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公開番号2024096785
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-17
出願番号2024060751,2021543274
出願日2024-04-04,2020-01-23
発明の名称ヒト多能性幹細胞からの背側由来オリゴデンドロサイト前駆細胞
出願人アステリアス バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 5/0797 20100101AFI20240709BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】多能性幹細胞を、背側脊髄前駆細胞表現型を有する神経外胚葉前駆細胞に、さらにグリア前駆細胞およびオリゴデンドロサイト前駆細胞に分化させるための新規方法を提供する。
【解決手段】BMPシグナル伝達およびMAPK/ERKシグナル伝達の阻害物質を用いて、ヒト多能性幹細胞を背側神経外胚葉前駆細胞に、さらにグリア前駆細胞およびオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)に分化させるための方法が提供される。得られた細胞および細胞組成物、ならびにそのような細胞の使用もまた提供される。さらに、腹側化モルフォゲンSHHまたはSHHシグナル伝達活性化物質の非存在下でヒト多能性幹細胞をOPCに効率的に分化させるための方法およびプロトコールが提供される。本開示の方法は、分化過程の7日目までに背側神経外胚葉前駆細胞を、分化過程の21日目までにグリア前駆細胞を、そして分化過程の42日目までにOPCを再現性よく生成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
未分化ヒト多能性幹細胞から、背側神経前駆細胞 (dNPC) を含む細胞集団を得るための方法であって、
a) 未分化ヒト多能性幹細胞の培養物を得る工程;
b) マイトジェン活性化プロテインキナーゼ/細胞外シグナル制御キナーゼ (MAPK/ERK) の少なくとも1つの阻害物質、骨形成タンパク質 (BMP) シグナル伝達の少なくとも1つの阻害物質、およびレチノイン酸の存在下で、該未分化ヒト多能性幹細胞を第1の期間にわたり接着培養し、それによって神経外胚葉への分化を誘導する工程;ならびに
c) レチノイン酸の存在下かつソニックヘッジホッグ (SHH) およびSHHシグナル伝達活性化物質の非存在下で、b) からの細胞を第2の期間にわたり接着培養し、それによって背側神経前駆細胞を得る工程
を含む、該方法。
続きを表示(約 990 文字)【請求項2】
工程c) からの細胞を収集し、収集した該細胞を基質上に再プレーティングし、かつ、塩基性線維芽細胞増殖因子 (bFGF) および上皮増殖因子 (EGF) の存在下で該細胞をさらなる期間にわたりさらに接着培養し、それによって前記神経前駆細胞を増殖させる追加の工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
増殖した前記細胞を収集し、かつ、該細胞がグリア前駆細胞に成熟するまで、bFGFおよびEGFの存在下で該細胞を凝集体として懸濁液中でさらなる期間にわたりさらに培養する追加の工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
グリア前駆細胞を含む前記凝集体を基質上にプレーティングし、かつ、該細胞がオリゴデンドロサイト前駆細胞 (OPC) に成熟するまで、任意で該細胞を時々分割しながら、上皮増殖因子 (EGF) の存在下で該細胞をさらなる期間にわたり接着培養する追加の工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
グリア前駆細胞を含む前記凝集体を基質上にプレーティングし、かつ、該細胞がオリゴデンドロサイト前駆細胞 (OPC) に成熟するまで、任意で該細胞を時々分割しながら、血小板由来増殖因子AA (PDGF-AA) およびEGFの存在下で該細胞をさらなる期間にわたり接着培養する追加の工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記方法におけるある段階で前記細胞を凍結保存し、かつその後、該細胞を解凍して該方法を続行する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記基質が組換えヒトラミニン-521である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒト多能性幹細胞がヒト胚性幹細胞 (hESC) である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒト多能性幹細胞がヒト人工多能性幹細胞 (hiPSC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
MAPK/ERKキナーゼの前記少なくとも1つの阻害物質が、PD0325901、AZD6244、GSK1120212、PD184352、およびコビメチニブからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年7月23日に出願された米国仮特許出願第62/796,077号に対する優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
続きを表示(約 3,800 文字)【0002】
発明の分野
本開示は、ヒト胚性幹細胞などの多能性幹細胞を、最初に背側脊髄前駆細胞表現型を有する神経外胚葉前駆細胞に、次いでさらにグリア前駆細胞に、およびさらにオリゴデンドロサイト前駆細胞に分化させるための新規方法に関する。そのような方法によって得られた細胞および細胞組成物、ならびにそのような細胞の使用もまた提供される。本開示はさらに、1つまたは複数のマーカーを発現する、本発明による方法によって生成された細胞に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
オリゴデンドロサイト前駆細胞 (OPC) は、中枢神経系 (CNS) 内のグリア細胞のサブタイプであり、脳および脊髄の脳室帯において生じ、発生中のCNS全体に遊走した後、成熟してオリゴデンドロサイトになる。成熟したオリゴデンドロサイトは、ニューロンの軸索を絶縁するミエリン鞘を生成し、ミエリン鞘が失われたCNS病変を再ミエリン化する。オリゴデンドロサイトはまた、ニューロンの生存を促進する神経栄養因子の産生を含む他の機構を通じて、神経保護に寄与する(Wilkins et al., 2001 Glia 36(l):48-57;Dai et al., 2003 J Neurosci. 23(13):5846-53;Du and Dreyfus, 2002 J Neurosci Res. 68(6):647-54)。大部分の前駆細胞とは異なり、OPCは成体CNS中に依然として豊富に存在し、新たなオリゴデンドロサイトを生じる能力を保持している。したがって、OPCおよびOPC由来の成熟したオリゴデンドロサイトは、脱髄障害および髄鞘形成不全障害(多発性硬化症、副腎白質ジストロフィー、および副腎脊髄ニューロパチーなど)、その他の神経変性障害(アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、およびハンチントン病など)、ならびに急性神経損傷(脳卒中および脊髄損傷 (SCI) など)の重要な治療標的である。
【0004】
胚性幹細胞 (ESC) および人工多能性幹細胞 (iPSC) などのヒト多能性幹細胞を、細胞治療において使用され得るOPCに分化させるためのいくつかのプロトコールが開発されている。これまで、ヒト多能性幹細胞からオリゴデンドロサイト前駆細胞を作製するためのプロトコールは、インビボで脊髄OPCの大部分を生じることが公知である、発生中の脊髄の腹側運動ニューロン前駆細胞 (pMN) ドメインを再現していた(Rowitch, 2004 Nat Rev Neurosci. 5(5):409-19;Ravanelli and Appel, 2015 Genes Dev. 29(23):2504-15)。腹側由来のOPCを生じる腹側神経前駆細胞の誘導には、ソニックヘッジホッグ (SHH) シグナル伝達の活性化が必要である。(Ericson et al., 1996 Cell 87: 661-673;Orentas et al., 1999 Development 126(11):2419-29)。その結果として、多能性幹細胞からOPCを生成するための既存のインビトロプロトコールは、内因性SHH活性化を刺激する手段としての胚様体形成 (Nistor et al., 2005 Glia 49(3):385-96)、またはSHHの直接添加もしくはSHHシグナル伝達の活性化物質の直接添加(Stacpoole et al., 2013 Stem Cell Reports 1(5):437-50;Douvaras and Fossati, 2015 Nat Protoc. 10(8):1143-54;Piao et al., 2015 Cell Stem Cell 16(2):198-210;Wang et al., 2013 Cell Stem Cell 12(2):252-64;Rodrigues et al., 2017 Stem Cell Reports 8(6):1770-1783;およびYamashita et al., 2017 PLoS One 12(2):e0171947)のいずれかに依存している。前者のアプローチは、胚様体内での自発的な分化に依存し、分化過程の最後に不必要な細胞型が生じ得るため、問題がある可能性がある(Priest et al., 2015 Regen Med. 10(8):939-58;Manley et al., 2017 Stem Cells Transl Med. 6(10):1917-1929)。後者の指向性分化は、多能性幹細胞由来のOPCを生成するための現在のアプローチに相当する。これらの方法は、研究目的のためにヒト多能性幹細胞からOPCを作製することに成功しているが、既存のプロトコールを臨床的な商業スケールの生産工程に変換することに関連して、物品の品質、拡張可能性、およびコストに関して課題が残っている。
【0005】
マウスでは、SHHシグナル伝達とは無関係に、背側脊髄においてより小さな第2波のOPCが生成される(Cai et al., 2005 Neuron 45(1): 41-53;Vallstedt et al., 2005 Neuron 45(1): 55-67)。これらの背側由来のマウスOPCは成熟してオリゴデンドロサイトになり、発生過程の軸索のミエリン形成、および局所的なミエリン形成損傷に応答した再ミエリン化に寄与する (Zhu et al., 2011 Glia 59(11):1612-21)。ヒトにおける推定上の背側由来のOPC集団については、あまり知られていない。最近、OLIG2-GFPノックインhPSCレポーター株を用いて作製された、複数の細胞型からなるヒト脳領域特異的前脳オルガノイド(背側前脳オルガノイドおよび腹側前脳オルガノイド)を、機能的なニューロンおよびオリゴデンドログリア細胞の両方に分化させることができることが報告された(Kim et al.、https://www.biorxiv.org/content/biorxiv/early/2018/11/04/460907.full.pdfにおいて利用可能)。しかしながら、これまで、下流の細胞治療適用に適した標的系列特異的細胞集団をもたらし得るヒト多能性幹細胞の指向性分化によって得られた背側由来のOPCの報告はない。
【0006】
多能性幹細胞をOPCに分化させるための改良法が必要である。理想的には、そのような方法は、所望の品質特性を有する標的細胞OPCを一貫してかつ再現性よく生成しながら、細胞治療適用に十分な量のOPCを生成するために容易に拡張可能であるべきである。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載される様々な態様において、本開示は、とりわけ、ESCおよびiPSCなどのヒト多能性幹細胞を背側神経外胚葉前駆細胞 (dNPC) に、そしてさらにグリア前駆細胞およびOPCに分化させるための堅牢で信頼性のあるプロトコールを提供する。
【0008】
本開示は、一部には、ヒト多能性幹細胞を、SHHシグナル伝達によって媒介される神経外胚葉拘束前駆細胞の腹側化の非存在下で、脊髄OPCに容易にかつ効率的に分化させることができるという発見に基づいている。
【0009】
本開示のある特定の態様において、背側脊髄表現型を有する神経外胚葉前駆細胞は、ヒト多能性幹細胞を、骨形成タンパク質 (BMP) シグナル伝達の1つまたは複数の阻害物質およびレチノイン酸と組み合わせたマイトジェン活性化プロテインキナーゼ/細胞外シグナル制御キナーゼ (MAPK/ERK) シグナル伝達の1つまたは複数の阻害物質と接触させることによって得られる。このアプローチは、二重SMAD阻害としても公知である、トランスフォーミング増殖因子β (TGFβ)/アクチビン/Nodalシグナル伝達阻害物質とBMPシグナル伝達阻害物質の併用添加に依存する、神経外胚葉を誘導する現在の方法とは対照的である(Chambers et al., 2009 Nat. Biotechnol 27 (3):275-280;Douvaras and Fossati, 2015 Nat Protoc. 10(8):1143-54;Piao et al., 2015 Cell Stem Cell 16(2))。
【0010】
驚くべきことに、上記のプロトコールに従って得られ、腹側化モルフォゲンSHHにもSHHシグナル伝達活性化物質にも曝露されていない背側神経外胚葉前駆細胞を、脊髄OPCに容易に分化させることができることが発見された。SHHシグナル伝達が活性化される分化プロトコールと比較して、本開示の方法により、著しくより多数の分化細胞が得られることもまた発見された。細胞増殖および細胞収量の実質的な増加により、本開示の方法は、細胞治療およびその他の適用のための大量のOPCおよびその他の神経外胚葉系細胞を生成するための拡張可能でかつ再現性のある過程を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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