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公開番号2024044062
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-02
出願番号2022149382
出願日2022-09-20
発明の名称リパーゼ変異体
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C12N 15/55 20060101AFI20240326BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】異種発現性が向上したリパーゼ変異体の提供。
【解決手段】親リパーゼのアミノ酸配列に対して、ある特定のアミノ酸配列を基準とした番号付けでの所定位置におけるアミノ酸残基が所定のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列からなる、リパーゼ変異体。前記親リパーゼは、Proteus属細菌やYersinia属細菌に由来するリパーゼを含む同一のクレード(Proteus/Yersiniaクレード)に属するリパーゼであってよい。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記(a)~(v)から選択されるいずれかのリパーゼ変異体:
(a)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも82%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の118位に相当する位置にアスパラギン酸を有するリパーゼ変異体;
(b)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置にチロシンを有するリパーゼ変異体;
(c)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも91%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の32位に相当する位置にグリシンを有するリパーゼ変異体;
(d)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の90位に相当する位置にシステインを有するリパーゼ変異体;
(e)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも94%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の181位に相当する位置にロイシンを有するリパーゼ変異体;
(f)配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の222位に相当する位置にアラニン、スレオニン、ヒスチジン又はグリシンを有するリパーゼ変異体;
(g)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の39位に相当する位置にリジンを有するリパーゼ変異体;
(h)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の125位に相当する位置にスレオニンを有するリパーゼ変異体;
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の126位に相当する位置にプロリンを有するリパーゼ変異体;
(j)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の293位に相当する位置にグリシンを有するリパーゼ変異体;
(k)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の29位に相当する位置にチロシンを有するリパーゼ変異体;
(l)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置にチロシンを有するリパーゼ変異体;
(m)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の32位に相当する位置にグリシンを有するリパーゼ変異体;
(n)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の186位に相当する位置にグリシンを有するリパーゼ変異体;
(o)配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の206位に相当する位置にグルタミンを有するリパーゼ変異体;
(p)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置にチロシンを有するリパーゼ変異体;
(q)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の32位に相当する位置にグリシンを有するリパーゼ変異体;
(r)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の77位に相当する位置にリジンを有するリパーゼ変異体;
(s)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも83%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の181位に相当する位置にロイシンを有するリパーゼ変異体;
(t)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の90位に相当する位置にシステインを有するリパーゼ変異体;
(u)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも81%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の181位に相当する位置にロイシンを有するリパーゼ変異体;
(v)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の29位に相当する位置にチロシンを有するリパーゼ変異体。
続きを表示(約 3,500 文字)【請求項2】
下記(aa)~(ae)から選択されるいずれかのリパーゼ変異体:
(aa)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置におけるチロシン、32位に相当する位置におけるグリシン、90位に相当する位置におけるシステイン、及び181位に相当する位置におけるロイシンから選ばれる少なくとも2つのアミノ酸残基を有するリパーゼ変異体;
(ab)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の39位に相当する位置におけるリジン、125位に相当する位置におけるスレオニン、126位に相当する位置におけるプロリン、及び293位に相当する位置におけるグリシンから選ばれる少なくとも2つのアミノ酸残基を有するリパーゼ変異体;
(ac)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の29位に相当する位置におけるチロシン、31位に相当する位置におけるチロシン、32位に相当する位置におけるグリシン、及び186位に相当する位置におけるグリンから選ばれる少なくとも2つのアミノ酸残基を有するリパーゼ変異体;
(ad)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも83%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置におけるチロシン、32位に相当する位置におけるグリシン、77位に相当する位置におけるリジン、及び181位に相当する位置におけるロイシンから選ばれる少なくとも2つのアミノ酸残基を有するリパーゼ変異体;
(ae)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の90位に相当する位置におけるシステイン及び181位に相当する位置におけるロイシンを有するリパーゼ変異体。
【請求項3】
上記(a)、(c)~(g)、(i)~(k)、(n)、(o)、(r)及び(t)~(v)から選択されるいずれかのリパーゼ変異体である、請求項1に記載のリパーゼ変異体。
【請求項4】
下記(aa-1)~(ae)から選択されるいずれかのリパーゼ変異体である、請求項2に記載のリパーゼ変異体:
(aa-1)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置におけるチロシン及び32位に相当する位置におけるグリシンを有するリパーゼ変異体;
(aa-2)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の90位に相当する位置におけるシステイン及び181位に相当する位置におけるロイシンを有するリパーゼ変異体;
(aa-3)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の32位に相当する位置におけるグリシン及び90位に相当する位置におけるシステインを有するリパーゼ変異体;
(aa-4)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置におけるチロシン、32位に相当する位置におけるグリシン、90位に相当する位置におけるシステイン、及び181位に相当する位置におけるLを有するリパーゼ変異体;
(ab-1)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の125位に相当する位置におけるスレオニン及び126位に相当する位置におけるプロリンを有するリパーゼ変異体;
(ab-2)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の39位に相当する位置におけるリジン及び293位に相当する位置におけるグリシンを有するリパーゼ変異体;
(ab-3)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の125位に相当する位置におけるスレオニン、126位に相当する位置におけるプロリン、及び293位に相当する位置におけるグリシンを有するリパーゼ変異体;
(ab-4)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の39位に相当する位置におけるリジン、125位に相当する位置におけるスレオニン、及び126位に相当する位置におけるプロリンを有するリパーゼ変異体;
(ab-5)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の39位に相当する位置におけるリジン、126位に相当する位置におけるプロリン、及び293位に相当する位置におけるグリシンを有するリパーゼ変異体;
(ab-6)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の39位に相当する位置におけるリジン、125位に相当する位置におけるスレオニン、126位に相当する位置におけるプロリン、及び293位に相当する位置におけるグリシンを有するリパーゼ変異体;
(ac-1)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の29位に相当する位置におけるチロシン及び186位に相当する位置におけるグリシンを有するリパーゼ変異体;
(ac-2)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、又は配列番号2のアミノ酸配列の29位に相当する位置におけるチロシン、31位に相当する位置におけるチロシン、32位に相当する位置におけるグリシン、及び186位に相当する位置におけるグリシンを有するリパーゼ変異体;
(ad-1)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも83%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置におけるチロシン及び32位に相当する位置におけるグリシンを有するリパーゼ変異体;
(ad-2)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも83%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の77位に相当する位置におけるリジン及び181位に相当する位置におけるロイシンを有するリパーゼ変異体;
(ad-3)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも83%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置におけるチロシン、32位に相当する位置におけるグリシン、及び181位に相当する位置におけるロイシンを有するリパーゼ変異体;
(ad-4)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも83%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置におけるチロシン、32位に相当する位置におけるグリシン、77位に相当する位置におけるリジン、及び181位に相当する位置におけるロイシンを有するリパーゼ変異体;
(ae)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の90位に相当する位置におけるシステイン及び181位に相当する位置におけるロイシンを有するリパーゼ変異体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のリパーゼ変異体を含有する、酵素組成物。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のリパーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項6に記載のポリヌクレオチドを含むベクター又はDNA断片。
【請求項8】
請求項7に記載のベクター又はDNA断片を含有する形質転換細胞。
【請求項9】
微生物である、請求項8に記載の形質転換細胞。
【請求項10】
大腸菌又はバチルス属細菌である、請求項9記載の形質転換細胞。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、リパーゼ変異体に関する。
続きを表示(約 7,000 文字)【背景技術】
【0002】
リパーゼは、脂質中のエステル結合を加水分解して脂肪酸を生成することによって油を含む汚れの除去に寄与し、洗浄用途において有用である。洗浄に有用なリパーゼとして、Thermomyces lanuginosus由来のリパーゼ(以下TLL)がLIPOLASE(登録商標)の商品名で販売されている。特許文献1にはCedecea sp-16640株由来のリパーゼLipr139がTLLと比較して優れた洗浄性能を有することが開示されている。特許文献2には、1つ又は複数の参照脂肪分解酵素と比較した場合に改善された洗浄性能を有するProteus属細菌由来リパーゼ(以下PvLip)の変異体が開示されている。特許文献3にはメタゲノム由来のリパーゼLipr138がTLLと比較して優れた洗浄性能を有することが開示されている。Lipr139、PvLip及びLipr138はProteus属細菌やYersinia属細菌に由来するリパーゼを含む同一のクレード(Proteus/Yersiniaクレード)に属するリパーゼである。
【0003】
グラム陰性菌由来のリパーゼの多くは、活性型への折りたたみにリパーゼ特異的シャペロンを必要とし(非特許文献1)、異種発現による安価製造に課題を有する。特異的シャペロンの共発現によって異種発現が改善することが報告されている(非特許文献2)が、その生産性は低く、異種発現による安価製造には依然として大きな課題がある。一方、Proteus/Yersiniaクレードのバクテリアリパーゼは特異的シャペロンを必要とせず、異種発現による安価製造において優位性を持つ(非特許文献3、4)。
以上のように、Proteus/Yersiniaクレードのバクテリアリパーゼは洗浄への適性と安価製造可能性の両者において、洗浄用酵素として優れたポテンシャルを有する。
【0004】
リパーゼは、エステル加水分解反応以外にも、エステル合成反応、エステル交換反応、アシドリシスなど様々な反応を触媒する。この反応性を利用して、洗浄、光学分割、バイオ燃料製造、油脂加工、廃水処理、パルプ製造、レザー製造など様々な用途でリパーゼが利用されている。非特許文献5及び6にはLipC12(Lipr138と同配列)のエステル合成用途における優れた性能が示されており、Proteus/Yersiniaクレードのバクテリアリパーゼは洗浄に限らず多様な産業用途における有用性が期待される。
【0005】
アシルグリセロール中のエステル結合の位置特異性、脂肪酸鎖長特異性、光学分割におけるエナンチオ選択性といった基質特異性はリパーゼ種によって大きく異なる。近縁配列のリパーゼ間でもこれらの基質特異性には違いが見られ、最適な反応を行うためには反応系ごとにリパーゼのスクリーニングを行う必要がある。そのため、産業上利用できるリパーゼの配列多様性を広げることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2015-523078号公報
国際公開公報第2020/046613号
特表2015-525248号公報
【非特許文献】
【0007】
Hobson, Audrey H., et al. Proceedings of the National Academy of Sciences 90.12 (1993): 5682-5686.
Quyen, ThiDinh, ChiHai Vu, and GiangThi Thu Le. Microbial cell factories 11.1 (2012): 1-12.
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Madalozzo, Aline Dutra, et al. Biocatalysis and Agricultural Biotechnology 8 (2016): 294-300.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、タンパク質の進化を表す有根系統樹上でProteus属細菌及びYersinia属細菌に由来するリパーゼを含むProteus/Yersiniaクレードに属する多様な16種のリパーゼについて、枯草菌における異種発現性を評価したところ、Proteus/Yersiniaクレードのリパーゼは異種発現にて優位性を持つとの報告があるにもかかわらず、明確な発現が確認できたのは3種のみであり、Proteus/Yersiniaクレードのリパーゼにおいて異種発現可能な配列の多様性が実際には小さいという課題を初めて見出した。よって、本発明は、異種発現性が向上したリパーゼ変異体を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、斯かる課題に鑑み鋭意検討した結果、上記16種のうちの8種のリパーゼ及びこれらに近縁の1種のリパーゼを用い、リパーゼの異種発現性を向上させる変異を見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記1)~11)に係るものである。
1)下記(a)~(v)から選択されるいずれかのリパーゼ変異体:
(a)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも82%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の118位に相当する位置にDを有するリパーゼ変異体;
(b)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置にYを有するリパーゼ変異体;
(c)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも91%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の32位に相当する位置にGを有するリパーゼ変異体;
(d)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の90位に相当する位置にCを有するリパーゼ変異体;
(e)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも94%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の181位に相当する位置にLを有するリパーゼ変異体;
(f)配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の222位に相当する位置にA、T、H又はGを有するリパーゼ変異体;
(g)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の39位に相当する位置にKを有するリパーゼ変異体;
(h)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の125位に相当する位置にTを有するリパーゼ変異体;
(i)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の126位に相当する位置にPを有するリパーゼ変異体;
(j)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の293位に相当する位置にGを有するリパーゼ変異体;
(k)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の29位に相当する位置にYを有するリパーゼ変異体;
(l)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置にYを有するリパーゼ変異体;
(m)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の32位に相当する位置にGを有するリパーゼ変異体;
(n)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の186位に相当する位置にGを有するリパーゼ変異体;
(o)配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の206位に相当する位置にQを有するリパーゼ変異体;
(p)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置にYを有するリパーゼ変異体;
(q)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の32位に相当する位置にGを有するリパーゼ変異体;
(r)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の77位に相当する位置にKを有するリパーゼ変異体;
(s)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも83%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の181位に相当する位置にLを有するリパーゼ変異体;
(t)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の90位に相当する位置にCを有するリパーゼ変異体;
(u)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも81%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の181位に相当する位置にLを有するリパーゼ変異体;
(v)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の29位に相当する位置にYを有するリパーゼ変異体。
2)下記(aa)~(ae)から選択されるいずれかのリパーゼ変異体:
(aa)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置におけるY、32位に相当する位置におけるG、90位に相当する位置におけるC、及び181位に相当する位置におけるLから選ばれる少なくとも2つのアミノ酸残基を有するリパーゼ変異体;
(ab)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の39位に相当する位置におけるK、125位に相当する位置におけるT、126位に相当する位置におけるP、及び293位に相当する位置におけるGから選ばれる少なくとも2つのアミノ酸残基を有するリパーゼ変異体;
(ac)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の29位に相当する位置におけるY、31位に相当する位置におけるY、32位に相当する位置におけるG、及び186位に相当する位置におけるGから選ばれる少なくとも2つのアミノ酸残基を有するリパーゼ変異体;
(ad)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも83%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置におけるY、32位に相当する位置におけるG、77位に相当する位置におけるK、及び181位に相当する位置におけるLから選ばれる少なくとも2つのアミノ酸残基を有するリパーゼ変異体;
(ae)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号2のアミノ酸配列の90位に相当する位置におけるC及び181位に相当する位置におけるLを有するリパーゼ変異体。
3)1)又は2)に記載のリパーゼ変異体を含有する、酵素組成物。
4)1)又は2)に記載のリパーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド。
5)4)に記載のポリヌクレオチドを含むベクター又はDNA断片。
6)5)に記載のベクター又はDNA断片を含有する形質転換細胞。
7)6)に記載の形質転換細胞を培養する工程を含む、リパーゼ変異体の製造方法。
8)下記(i)~(xxii)から選択されるいずれかの工程を含む、リパーゼ変異体の製造方法:
(i)配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも82%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の118位に相当する位置のアミノ酸残基をDに置換する工程;
(ii)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置のアミノ酸残基をYに置換する工程;
(iii)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも91%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の32位に相当する位置のアミノ酸残基をGに置換する工程;
(iv)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の90位に相当する位置のアミノ酸残基をCに置換する工程;
(v)配列番号4のアミノ酸配列と少なくとも94%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の181位に相当する位置のアミノ酸残基をLに置換する工程;
(vi)配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の222位に相当する位置のアミノ酸残基をA、T、H又はGに置換する工程;
(vii)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の39位に相当する位置のアミノ酸残基をKに置換する工程;
(viii)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の125位に相当する位置のアミノ酸残基をTに置換する工程;
(ix)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の126位に相当する位置のアミノ酸残基をPに置換する工程;
(x)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の293位に相当する位置のアミノ酸残基をGに置換する工程;
(xi)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の29位に相当する位置のアミノ酸残基をYに置換する工程;
(xii)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の31位に相当する位置のアミノ酸残基をYに置換する工程;
(xiii)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の32位に相当する位置のアミノ酸残基をGに置換する工程;
(xiv)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、リパーゼ活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2のアミノ酸配列の186位に相当する位置のアミノ酸残基をGに置換する工程;
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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