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公開番号2024095388
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-10
出願番号2022212659
出願日2022-12-28
発明の名称細胞の集合構造体の作製方法および作製装置
出願人澁谷工業株式会社
代理人個人,個人
主分類C12N 5/07 20100101AFI20240703BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 細胞凝集塊にダメージを与えることなく、安定的に培養容器内で複数の細胞凝集塊を培養して、各細胞凝集塊が相互に融合した集合構造体を作製する。
【解決手段】 複数のピン21bを所定の配置で立設された支持体21を準備するとともに、複数のピン21bにゼラチン粒子3を穿刺させて、細胞凝集塊2を収容可能な収容部Pを形成する。
上記収容部Pのそれぞれに細胞凝集塊2を収容して、上記ピン21bに穿刺されたゼラチン粒子3上に細胞凝集塊2を載置するようにした。
【選択図】 図4
特許請求の範囲【請求項1】
培養容器内に複数の細胞凝集塊を隣接させて収容し、当該培養容器内で細胞凝集塊を培養して、各細胞凝集塊が相互に融合した集合構造体を作製する細胞の集合構造体の作製方法において、
複数のピンが所定の配置で立設された支持体を準備するステップと、
上記複数のピンにゼラチン粒子を穿刺させて上記支持体の所定位置に保持させるとともに、上記複数のピンの間に上記細胞凝集塊を収容する収容部を形成するステップと、
上記収容部に細胞凝集塊を収容させて、上記ピンに穿刺された複数のゼラチン粒子上に細胞凝集塊を載置させるステップと、
上記細胞凝集塊を複数のゼラチン粒子上に載置させた状態で培養するステップとを有することを特徴とする細胞の集合構造体の作製方法。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
上記複数のピンが上記支持体に行方向および列方向に等ピッチで配置され、上記複数のゼラチン粒子を上記ピンの同じ高さに保持させることを特徴とする請求項1に記載の細胞の集合構造体の作製方法。
【請求項3】
上記ゼラチン粒子は上記ピンのピッチよりも小さく形成され、上記細胞凝集塊は上記ピンのピッチと略同じかそれよりも大きく形成されることを特徴とする請求項2に記載の細胞の集合構造体の作製方法。
【請求項4】
培養容器内に複数の細胞凝集塊を隣接させて収容し、当該培養容器内で細胞凝集塊を培養して、各細胞凝集塊が相互に融合した集合構造体を作製する細胞の集合構造体の作製装置において、
複数のピンが所定の配置で立設された支持体と、上記支持体にゼラチン粒子を供給するゼラチン粒子供給手段と、上記支持体に細胞凝集塊を供給する細胞凝集塊供給手段とを備え、
上記ゼラチン粒子供給手段は、上記支持体の複数のピンにゼラチン粒子を穿刺させて所定位置に保持させ、上記複数のピンの間に上記細胞凝集塊を収容する収容部を形成し、
上記細胞凝集塊供給手段は、上記収容部に細胞凝集塊を収容させて、上記ピンに穿刺された複数のゼラチン粒子上に上記細胞凝集塊を載置させ、
上記細胞凝集塊を複数のゼラチン粒子上に載置させた状態で培養することを特徴とする細胞の集合構造体の作製装置。
【請求項5】
上記ゼラチン粒子供給手段と細胞凝集塊供給手段とを、ゼラチン粒子および細胞凝集塊を吸着可能な吸引ノズルを備えた共通の供給手段により構成したことを特徴とする請求項4に記載の細胞の集合構造体の作製装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は細胞の集合構造体の作製方法および作製装置に関し、詳しくは培養容器内に複数の細胞凝集塊を隣接させて収容し、当該培養容器内で細胞凝集塊を培養して、各細胞凝集塊が相互に融合した細胞の集合構造体を作製する細胞の集合構造体の作製方法および作製装置に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
今日、損傷を受けた生体機能を幹細胞などを用いて復元させる再生医療において、予め細胞を略球状に培養した複数の細胞凝集塊(スフェロイド)を隣接させて配置し、これらの細胞凝集塊同士を融合させることで細胞の集合構造体を作製する方法が知られている。
このような細胞の集合構造体の作製方法として、複数の針状のピンに貫通させて複数の細胞凝集塊を隣接させて保持する方法(特許文献1)や、ピンとピンとの間に細胞凝集塊を挟持させて、複数の細胞凝集塊を隣接させて保持する方法が提案されている(特許文献2)。
一方、上述したピンを用いて複数の細胞凝集塊を隣接させて保持する構成に対し、保持部が形成されるとともに架橋されたゼラチン支持体に複数の細胞凝集塊を隣接させて整列させ、ゼラチン支持体ごと培養液に浸漬することにより、ゼラチン支持体を溶解させながら細胞凝集塊を培養して融合させる方法も提案されている(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5896104号公報
特許第6882658号公報
特許第7041346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1や特許文献2のように複数のピンによって複数の細胞凝集塊を隣接させて保持する場合、細胞凝集塊をピンに貫通させる特許文献1の方法では、ピンを貫通させることによる細胞凝集塊へのダメージが懸念されており、細胞凝集塊をピンの間に挟持させる特許文献2の方法では、細胞凝集塊の大きさにはばらつきがあることから、培養容器を移動させた際など、培養液が揺れることで小さめの細胞凝集塊がピンの間から脱落することがあった。
また、特許文献1、2とも、細胞凝集塊を立体的に積層させて集合構造体を作製する場合には、集合構造体の中心部分は細胞凝集塊同士が密着して培養液が十分に行き届かず、栄養不足によって細胞の成長および増殖が不良となる場合があった。
一方特許文献3の方法の場合、細胞の集合構造体の作製のためにゼラチン支持体を自作しなければならない。つまりその製造工程は、原料ゼラチンを液体に溶解してゼラチン溶解液とし、当該ゼラチン溶解液を型に注入して凍結乾燥機で低温乾燥した後、真空オーブンで架橋してゼラチン支持体とするものであり、ゼラチン支持体の製造が煩雑であるという問題があった。
このような問題に鑑み、立設させた複数のピンによってダメージを与えることなく安定的に培養容器の内部に複数の細胞凝集塊を隣接させて配置することが可能であり、さらに、細胞凝集塊を立体的に積層させて集合構造体を作製する場合にも、細胞が栄養不足となって成長や増殖が不良となることのない、細胞の集合構造体の作製方法および作製装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる細胞の集合構造体の作製方法は、培養容器内に複数の細胞凝集塊を隣接させて収容し、当該培養容器内で細胞凝集塊を培養して、各細胞凝集塊が相互に融合した集合構造体を作製する細胞の集合構造体の作製方法において、
複数のピンが所定の配置で立設された支持体を準備するステップと、
上記複数のピンにゼラチン粒子を穿刺させて上記支持体の所定位置に保持させるとともに、上記複数のピンの間に上記細胞凝集塊を収容する収容部を形成するステップと、
上記収容部に細胞凝集塊を収容させて、上記ピンに穿刺された複数のゼラチン粒子上に細胞凝集塊を載置させるステップと、
上記細胞凝集塊を複数のゼラチン粒子上に載置させた状態で培養するステップとを有することを特徴としている。
また請求項4の発明にかかる細胞の集合構造体の作製装置は、培養容器内に複数の細胞凝集塊を隣接させて収容し、当該培養容器内で細胞凝集塊を培養して、各細胞凝集塊が相互に融合した集合構造体を作製する細胞の集合構造体の作製装置において、
複数のピンが所定の配置で立設された支持体と、上記支持体にゼラチン粒子を供給するゼラチン粒子供給手段と、上記支持体に細胞凝集塊を供給する細胞凝集塊供給手段とを備え、
上記ゼラチン粒子供給手段は、上記支持体の複数のピンにゼラチン粒子を穿刺させて所定位置に保持させ、上記複数のピンの間に上記細胞凝集塊を収容する収容部を形成し、
上記細胞凝集塊供給手段は、上記収容部に細胞凝集塊を収容させて、上記ピンに穿刺された複数のゼラチン粒子上に上記細胞凝集塊を載置させ、
上記細胞凝集塊を複数のゼラチン粒子上に載置させた状態で培養することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記請求項1および請求項4の発明によれば、支持体に立設させた複数のピンにゼラチン粒子を穿刺させて保持させて、上記複数のピンの間に上記細胞凝集塊を収容可能な収容部を形成するようになっている。
これにより、上記収容部に細胞凝集塊を収容させると、上記ピンに穿刺された複数のゼラチン粒子上に細胞凝集塊を載置させるようになっている。
つまり、細胞凝集塊にダメージを与えることなく、安定的に培養容器内に複数の細胞凝集塊を隣接させて収容して培養することができる。
さらに、細胞凝集塊を立体的に積層させて集合構造体を作製する場合には、細胞凝集塊同士を直接積層させず、細胞凝集塊を複数のゼラチン粒子上に載置させた状態で培養することで、立体的に構成された集合構造体の中心部分で細胞が栄養不足となって成長や増殖が不良となることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
細胞の集合構造体の作製装置を構成するアイソレータとインキュベータの正面図
細胞の集合構造体の作製装置の構成図
細胞の集合構造体の作製装置の構成図
培養容器の断面図
培養容器の平面図
支持体に保持された細胞凝集塊およびゼラチン粒子の拡大図
第2の実施形態に係る細胞の集合構造体の作製装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施形態について説明すると、図1はアイソレータ5を示し、図2、図3は第1実施形態にかかる細胞の集合構造体の作製装置1を示している。
この細胞の集合構造体の作製装置1では、図4に示すように複数の細胞凝集塊2(スフェロイド)およびゼラチン粒子3を培養容器4の内部で積層させて立体的に保持し、その状態で細胞凝集塊2を培養することにより、複数の細胞凝集塊2が相互に融合した細胞の集合構造体(図示せず)を作製するものとなっている。
上記細胞凝集塊2は、例えば上記特許文献1~3に記載されるように、細胞同士が集合し凝集化した100~500μm程度の直径を有した略球状の細胞集合体をいう。
上記細胞凝集塊2は例えば特許第4517125号に開示される方法で作製することが可能であり、ウエルプレートに形成された非接着性のウエル(略半球状の収容部)に細胞を播種して培養すると、細胞は足場を求めて互いに接着し合うことで凝集し、これらがさらに融合することで直径が最大で500μm程度の略球状の細胞凝集塊2が形成される。
なお、細胞凝集塊2の作製方法はこれに限らず、旋回している培養液中に細胞懸濁液を入れる旋回培養法、試験管に細胞懸濁液を入れて遠心分離器で沈殿させる方法、あるいはアルギン酸ビーズを用いて培養する方法など公知の様々な方法で作製することができる。
【0009】
上記ゼラチン粒子3は、ゼラチンを造粒した後、架橋することで粒子状にしたものであって、例えば特許第6989757号に記載されている通り、その製造方法は公知となっている。
また本実施形態において、ゼラチン粒子3とは培養液に浸潤させることでゲル化したものを指し、上記培養液が浸潤したゼラチン粒子3の大きさは、後に詳述するように、細胞凝集塊2の直径よりも小さく、かつ細胞凝集塊2を下方から支持可能な程度の大きさとしている。
【0010】
本実施形態の細胞の集合構造体の作製装置1は、図1に示す内部が無菌状態に維持されたアイソレータ5に収容され、当該アイソレータ5には接離可能なインキュベータ6と、アイソレータ5内に搬入する物品を除染するためのパスボックス5aとが備えられている。
上記アイソレータ5は内部が無菌環境に維持され、また無菌エア供給手段によって上方から下方へと向かう無菌エアによる一方向流が形成されるようになっている。
またアイソレータ5の正面には作業者が装着可能なグローブ5bが設けられており、各種の作業を行うことが可能となっている。なお、アイソレータ5の内部にロボットや所要の構成を有した移送手段を設けて、細胞の集合構造体の作製作業を自動的に行うようにすることもできる。
次に、上記インキュベータ6は、内部が無菌環境に維持されるとともに、細胞の集合構造体の培養に適した所定の温度および湿度に維持され、上記インキュベータ6を上記アイソレータ5より分離して、当該アイソレータ5より離れた場所に載置することが可能となっている。
そのため、上記アイソレータ5とインキュベータ6とは、例えば特許第4656485号公報に記載されるような、インキュベータ6とアイソレータ5とを無菌状態を維持したまま接離させる接続手段によって接続されている。
(【0011】以降は省略されています)

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