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公開番号
2024130269
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-30
出願番号
2023039897
出願日
2023-03-14
発明の名称
感染性の硝子体疾患の検出方法
出願人
国立大学法人大阪大学
代理人
弁理士法人R&C
主分類
C12Q
1/6869 20180101AFI20240920BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】硝子体組織中の微生物叢に着目した、硝子体疾患の病態生理を迅速かつ正確に解明できる技術の構築。
【解決手段】以下の工程、(a)被験者の硝子体組織から採取した硝子体組織検体中の微生物叢に含まれる微生物クラスターの遺伝子の塩基配列情報を取得する工程と、(b)得られた遺伝子配列情報に基づいて、前記微生物叢に含まれる微生物クラスターを同定し、同定された微生物クラスターそれぞれの相対的占有率を算出することにより前記微生物叢の構成を解析する工程、(c)前記微生物叢が、最も相対的占有率の高い微生物クラスターが、2番目に相対的占有率の高い微生物クラスターの2倍以上の相対的占有率で含まれるとの第1基準、を含む判断基準を満たすか否かを判定し、前記判断基準を満たす場合に、前記被験者は感染性の硝子体疾患であるとして検出する工程、とを有する、感染性の硝子体疾患の検出方法。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
感染性の硝子体疾患の検出方法であって、
以下の工程、
(a)被験者の硝子体組織から採取した硝子体組織検体中の微生物叢に含まれる微生物クラスターの遺伝子の塩基配列情報を取得する工程と、
(b)得られた遺伝子配列情報に基づいて、前記微生物叢に含まれる微生物クラスターを同定し、同定された微生物クラスターそれぞれの相対的占有率を算出することにより前記微生物叢の構成を解析する工程と、
(c)前記微生物叢が、最も相対的占有率の高い微生物クラスターが、2番目に相対的占有率の高い微生物クラスターの2倍以上の相対的占有率で含まれるとの第1基準、
を含む判断基準を満たすか否かを判定し、前記判断基準を満たす場合に、前記被験者は感染性の硝子体疾患であるとして検出する工程と、を有する、感染性の硝子体疾患の検出方法。
続きを表示(約 620 文字)
【請求項2】
前記工程(c)の前記判断基準が、前記最も相対的占有率の高い微生物クラスターの相対的占有率が25%以上であるとの第2基準を含む、請求項1に記載の感染性の硝子体疾患の検出方法。
【請求項3】
前記工程(b)の前記微生物叢の構成を解析する工程が、前記同定された微生物クラスターの総数を算出することを含み、かつ、
前記工程(c)の前記判断基準が、前記同定された微生物クラスターの総数が30以下であるとの第3基準を含む、請求項1又は2に記載の感染性の硝子体疾患の検出方法。
【請求項4】
前記工程(b)の前記微生物叢の構成を解析する工程が、前記同定された微生物クラスターの総数を算出することを含み、かつ、
前記工程(c)の判断基準が、相対的占有率が2%以上の微生物クラスターの数が10以下であるとの第4基準を含む請求項1又は2に記載の感染性の硝子体疾患の検出方法。
【請求項5】
(d)前記工程(c)の後に、感染性の硝子体疾患であるとして検出された被験者において、前記最も相対的占有率の高い微生物クラスターを前記感染性の硝子体疾患の原因微生物として検出する工程、を含む請求項1又は2に記載の感染性の硝子体疾患の検出方法。
【請求項6】
前記塩基配列情報が、16S rRNA遺伝子の塩基配列情報である、請求項1又は2に記載の感染性の硝子体疾患の検出方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染性の硝子体疾患の検出方法に関し、被験者から採取した硝子体組織検体の微生物叢の解析に基づく感染性の硝子体疾患の検出方法である。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
感染症の原因微生物の検出同定は、感染症の確定診断、およびそれに続く抗生物質の選択等の治療方針の決定や感染対策に重要な役割を果たす。従来において、原因微生物の検査同定には、原因微生物を分離培養し検出同定する培養法やポリメラーゼ連鎖反応(以下、「PCR」と略する)等を利用して原因微生物の遺伝子から原因微生物を検出同定する遺伝子検出法等により行われてきた。しかし、培養法では、培養条件の設定が必要であり培養困難な微生物ではしばしば原因微生物が同定できない症例があった(非特許文献1~2参照)。また、遺伝子検出法においても原因微生物の遺伝子の配列情報が存在しないこと等に起因するプライマーやプローブの設計面での限界がある。そのため、感染症治療において原因微生物の検出同定が困難な症例が認められ、的確な治療や感染対策が難しい場合あった。
【0003】
2010年にマイクロバイオームプロジェクトが開始され、人体の各組織におけるマイクロバイオームの同定が報告されてきた(非特許文献3参照)。かかるプロジェクトは、各組織に存在する微生物叢とその遺伝子配列情報等を解析し理解することにより、健康維持や疾患治療に応用するものである。そして、16S rRNA領域をターゲットとしたゲノムシークエンスを行うことで、検体中の微生物群の網羅的な同定が可能となっている(非特許文献4参照)。現在では、ショットガン解析を用いた種レベルでの分類学的な同定や、機能遺伝子解析等の多様な解析が可能となり、疾患発症に関与する微生物叢の解析が進められている。メタゲノム解析は微生物叢を網羅的に解析でき(非特許文献5参照)、また、解析技術の進歩に伴ってコストの削減がなされたことから、特に、微生物叢の同定方法として利用しやすい方法として周知されている。
【0004】
微生物叢を構成する微生物には、細菌、真菌、ウイルス等が含まれるが、特に、16S rRNA遺伝子を用いた細菌叢の同定が進められてきた。近年、微生物叢の構成成分として細菌叢に加えて真菌叢の同定も可能となってきている。従来においては、真菌叢はそれ自体の同定が困難であり真菌叢に関する報告も少なかったが内部転写スペーサー(Internal Transcribed Spacer:ITS)領域を標的としてシークエンスを行うことにより真菌叢の同定も可能となった(非特許文献6参照)。全身疾患の発症への真菌叢の関与については、膵臓癌発症において真菌叢変化が癌促進因子となり、またアトピー性皮膚炎を代表とする表在性皮膚疾患ではマラセチア属真菌(Malassezia)が疾患バイオマーカーとなり得ることが報告されている(非特許文献7参照)。直近では、シークエンサーの進歩によりウイルス叢の同定も可能になりつつあることが報告されている(非特許文献8参照)。
【0005】
メタゲノム解析等に用いられる次世代シークエンサーの最たるメリットは、上記した培養法では必須である培養工程を経ることなく、検体中に存在する微生物叢を網羅的に解析できることである。培養に際しては、細菌では数日間、真菌では1週間程度の培養日数が必要であり、迅速な原因微生物の同定を妨げる要因となっていた。特に、迅速な対策を要する感染性の眼疾患において迅速な原因微生物の同定は疾患予後を考えるうえでも重要な要素である。
【0006】
現状、眼表面疾患では、シェーグレン症候群や角膜潰瘍において、眼結膜組織の微生物叢の解析を通じて、その病態と微生物叢の変化の関係が報告されている。また、アレルギー性結膜炎では、細菌叢および真菌叢の両方での変化(細菌叢ではPropionibacterium acnes、真菌叢ではマラセチア属真菌の相対的占有率の変化)が疾患発症に関与すると報告されている。このように眼表面疾患と眼結膜組織の微生物叢の相関は、多数報告されてきている。一方、硝子体疾患ではその発症や病態生理と微生物叢との相関を検討した確たる報告は存在しなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Holt KE他著,Proc Natl Acad Sci U S A, 2015, 112(27), E3574~E3581
Bonnet M他著,New Microbes New Infect, 2020, 34, 100622
Qin J et al. Nature, 2010, 464(7285),p59-p65
Costello EK et al. Science, 2009, 326(5960), p1694-p1697
Xi H他著,Front Med (Lausanne). 2022, 9, 847143
Motooka D et al. Front Microbiol, 2017,8, 238
Aykut B et al. Nature, 2019,574(7777),p264-267
Liang G et al. Nature Reviews Microbiology, 2021, 19(8), p514-527
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した通り、従来において、硝子体疾患ではその発症や病態と微生物叢との相関に関する確たる報告はなかった。硝子体組織からの検体採取には硝子体手術を要し、しかも、ある程度、病期が進行した状態で手術が行われるため、解析のための硝子体組織検体自体が入手し難い状況であったことが要因の1つとして考えられる。しかも、硝子体組織において安定して微生物叢が存在しているのか否かについても十分な報告がないのが現状であった。しかし、網膜・硝子体疾患は、網膜剥離や糖尿病網膜症等の失明につながる疾患が多く含まれる。そのため、硝子体組織を解析し疾患の病態解明を行うことは、硝子体疾患の発症予防や有効な治療薬等の治療法の選択に重要である。そこで、本発明は、硝子体疾患の病態生理を迅速かつ正確に解明できる技術の構築を目的とし、特に、硝子体組織中の微生物叢と硝子体疾患の病態生理との相関に着目した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、硝子体組織にも微生物叢が存在し、かかる微生物叢を構成する微生物の遺伝子の塩基配列情報を解析することにより、硝子体疾患が微生物感染によるものであるのか否かを迅速に検出できる判断基準を確立し、感染性の硝子体疾患を迅速かつ正確に検出できるとの知見を得た。また、感染性の硝子体疾患である場合にはその原因微生物を迅速かつ正確に特定することができるとの知見をも得た。本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、以下の〔1〕~〔6〕の発明を提供する。〔1〕の発明単独で課題を解決できるが、〔2〕~〔6〕の発明の何れかと組み合わせても良い。
(【0011】以降は省略されています)
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