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公開番号
2024139418
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-09
出願番号
2023050350
出願日
2023-03-27
発明の名称
抗菌活性評価方法
出願人
長谷川香料株式会社
代理人
主分類
C12Q
1/06 20060101AFI20241002BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】評価対象物質から発生する蒸気が有する抗菌活性を定量的に評価できる抗菌活性評価方法を提供する。
【解決手段】以下の工程を含む、抗菌活性評価方法。(a)細胞分裂によって増殖する評価対象菌が増殖可能であって、前記評価対象菌が接種されている接種済固体培地を複数用意する工程、(b1)前記(a)工程で用意した前記接種済固体培地のうちの一つを第1培地とし、評価対象物質から発生する蒸気を前記第1培地に接触させながら前記第1培地に存在する前記評価対象菌を培養する工程、(b2)前記(b1)工程の後、前記第1培地に存在する前記評価対象菌の菌数を測定する工程、(b3)下記計算式1に基づき、前記第1培地における前記評価対象菌の増殖率を算出する工程。
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特許請求の範囲
【請求項1】
以下の工程を含む、抗菌活性評価方法。
(a)細胞分裂によって増殖する評価対象菌が増殖可能であって、前記評価対象菌が接種された接種済固体培地を複数用意する工程、
(b1)前記(a)工程で用意した前記接種済固体培地のうちの一つを第1培地とし、評価対象物質から発生する蒸気を前記第1培地に接触させながら前記第1培地に存在する前記評価対象菌を培養する工程、
(b2)前記(b1)工程の後、前記第1培地に存在する前記評価対象菌の菌数を測定する工程、
(b3)下記計算式1に基づき、前記第1培地における前記評価対象菌の増殖率を算出する工程。
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【請求項2】
請求項1に記載の抗菌活性評価方法において、
さらに以下の工程を含む、抗菌活性評価方法。
(c1)前記(a)工程で用意した前記接種済固体培地のうちの前記第1培地以外の一つを第2培地とし、前記評価対象物質から発生する蒸気を前記第2培地に接触させないこと以外は前記(b1)工程と同じ条件において、前記第2培地に存在する前記評価対象菌を培養する工程、
(c2)前記(c1)工程の後、前記第2培地に存在する前記評価対象菌の菌数を測定する工程、
(c3)下記計算式2に基づき、前記第2培地における前記評価対象菌の増殖率を算出する工程。
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【請求項3】
請求項2に記載の抗菌活性評価方法において、
さらに以下の工程を含む、抗菌活性評価方法。
(d1)下記計算式3に基づき、前記(b1)工程の条件における前記評価対象菌に対する前記評価対象物質から発生する蒸気の抗菌率を算出する工程。
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【請求項4】
請求項1に記載の抗菌活性評価方法において、
前記(a)工程は、以下の工程を含む、抗菌活性評価方法。
(a1)細胞分裂によって増殖する評価対象菌が増殖可能な固体培地を複数用意する工程、
(a2)前記固体培地のそれぞれに、前記評価対象菌の懸濁液を同体積で平板塗沫法により接種し、前記接種済固体培地を用意する工程。
【請求項5】
請求項2に記載の抗菌活性評価方法において、
前記(b2)工程は、以下の工程を含む、抗菌活性評価方法。
(b21)前記(b1)工程で培養した後の前記第1培地に液体を添加し、当該第1培地に存在する前記評価対象菌を懸濁液として回収する工程、
(b22)前記(b21)工程で得られた前記懸濁液を段階的に設定した希釈倍率により希釈して前記評価対象菌の濃度の異なる希釈液をそれぞれ得る工程、
(b23)前記評価対象菌が増殖可能な菌数測定用固体培地を複数用意し、前記菌数測定用固定培地のそれぞれに、前記(b22)工程で得られた前記希釈液のそれぞれを同体積で接種する工程、
(b24)前記(b23)工程で前記希釈液を接種した前記菌数測定用固体培地のそれぞれを、同一条件で培養する工程、
(b25)前記(b24)工程の後、コロニーが形成された前記菌数測定用固体培地のコロニー数を測定する工程、
(b26)前記(b25)工程で測定した前記コロニー数が30個以上300個以下である前記菌数測定用固体培地において、当該菌数測定用固体培地に接種した前記希釈液の希釈倍率および体積と、当該菌数測定用固体培地に形成された前記コロニー数と、菌懸濁のために前記第1培地に添加された液体の体積とから下記計算式4に基づき、(b1)工程で培養した後の第1培地に存在する評価対象菌の菌数を算出する工程。
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【請求項6】
以下の工程を含む、抗菌活性評価方法。
(a1)細胞分裂によって増殖する評価対象菌が増殖可能な固体培地を複数用意する工程、
(a2)前記固体培地のそれぞれに、前記評価対象菌の懸濁液を同体積で接種する工程、
(b1)前記(a2)工程で前記評価対象菌を接種した前記固体培地のうちの一つを第1培地とし、評価対象物質から発生する蒸気を前記第1培地に接触させながら前記第1培地に接種した前記評価対象菌を培養する工程、
(b2)前記(b1)工程の後、前記第1培地に存在する前記評価対象菌の菌数を測定する工程、
(c1)前記(a2)工程で前記評価対象菌を接種した前記固体培地のうちの前記第1培地以外の一つを第2培地とし、前記評価対象物質から発生する蒸気を前記第2培地に接触させないこと以外は前記(b1)工程と同じ条件において、前記第2培地に接種した前記評価対象菌を培養する工程、
(c2)前記(c1)工程の後、前記第2培地に存在する前記評価対象菌の菌数を測定する工程、
(d2)下記計算式5に基づき、前記(b1)工程の条件における前記評価対象菌に対する前記評価対象物質から発生する蒸気の抗菌率を算出する工程。
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【請求項7】
請求項6に記載の抗菌活性評価方法において、
前記(b2)工程は、以下の(b21)~(b26)工程を含み、
前記(c2)工程は、以下の(c21)~(c26)工程を含む、抗菌活性評価方法。
(b21)前記(b1)工程で培養した後の前記第1培地に液体を添加し、当該第1培地に存在する前記評価対象菌を懸濁液として回収する工程、
(b22)前記(b21)工程で得られた前記懸濁液を段階的に設定した希釈倍率により希釈して前記評価対象菌の濃度の異なる希釈液をそれぞれ得る工程、
(b23)前記評価対象菌が増殖可能な第1培地菌数測定用固体培地を複数用意し、前記第1培地菌数測定用固定培地のそれぞれに、前記(b22)工程で得られた前記希釈液のそれぞれを同体積で接種する工程、
(b24)前記(b23)工程で前記希釈液を接種した前記第1培地菌数測定用固体培地のそれぞれを、同一条件で培養する工程、
(b25)前記(b24)工程の後、コロニーが形成された前記第1培地菌数測定用固体培地のコロニー数を測定する工程、
(b26)前記(b25)工程で測定した前記コロニー数が30個以上300個以下である前記第1培地菌数測定用固体培地において、当該第1培地菌数測定用固体培地に接種した前記希釈液の希釈倍率および体積と、当該第1培地菌数測定用固体培地に形成された前記コロニー数と、菌懸濁のために前記第1培地に添加された液体の体積とから下記計算式4に基づき、(b1)工程で培養した後の第1培地に存在する前記評価対象菌の菌数を算出する工程、
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(c21)前記(c1)工程で培養した後の前記第2培地に液体を添加し、当該第2培地に存在する前記評価対象菌を懸濁液として回収する工程、
(c22)前記(c21)工程で得られた前記懸濁液を段階的に設定した希釈倍率により希釈して前記評価対象菌の濃度の異なる希釈液をそれぞれ得る工程、
(c23)前記評価対象菌が増殖可能な第2培地菌数測定用固体培地を複数用意し、前記第2培地菌数測定用固定培地のそれぞれに、前記(c22)工程で得られた前記希釈液のそれぞれを同体積で接種する工程、
(c24)前記(c23)工程で前記希釈液を接種した前記第2培地菌数測定用固体培地のそれぞれを、同一条件で培養する工程、
(c25)前記(c24)工程の後、コロニーが形成された前記第2培地菌数測定用固体培地のコロニー数を測定する工程、
(c26)前記(b25)工程で測定した前記コロニー数が30個以上300個以下である前記第2培地菌数測定用固体培地において、当該第2培地菌数測定用固体培地に接種した前記希釈液の希釈倍率および体積と、当該第2培地菌数測定用固体培地に形成された前記コロニー数と、菌懸濁のために前記第2培地に添加された液体の体積とから下記計算式4’に基づき、(c1)工程で培養した後の第2培地に存在する前記評価対象菌の菌数を算出する工程。
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【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の抗菌活性評価方法において、
前記評価対象物質は、香料組成物である、抗菌活性評価方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌活性評価方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の衛生に対する関心が高まり、抗菌および/または除菌を謳った製品が増加しており、特に、芳香剤、ディフューザーまたはスプレーなどにより、抗菌作用および/または除菌作用を有する化合物の気体を拡散させるか、抗菌作用および/または除菌作用を有する化合物を含む液体を噴霧しこの液体から当該化合物の気体を蒸発させることで、空間を抗菌および/または除菌する製品が多く見られるようになった。そのため、空間の抗菌および/または除菌する製品の抗菌活性の評価方法を確立することは喫緊の課題である。
【0003】
これまで、抗菌作用および/または除菌作用の評価方法はいくつか知られている。例えば、特許文献1には、抗微生物活性検出方法であって、被験試料用容器及び供試微生物培養手段の出し入れが可能な開口部を備えた容器本体が内包する空間に、供試微生物が接種された微生物培養手段及び被験試料を並置し、該空間を実質的に外気と遮断して所定時間静置し、ならびに前記微生物の発育(増殖)状態から、被験試料から発生する蒸気が有する抗微生物活性を判定する、工程を含む検出方法、および、前記判定の後、微生物培養手段により微生物を培養して観察し、被験試料の有する静菌および/または殺菌活性を判定する工程をさらに含む検出方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2は抗菌性繊維の発明が記載されているが、その繊維の抗菌性試験法として、菌数測定法およびシャークフラスコ法が記載されている。菌数測定法は、試料(繊維)に菌液を接種して所定の温度で培養した後に、培養前後の菌数を常法により計測する方法である。シャークフラスコ法は、試料(繊維)および菌液を三角フラスコに入れ1時間振盪し、振盪前後の菌数を計測する方法である。
【0005】
特許文献3は、セラミックス製品やガラス製品の被評価面に接種用菌液を接種し、その上に被覆フィルムを被せて蓋をした後、一定条件下で保存する第1工程と、該第1工程後、一定培地を用いて該被評価面及び該被覆フィルムに付着している菌を測定液中に洗い出し、該測定液中の生菌数を測定する第2工程とを有する被評価面の抗菌性評価方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平10-108691号公報
特開平4-156850号公報
特開2001-299384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、被験試料から発生する蒸気が有する抗菌活性(抗微生物活性ともいい、抗菌活性には静菌(細胞分裂の抑制)と殺菌との両方が含まれる。以下本明細書において同じ。)を測定する方法として有用である。しかしながら、特許文献1における「菌の発育(増殖)が認められたもの/菌の発育が認められなかったもの」とは、一般的に、目視によってコロニー(集落ともいい、細胞生物学にて細菌や培養細胞などが形成する単一細胞由来の集合体(細胞塊)。以下本明細書において同じ。)が出現したかどうかで判断され、コロニーが出現すると菌の発育が認められたものとして、一律で「(抗菌)活性なし」と判定されてしまう。発明者らの検討によれば、被験試料から発生する蒸気が比較的穏やかな抗菌活性を有していると、菌の細胞分裂を抑制した結果、コロニー数(集落数)が同じかほとんど減少せずに、コロニーの大きさが小さくなる場合がある。さらには、実際には、被験試料から発生する蒸気がさらに穏やかな抗菌活性を有していると、コロニー数(集落数)が同じで、かつ、コロニーの大きさもほとんど変化しない場合もある。このような場合、特許文献1に記載の技術にあっては、抗菌作用および/または除菌作用が比較的穏やかな気体試料についてはその抗菌活性を評価することができない。
【0008】
また、特許文献1に記載の技術は、菌の発育が認められなかったものについて、蒸気のない環境で培養してさらに菌の発育を確認し、菌の発育が認められれば静菌活性を有し、菌の発育が認められなければ殺菌活性を有するとの判断が可能である。しかしながら、前述の通り、特許文献1における「菌の発育が認められたもの/菌の発育が認められなかったもの」とは、目視によってコロニーが出現したかどうかで判断されるため、コロニーが出現しない程度に菌が発育している場合は、「菌の発育が認められなかったもの」と判断されてしまうという問題があった。
【0009】
特許文献2および3に記載の技術は、抗菌性を有する試料(繊維、セラミックスおよびガラス等)に菌液を接種した後に菌数を測定する方法であり、固体試料表面の抗菌活性を測定する方法として有用であるが、当然、気体試料に直ちに適用することはできない。また、このように固体試料表面に接種した菌は、増殖するための栄養がない状態で培養することになるため、固体試料表面の抗菌活性がなくても菌は死滅していく。その結果、日常生活の菌が増殖するような環境において使用される製品に対する抗菌活性の定量的な評価は難しいという問題があった。
【0010】
本発明の課題は、評価対象物質から発生する蒸気が有する抗菌活性を定量的に評価できる抗菌活性評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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