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公開番号
2025012327
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-24
出願番号
2023115081
出願日
2023-07-13
発明の名称
中空糸膜モジュール
出願人
旭化成メディカル株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
B01D
63/02 20060101AFI20250117BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】ユーザーサイドにおける液体分離器の滅菌作業を不要として利便性を向上させることができる中空糸膜モジュールを提供する。
【解決手段】少なくとも2つのポートを有するハウジングと、ハウジング内に配置された中空糸膜と、ポートに取り付けられ、ハウジングと液体流通ラインとを接続する滅菌作業を不要とした無菌コネクターであって、少なくとも2つ以上の無菌コネクターと、を備える中空糸膜モジュールであって、中空糸膜の孔がアルコール水溶液からなる膜孔保持剤で保持された状態で、且つ、ポートと無菌コネクターとが一体化又は接続した密閉状態で滅菌されており、アルコール水溶液中のアルコール濃度が8重量%以上20重量%以下である、中空糸膜モジュール。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも2つのポートを有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置された中空糸膜と、
前記ハウジングの前記ポートに取り付けられ、前記ハウジングと液体流通ラインとを接続する滅菌作業を不要とした無菌コネクターであって、少なくとも2つ以上の無菌コネクターと、
を備え、
前記中空糸膜の孔がアルコール水溶液からなる膜孔保持剤で保持された状態で、且つ前記ポートと前記無菌コネクターとが一体化又は接続した密閉状態で滅菌されており、
前記アルコール水溶液中のアルコール濃度が8重量%以上20重量%以下である、
中空糸膜モジュール。
続きを表示(約 630 文字)
【請求項2】
前記中空糸膜が、孔径が0.05μm以上2μm以下の精密濾過膜である、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項3】
前記中空糸膜が、孔径が0.3μm以上1μm以下の精密濾過膜である、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項4】
前記中空糸膜が、ポリフッ化ビニリデン系ポリマー又はポリスルホン系ポリマーからなる、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項5】
前記アルコールがエタノールである、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項6】
滅菌後の前記膜孔保持剤のpHが中性である、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項7】
前記無菌コネクターが無菌接続カップリング可能コネクターである、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項8】
前記ポートと接続される前記無菌コネクターとの距離が0mm以上100mm以下である、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項9】
前記ポートと一体化又は接続される前記無菌コネクターが少なくとも2種類以上である、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項10】
前記ハウジング、前記ポート、前記中空糸膜、及び前記無菌コネクターが、耐滅菌性及び耐アルコール性を有する、請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸膜モジュールに関する。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、選択的な透過性を有する膜を利用する技術がめざましく進歩し、これまでに気体や液体の分離フィルター、医療分野における血液透析器、血液濾過器、血液成分選択分離フィルター等の広範な分野での実用化が進んでいる。
【0003】
該膜の材料としては、セルロース系(再生セルロース系、酢酸セルロース系、化学変性セルロース系等)、ポリアクリロニトリル系、ポリメチルメタクリレート系、ポリスルホン系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリエチレンビニルアルコール系、ポリアミド系等のポリマーが用いられてきた。
【0004】
これらのうちポリスルホン系ポリマーは、その熱安定性、耐酸、耐アルカリ性に加え、製膜原液に親水化剤を添加して製膜することにより、血液適合性が向上することから、半透膜素材として注目され研究が進められてきた。
【0005】
一方、膜を接着して医薬品を製造するモジュールを作製するためには膜を滅菌させる必要があるが、有機高分子よりなる多孔膜、なかでもポリスルホン系及びポリフッ化ビニリデン系等の疎水性ポリマーからなる中空糸膜は、放射線滅菌させると膜構造の変化により滅菌前に比べ透水量が低下することが知られている。そのため、膜は常に湿潤状態か、水に浸漬させた状態で取り扱う必要があった。
【0006】
この対策として従来からとられてきた方法は、滅菌前の中空糸膜の空孔部分にグリセリン等の低揮発性有機液体を詰めておくことであった(例えば特許文献1参照)。しかしながら、低揮発性有機液体は、一般に高粘度なため、洗浄除去に時間がかかり、中空糸膜モジュールを滅菌後にユーザーサイドで洗浄しても微量ではあるが低揮発性有機液体由来の溶出物等(低揮発性有機液体と化学反応して生成した様々な誘導体)がモジュール封入液中にみられるという問題があった。
【0007】
さらに、滅菌前に膜を常に湿潤状態か、水に浸漬或いはグリセリン等の低揮発性有機液体を多孔膜中の空孔部分に詰めた状態で取り扱うと、滅菌までの間に菌が繁殖するため、静菌性が好ましくなかった。
【0008】
低揮発性有機液体を用いずに防菌性能(静菌性)を発揮させる方法として、特許文献2には、低揮発性有機液体の代わりに塩化カルシウム等の無機塩からなる水溶液を用いた方法が示されているが、水溶液を洗浄除去する必要は依然としてある。また、微量であるとしても残存した無機塩が医薬品を製造に与える悪影響が危惧される。
【0009】
一方、血液製剤からウイルスを除去するウイルス除去器や、透析時等に血液から不要物を除去する血液浄化器等には、従来、血液製剤等の液体を通過させて当該液体から所定の物を分離する液体分離器が用いられている。液体分離器は、例えばハウジングの内部に中空糸が設けられ、ハウジングに形成された一次側のポート(通液口)から液体を流入させ、当該中空糸によって特定物を分離し、当該液体を二次側のポートから流出させている。
【0010】
一般に、上述のような液体分離器(中空糸膜モジュール)は、各ポートに例えばコネクターやバルーン等が取り付けられた状態で滅菌処理された後、キットとして出荷、搬送等されている。滅菌処理は、例えばハウジング内に水を充填し、各ポートを閉鎖した状態で液体分離器を滅菌袋に入れて高温、高圧下に所定時間さらす高圧蒸気滅菌により行われる(例えば特許文献3参照)。水を充填し、各ポートを閉鎖した状態(ただし、バルーン等により、圧力変化を吸収したりガス透過を許容したりできる状態)で湿熱滅菌を行うのは、滅菌処理によるハウジング内の乾燥を防止し無菌状態を維持するためであり、また液体分離器の使用時まで中空糸の濡れ性を維持して、使用開始時から中空糸の分離性能を十分に発揮させるためである。高圧蒸気滅菌は放射線滅菌と比較して中空糸膜モジュールの大量生産に不向きであり、特に3.5m
2
以上の大膜面積からなる大型中空糸膜モジュールを生産するには対応する高圧蒸気滅菌処理設備が無いことから好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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