TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025012066
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023114605
出願日2023-07-12
発明の名称ヨウ化水素酸製造用電気透析膜、バイポーラ膜電気透析装置、およびヨウ化水素酸の製造方法
出願人株式会社合同資源,株式会社アストム
代理人個人,個人,個人
主分類B01D 61/46 20060101AFI20250117BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】継続して安定して使用可能なヨウ化水素酸製造用電気透析膜を提供する。
【解決手段】本発明のヨウ化水素酸製造用電気透析膜は、ヨウ化水素酸を製造する電気透析装置に用いられるカチオン交換膜からなる、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜であって、カチオン交換膜は、高空隙基材と、記高空隙基材の空隙部に充填されたカチオン交換樹脂相と、を有し、所定の過ヨウ素酸ナトリウム浸漬試験に従って測定される、カチオン交換膜の破裂強度保持率が70%以上を満たすものである。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
ヨウ化水素酸を製造する電気透析装置に用いられるカチオン交換膜からなる、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜であって、
前記カチオン交換膜は、
高空隙基材と、
前記高空隙基材の空隙部に充填されたカチオン交換樹脂相と、を有し、
下記の過ヨウ素酸ナトリウム浸漬試験に従って測定される、前記カチオン交換膜の破裂強度保持率が70%以上である、
ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
(過ヨウ素酸ナトリウム浸漬試験)
前記カチオン交換膜を用いて、片面の表面積が25cm

のシートサンプルを準備する。
前記シートサンプルを、液温が40℃、pH12に調整した飽和NaIO

水溶液に30日間浸漬する、浸漬処理を実施する。
前記浸漬処理前の前記シートサンプル、および前記浸漬処理後のシートサンプルについて、JIS P8112に準拠して、ミューレン破裂強度(MPa)を測定し、それぞれ、S0、S30とする。ただし、前記浸漬処理後のシートサンプルは、イオン交換水で水洗した後、乾燥させないで測定に使用する。
得られた前記ミューレン破裂強度の測定値を用いて、前記カチオン交換膜の破裂強度保持率を次式により算出する。
破裂強度保持率(%)=(S30/S0)×100
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
請求項1に記載のカチオン交換膜であって、
前記カチオン交換樹脂相が、カチオン交換樹脂以外の高分子成分として、JIS-K0070(1992)に準拠して測定されるヨウ素価が23mg/100mg以上の高分子を含まない、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカチオン交換膜であって、
前記高空隙基材が、ポリオレフィンまたはフッ素樹脂で構成される、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のカチオン交換膜であって、
下記の手順により測定される、前記カチオン交換膜の含水率が30%以下である、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
(含水率の測定手順)
前記カチオン交換膜を1mol/L-NaCl水溶液に4時間以上浸漬し、イオン交換水で十分水洗する。その後ティッシュペーパーで表面の水分を拭き取り、湿潤時の膜の質量W(g)を測定する。
さらに、60℃で5時間減圧乾燥して乾燥時の重さD(g)を測定する。
得られた質量の測定値に基づいて、前記カチオン交換膜の含水率を次式により求める。
含水率(%)=100×(W-D)/D
【請求項5】
請求項1又は2に記載のカチオン交換膜であって、
下記の手順に従って測定される、前記高空隙基材の空隙率が、20%以上90%以下である、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
(空隙率の測定手順)
前記高空隙基材からXcm×Ycmの矩形のサンプルを切り出し、微少測厚器(端子径Φ:5mm、測定圧:62.47kPa)を用いサンプル厚みT(μm)を測定する。別に前記サンプルの質量M(g)を測定し、これらの測定値と、前記高空隙基材の材料樹脂の密度ρ(g/cm

)を用いて、下記式により前記高空隙基材の空隙率(%)を算出する。
空隙率(%)={1-(10000×M/ρ)/(X×Y×T)}×100
【請求項6】
請求項1又は2に記載のカチオン交換膜であって、
前記電気透析装置が、バイポーラ膜電気透析装置である、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
【請求項7】
ヨウ化水素酸を製造する電気透析装置であって、
カチオン交換膜として、請求項1又は2に記載のヨウ化水素酸製造用電気透析膜を備える、電気透析装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電気透析装置であって、
バイポーラ膜電気透析装置である、電気透析装置。
【請求項9】
カチオン交換膜として、請求項1又は2に記載のヨウ化水素酸製造用電気透析膜を備える電気透析装置を用いて、ヨウ化物塩水溶液をヨウ化水素酸と水酸化物塩水溶液とに分離する工程を含む、ヨウ化水素酸の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のヨウ化水素酸の製造方法であって、
前記電気透析装置がバイポーラ膜電気透析装置であり、
前記バイポーラ膜電気透析装置が、前記カチオン交換膜と、アニオン交換膜と、および前記カチオン交換膜および前記アニオン交換膜の間に配置されたバイポーラ膜と、を備える、ヨウ化水素酸の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜、それを装着した電気透析装置、およびその装置を用いたヨウ化水素酸の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
これまでヨウ素を含む廃液からヨウ素を分離する技術や、分離して得られたヨウ素の利用方法に関して様々な開発がなされてきた。例えば、特許文献1には、ヨウ素とカリウムを含有する廃液から電気透析法によりヨウ化カリウムを濃縮し、次いで、このヨウ化カリウム濃縮液をバイポーラ膜電気透析法によりヨウ化水素酸と水酸化カリウム水溶液に分離するヨウ化水素酸の製造方法が開示されている。この方法によれば、偏光フィルム等を製造する際に生じる廃液から電気透析法によりヨウ素及びホウ素をそれぞれ分離すると共に、バイポーラ膜電気透析法によりヨウ化カリウムからヨウ化水素酸を生成しているため、廃液に含まれるヨウ素を原料にヨウ化水素酸を製造できると共に、廃液中のホウ素も濃縮、分離でき、効率よく回収することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2009-23847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の方法は、ヨウ素を含有する廃液から、多数の工程を経ることなく、高効率、低コストでヨウ化水素酸が製造できる優れた方法である。一方で、本発明者らの検討によれば、後段の、ヨウ化カリウム濃縮液をバイポーラ膜電気透析法によりヨウ化水素酸と水酸化カリウム水溶液に分離する工程においては、イオン交換膜の耐久性が課題であることが分かった。すなわち、上記方法によりヨウ化水素酸の製造を継続していると、徐々にアルカリ室と塩室の間で液移動が進み始め、その結果、水酸化カリウム水溶液の製造効率が低下するだけでなく、塩室からヨウ化水素酸室へ水酸化カリウムが混入し、得られるヨウ化水素酸の純度が低下することがあった。この時、電気透析槽を解体して各イオン交換膜の特性を評価すると、アルカリ室と塩室を仕切るカチオン交換膜に、電気抵抗の低下、含水率の上昇、カチオン選択性の低下や機械的強度の低下などの膜特性の変化が顕著に認められた。こうした劣化はカチオン交換膜のアルカリ液側から発生していた。さらに、より長時間の運転後には、膜体からのイオン交換樹脂塊が剥離脱落するなどの現象が生じて隔膜機能が損なわれ、これにより前記したヨウ化水素酸の継続的製造が困難になることがあった。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、解決すべき課題は、ヨウ化水素酸を継続して安定して製造可能となるように、後述する酸化態ヨウ素の酸化力に耐性のある電気透析用カチオン交換膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、カチオン交換膜の上記劣化に関して鋭意研究を行い、処理対象であるヨウ素に関わって以下のような劣化メカニズムを推定した。すなわち、廃液中に含まれるヨウ化物イオン(I

)は、光や熱、酸素との接触など様々な要因によって比較的簡単に酸化されヨウ素分子(I

)が生成する。該ヨウ素分子がカチオン交換膜を拡散するなどしてアルカリ室に入ると、直ちに酸化力の高いヨウ素酸イオンIO


や過ヨウ素酸イオンIO


に変化する。この時、カチオン交換膜が、構成成分として、酸化攻撃に対する耐性の低い、不飽和結合を有するゴムなどを有していると、この不飽和結合がヨウ素酸イオン及び/又は過ヨウ素酸イオンにより酸化攻撃され簡単に主鎖切断が起きる。主鎖切断が一定以上起きた場合には、ゴム成分が低分子量化しカチオン交換膜の膜体から剥離脱落して多孔化し、ついには隔膜として機能しなくなる。
【0006】
本発明者らは上記推定メカニズムに基づいてさらに研究を進め、過ヨウ素酸塩水溶液を酸化剤として用いることで劣化挙動を再現性良く調べられることを見出した。さらに、過ヨウ素酸塩水溶液を用いたカチオン交換膜の劣化試験の中で、上記した不飽和結合の含有量や、その他の膜特性を制御してやれば、カチオン交換膜の酸化耐性が向上し安定してヨウ化水素酸の製造が可能になることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0007】
本発明の一態様によれば、以下のヨウ化水素酸製造用電気透析膜、電気透析装置、およびヨウ化水素酸の製造方法が提供される。
【0008】
1. ヨウ化水素酸を製造する電気透析装置に用いられるカチオン交換膜からなる、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜であって、
前記カチオン交換膜は、
高空隙基材と、
前記高空隙基材の空隙部に充填されたカチオン交換樹脂相と、を有し、
下記の過ヨウ素酸ナトリウム浸漬試験に従って測定される、前記カチオン交換膜の破裂強度保持率が70%以上である、
ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
(過ヨウ素酸ナトリウム浸漬試験)
前記カチオン交換膜を用いて、片面の表面積が25cm

のシートサンプルを準備する。
前記シートサンプルを、液温が40℃、pH12に調整した飽和NaIO

水溶液に30日間浸漬する、浸漬処理を実施する。
前記浸漬処理前の前記シートサンプル、および前記浸漬処理後のシートサンプルについて、JIS P8112に準拠して、ミューレン破裂強度(MPa)を測定し、それぞれ、S0、S30とする。ただし、前記浸漬処理後のシートサンプルは、イオン交換水で水洗した後、乾燥させないで測定に使用する。
得られた前記ミューレン破裂強度の測定値を用いて、前記カチオン交換膜の破裂強度保持率を次式により算出する。
破裂強度保持率(%)=(S30/S0)×100
2. 1.に記載のカチオン交換膜であって、
前記カチオン交換樹脂相が、カチオン交換樹脂以外の高分子成分として、JIS-K0070(1992)に準拠して測定されるヨウ素価が23mg/100mg以上の高分子を含まない、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
3. 1.又は2.に記載のカチオン交換膜であって、
前記高空隙基材が、ポリオレフィンまたはフッ素樹脂で構成される、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
4. 1.~3.のいずれか一つに記載のカチオン交換膜であって、
下記の手順により測定される、前記カチオン交換膜の含水率が30%以下である、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
(含水率の測定手順)
前記カチオン交換膜を1mol/L-NaCl水溶液に4時間以上浸漬し、イオン交換水で十分水洗する。その後ティッシュペーパーで表面の水分を拭き取り、湿潤時の膜の質量W(g)を測定する。
さらに、60℃で5時間減圧乾燥して乾燥時の重さD(g)を測定する。
得られた質量の測定値に基づいて、前記カチオン交換膜の含水率を次式により求める。
含水率(%)=100×(W-D)/D
5. 1.~4.のいずれか一つに記載のカチオン交換膜であって、
下記の手順に従って測定される、前記高空隙基材の空隙率が、20%以上90%以下である、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
(空隙率の測定手順)
前記高空隙基材からXcm×Ycmの矩形のサンプルを切り出し、微少測厚器(端子径Φ:5mm、測定圧:62.47kPa)を用いサンプル厚みT(μm)を測定する。別に前記サンプルの質量M(g)を測定し、これらの測定値と、前記高空隙基材の材料樹脂の密度ρ(g/cm

)を用いて、下記式により前記高空隙基材の空隙率(%)を算出する。
空隙率(%)={1-(10000×M/ρ)/(X×Y×T)}×100
6. 1.~5.のいずれか一つに記載のカチオン交換膜であって、
前記電気透析装置が、バイポーラ膜電気透析装置である、ヨウ化水素酸製造用電気透析膜。
7. ヨウ化水素酸を製造する電気透析装置であって、
カチオン交換膜として、1.~6.のいずれか一つに記載のヨウ化水素酸製造用電気透析膜を備える、電気透析装置。
8. 7.に記載の電気透析装置であって、
バイポーラ膜電気透析装置である、電気透析装置。
9. カチオン交換膜として、1.~6.のいずれか一つに記載のヨウ化水素酸製造用電気透析膜を備える電気透析装置を用いて、ヨウ化物塩水溶液をヨウ化水素酸と水酸化物塩水溶液とに分離する工程を含む、ヨウ化水素酸の製造方法。
10. 9.に記載のヨウ化水素酸の製造方法であって、
前記電気透析装置がバイポーラ膜電気透析装置であり、
前記バイポーラ膜電気透析装置が、前記カチオン交換膜と、アニオン交換膜と、および前記カチオン交換膜および前記アニオン交換膜の間に配置されたバイポーラ膜と、を備える、ヨウ化水素酸の製造方法。
11. 9.又は10.に記載のヨウ化水素酸の製造方法であって、
前記ヨウ化物塩水溶液が、ヨウ化アルカリ金属塩およびヨウ化アルカリ土類金属塩の少なくとも一方を含む水溶液である、ヨウ化水素酸の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、継続して安定して使用可能なヨウ化水素酸製造用電気透析膜、これらを組み込んだ電気透析装置、ヨウ化水素酸製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
ヨウ化水素酸の製造方法の一例を示すフロー図である。
バイポーラ電気透析装置の構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

株式会社合同資源
包装体および梱包箱
1日前
個人
液体酸素溶解装置
8日前
東レ株式会社
気体分離膜モジュール
15日前
株式会社フクハラ
圧縮空気圧回路構造
14日前
東レ株式会社
複合半透膜およびその製造方法
1日前
三菱重工業株式会社
脱硝装置
1日前
株式会社アイシン
気液分離器
今日
株式会社笹山工業所
管理システム及び管理方法
3日前
大成技研株式会社
フィルター装置
15日前
リンナイ株式会社
フィルタ付きタンク
14日前
リンナイ株式会社
フィルタ付きタンク
14日前
ミツエム株式会社
攪拌装置
1日前
株式会社日立産機システム
安全キャビネット
今日
CKD株式会社
ガス製造装置、及びガス製造方法
今日
株式会社日立産機システム
安全キャビネット
1日前
株式会社日立産機システム
安全キャビネット
1日前
オリオン機械株式会社
圧縮空気除湿装置及びその制御方法
2日前
株式会社ROKI
生成装置及び生成方法
14日前
CKD株式会社
ガス製造システム、及びガス製造装置
今日
株式会社ROKI
生成装置及び生成方法
14日前
三菱重工業株式会社
集塵システム及び集塵方法
15日前
株式会社IHI
炭素剥離システム
15日前
やまこ産業株式会社
ペレット製造装置及びペレットの製造方法
1日前
シャープ株式会社
空気清浄機及びフィルター収納袋
7日前
トヨタ自動車株式会社
排ガス浄化装置
14日前
株式会社ミダック
CO2固定システム
14日前
旭化成メディカル株式会社
中空糸膜モジュール
14日前
千代田化工建設株式会社
排水処理システム
8日前
信越化学工業株式会社
防藻剤及び防藻方法
15日前
株式会社PMT
送液装置
1日前
電源開発株式会社
二酸化炭素の地中貯留方法
8日前
三井金属鉱業株式会社
複合酸化物及びその製造方法
今日
日立GEニュークリア・エナジー株式会社
気体分離モジュール
8日前
水澤化学工業株式会社
2-エチルヘキサノール類吸着剤及びその吸着方法
14日前
東ソー株式会社
ゼオライト成形体
8日前
栗田工業株式会社
逆浸透膜におけるバイオファウリングを抑制する方法
14日前
続きを見る