TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2024079909
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-13
出願番号2022192595
出願日2022-12-01
発明の名称高増殖性細胞、その製造方法、およびその用途
出願人学校法人東京医科大学
代理人個人
主分類C12N 5/071 20100101AFI20240606BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】細胞増殖能が高められた高増殖性細胞およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】外胚葉性細胞の特徴を備え、以下のA1の発現挙動を示す、外胚葉性細胞由来の高増殖性細胞。(A1)前記高増殖性細胞において、GFAP、S100B、Musashi1、CSPG4、Nestin、およびSLC1A3からなる群から選択された少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現量(E1)およびコントロール遺伝子の発現量(EC)によって決定される相対値(E1/EC)が、特定の基準範囲を充たす。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
外胚葉性細胞の特徴を備え、以下のA1の発現挙動を示す、外胚葉性細胞由来の高増殖性細胞。
(A1)前記高増殖性細胞において、GFAP、S100B、Musashi1、CSPG4、Nestin、およびSLC1A3からなる群から選択された少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現量(E

)およびコントロール遺伝子の発現量(E

)によって決定される相対値(E

/E

)が、下記表1で表される基準範囲を充たす。
TIFF
2024079909000016.tif
44
170
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
外胚葉性細胞の特徴を備え、外胚葉性細胞を低分子シグナル伝達経路阻害剤と接触させた28日以下の培養期間後の細胞数が、前記阻害剤と非接触である以外は同一の培養条件で同一の培養期間にわたり培養された外胚葉性細胞の細胞数に対して、1.0倍を超える増殖能を有する、高増殖性細胞。
【請求項3】
前記高増殖性細胞が、GFAP、SOX2、Musashi1、およびNestinから選択される少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現量が、低分子シグナル伝達経路阻害剤と非接触である以外は同一の培養条件で同一の培養期間にわたり培養された外胚葉性細胞の1.0倍以上である細胞を含む、請求項1または2に記載の高増殖性細胞。
【請求項4】
前記高増殖性細胞が、外胚葉性前駆細胞を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の高増殖性細胞。
【請求項5】
前記外胚葉性細胞が、アストロサイトを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の高増殖性細胞。
【請求項6】
高増殖性細胞の製造方法であって、
(i)原料となる外胚葉性細胞を用意すること、
(ii)低分子シグナル伝達経路阻害剤の存在下、前記原料となる外胚葉性細胞を培養することにより、前記原料となる外胚葉性細胞よりも細胞増殖能が高められた高増殖性細胞を得ること
を含み、
前記(ii)において、前記阻害剤の存在下での培養期間が、28日以下である、高増殖性細胞の製造方法。
【請求項7】
高増殖性細胞の製造方法であって、
(i)原料となる外胚葉性細胞を用意すること、
(ii)低分子シグナル伝達経路阻害剤の存在下、前記原料となる外胚葉性細胞を培養することにより、前記原料となる外胚葉性細胞よりも細胞増殖能が高められた高増殖性細胞を得ること
を含み、
前記(ii)において、条件a1、条件b1および条件c1からなる群より選択される少なくとも1つを充たすまで、前記阻害剤の存在下での培養を行う、高増殖性細胞の製造方法。
(a1)前記阻害剤の存在下で培養している細胞において、GFAP、S100B、Musashi1、CSPG4、Nestin、およびSLC1A3からなる群から選択された少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現量(E

)およびコントロール遺伝子の発現量(E

)によって決定される相対値(E

/E

)が、下記表2で表される基準範囲を充たす。
TIFF
2024079909000017.tif
47
170
(b1)前記阻害剤の存在下で培養している細胞の細胞数が、前記阻害剤の非存在下である以外は同一の培養条件で同一の培養期間にわたり培養された外胚葉性細胞の細胞数に対して、1.0倍を超える。
(c1)前記阻害剤の存在下で培養している細胞において、GFAP、SOX2、Musashi1、およびNestinから選択される少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現量が、前記阻害剤の非存在下である以外は同一の培養条件で同一の培養期間にわたり培養された外胚葉性細胞の1.0倍以上である。
【請求項8】
前記原料となる外胚葉性細胞が、中枢神経系の細胞を含む、請求項6または7に記載の高増殖性細胞の製造方法。
【請求項9】
前記原料となる外胚葉性細胞が、アストロサイトを含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の高増殖性細胞の製造方法。
【請求項10】
前記阻害剤が、TGFβ受容体阻害剤およびROCK阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項6~9のいずれか1項に記載の高増殖性細胞の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高増殖性細胞、その製造方法、およびその用途に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
再生医療の分野において、生体内の種々の細胞、種々の分化段階の細胞、または特定方向へ分化誘導された細胞等が利用されている。生体での使用を考慮すれば、これらの細胞については、遺伝子改変を伴わないことが望ましい。これまで、内胚葉性の成熟細胞に特定の低分子化合物を接触させることにより、遺伝子改変を伴うことなく、前記成熟細胞を、幹細胞または前駆細胞にリプログラミングできることが報告されている(特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2017/119512号
国際公開第2020/080550号
【発明の概要】
【0004】
一方、遺伝子改変を行わずに得られる細胞、なかでも比較的、成熟細胞に近い細胞の多くは、増殖能に制限があって、長期にわたって生体内外で維持できない傾向がある。このため、細胞の機能の長期利用、または、細胞が生成する有用物質の大量生産等に有効な高増殖性の細胞に対する要請が、依然として残されている。特に、神経系の細胞を含む外胚葉性細胞については、内胚葉性細胞と異なり十分に利用できていない。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、高増殖性細胞、高増殖性細胞を製造する方法、およびその用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、特定の性質を有する外胚葉性細胞由来の高増殖性細胞を得た。
【0007】
すなわち、本開示は以下の形態を含む。
[1]外胚葉性細胞の特徴を備え、以下のA1の発現挙動を示す、外胚葉性細胞由来の高増殖性細胞。
(A1)前記高増殖性細胞において、GFAP、S100B、Musashi1、CSPG4、Nestin、およびSLC1A3からなる群から選択された少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現量(E

)およびコントロール遺伝子の発現量(E

)によって決定される相対値(E

/E

)が、下記表1で表される基準範囲を充たす。
TIFF
2024079909000001.tif
44
170
[2]外胚葉性細胞の特徴を備え、外胚葉性細胞を低分子シグナル伝達経路阻害剤と接触させた28日以下の培養期間後の細胞数が、前記阻害剤と非接触である以外は同一の培養条件で同一の培養期間にわたり培養された外胚葉性細胞の細胞数に対して、1.0倍を超える増殖能を有する、高増殖性細胞。
[3]前記高増殖性細胞が、GFAP、SOX2、Musashi1、およびNestinから選択される少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現量が、低分子シグナル伝達経路阻害剤と非接触である以外は同一の培養条件で同一の培養期間にわたり培養された外胚葉性細胞の1.0倍以上である細胞を含む、[1]または[2]に記載の高増殖性細胞。
[4]前記高増殖性細胞が、外胚葉性前駆細胞を含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の高増殖性細胞。
[5]前記外胚葉性細胞が、アストロサイトを含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の高増殖性細胞。
【0008】
[6]高増殖性細胞の製造方法であって、
(i)原料となる外胚葉性細胞を用意すること、
(ii)低分子シグナル伝達経路阻害剤の存在下、前記原料となる外胚葉性細胞を培養することにより、前記原料となる外胚葉性細胞よりも細胞増殖能が高められた高増殖性細胞を得ること
を含み、
前記(ii)において、前記阻害剤の存在下での培養期間が、28日以下である、高増殖性細胞の製造方法。
[7]高増殖性細胞の製造方法であって、
(i)原料となる外胚葉性細胞を用意すること、
(ii)低分子シグナル伝達経路阻害剤の存在下、前記原料となる外胚葉性細胞を培養することにより、前記原料となる外胚葉性細胞よりも細胞増殖能が高められた高増殖性細胞を得ること
を含み、
前記(ii)において、条件a1、条件b1および条件c1からなる群より選択される少なくとも1つを充たすまで、前記阻害剤の存在下での培養を行う、高増殖性細胞の製造方法。
(a1)前記阻害剤の存在下で培養している細胞において、GFAP、S100B、Musashi1、CSPG4、Nestin、およびSLC1A3からなる群から選択された少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現量(E

)およびコントロール遺伝子の発現量(E

)によって決定される相対値(E

/E

)が、下記表2で表される基準範囲を充たす。
TIFF
2024079909000002.tif
47
170
(b1)前記阻害剤の存在下で培養している細胞の細胞数が、前記阻害剤の非存在下である以外は同一の培養条件で同一の培養期間にわたり培養された外胚葉性細胞の細胞数に対して、1.0倍を超える。
(c1)前記阻害剤の存在下で培養している細胞において、GFAP、SOX2、Musashi1、およびNestinから選択される少なくとも1つのマーカー遺伝子の発現量が、前記阻害剤の非存在下である以外は同一の培養条件で同一の培養期間にわたり培養された外胚葉性細胞の1.0倍以上である。
[8]前記原料となる外胚葉性細胞が、中枢神経系の細胞を含む、[6]または[7]に記載の高増殖性細胞の製造方法。
[9]前記原料となる外胚葉性細胞が、アストロサイトを含む、[6]~[8]のいずれか1項に記載の高増殖性細胞の製造方法。
[10]前記阻害剤が、TGFβ受容体阻害剤およびROCK阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、[6]~[9]のいずれか1項に記載の高増殖性細胞の製造方法。
[11]前記(ii)において、前記阻害剤の存在下での培養が、前記阻害剤を含む培地を用いた培養であり、前記培地における前記阻害剤の濃度が、0.001μM~100μMの範囲内である、[6]~[10]のいずれか1項に記載の高増殖性細胞の製造方法。
【0009】
[12](I)[1]~[5]のいずれか1項に記載の外胚葉性細胞由来の高増殖性細胞の培養物を得ること、または、[6]~[11]のいずれか1項に記載の製造方法を実施して高増殖性細胞の培養物を得ること、および
(II)前記培養物から、前記高増殖性細胞から分泌された細胞分泌物を分離すること
を含む、高増殖性細胞由来の細胞分泌物の製造方法。
[13]前記細胞分泌物が、エクソソームを含む、請求項12に記載の細胞分泌物の製造方法。
【0010】
[14]タンパク質およびmiRNAの少なくとも一方を含む細胞分泌物であって、
前記タンパク質は、
糖タンパク質M6B(Q13491)、HLAクラスII組織適合抗原、DRα鎖(P01903)、トゥイーティーホモログ1(Q9H313)、フィブリリン-2(P35556)、HLAクラスII組織適合抗原、DRB1β鎖(P01911)、およびS100カルシウム結合タンパク質A8(P05109)の組み合わせを含み、
前記miRNAは、
hsa-miR-206(MIMAT0000462)、hsa-miR-204-5p(MIMAT0000265)、hsa-miR-128-3p(MIMAT0000424)、hsa-miR-363-3p(MIMAT0000707)、およびhsa-miR-323a-3p(MIMAT0000755)の組み合わせを含む、細胞分泌物。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
DNA増幅システム
3か月前
東洋紡株式会社
逆転写反応用組成物
2か月前
三菱製紙株式会社
パルプの糖化方法
3か月前
池田食研株式会社
RNAの合成方法
25日前
マグネデザイン株式会社
磁気顕微鏡
1か月前
岐阜県
乳酸菌及び発酵物
1か月前
花王株式会社
培養挙動予測方法
10日前
株式会社ブラスト
細胞培養装置
2か月前
株式会社土と野菜
発酵促進装置
1か月前
学校法人近畿大学
高感度PCR法
3か月前
株式会社ブラスト
密閉チャンバー
2か月前
日本バイリーン株式会社
二酸化炭素吸収装置
29日前
学校法人 創価大学
炭酸ガス溶解装置
1か月前
花王株式会社
発酵生産プロセス支援方法
10日前
国立大学法人 東京大学
ゲノム編集技術
3か月前
合同会社陶徳堂研究所
改良シャーレ
1か月前
相生ユニビオ株式会社
ウイスキーの製造方法
2か月前
個人
非ゲノム配列抗ウイルス用オリゴヌクレオチド
1か月前
学校法人立命館
紐状構造物の製造方法
2か月前
個人
果実酒の製造方法とアルコール含有果実
1か月前
テルモ株式会社
濾過装置および濾過方法
1日前
小林製薬株式会社
黒ずみ形成方法
2か月前
長谷川香料株式会社
アルコール飲料用香味改善組成物
21日前
株式会社パウレック
培養装置及び培養方法
3か月前
松谷化学工業株式会社
アルコール飲料及びその製造方法
3か月前
個人
急性ストレス評価用データの生成方法
1か月前
株式会社東海ヒット
完全閉鎖型灌流液送液系
2か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
2か月前
国立大学法人東京海洋大学
熱処理リゾチーム組成物
2か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
10日前
株式会社シェルタージャパン
藻類増殖制御装置
23日前
株式会社デンソー
バイオセンサ装置
3か月前
三洋化成工業株式会社
培地及び培地を用いる細胞の培養方法
8日前
花王株式会社
リパーゼ変異体
2か月前
学校法人 中央大学
ナノ粒子検出方法
3か月前
続きを見る