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公開番号2025025285
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-21
出願番号2023129923
出願日2023-08-09
発明の名称正浸透膜の製造方法
出願人国立大学法人 長崎大学
代理人個人,個人
主分類B01D 71/56 20060101AFI20250214BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】支持体自体を薄膜化してもその強度を保つことができる上、薄膜化することによって十分な透水性を確保しつつ、低い塩透過率を達成する。
【解決手段】10~50μkmの膜厚であって、垂直孔径が0.05~1.0μmのトラックエッチド膜を多孔質支持体として使用すると共に、トラックエッチド膜の表面に極薄膜の複合ポリアミド層をスキン層として製膜するに当たり、第1の溶液として、所定濃度に調製された芳香族多官能アミン溶液を用意すると共に、第2の溶液として所定濃度に調製された芳香族多官能酸ハライド溶液を用意し、トラックエッチド膜の表面に第1の溶液を流下して薄膜化された溶液層を形成しながら余分な溶液を取り去り、しかる後第2の溶液を流し込んで、第1の溶液による溶液層との界面での重合反応により、縮重合化した極薄膜状の複合ポリアミド層を製膜する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
10~50μmの膜厚であって、孔径が0.05~1.0μmのトラックエッチド膜を多孔質支持体として使用すると共に、上記トラックエッチド膜の表面に極薄膜の複合ポリアミド層をスキン層として製膜するに当たり、
第1の溶液として所定濃度に調製された芳香族多官能アミン溶液を用意すると共に、第2の溶液として所定濃度に調製された芳香族多官能酸ハライド溶液を用意し、
上記トラックエッチド膜の表面に上記第1の溶液を流下して薄膜化された塗布層を形成しながら余分な溶液を上記塗布層の表面から流し去り、しかる後上記第2の溶液を上記塗布層の面上に流し込んで、上記塗布層の界面における上記第2の溶液との重合反応によって縮重合化した極薄膜状の複合ポリアミド層を製膜する
ことを特徴とする正浸透膜の製膜方法。
続きを表示(約 260 文字)【請求項2】
正浸透膜の製膜方法において使用される上記第1の溶液は、芳香族多官能アミンのうちm-フェニレンジアミンが、純水100mL中、0.5~1.5重量%混合されたものである
ことを特徴とする請求項1記載の正浸透膜の製膜方法。
【請求項3】
正浸透膜の製膜方法において使用される上記第2の溶液は、芳香族多官能酸ハライドのうち1,3,5-ベンゼントリカルボン酸クロライドが、ヘキサン100mL中、0.1~0.2重量%含まれたものである
ことを特徴とする請求項1記載の正浸透膜の製膜方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、正浸透膜の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
超純水製造、海水淡水化、かん水の脱塩処理、排水の再利用処理などに用いる複合半透膜として、従来からポリサルフォン製の多孔質膜上にポリアミド層を形成した複合半透膜や、酢酸セルロース膜が知られている(特許文献1、特許文献2)。
近年発表されている特許文献1や特許文献2において報告されている複合半透膜の一例としては、支持体とその上に製膜されたスキン層からなる2層構造の複合半透膜であって、多孔質膜としてエポキシ樹脂が、スキン層としてポリアミド樹脂が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2013-13888号公報
特開2015-85234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1や特許文献2には、膜厚が10~250μmに選定された多孔質のエポキシ樹脂をその支持体(支持膜)として使用することが開示されている。機械的な強度をスポンジ状の材料に持たせるためには、ある程度の厚みが必要になり、膜厚の下限値を10μmのように極薄膜化すると強度面で不十分となるおそれがある。
実際に市販されているものは110~150μm程度の膜厚しか市場に出回っていない。この現実を直視するならば例えエポキシ樹脂を用いても、その膜厚値は100μm程度が限界であると考えられる。
エポキシ樹脂の膜厚値を100μm程度に製膜しても今度は透水率が問題となる。膜厚が100~150μm程度あると、水分子の輸送にとっては大きな負荷となるため透水率が悪くなるということが知られている。100μm程度の膜厚であっても透水性が劣ったままであるので、水分子を分離するような液体分離装置用としては最適な半透膜材料とは言い難い。
そこでこの発明はこのような従来の問題点を解決したものであって、水分子の透過流束を上げるため、支持体の膜厚を極力薄膜化すると共に、不純物を有効に除去できる正浸透膜の製造方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載したこの発明に係る正浸透膜の製膜方法は、10~50μmの膜厚であって、孔径が0.05~1.0μmのトラックエッチド膜を多孔質支持体として使用すると共に、上記トラックエッチド膜の表面に極薄膜の複合ポリアミド層をスキン層として製膜するに当たり、
第1の溶液として所定濃度に調製された芳香族多官能アミン溶液を用意すると共に、第2の溶液として所定濃度に調製された芳香族多官能酸ハライド溶液を用意し、
上記トラックエッチド膜の表面に上記第1の溶液を流下して薄膜化された塗布層を形成しながら余分な溶液を上記塗布層の表面から流し去り、しかる後上記第2の溶液を上記塗布層の面上に流し込んで、上記塗布層の界面における上記第2の溶液との重合反応によって縮重合化した極薄膜状の複合ポリアミド層を製膜することを特徴とする。
余分な第1の溶液をその塗布層の表面から流し去るにあたっては、第1の溶液の塗布層に触れることなく余分な溶液を取り除くようにすることで、塗布層を傷つけることなく作製することができる。
請求項2に記載のこの発明に係る正浸透膜の製膜方法において、使用される上記第1の溶液は、芳香族多官能アミンのうちm-フェニレンジアミンが、純水100mL中、0.5~1.5重量%(wt%)混合されたものであることを特徴とする。
請求項3に記載のこの発明に係る正浸透膜の製膜方法において、使用される上記第2の溶液は、芳香族多官能酸ハライドのうち1,3,5-ベンゼントリカルボン酸クロライドが、ヘキサン100mL中、0.1~0.2重量%含まれたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、膜厚が10~50μm程度で、貫通孔の孔径が0.05~1.0μmのトラックエッチド膜をスキン層の支持体として使用すると共に、このトラックエッチド膜の表面にスキン層として0.1~0.2μmの複合ポリアミド層を製膜することで、支持体自体を薄膜化してもその強度を保つことができる上、薄膜化することによって十分な透水性を確保でき、さらに低い塩透過率を達成できる。その製膜も比較的簡単な製膜工程である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
この発明によって平膜状に作製された正浸透膜の要部拡大断面図である。
この発明による製膜方法の説明に供する工程の模式図を示す第1の工程図である。
この発明による製膜方法の説明に供する工程の模式図を示す第2の工程図である。
この発明による製膜方法の説明に供する工程の模式図を示す第3の工程図である。
この発明による製膜方法の説明に供する工程の模式図を示す第4の工程図である。
この発明による正浸透膜の断面を示す顕微鏡写真(図面代用写真)である。
図6の中央部における一部拡大した顕微鏡写真(図面代用写真)である。
図7のさらに一部を拡大した顕微鏡写真(図面代用写真)である。
評価実験に使用した評価モデルの一例を示す概略図である。
そのときの特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
続いて、この発明に係る正浸透膜の製膜方法を実施例に基づいて説明する。
【0009】
[正浸透膜の構造]
図1はこの発明によって製造された正浸透膜10の簡易構成を示す要部の拡大断面図である。正浸透膜10の形状は説明の便宜上平膜として説明ずる。
正浸透膜10は多孔質の支持体12としてトラックエッチド膜(TE膜)を使用し、その一面(表面)にスキン層14として複合ポリアミド層を製膜したものである。トラックエッチド膜は多数の貫通孔16が垂直孔として形成されたものであり、その膜厚は10~50μmの範囲内で選択することが可能で、透水性と塩透過率との観点から10~25μm程度の厚みが好ましい。実施例では25μmの膜厚を採用した。
トラックエッチド膜は従来から使用されているエポキシ樹脂膜よりも強度の面で優れており、10μm程度の膜厚でもある程度の耐圧を維持できる。孔径は0.05~1.0μm就中0.1~0.2μmが好ましい。薄膜化するのは透過水の透過流束を上げるためであり、貫通孔の径径を0.1~0.2μmとするのは水分子を選択的に透過させるためである。
【0010】
支持体12として使用するトラックエッチド膜は、以下のような工程を経て作製されたものを使用することができる。
素材はポリカーボネート樹脂で、厚みが25μmのポリカーボネートフィルムに放射線を照射して多数のトラックを形成した後、エッチング処理することで、膜厚が非常に薄く、孔径が0.2μm以下で、垂直に貫通した均一な貫通孔(垂直孔)を形成できる。
(【0011】以降は省略されています)

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