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公開番号2025040183
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-24
出願番号2023146934
出願日2023-09-11
発明の名称凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別する方法およびキット
出願人国立大学法人 長崎大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12Q 1/04 20060101AFI20250314BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別する方法およびキットを提供する。
【解決手段】
凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別する方法であって、前記凍結融解胚移植は、(1)ヒト受精卵またはヒト受精胚を胚盤胞まで培養する工程、(2)胚盤胞期の胚を凍結する工程、(3)凍結胚を融解し培養液中で再拡張させる工程、および(4)再拡張した胚を子宮内に移植する工程を含み、(A)工程(1)においてヒト受精卵またはヒト受精胚を培養した培養液中のmiR-517a、miR-517c、miR-518b、およびmiR-433からなる群より選択される少なくとも1種のマイクロRNAのコピー数を測定し、コピー数が少ない胚を選別すること、(B)工程(3)において複数の凍結胚を融解して培養液中で再拡張させ、培養液中のmiR-517a、miR-517c、miR-518b、およびmiR-433からなる群より選択される少なくとも1種のマイクロRNAのコピー数を測定し、コピー数が少ない胚を選別すること、または(C)前記(A)および(B)を行い、(B)において選別された胚を選別することを特徴とする方法、ならびに凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別するためのキットであって、測定対象マイクロRNAを特異的に増幅するためのプライマーおよび/または測定対象マイクロRNAに特異的にハイブリダイズするプローブを含む、キット。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別する方法であって、
前記凍結融解胚移植は、(1)ヒト受精卵またはヒト受精胚を胚盤胞まで培養する工程、(2)胚盤胞期の胚を凍結する工程、(3)凍結胚を融解し培養液中で再拡張させる工程、および(4)再拡張した胚を子宮内に移植する工程を含み、以下の(A)~(C)のいずれかを特徴とする、方法:
(A)工程(1)においてヒト受精卵またはヒト受精胚を培養した培養液中のmiR-517a、miR-517c、miR-518b、およびmiR-433からなる群より選択される少なくとも1種のマイクロRNAのコピー数を測定し、コピー数が少ない胚を選別すること、
(B)工程(3)において複数の凍結胚を融解して培養液中で再拡張させ、培養液中のmiR-517a、miR-517c、miR-518b、およびmiR-433からなる群より選択される少なくとも1種のマイクロRNAのコピー数を測定し、コピー数が少ない胚を選別すること、または
(C)前記(A)および(B)を行い、(B)において選別された胚を選別すること。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
前記マイクロRNAが、miR-517aまたはmiR-517cである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(A)が、工程(1)において胚の形態学的評価を行うことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(B)が、工程(3)において胚の形態学的評価を行うことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記胚の形態学的評価が、ガードナー分類による評価である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別するためのキットであって、測定対象マイクロRNAを特異的に増幅するためのプライマーおよび/または測定対象マイクロRNAに特異的にハイブリダイズするプローブを含む、キット。
【請求項7】
前記測定対象マイクロRNAが、miR-517a、miR-517c、miR-518b、およびmiR-433からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6に記載のキット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別する方法およびキットに関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
昨今の晩婚化や生殖補助医療における保険適用拡大に伴い、生殖補助医療のニーズは高まってきている。日本産科婦人科学会が2020年に発表した、体外受精および胚移植等の臨床実施成績によると、年々生殖補助医療による出生児の数は増加しており、2020年時点でその数は6万人に至っている。また、同発表中の「年齢別における生殖補助医療での妊娠率・生産率・流産率の推移」には、患者年齢が35歳を超えると妊娠率および生産率が一気に下がり、流産率が上昇することが報告されている。妊娠率や生産率の向上のためには、より良好な受精胚を選択し、胚移植することが望ましい。現在、良好胚の選択基準として、4細胞期もしくは8細胞期(受精後2-4日後)ではビーク(Veeck)分類、胚盤胞期(受精後5-6日後)ではガードナー(Gardner)分類を用いた形態学的分類が採用されている。
【0003】
Akamineら(2018)は、形態学的に良好とされる受精胚を胚移植した群と形態学的に不良とされる受精胚を胚移植した群とを比べると、形態学的良好胚を胚移植した群の方が不良胚移植群よりも妊娠率および生児獲得率が良いが、生児獲得した症例において妊娠転帰と新生児予後を比較すると、両群間で有意差は認められないことを報告した(非特許文献1)。形態学的に不良とされる受精胚でも、良好胚には劣るものの妊娠および生児獲得に至る症例もあるため、より客観的に受精胚の機能を評価できる分子マーカーの同定が求められている。
【0004】
受精胚の機能評価法としては、着床前遺伝子検査(Preimplantation genetic testing)が行われている。特に、受精胚の染色体の異数性に関する検査であるPGT-A(Preimplantation genetic testing for aneuploidy)は、日本では日本産婦人科学会の登録施設による施行が義務付けられており、その適応も反復体外受精・胚移植不成功例や習慣流産例、染色体構造異常例などに限られている。PGT-Aは、受精胚へのダメージを軽減するために栄養膜細胞を5-10細胞程度採取し、染色体数が正常な受精胚を選択することで流産率を減少させることができるメリットがあるが、検査による受精胚へのダメージと流産率の増加や妊娠率の低下を関連付けた報告はなく、現状安全面におけるエビデンスはない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Akamine K, Mekaru K, Gibo K, Nagata C, Oishi S, Miyagi M, Heshiki C, Kinjo T, Masamoto H, Aoki Y, Reprod. Med. Biol. (2018) 17(2), 188-194.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、凍結融解胚移植において、分子マーカーを指標として、非侵襲的に着床率の高いヒト受精胚を選別する方法およびキットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別する方法であって、前記凍結融解胚移植は、(1)ヒト受精卵またはヒト受精胚を胚盤胞まで培養する工程、(2)胚盤胞期の胚を凍結する工程、(3)凍結胚を融解し培養液中で再拡張させる工程、および(4)再拡張した胚を子宮内に移植する工程を含み、以下の(A)~(C)のいずれかを特徴とする、方法:(A)工程(1)においてヒト受精卵またはヒト受精胚を培養した培養液中のmiR-517a、miR-517c、miR-518b、およびmiR-433からなる群より選択される少なくとも1種のマイクロRNAのコピー数を測定し、コピー数が少ない胚を選別すること、(B)工程(3)において複数の凍結胚を融解して培養液中で再拡張させ、培養液中のmiR-517a、miR-517c、miR-518b、およびmiR-433からなる群より選択される少なくとも1種のマイクロRNAのコピー数を測定し、コピー数が少ない胚を選別すること、または(C)前記(A)および(B)を行い、(B)において選別された胚を選別すること。
[2]前記マイクロRNAが、miR-517aまたはmiR-517cである、項目[1]に記載の方法。
[3]前記(A)が、工程(1)において胚の形態学的評価を行うことをさらに含む、項目[1]に記載の方法。
[4]前記(B)が、工程(3)において胚の形態学的評価を行うことをさらに含む、項目[1]に記載の方法。
[5]前記胚の形態学的評価が、ガードナー分類による評価である、項目[3]または[4]に記載の方法。
[6]凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別するためのキットであって、測定対象マイクロRNAを特異的に増幅するためのプライマーおよび/または測定対象マイクロRNAに特異的にハイブリダイズするプローブを含む、キット。
[7]前記測定対象マイクロRNAが、miR-517a、miR-517c、miR-518b、およびmiR-433からなる群より選択される少なくとも1種である、項目[6]に記載のキット。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、凍結融解胚移植において、分子マーカーを指標として、非侵襲的かつ従来の形態学的評価よりも高い精度で着床率の高いヒト受精胚を選別する方法およびキットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
全凍結胚について胚移植当日の再拡張時の胚培養液中のC19MC領域miRNAのコピー数を定量した結果を示す図である。
全凍結胚について胚移植当日の再拡張時の胚培養液中のC14MC領域miRNAのコピー数を定量した結果を示す図である。
図1に示したC19MC領域miRNAのコピー数または図2に示したC14MC領域miRNAのコピー数と妊娠転帰の感度および特異度をプロットしたROC曲線を示す図である。
良好胚に分類された胚について胚移植当日の再拡張時の胚培養液中のC19MC領域miRNAのコピー数を定量した結果を示す図である。
良好胚に分類された胚について胚移植当日の再拡張時の胚培養液中のC14MC領域miRNAのコピー数を定量した結果を示す図である。
良好胚のうちガードナー分類でTEのグレードがAであった胚について胚移植当日の再拡張時の胚培養液中のC19MC領域miRNAのコピー数を定量した結果を示す図である。
良好胚のうちガードナー分類でTEのグレードがAであった胚について胚移植当日の再拡張時の胚培養液中のC14MC領域miRNAのコピー数を定量した結果を示す図である。
良好胚のうちガードナー分類でTEのグレードがBであった胚について胚移植当日の再拡張時の胚培養液中のC19MC領域miRNAのコピー数を定量した結果を示す図である。
良好胚のうちガードナー分類でTEのグレードがBであった胚について胚移植当日の再拡張時の胚培養液中のC14MC領域miRNAのコピー数を定量した結果を示す図である。
4回の胚移植を実施した患者において、胚培養液中のC19MC領域miRNAおよびC14MC領域miRNAのコピー数と形態学的評価ならびに妊娠転帰を解析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別する方法〕
本発明は、凍結融解胚移植において着床率の高いヒト受精胚を選別する方法を提供する(以下、「本発明の方法」と記す)。本発明の方法は、凍結融解胚移植の過程で得られる受精胚を培養した培養液中の特定のマイクロRNA(以下、「miRNA」と記す)のコピー数が少ないことを指標に着床率の高いヒト受精胚を選別することを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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