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公開番号2024152037
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-25
出願番号2023065939
出願日2023-04-13
発明の名称波形解析方法、波形解析装置、及び分析装置
出願人株式会社島津製作所
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類G01N 30/86 20060101AFI20241018BHJP(測定;試験)
要約【課題】自動でピーク検出を行う際により正確なピーク情報を提供する。
【解決手段】クロマトグラム等の信号波形を解析する方法であって、参照波形を分割することにより作成された複数の部分波形からなる組を機械学習によって、入力される波形に含まれるピーク部分を特定する学習済みモデルを作成するステップと、解析対象波形を複数の部分波形に分割し、複数の部分波形の各々がピーク部分であるか否かを判定し、解析対象波形における、重畳ピーク領域等を含む複数の異なる種類の領域を推定するステップと、重畳ピーク領域であると推定された領域に含まれる重畳ピークについて、複数のピークのうちのいずれか一つ若しくは複数のピークの高さ、隣接する二つピークの間の谷の深さ、谷の底部と谷を挟む一方のピークの頂部との間の横軸方向の幅、の少なくともいずれか一つの情報を用い、一つの成分による多峰性ピークであるか否かを判定するステップと、を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
クロマトグラム又はスペクトルである信号波形を解析する波形解析方法であって、
ピーク部分の位置が既知である参照波形を分割することにより作成された複数の部分波形からなる組を複数用いた機械学習によって、入力される波形に含まれるピーク部分を特定する学習済みモデルを作成するモデル作成ステップと、
解析対象波形を複数の部分波形に分割し、前記学習済みモデルを用いて該複数の部分波形のそれぞれがピーク部分であるか否かを判定し、該判定の結果に基いて、前記解析対象波形における、単一ピーク領域、重畳ピーク領域、及び非ピーク領域を含む複数の異なる種類の領域を推定する領域推定ステップと、
前記領域推定ステップにおいて重畳ピーク領域であると推定された領域に含まれる重畳ピークについて、複数のピークのうちのいずれか一つ若しくは複数のピークの高さ、複数のピークのうちの隣接する二つピークの間の谷の深さ、又は、該谷の底部と該谷を挟む一方のピークの頂部との間の横軸方向の幅、の少なくともいずれか一つの情報を用い、一つの成分による多峰性ピークであるか否かを判定する多峰性判定ステップと、
を有する波形解析方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記多峰性判定ステップにおいて多峰性ピークであると判定された場合に、該多峰性ピークを単一ピークとして扱えるように統合する統合ステップ、をさらに有する、請求項1に記載の波形解析方法。
【請求項3】
ユーザーの選択に応じて前記統合ステップによる統合の実行の有無を切り替える、請求項2に記載の波形解析方法。
【請求項4】
前記重畳ピーク領域は、重畳ピークの分割方法に応じて、垂直分割ピーク領域を含む複数種類の領域に細分化されており、前記多峰性判定ステップでは、垂直分割ピーク領域に対応するピークについて多峰性ピークであるか否かを判定する、請求項1に記載の波形解析方法。
【請求項5】
前記多峰性判定ステップでは、メインピーク又はショルダーピークの高さが所定の閾値以下であることを多峰性ピークである条件の一つとする、請求項1に記載の波形解析方法。
【請求項6】
前記多峰性判定ステップでは、メインピークとショルダーピークとの高さの比率、隣接する二つのピークの間の谷の深さとそのいずれか一方のピークの高さとの比率、又は、該谷の底部といずれか一方のピークの頂部との間の幅、の少なくともいずれか一つを用いて多峰性ピークの判定を行う、請求項1に記載の波形解析方法。
【請求項7】
前記多峰性判定ステップでは、重畳ピーク領域におけるSN比、分離度、シンメトリー係数、面積、又は、ピーク幅のうちのいずれか一つ以上を計算し、その計算結果を多峰性ピークの判定に併せて利用する、請求項1に記載の波形解析方法。
【請求項8】
前記信号波形はクロマトグラフ質量分析により得られたクロマトグラムであり、前記多峰性判定ステップでは、同一成分についての定量イオンのクロマトグラムに対する判定結果と確認イオンのクロマトグラムに対する判定結果との両方を利用して多峰性ピークを判定する、請求項1に記載の波形解析方法。
【請求項9】
前記多峰性判定ステップでは、目的化合物に関する化合物情報を多峰性ピークの判定に利用する、請求項1に記載の波形解析方法。
【請求項10】
前記多峰性判定ステップでは、重畳ピーク波形に対してスムージング処理を行う前後の波形の差異を多峰性ピークの判定に利用する、請求項1に記載の波形解析方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置により取得された信号波形を解析する方法及び装置、並びに、そうした波形解析装置を備えた分析装置に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)等の分析装置により取得されるクロマトグラムには、試料に含まれる成分由来のピークが現れる。そうした分析装置に備えられたデータ装置では、一般に、分析により得られたクロマトグラムに対する波形処理を行うことでピークが検出され、検出された複数のピークに対し同定処理を行うことで目的化合物のピークが同定される。また、同定されたピークの面積又は高さから、該ピークに対応する化合物の濃度や含有量が算出される。
【0003】
これまでピークを検出する方法として様々な方法が実用に供されているが、近年、新たなピーク検出方法として、機械学習を利用した方法が提案され実用化されている(特許文献1、非特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の記載に波形解析方法では、ピーク部分の位置が既知である参照波形を時間軸方向に細かく分割することで作成された複数の部分波形を含む組を参照波形毎に用意し、多数組の参照波形毎の部分波形を用いた機械学習によって、入力波形に含まれるピーク部分に相当する部分波形を特定する学習済みモデルを作成する。解析対象波形も参照波形と同様に複数の部分波形に分割し、学習済みモデルを用いてその複数の部分波形のそれぞれがピーク部分であるか否かを判定する。そして、その判定結果に基いて解析対象波形のうちのピーク領域とそれ以外の領域とを決定する。ピーク部分以外に、ピーク開始点、ピーク終了点に対応する部分波形を用いた機械学習を行うことで、解析対象波形における複数の部分波形の中で、ピーク開始点、ピーク終了点に対応する部分波形も見つけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2021/064924号
【非特許文献】
【0006】
「Peakintelligence for LCMS LabSolutions LCMS、LabSolutions Insight向け波形処理オプションソフトウェア」、[online]、[2023年3月16日検索]、株式会社島津製作所、インターネット<URL:https://www.an.shimadzu.co.jp/products/liquid-chromatograph-mass-spectrometry/lc-ms-software/peakintelligence/index.html>
Olaf Ronneberger、ほか2名、「U-Net: Convolutional Networks for Biomedical Image Segmentation」、[online]、[Submitted on 18 May 2015]、arXiv.org、インターネット<URL: https://arxiv.org/pdf/1505.04597.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
クロマトグラム等の波形では、しばしば複数の成分由来のピークが重なって観測される。そのため、特許文献1に記載の波形解析方法においても、重畳ピークを分離するために、テーリング処理、完全分離、垂直分割等の処理を行い得ることが示されている。機械学習を利用したピーク検出では、様々な重畳ピークの波形形状とピーク開始点、終了点等を学習することで、解析対象の重畳ピークがいずれの分離手法で最も適切に分離されるものかを判定することができる。
【0008】
特に成分濃度が低いサンプルをガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(LC-MS)により分析して得られるクロマトグラムでは、目的成分由来のイオンの数が少ないためにピークが多峰形状で現れることがある。多峰形状のピーク(以下「多峰性ピーク」という)は、見かけ上、重畳ピークと区別がつきにくい。そのため、従来の機械学習を用いたピーク検出法では、多峰性ピークの谷部分をピークの終了点及び開始点と判断してしまうケースがあり、それがピーク誤検出の一つの要因となっていた。
【0009】
本発明の目的は、機械学習を利用したピーク検出処理において、特に成分濃度が低い等の理由によってピークが多峰形状になった場合であっても、重畳ピークであるとの誤判定を軽減し多峰性ピークを的確に認識することができる波形解析方法及び波形解析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る波形解析方法の一態様は、クロマトグラム又はスペクトルである信号波形を解析する波形解析方法であって、
ピーク部分の位置が既知である参照波形を分割することにより作成された複数の部分波形からなる組を複数用いた機械学習によって、入力される波形に含まれるピーク部分を特定する学習済みモデルを作成するモデル作成ステップと、
解析対象波形を複数の部分波形に分割し、前記学習済みモデルを用いて該複数の部分波形のそれぞれがピーク部分であるか否かを判定し、該判定の結果に基いて、前記解析対象波形における、単一ピーク領域、重畳ピーク領域、及び非ピーク領域を含む複数の異なる種類の領域を推定する領域推定ステップと、
前記領域推定ステップにおいて重畳ピーク領域であると推定された領域に含まれる重畳ピークについて、複数のピークのうちのいずれか一つ若しくは複数のピークの高さ、複数のピークのうちの隣接する二つピークの間の谷の深さ、又は、該谷の底部と該谷を挟む一方のピークの頂部との間の横軸方向の幅、の少なくともいずれか一つの情報を用い、一つの成分による多峰性ピークであるか否かを判定する多峰性判定ステップと、
を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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