科学分野でも研究が進んでいる。
【0005】
また、非特許文献2には、1990年に、海底から柱状に立ち上がる天然の二酸化炭素ハイドレートが発見されたことが報告されている。
【0006】
二酸化炭素の密度は、圧力が上昇すると気液相変化によって変化するが、温度31℃以上で、且つ、圧力7.4MPa以上で超臨界状態となるため、それ以上の圧力上昇による密度変化は比較的緩慢である。そして、液体若しくは超臨界状態における二酸化炭素の密度は海水に比べて小さいため、例えば、海底下の地層に二酸化炭素を貯留しようとする場合には、密度差によって浮力が生じ、浮上する二酸化炭素を封じ込めるために何らかのシール機能が必要となる。
【0007】
一方、日本国内においては、二酸化炭素の地中貯留方法として、帯水層貯留(DSA;Deep Saline Aquifer)が、政府・行政機関の主導で1990年代から適地検討が進められているが、この方法は、商用の貯留地点や貯留容量が未定である。これは、日本が石油や天然ガスの産出量に乏しいことが示唆するように、日本の地層中には、中東や欧米、アジア等で一般的に見られる天然のキャップロック(泥岩などの遮蔽層(キャップロック))の存在量が乏しいことが要因として考えられる。
【0008】
このため、二酸化炭素を地中貯留する他の方法として、上記のような、二酸化炭素がハイドレート化して固体となる特性を利用し、ハイドレート化した二酸化炭素を遮蔽層に用いることで、浮上する二酸化炭素を封じ込めるシール機能を持たせた、二酸化炭素ハイドレート貯留の実用化が期待され、積極的な研究が進められている。
【0009】
上記のようなハイドレート化した二酸化炭素遮蔽層は、泥岩等のキャップロックを必要としないというメリットがある。また、二酸化炭素ハイドレート貯留における地中の貯留対象層は、例えば、陸域の河川から運搬された土砂が、音響基盤上に約400mの層厚で堆積した第四紀堆積層(地質年代は現在~約258万年前)であり、日本の周辺海域に広く分布している。
【0010】
また、メタンハイドレートは日本の周辺海域に存在することから、その地下深部にメタンガスが存在することが明らかになっている。一方、このメタンガスは、上記のようなキャップロックにトラップされることなく、海底下数百m程の浅部地層において、メタンハイドレートとしてトラップされていることで、日本の周辺海域に多く存在していると考えることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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