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公開番号2025015714
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2024200285,2023531755
出願日2024-11-18,2022-06-10
発明の名称正浸透膜、及びそれを含む正浸透膜モジュール
出願人旭化成株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類B01D 69/10 20060101AFI20250123BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】支持膜から分離機能層を剥がす方向への圧力に対する物理的耐久性が高く、正浸透膜としての性能が良好である、実用的な正浸透膜を提供すること。
【解決手段】支持膜及び分離機能層から構成される正浸透膜であって、支持膜は、少なくとも多孔質支持体を備え、分離機能層は、多孔質支持体上に設けられており、多孔質支持体は、分離機能層に接する面から深さ方向に、緻密層及びマクロボイド層をこの順に備え、緻密層の厚みが1.0~9.5μmであり、マクロボイドが、分離機能層と多孔質支持体との界面から0~5.0μmの深さまでの領域Aに0~0.20個/μm存在し、かつ、分離機能層と多孔質支持体との界面から5.0~10.0μmの深さまでの領域Bに0.04~0.40個/μm存在する、正浸透膜。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
支持膜及び分離機能層から構成される正浸透膜であって、
前記支持膜は、少なくとも多孔質支持体を備え、
前記分離機能層は、前記多孔質支持体上に設けられており、
前記多孔質支持体は、前記分離機能層に接する面から深さ方向に、緻密層及びマクロボイド層をこの順に備え、
前記マクロボイド層は、孔の長径が1.0μm以上であるマクロボイドを有する層であり、
前記緻密層は、前記マクロボイドを有さない層であり、
前記緻密層の厚みが1.0~9.5μmであり、
前記マクロボイドが、
前記分離機能層と前記多孔質支持体との界面から0~5.0μmの深さまでの領域Aに0~0.20個/μm存在し、かつ、
前記分離機能層と前記多孔質支持体との界面から5.0~10.0μmの深さまでの領域Bに0.04~0.40個/μm存在する、
正浸透膜。
続きを表示(約 570 文字)【請求項2】
前記マクロボイドが、前記領域Aに0~0.16個/μm存在する、請求項1に記載の正浸透膜。
【請求項3】
前記マクロボイドが、前記領域Bに0.06~0.30個/μm存在する、請求項1に記載の正浸透膜。
【請求項4】
前記マクロボイドが、前記領域Aに0~0.12個/μm存在する、請求項2に記載の正浸透膜。
【請求項5】
前記マクロボイドが、前記領域Bに0.08~0.20個/μm存在する、請求項3に記載の正浸透膜。
【請求項6】
前記領域Bの前記マクロボイドの存在数が、前記領域Aの前記マクロボイドの存在数以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の正浸透膜。
【請求項7】
前記正浸透膜の支持膜が前記多孔質支持体のみからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の正浸透膜。
【請求項8】
前記緻密層の厚みが8.0μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の正浸透膜。
【請求項9】
前記緻密層の厚みが1.5~6.0μmである、請求項8に記載の正浸透膜。
【請求項10】
前記支持膜が中空糸支持膜である、請求項1~5のいずれか一項に記載の正浸透膜。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、正浸透膜、及びそれを含む正浸透膜モジュールに関する。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
液状混合物の選択分離技術の中でも、膜分離技術は、海水淡水化、超純水製造、廃水処理、食品工業等、幅広い分野に利用されている。膜分離技術で使用される膜として、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等がよく知られている。しかしながら、近年、正浸透膜を用いる正浸透法が注目を集めている。
正浸透膜は、少なくとも分離機能層を有し、逆浸透膜では達成できない高濃度の濃縮を達成できる。
正浸透法では、原料液、及びこれよりも浸透圧の高い誘導溶液を、正浸透膜を介して接触させたときに、分離機能層の両面に生じる浸透圧差を駆動力として、原料液から誘導溶液へ、溶媒(例えば水)が移動する。
【0003】
一般に、分離機能層は薄膜であることが多い。そのため、分離機能層を物理的に支持するために、多孔質支持体、不織布等の支持膜を用い、この支持膜と分離機能層とを組み合わせて構成される複合半透膜を、正浸透膜として用いることが多い。
正浸透法においては、膜の両側に溶液が配置される。そのため、支持膜から分離機能層を剥がす方向に圧力が生じる場合がある。複合半透膜の物理的耐久性が低い場合は、そのような圧力によって、支持膜から分離機能層が剥離し、又は分離機能層が破れ、膜性能が損なわれることがある。
【0004】
このような中、特許文献1には、支持膜と、分離機能層とを有する複合正浸透膜において、支持膜が特定の官能基を有する高分子を含み、支持膜の膜厚及び圧縮強度を特定の範囲内に設定された複合正浸透膜が開示されておりこの複合正浸透膜は、支持膜と分離機能層との剥離が抑制されたものであると説明されている。
特許文献2には、基材と、多孔質支持体と、分離機能層とを備える複合半透膜において、多孔質支持体が基材側に緻密層を有し、緻密層の厚み、及び基材と緻密層との間に存在するマクロボイド数を特定の範囲内とした複合半透膜が開示されており、この複合半透膜は、高圧を印加して運転したときでも透水性を維持することができると説明されている。
【0005】
特許文献3には、長繊維不織布からなる基材上に、分離機能を有する膜が形成されて成る分離膜が開示されている。特許文献3では、基材と分離膜との界面のマクロボイドの割合が特定範囲内であることにより、使用中の圧力変動等により分離膜が基材から剥離することを抑制できると説明されている。
特許文献4には、ポリスルホン膜上に分離機能層が設けられた複合膜において、表面から深さ1μmまでの範囲の層の平均細孔径と、平均空隙率と、メタフェニレンジアミン拡散量とが特定範囲内である、複合膜が開示されており、この複合膜は、経済的な負担及び廃液処理への負荷を軽減しつつ、高い塩阻止率を維持し、高い水透過性能を併せ有すると説明されている。
特許文献5には、ポリエステル不織布等から成る基材上に、特定のセルロース骨格を含む高分子を含む支持層、及びポリアミド等から成るポリマーマトリックス層を備える分離膜が開示されており、この分離膜は、高強度、高気孔率、及び高親水化度を有しつつ、脱塩性に優れると説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2020/059769号
特開2018-039003号公報
特開2019-093366号公報
特開2011-194272号公報
特開2013-022588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の複合正浸透膜は、支持膜から分離機能層の剥離に対する物理的耐久性、及び正浸透膜としての膜性能が十分とはいえず、改良の余地がある。
特許文献2の複合半透膜は、分離機能層側を正とした高圧を付加して、液状混合物を選択分離する逆浸透法に適した膜であり、高圧付加運転時に多孔質支持体中のマクロボイドが潰れ難いために、逆浸透法における透水性が維持されるものである。特許文献3の分離膜は、基材である不織布と、高分子重合体からなる多孔性支持体との剥離強度が向上されたものである。特許文献4の複合膜は、膜の製造後に、新たな薬剤を添加しなくても、逆浸透膜としての性能が向上されたものである。
更に、特許文献2~5では、開示された膜における、支持膜と分離機能層との剥離に対する物理的耐久性は検討されていない。また、特許文献2~4では、正浸透膜としての実用性も検証されていない。
【0008】
本発明の目的は、支持膜から分離機能層を剥がす方向への圧力に対する物理的耐久性が高く、正浸透膜としての性能が良好である、実用的な正浸透膜と、及びそれを含む正浸透膜モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明を実施する形態の一例は、以下に示すとおりである。
《態様1》支持膜及び分離機能層から構成される正浸透膜であって、
前記支持膜は、少なくとも多孔質支持体を備え、
前記分離機能層は、前記多孔質支持体上に設けられており、
前記多孔質支持体は、前記分離機能層に接する面から深さ方向に、緻密層及びマクロボイド層をこの順に備え、
前記マクロボイド層は、孔の長径が1.0μm以上であるマクロボイドを有する層であり、
前記緻密層は、前記マクロボイドを有さない層であり、
前記緻密層の厚みが1.0~9.5μmであり、
前記マクロボイドが、
前記分離機能層と前記多孔質支持体との界面から0~5.0μmの深さまでの領域Aに0~0.20個/μm存在し、かつ、
前記分離機能層と前記多孔質支持体との界面から5.0~10.0μmの深さまでの領域Bに0.04~0.40個/μm存在する、
正浸透膜。
《態様2》前記マクロボイドが、前記領域Aに0~0.16個/μm存在する、態様1に記載の正浸透膜。
《態様3》前記マクロボイドが、前記領域Bに0.06~0.30個/μm存在する、態様1又は2に記載の正浸透膜。
《態様4》前記マクロボイドが、前記領域Aに0~0.12個/μm存在する、態様1~3のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様5》前記マクロボイドが、前記領域Bに0.08~0.20個/μm存在する、態様1~4のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様6》前記領域Bの前記マクロボイドの存在数が、前記領域Aの前記マクロボイドの存在数以上である、態様1~5のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様7》前記正浸透膜の支持膜が、前記多孔質支持体のみからなる、態様1~6のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様8》前記緻密層の厚みが8.0μm以下である、態様1~7のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様9》前記緻密層の厚みが1.5~6.0μmである、態様1~8のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様10》前記支持膜が中空糸支持膜である、態様1~9のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様11》前記中空糸支持膜が、前記緻密層を少なくとも中空糸の内表面に有する、態様10に記載の正浸透膜。
《態様12》前記正浸透膜における、分離機能層の平均厚みの変動係数が60%以下である、態様1~11のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様13》前記正浸透膜における、分離機能層の平均厚みの変動係数が30%以下である、態様1~12のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様14》前記多孔質支持体が、ポリスルホン及びポリエーテルスルホン、並びにこれらの誘導体から選択される1種類又は2種類以上を含む、態様1~13のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様15》前記多孔質支持体が、ポリスルホンを含む、態様1~14のいずれか一項に記載の正浸透膜。
《態様16》ハウジングに、態様1~15のいずれか一項に記載の正浸透膜が収納されて成る、正浸透膜モジュール。
《態様17》少なくとも多孔質支持体を備える中空糸膜であって、
前記多孔質支持体は、外側表面又は内側表面から膜壁の厚み方向に、緻密層及びマクロボイド層をこの順に備え、
前記マクロボイド層は、孔の長径が1.0μm以上であるマクロボイドを有する層であり、
前記緻密層は、前記マクロボイドを有さない層であり、
前記緻密層の厚みが1.0~9.5μmであり、
前記マクロボイドが、
前記多孔質支持体の前記外側表面又は内側表面から0~5.0μmの深さまでの領域Aに0~0.20個/μm存在し、かつ、
前記多孔質支持体の前記外側表面又は内側表面から5.0~10.0μmの深さまでの領域Bに0.04~0.40個/μm存在する、
中空糸膜。
《態様18》前記マクロボイドが、前記領域Aに0~0.16個/μm存在する、態様17に記載の中空糸膜。
《態様19》前記マクロボイドが、前記領域Bに0.06~0.30個/μm存在する、態様17又は18に記載の中空糸膜。
《態様20》s前記マクロボイドが、前記領域Aに0~0.12個/μm存在する、態様17~19のいずれか一項に記載の中空糸膜。
《態様21》前記領域Bの前記マクロボイドの存在数が、前記領域Aの前記マクロボイドの存在数以上である、態様17~20のいずれか一項に記載の中空糸膜。
《態様22》前記中空糸膜が前記多孔質支持体のみからなる、態様17~21のいずれか一項に記載の中空糸膜。
《態様23》前記緻密層の厚みが8.0μm以下である、態様17~22のいずれか一項に記載の中空糸膜。
《態様24》前記緻密層の厚みが1.5~6.0μmである、態様17~23のいずれか一項に記載の中空糸膜。
《態様25》前記中空糸膜が、前記緻密層を少なくとも中空糸の内表面に有する、態様17~24のいずれか一項に記載の中空糸膜。
《態様26》前記多孔質支持体が、ポリスルホン及びポリエーテルスルホン、並びにこれらの誘導体から選択される1種類又は2種類以上を含む、態様17~25のいずれか一項に記載の中空糸膜。
《態様27》前記多孔質支持体がポリスルホンを含む、態様17~26のいずれか一項に記載の中空糸膜。
《態様28》前記中空糸膜が、正浸透膜の支持膜として用いられる、態様17~27のいずれか一項に記載の中空糸膜。
《態様29》ハウジングに、態様17~28のいずれか一項に記載の中空糸膜が収納されて成る、中空糸膜モジュール。
《態様30》二重管状ノズルの外側流路から樹脂と溶剤を含有する紡糸原液を、前記二重管状ノズルの内側流路から内部凝固液を、それぞれ吐出させること;
前記二重管状ノズルの外側流路から吐出された前記紡糸原液を、空走部分を介して外部凝固液中に浸漬させて凝固させること;及び
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る正浸透膜は、支持膜から分離機能層を剥がす方向への物理的耐久性と、正浸透膜としての良好な性能とを兼ね備えたものであり得る。
本発明の別の一態様に係る中空糸膜は、正浸透膜の支持膜として好適に用いることができるだけではなく、単体でも一定の透水性能と耐圧性とを発揮しうる分離膜であり得る。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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