TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024138814
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-09
出願番号2023049512
出願日2023-03-27
発明の名称細胞回収具
出願人豊田合成株式会社
代理人個人
主分類C12M 1/00 20060101AFI20241002BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】足場を破損せずに、細胞を高回収率で回収することができる細胞回収具を提供する。
【解決手段】足場に培養した細胞を回収する細胞回収具において、足場に対向した姿勢で押し当てる先端面2を備え、該先端面2から凹んだ分散状の複数個の凹所3又はネットワーク状に繋がった凹所を有する先端部1と、前記先端部1の後側に設けられた、厚さが2mm以上であり、25%圧縮応力が0.5~300kPaである柔軟部4と、前記柔軟部の後側に設けられた、指で摘める摘み部5とを含んでなる細胞回収具。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
足場に培養した細胞を回収する細胞回収具において、
足場に対向した姿勢で押し当てる先端面を備え、該先端面から凹んだ分散状の複数個の凹所又はネットワーク状に繋がった凹所を有する先端部と、
前記先端部の後側に設けられた、厚さが2mm以上であり、25%圧縮応力が0.5~300kPaである柔軟部と、
前記柔軟部の後側に設けられた、指で摘める摘み部と
を含んでなり、
前記先端面の面積が、前記足場の面積の0.8倍以下である
ことを特徴とする細胞回収具。
続きを表示(約 530 文字)【請求項2】
前記先端面が、平らな面である請求項1記載の細胞回収具。
【請求項3】
前記先端面の形状が、直線又は内側へ凹んだ曲線である辺を少なくとも一つ有する有辺形である請求項1記載の細胞回収具。
【請求項4】
前記先端面の面積が、前記足場の面積の0.35倍以上である請求項1記載の細胞回収具。
【請求項5】
前記凹所が、30~500μmのいずれかの直径をもつ仮想球体が嵌入しうる凹所である請求項1記載の細胞回収具。
【請求項6】
前記柔軟部が、高分子発泡体からなる請求項1記載の細胞回収具。
【請求項7】
前記先端部が、前記柔軟部と一体であり、前記先端面が、前記柔軟部の切断端面である請求項6記載の細胞回収具。
【請求項8】
前記摘み部が、棒状体からなる請求項1記載の細胞回収具。
【請求項9】
前記摘み部の中心軸線が、前記先端部に対して垂直をなすか又は垂直から15°以内の傾斜をなす請求項8記載の細胞回収具。
【請求項10】
前記摘み部の断面形状が、円、楕円又は角数が5以上の多角形である請求項9記載の細胞回収具。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、足場に培養した細胞を回収する細胞回収具に関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
創薬、再生医療などの種々の分野で、細胞の培養が行われている。足場依存性の細胞を培養するには、足場に細胞を着け、栄養となる培地を加えて細胞を培養し、培養した細胞を細胞回収具で足場からはがして回収するのが一般的である。足場の回りは囲壁に囲まれていることか多い。
【0003】
細胞回収具としては、特許文献1に記載されたような、セルスクレーパーと呼ばれるかき取り具が一般的に使用されている。セルスクレーパーは、ゴム状弾性体材料からなるブレード及びその支持体からなるかき取り部と、それを保持する柄とで構成されている。そして、作業者が柄を持ち、ブレードを足場の一方から他方へ極力長くかき動かすという操作をすることにより、該ブレードで細胞を足場からかき取って回収する。
【0004】
しかし、このセルスクレーパーによるかき取りには、次のような問題があった。
(ア)足場が膜のように弱いものである場合に、ブレードから過大な力をかけてしまって足場が破損することがあり、コンタミ(破損物の混入)が起こりうる。
(イ)また、ブレードは弾性材料ではあるが細胞との比較では相当に硬いものであるため、前記操作時に、物理的な刺激により細胞にダメージを与え、細胞の回収率が低下することがある。
(ウ)操作法は前述のとおり(ブレードを極力長くかき動かす)なので、足場の回りが囲壁に囲まれている場合に、囲壁にブレードが当たってその動きが邪魔され、足場の広範囲から細胞をかき取ることが難しく、細胞の回収率が悪くなる。
【0005】
その他の細胞回収具として、特許文献2には、複数枚の合成樹脂のリボンが長辺方向に沿って互いに結合されたモノファーバーの異形繊維からなる採取部を備えた細胞採取具が開示されている。また、特許文献3には、支持体の側面から突出する複数の突刺部によってシート状移植片を突刺すようにした移送デバイスが開示されている。しかし、これらは一般的に使用されるには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
実願平4-10788号(実開平5-80300号)のCD-ROM
特開2021-132574号公報
特開2013-198442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、足場を破損せずに、細胞を回収することができる細胞回収具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]足場に培養した細胞を回収する細胞回収具において、
足場に対向した姿勢で押し当てる先端面と、該先端面から凹んだ分散状の複数個の凹所又はネットワーク状に繋がった凹所とを有する先端部と、
前記先端部の後側に設けられた、厚さが2mm以上であり、25%圧縮応力が0.5~300kPaである柔軟部と、
前記柔軟部の後側に設けられた、指で摘める摘み部とを含んでなり、
前記先端面の面積が、前記足場の面積の0.8倍以下であることを特徴とする細胞回収具。
ここで、「先端面の面積」は、凹所の面積も包含する、先端面の輪郭内の面積である。
【0009】
[作用]
摘み部を指で摘み、先端面を足場に対向した姿勢で軽く押し当ててから、先端部を回転させたり短くスライドさせたりして足場の面方向に動かす。この操作により、凹所により表面積が増大している先端面に、細胞が付着する。また、先端部の回りにも、細胞がぬぐい取られて付着する。こうして、足場の広範囲の細胞を付着させることができる。
(ア)この操作時に、前記厚さ及び圧縮応力の柔軟部が適度に圧縮してクッションとなるため、物理的な刺激により細胞に与えるダメージが小さく、細胞の回収率が低下しない、
(イ)また、足場が膜のように弱いものである場合でも、足場への負荷が前記クッションで緩和されるため、足場が破損しにくい。
(ウ)操作法は前述のとおり(先端面を足場に対向した姿勢で軽く押し当ててから回転・短くスライドさせる)なので、足場の回りが囲壁で囲まれている場合でも、囲壁に先端部及び柔軟部の動きがほとんど邪魔されず、足場の広範囲から細胞をぬぐい取ることができ、細胞の回収率が良くなる。
等の作用が得られる。
【0010】
柔軟部の厚さが2mm未満であると、柔軟部の圧縮代が不足して足場への負荷が大きくなる。柔軟部の厚さは3mm以上がより好ましい。柔軟部の厚さの上限は、特にないが、敢えていえば15mmである。
柔軟部の25%圧縮応力が0.5~300kPaであることにより、細胞をぬぐい取るための力が確保され、かつ、足場を破損しにくい。柔軟部の25%圧縮応力が、0.5kPa未満であると細胞をぬぐい取るための力が弱くなり、300kPaを超えると足場への負荷が大きくなり膜を破損してしまう場合がある。柔軟部の25%圧縮応力は0.5~200kPaであることが、足場をさらに破損しにくい点で望ましい。
先端面の面積が足場の面積の0.8倍以下であることにより、前記のとおり先端部を回転・スライドさせて足場の面方向に動かしやすい。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許