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公開番号2025006925
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-17
出願番号2023107976
出願日2023-06-30
発明の名称流体デバイス
出願人セイコーエプソン株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類B01J 19/10 20060101AFI20250109BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】流体から微粒子を効率よく回収可能な流体デバイスを提供する。
【解決手段】流体デバイスは、超音波を用いて流体に含まれる微粒子を捕捉するものであり、流体が流れる流路を有する本体と、本体の流路を形成する流路壁に設けられZ方向に超音波を送信して定在波を形成する超音波印加部と、を備え、本体は、超音波素子が配置される部分を捕捉部として、Z方向に直交するX方向に沿って捕捉部内に流体を流入させる流入部と、定在波により捕捉された微粒子を含む濃縮流体が捕捉部から流出する第一流出部と、濃縮流体よりも微粒子の濃度が低い希釈流体が捕捉部から流出する第二流出部と、を有し、流入部は、捕捉部のX方向の負側に設けられ、第一流出部は、捕捉部のX方向の正側に設けられ、第二流出部は、捕捉部のX方向の負側で流入部と異なる位置に設けられている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
超音波を用いて流体に含まれる微粒子を捕捉する流体デバイスであって、
前記流体が流れる流路を有する本体と、
前記本体の前記流路を形成する流路壁に設けられ、第一方向に超音波を送信して、前記流路内に定在波を形成する超音波素子と、を備え、
前記本体は、前記超音波素子が配置される部分を捕捉部として、
前記第一方向に交差する第二方向に沿って前記捕捉部内に前記流体を流入させる流入部と、
前記定在波により捕捉された前記微粒子を含む濃縮流体が前記捕捉部から流出する第一流出部と、
前記濃縮流体よりも前記微粒子の濃度が低い希釈流体が前記捕捉部から流出する第二流出部と、を有し、
前記流入部は、前記捕捉部の前記第二方向の負側に設けられ、
前記第一流出部は、前記捕捉部の前記第二方向の正側に設けられ、
前記第二流出部は、前記捕捉部の前記第二方向の負側で前記流入部と異なる位置に設けられている、流体デバイス。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
前記第一流出部は、前記捕捉部を挟んで前記流入部に対向する位置に設けられている、
請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項3】
前記第一流出部の孔径は、前記流入部の孔径よりも大きい、
請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項4】
前記第二流出部の孔径は、前記流入部の孔径よりも大きい、
請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項5】
第二流出部の孔径は、前記第一流出部の孔径よりも大きい、
請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項6】
前記流入部は、前記捕捉部を前記第二方向に沿って見た場合に、前記捕捉部の中央に設けられている、
請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項7】
前記第二流出部は複数設けられ、前記捕捉部の前記第二方向の負側において、前記流入部に対して対称となる位置に設けられている、
請求項1に記載の流体デバイス。
【請求項8】
前記第二流出部は、前記第一方向に沿って、前記流入部の中心に対して点対称となる位置にそれぞれ設けられている、
請求項7に記載の流体デバイス。
【請求項9】
前記本体の前記流路を形成する前記流路壁に設けられ、前記捕捉部の前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向に沿って超音波を送信し、前記第三方向に沿って定在波を形成する第二超音波素子を備え、
前記第二流出部は、前記捕捉部の前記負側において、前記流入部に対して回転対称となる位置にそれぞれ設けられている、
請求項7に記載の流体デバイス。
【請求項10】
前記超音波素子は、前記第二方向に沿って前記捕捉部を見た場合に、節の位置が前記第一流出部と重なる前記定在波を形成する、
請求項1に記載の流体デバイス。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、流体デバイスに関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、流体中の微粒子を音響集束させる流体デバイスが知られている。例えば、非特許文献1に開示される流体デバイスは、流路内に超音波素子から超音波を送信して定在波を形成させる。これにより、流路を流れる流体に含まれた微粒子が、定在波の圧力勾配によって、定在波の節の位置で捕捉される。捕捉された微粒子は、流路の1つの出口(濃縮流体出口)に流され、希釈された流体がもう1つの出口(希釈流体出口)に流される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
E. Benes、他10名、“ULTRASONIC SEPARATION OF SUSPENDED PARTICLES”、Reprint Proc. of the 2001 IEEE International Ultrasonics Symposium, a Joint Meeting with the World Congress on Ultrasonics, Atlanta, Georgia, USA, Oct. 7-10, 2001、p649-659
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1のような従来の流体デバイスでは、流体デバイスの一方側(-X側)に流体流入口が設けられ、他方側(+X側)に濃縮流体出口及び希釈流体出口の双方が設けられる。この場合、流体流入口から+X側に向かって流体デバイスに流入した流体は、X方向のみならず、X方向に直交するZ方向、つまり、超音波素子で定在波を形成する方向に対しての速度成分が大きくなる。ここで、流体中の微粒子に係る力として、Z方向に対する速度成分による力が、定在波の音響放射力による力よりも大きい場合、定在波の節で捕捉された微粒子数が音響放射力に抗して移動し、希釈流体出口から流出する微粒子数が多くなる。したがって、従来の流体デバイスでは、希釈流体出口にさらに流体デバイスを接続して多段構成とし、微粒子の補足効率を向上させる必要があり、その分、コスト高となったり、装置全体が大型化してしまったりするとの課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一態様の流体デバイスは、超音波を用いて流体に含まれる微粒子を捕捉する流体デバイスであって、前記流体が流れる流路を有する本体と、前記本体の前記流路を形成する流路壁に設けられ、第一方向に超音波を送信して、前記流路内に定在波を形成する超音波素子と、を備え、前記本体は、前記超音波素子が配置される部分を捕捉部として、前記第一方向に交差する第二方向に沿って前記捕捉部内に前記流体を流入させる流入部と、前記定在波により捕捉された前記微粒子を含む濃縮流体が前記捕捉部から流出する第一流出部と、前記濃縮流体よりも前記微粒子の濃度が低い希釈流体が前記捕捉部から流出する第二流出部と、を有し、前記流入部は、前記捕捉部の前記第二方向の負側に設けられ、前記第一流出部は、前記捕捉部の前記第二方向の正側に設けられ、前記第二流出部は、前記捕捉部の前記第二方向の負側で前記流入部と異なる位置に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
第一実施形態の流体デバイス、及び流体デバイスにおける微粒子及び流体の流れを模式的に示した断面図。
第一実施形態の流体デバイスの本体を示す斜視図。
第一実施形態の流体デバイスの本体の三面図。
図3のA-A線で切断した場合の本体の断面図。
第一実施形態の超音波印加部の一例を示す概略断面図。
第一実施形態の流体デバイスを流れる流体の流速及び流れ方向を示す図。
図6のB-B線の各X座標位置での流速Z成分を示す図。
図6のB-B線の各X座標位置での流速X成分を示す図。
比較例の流体デバイスの概略、及び流体の流れを示す図。
第二実施形態の流体デバイスを示す斜視図。
変形例1の流体デバイスの本体を示す斜視図。
変形例1の流体デバイスの本体に流体を流入させた場合の流体の流速及び流れ方向の分布を示す図。
変形例1の流体デバイスの流入部のX方向の延長上における流速Z成分を示す図。
変形例2の流体デバイスの本体を示す斜視図。
変形例2の流体デバイスの本体を示す斜視図。
変形例2の流体デバイスの本体を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第一実施形態]
以下、第一実施形態の流体デバイスについて説明する。
(流体デバイスの構成)
図1は、第一実施形態の流体デバイス10、及び流体デバイス10における微粒子及び流体の流れを模式的に示した断面図である。図2は、流体デバイス10の本体20のみを示した斜視図であり、図3は、当該本体20の三面図(正面図、平面図、側面図)であり、図4は、図3のA-A線で切断した場合の本体20の断面図である。
流体デバイス10は、ブロック状の本体20と、本体20に固定される超音波印加部30(超音波素子)と、本体20に固定される流路壁部40と、を備える。
【0008】
本体20は、図2から図4に示すように、中央部21と、中央部21の一方側に設けられる負側壁部22と、中央部21の他方側に設けられる正側壁部23とを備える。ここで、負側壁部22から正側壁部23に向かう方向をX方向とし、X方向に交差(本例では直交)する方向をZ方向とし、X方向及びZ方向に交差(本例では直交)する方向をY方向とする。また、中央部21をZY平面で切断した場合の中心点(重心点)を通りX方向に平行な軸をX軸とする。なお、Z方向は本開示の第一方向に相当し、X方向は第二方向に相当し、Y方向は第三方向に相当する。
【0009】
本体20の中央部21は、負側壁部22の+X側の面と、正側壁部23の-X側の面とを連結する4本の架橋部211により構成されている。具体的には、負側壁部22及び正側壁部23の互いに対向する面(X軸に直交する面)は略矩形状を有し、これらの矩形角部を架橋するように4つの架橋部211が設けられる。これらの架橋部211と負側壁部22と正側壁部23とにより、中央部21には、Y方向で対向する位置、及び、Z方向に対向する位置のそれぞれに、開口部211Aが形成される。これらの開口部211Aには、それぞれ、超音波印加部30または流路壁部40が配置される。例えば、本実施形態では、中央部21の+Z側に超音波印加部30が配置されて+Z側の開口部211Aを閉塞し、中央部21の-Z側に超音波印加部30に対して平行となる流路壁部40が配置されて-Z側の開口部211Aを閉塞する。また、中央部21の±Y側の開口部211Aのそれぞれに、流路壁部40が配置されて開口部211Aを閉塞する。
【0010】
さらに、本体20の中央部21を挟んで配置される負側壁部22及び正側壁部23は、X軸に直交する壁面を有し、互いに対向する。このため、中央部21は、1つの超音波印加部30と、3つの流路壁部40と、負側壁部22の+X側の壁面と、正側壁部23の-X側の壁面とに囲われることで、YZ平面での断面視が矩形状となる空間が形成される。この空間は流体が導入される流路の一部を構成する捕捉部21Sとなる。詳細は後述するが、超音波印加部30から送信される超音波によって定在波SW(図1参照)が形成されることで、捕捉部21Sを流れる流体中の微粒子が捕捉される。
なお、本実施形態では、本体20の3つの開口部211Aに、本体20とは別部材となる流路壁部40を設ける構成を例示しているが、流路壁部40が本体20に一体構成されていてもよい。すなわち、開口部211Aが形成されず、中央部21に、流路壁部40に相当する壁が架橋部211間に亘って架橋部211に連続して設けられる構成としてもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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