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公開番号2025011483
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023113624
出願日2023-07-11
発明の名称2-エチルヘキサノール類吸着剤及びその吸着方法
出願人水澤化学工業株式会社
代理人個人
主分類B01J 20/10 20060101AFI20250117BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】2-エチルヘキサノール及びその誘導体を紙特有の臭気成分であると特定し、これら臭気成分を有効に吸着除去する。
【解決手段】2-エチルヘキサノール類吸着剤は、二酸化ケイ素(SiO2)と酸化マグネシウム(MgO)とが一体化したシリカ・マグネシア複合粒子であって、窒素吸着法により測定されるBET比表面積に対する、水蒸気吸着法により測定されるBET比表面積の比率であるBET比表面積比(H2O/N2)が0.4~0.9である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
二酸化ケイ素と酸化マグネシウムとが一体化したシリカ・マグネシア複合粒子であって、
窒素吸着法により測定されるBET比表面積に対する、水蒸気吸着法により測定されるBET比表面積の比率であるBET比表面積比が、0.4~0.9であることを特徴とする2-エチルヘキサノール類吸着剤。
続きを表示(約 480 文字)【請求項2】
吸着対象物質としての2-エチルヘキサノール類は、2-エチルヘキサノール、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、及びアクリル酸2-エチルヘキシルから選択される1種又は2種以上である請求項1に記載の2-エチルヘキサノール類吸着剤。
【請求項3】
細孔容積が0.5~1.5cm
3
/gである請求項1に記載の2-エチルヘキサノール類吸着剤。
【請求項4】
2-エチルヘキサノール類を含有する水溶液に請求項1に記載の吸着剤を添加して、2-エチルヘキサノール類を吸着させることを特徴とする吸着方法。
【請求項5】
2-エチルヘキサノール類を含有する水溶液は、パルプ溶解液であり、
抄紙工程の前に、パルプ溶解液に前記吸着剤を添加する請求項4に記載の吸着方法。
【請求項6】
塗工、塗布、噴霧、又は浸漬により、最終製品としての紙に請求項1に記載の吸着剤を含浸させて、2-エチルヘキサノール類を吸着させることを特徴とする吸着方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、紙臭原因物質の2-エチルヘキサノール類を吸着除去させる吸着剤、及び2-エチルヘキサノール類の吸着方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、世界的に脱プラスチックの取組みが進み、紙製品の需要が高まっているが、紙には特有の臭気があり飲食品用途では従来から問題視されている。即ち、飲食品用の紙製品、例えば紙器(紙皿、紙コップ、紙袋、紙容器)、紙フィルタ(コーヒーフィルタ、濾紙)等により提供される飲食品に、紙特有の臭気が付着した場合、風味が損なわれるおそれもある。例えば、紙フィルタにより濾過された飲料水に臭気成分が溶出した場合、それを摂取する者は不快に感じることもあろう。紙特有の臭気は、自然物(原料木材)由来の臭気と、パルプ製造における添加薬品由来の臭気とが、原因である。
【0003】
特許文献1は、紙と熱可塑性樹脂層とを含む多層構成の包装材料において、紙と最内面樹脂層との間のポリオレフィン系樹脂層に、無機系多孔性活性物質としてMgOとSiO
2
の混合物を含有させた食品容器用包装材料を開示する。特許文献1の食品容器用包装材料では、紙の臭気が食品に移行するのを防止する。
【0004】
特許文献2は、シリカ粒子とマグネシア粒子とが一体複合化したシリカ・マグネシア複合粒子から成り、オレンジII吸着量で表されるアニオン吸着能が18~74mmol/100gのトリゴネリン吸着剤を開示する。
【0005】
特許文献3は、シリカ粒子と酸化マグネシウム粒子とが一体複合化したシリカ・酸化マグネシウム複合粒子を含有する、リグニン及びバニリンの吸着剤を開示する。特許文献3の吸着剤は、パルプ製造におけるピッチコントロール剤として、又は紙に漉き込み若しくは塗布して、用いられる。
【0006】
特許文献1の食品容器用包装材料は、無機系多孔性活性物質としてMgOとSiO
2
の混合物を含有するが、これらを一体複合化した複合粒子を含有しない。即ち特許文献1は、両物質が単に混在するだけで結合の無い混合物を示すが、均質混合、熟成、水分除去及び焼成の過程を経て一体化する複合粒子を示していない。また、特許文献1は、臭気の吸着除去効果を示すが、臭気原因となる具体的成分を特定していなく、また、吸着除去効果を官能テストのみにより判断し、客観的な定量試験の結果を開示しない。
【0007】
特許文献2のトリゴネリン吸着剤は、シリカ・マグネシア複合粒子から成るが、コーヒー豆、一部の魚介類に含まれるトリゴネリンの吸着を唯一の目的とし、紙臭気を吸着するものではない。
【0008】
特許文献3の吸着剤は、シリカ・酸化マグネシウム複合粒子により紙製品特有臭気の問題を解決するものだが、特許文献3は、原料木材由来のリグニン及びバニリンを吸着対象として示し、パルプ製造における添加薬品由来の成分を吸着対象としていない。紙特有の臭気において、自然物由来成分(リグニン及びバニリン)に比べ、添加薬品由来成分は、一般に有毒性及び刺激性が強く、除去の重要度がより高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開平6-340036公報
特開2020-179334公報
特開2023-71002公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明では、2-エチルヘキサノール及びその誘導体を紙特有の臭気成分であると特定し、これら臭気成分を有効に吸着除去できる2-エチルヘキサノール類吸着剤及びその吸着方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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