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公開番号2024104883
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-06
出願番号2023009295
出願日2023-01-25
発明の名称溶血試薬
出願人株式会社島津製作所
代理人個人,個人
主分類C12Q 1/04 20060101AFI20240730BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、既存の溶血試薬(Lysis buffer)と同様に菌種同定に供することができることに加え、菌を死滅させることなく溶血処理することができ、薬剤感受性検査にも適用することが可能な試薬を提供することを、主な課題とする。
【解決手段】本発明として、例えば、臨床微生物検査の前処理に用いるための溶血試薬であって、非イオン界面活性剤を含有し、前記検査が菌種同定検査または薬剤感受性検査であることを特徴とする溶血試薬を挙げることができる。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
臨床微生物検査の前処理に用いるための溶血試薬であって、非イオン界面活性剤を含有し、前記検査が菌種同定検査または薬剤感受性検査であることを特徴とする、溶血試薬。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテルである、請求項1に記載の溶血試薬。
【請求項3】
前記POEアルキルエーテルが、POE(7)アルキル(sec-C
11-15
)エーテルである、請求項2に記載の溶血試薬。
【請求項4】
分散剤をさらに含有する、請求項1に記載の溶血試薬。
【請求項5】
前記分散剤が、長鎖脂肪酸塩または長鎖不飽和脂肪酸塩である、請求項4に記載の溶血試薬。
【請求項6】
前記長鎖不飽和脂肪酸塩がオレイン酸塩である、請求項5に記載の溶血試薬。
【請求項7】
請求項1に記載の溶血試薬と、前記溶血試薬に混合される分散剤と、を備えることを特徴とする、臨床微生物検査用前処理キット。
【請求項8】
被験者から採取された血液試料の培養物と、請求項1~6のいずれか一項に記載の溶血試薬と、を混合して溶血試料を得る工程を含むことを特徴とする、臨床微生物検査のための前処理方法。
【請求項9】
前記培養物と前記溶血試薬との混合物から、ろ過処理または遠心分離処理により夾雑物を除去する工程を含む、請求項8に記載の前処理方法。
【請求項10】
請求項8に記載の前処理方法により得られた溶血試料を、菌種同定検査システムおよび/または薬剤感受性検査システムに導入する工程を含む、臨床微生物検査方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床微生物検査およびそのための組成物の分野に属する。本発明は、界面活性剤を含有する溶血試薬に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
細菌等をはじめとする微生物による感染症は、人類にとって大きな脅威であり続けている。感染症の治療のためには、迅速な確定診断と適切な薬剤投与が非常に重要である。そこで、感染症を疑う被験者検体から病原微生物等を正確かつ迅速に検出し、起炎菌の薬剤感受性を迅速に把握することが必要となる。そうした場合、これらの検出および把握を行う上で、臨床微生物検査がなくてはならないものとなっている。例えば、敗血症患者では、発症から24時間で生存率が20%以下にまで低下することが知られており、血液培養陽性検体の迅速検査は適切な治療のために非常に重要である。
【0003】
中でも細菌検査においては、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法を用いた質量分析(MS)が、菌種同定を迅速に行う上で重要なツールとなりつつある(MALDI分析)。従来、血液培養陽性検体をMALDI分析により直接検査することは、血中成分の阻害等により困難とされてきた。そこで、溶血や菌の溶解等の前処理を行うことにより血液培養陽性検体を直接MALDI分析する方法について、様々な研究が近年報告されている(非特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
B. La Scola and D. Raoult, PLoS ONE, vol. 4, no. 11, Article ID e8041, 2009.
W. Moussaoui, B. Jaulhac, A.-M. Hoffmann et al., Clinical Microbiology and Infection, vol. 16, no. 11, pp. 1631.1638, 2010.
O. Liesenfeld, L. Lehman, K.-P. Hunfeld, and G. Kost, European Journal of Microbiology and Immunology, vol. 4, no. 1, pp. 1.25, 2014.
M. Christner, H. Rohde, M. Wolters, I. Sobottka, K. Wegscheider, and M. Aepfelbacher, Journal of Clinical Microbiology, vol. 48, no. 5, pp. 1584.1591, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1~4に記載の菌種同定法では、溶血や菌の溶解のための前処理に陰イオン界面活性剤が主に用いられており、処理時のpHは9.0を超えるため、検体中の多くの菌が死滅してしまう。検体中の菌由来のタンパク質が存在しさえすればMALDI分析が可能であることから、菌種同定検査においてこの前処理法は広く用いられている。しかし一方、薬剤感受性検査では生きた菌が必要であることから、この前処理法においては、薬剤感受性検査に対応することが困難である。即ち、当該従来技術による前処理は、菌種同定検査への適用は可能であったとしても薬剤感受性検査への適用が困難であるために、細菌検査全体の迅速化が十分にはなされていない。
本発明は、既存の溶血試薬(Lysis buffer)と同様に菌種同定に供することができることに加え、菌を死滅させることなく溶血処理ができ、薬剤感受性検査にも適用することが可能な試薬を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、一定の非イオン界面活性剤を溶血剤として用いると、菌を死滅させることなく溶血処理ができ、本発明の上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明として、例えば、以下の態様を挙げることができる。
[1]臨床微生物検査の前処理に用いるための溶血試薬であって、非イオン界面活性剤を含有し、前記検査が菌種同定検査または薬剤感受性検査であることを特徴とする、溶血試薬。
[2]前記非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテルである、上記[1]に記載の溶血試薬。
[3]前記POEアルキルエーテルが、POE(7)アルキル(sec-C
11-15
)エーテルである、上記[2]に記載の溶血試薬。
[4]分散剤をさらに含有する、上記[1]に記載の溶血試薬。
[5]前記分散剤が、長鎖飽和脂肪酸塩または長鎖不飽和脂肪酸塩である、上記[4]に記載の溶血試薬。
[6]前記長鎖不飽和脂肪酸塩がオレイン酸塩である、上記[5]に記載の溶血試薬。
【0007】
[7]上記[1]に記載の溶血試薬と、前記溶血試薬に混合される分散剤と、を備えることを特徴とする、臨床微生物検査用前処理キット。
【0008】
[8]被験者から採取された血液試料の培養物と、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の溶血試薬と、を混合して溶血試料を得る工程を含むことを特徴とする、臨床微生物検査のための前処理方法。
[9]前記培養物と前記溶血試薬との混合物から、ろ過処理または遠心分離処理により夾雑物を除去する工程を含む、上記[8]に記載の前処理方法。
[10]上記[8]に記載の前処理方法により得られた溶血試料を、菌種同定検査システムおよび/または薬剤感受性検査システムに導入する工程を含む、臨床微生物検査方法。
【0009】
[11]被験者から採取された血液試料の培養物と、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の溶血試薬とを混合し、溶血試料を得る手段を備えることを特徴とする、臨床微生物検査のための前処理システム。
[12]上記[11]に記載の前処理システムを備えることを特徴とする、臨床微生物検査システム。
[13]菌種同定検査システムまたは薬剤感受性検査システムを備える、上記[12]に記載の臨床微生物検査システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、既存の溶血試薬(Lysis buffer)と同様に菌種同定検査に供することができることに加え、検体中の細菌を死滅させることなく溶血処理ができることから、薬剤感受性検査にも供することが可能であり、同検査での迅速診断を可能とする。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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