TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024035871
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-15
出願番号2022140473
出願日2022-09-05
発明の名称培養装置及び培養方法
出願人株式会社パウレック
代理人個人,個人
主分類C12M 1/00 20060101AFI20240308BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】拡大培養を単一の培養容器で行うことができる共に、細胞に与える物理的ダメージを可及的に低減することができ、かつ、培養液中の細胞の培養状態を光学センサでモニタリングするに際し、モニタリングの基準値を全ての培養スケールで共用することができる培養装置及び培養方法を提供する。
【解決手段】培養装置は、細胞を含む培養液を収容する培養容器1と、培養容器1を軸線X回りに回転駆動する回転駆動部2と、培養容器1を軸線Xを含む鉛直面に沿って傾動させるための傾動機構3と、培養容器1内の培養液中の細胞の培養状態に関する状態量を測定する光学センサ4とを主要な要素として構成される。培養容器1は、軸線Xに沿った方向の一端部に透光部1aを有する。培養容器1を傾動させると、回転駆動部2と光学センサ4は培養容器1に伴って移動し、光学センサ4と透光部1aとの位置関係は変動せず一定である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
細胞を含む培養液を収容し、その軸線回りに回転駆動されると共に、前記軸線を含む鉛直面に沿って傾動可能であり、かつ、前記軸線に沿った方向の一端部に透光部を有する培養容器と、
前記培養容器を回転駆動する回転駆動部と、
前記培養容器を傾動させるための傾動機構と、
前記透光部に臨む所定位置に配置され、前記培養容器内の培養液中の細胞の培養状態に関する状態量を前記透光部を介して前記培養容器の外部から測定すると共に、前記培養容器の傾動に伴い、前記透光部との位置関係を一定に保ちながら移動する光学センサと、を備え、
前記光学センサで測定した前記状態量に基づいて、前記培養容器に所定量の新鮮な培養液を逐次に補充すると共に、前記培養容器内の培養液の増量に応じて、前記培養容器を前記傾動機構により逐次に所定角度で傾動させて、前記培養容器内で培養スケールを逐次に拡大しながら細胞を培養する培養装置。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
前記傾動機構は、前記鉛直面に沿って傾動可能な傾動フレームを備えており、前記回転駆動部と前記光学センサは前記傾動フレームに取り付けられ、前記培養容器は前記回転駆動部を介して前記傾動フレームに取り付けられている請求項1に記載の培養装置。
【請求項3】
前記光学センサが分光センサである請求項1又は2に記載の培養装置。
【請求項4】
その軸線回りに回転駆動されると共に、前記軸線を含む鉛直面に沿って傾動可能であり、かつ、前記軸線に沿った方向の一端部に透光部を有する培養容器に細胞を含む培養液を収容し、
前記培養容器が水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜し、前記培養液の液面が前記透光部と交差した状態で、前記培養容器を回転させながら前記培養液中で細胞を培養する培養工程を実行しつつ、前記培養液中の細胞の培養状態に関する状態量を前記透光部を介して前記培養容器の外部から光学センサで測定し、
前記光学センサで測定した前記状態量に基づいて、前記培養工程の終了を判断し、その後、前記培養容器に所定量の新鮮な培養液を補充すると共に、前記透光部と前記光学センサとの位置関係を一定に保ちつつ、前記培養容器内の培養液の液面と前記透光部との交差位置が前記培養工程と同じになる傾斜角度まで前記培養容器を傾動させた状態で、前記培養工程と同様に次の培養工程を実行しつつ、前記光学センサで測定した前記状態量に基づいて、前記次の培養工程の終了を判断し、以降、これらのプロセスを繰り返して、前記培養容器内で培養スケールを逐次に拡大しながら細胞を培養する培養方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞(動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、細菌、真菌、ウィルス、藻類、酵母等を含む。)の培養に用いる培養装置及び培養方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、バイオ医薬品の生産や、再生医療、免疫療法等の分野において、細胞を人工的な環境下で効率良く大量に培養することが求められている。細胞の培養は培養液(培地)を用いて行うが、培養液中の細胞密度が高くなるにつれて、増殖に必要な成分の枯渇や細胞自身の代謝産物(老廃物)の蓄積が起こり、増殖速度が低下して、細胞密度が飽和状態に達してしまう。このため、培養液の容量を段階的に増やし、培養スケールを段階的に拡大(スケールアップ)してゆく方法(拡大培養)が用いられている。拡大培養では、培養スケールを拡大する毎に新鮮な培養液を補給するため、増殖に必要な成分が補給されると共に、代謝産物が希釈され、細胞が増殖し易い環境が保たれる。
【0003】
通常、拡大培養では、培養スケール毎に個別の培養容器を設け、増殖させた細胞を含む培養液を小スケールの培養容器から大スケールの培養容器に順次に移し替えて培養工程を実行してゆくが、培養液を移し替える作業は煩雑である上に、培養液を移し替える際にコンタミネーションが起こり、培養液が汚染されてしまうリスクがある。このような問題点に対処するため、特許文献1では、細胞の培養を単一の培養槽で行い、培養中の培養槽に別置の培地タンクから新鮮培地(新鮮な培養液)を逐次に(段階的に)補充して、培養スケールを逐次に拡大してゆく培養装置を提案している。培養槽には、培養液を攪拌するための攪拌機、培養液に酸素等の気体を通気するための散気装置、培養槽内の温度を調節するための温度調節装置、培養槽内の細胞の培養状態等をオンラインで測定するためのセンサが設けられる。センサの測定データは分析装置に出力され、分析装置にて細胞の培養状態等が分析される。そして、分析装置から出力される分析データに基づいて、各培養スケールでの培養工程が終了したかを判定し、その判定結果に従って、培地タンクから培養槽に新鮮培地を補充する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020―124169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の培養装置では、培養槽内の培養液を攪拌機で攪拌する際、攪拌翼の先端部付近の細胞が攪拌に伴う剪断力によって物理的ダメージを受けることが懸念される。また、培養槽内の培養液量が培養スケール毎に異なる一方、攪拌機は培養スケールに係わらず培養槽内の一定位置で培養液を攪拌するため、培養液中の細胞の分布状態等が培養スケール毎に変わり、培養槽内での細胞の培養状態が同じであったとしても、センサの測定データは各培養スケール毎に異なる様相を呈することになる。そのため、培養槽内の細胞の培養状態をセンサの測定データに基づいてモニタリングするに際し、モニタリングの基準値(閾値)を各培養スケール毎に個別に設定する必要が生じる。
【0006】
本発明の課題は、拡大培養を単一の培養容器で行うことができる共に、細胞に与える物理的ダメージを可及的に低減することができ、かつ、培養液中の細胞の培養状態を光学センサでモニタリングするに際し、モニタリングの基準値を全ての培養スケールで共用することができる培養装置及び培養方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、細胞を含む培養液を収容し、その軸線回りに回転駆動されると共に、前記軸線を含む鉛直面に沿って傾動可能であり、かつ、前記軸線に沿った方向の一端部に透光部を有する培養容器と、前記培養容器を回転駆動する回転駆動部と、前記培養容器を傾動させるための傾動機構と、前記透光部に臨む所定位置に配置され、前記培養容器内の培養液中の細胞の培養状態に関する状態量を前記透光部を介して前記培養容器の外部から測定すると共に、前記培養容器の傾動に伴い、前記透光部との位置関係を一定に保ちながら移動する光学センサとを備え、前記光学センサで測定した前記状態量に基づいて、前記培養容器に所定量の新鮮な培養液を逐次に補充すると共に、前記培養容器内の培養液の増量に応じて、前記培養容器を前記傾動機構により逐次に所定角度で傾動させて、前記培養容器内で培養スケールを逐次に拡大しながら細胞を培養する培養装置を提供する。
【0008】
また、上記課題を解決するため、本発明は、その軸線回りに回転駆動されると共に、前記軸線を含む鉛直面に沿って傾動可能であり、かつ、前記軸線に沿った方向の一端部に透光部を有する培養容器に細胞を含む培養液を収容し、前記培養容器が水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜し、前記培養液の液面が前記透光部と交差した状態で、前記培養容器を回転させながら前記培養液中で細胞を培養する培養工程を実行しつつ、前記培養液中の細胞の培養状態に関する状態量を前記透光部を介して前記培養容器の外部から光学センサで測定し、前記光学センサで測定した前記状態量に基づいて、前記培養工程の終了を判断し、その後、前記培養容器に所定量の新鮮な培養液を補充すると共に、前記透光部と前記光学センサとの位置関係を一定に保ちつつ、前記培養容器内の培養液の液面と前記透光部との交差位置が前記培養工程と同じになる傾斜角度まで前記培養容器を傾動させた状態で、前記培養工程と同様に次の培養工程を実行しつつ、前記光学センサで測定した前記状態量に基づいて、前記次の培養工程の終了を判断し、以降、これらのプロセスを繰り返して、前記培養容器内で培養スケールを逐次に拡大しながら細胞を培養する培養方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、拡大培養を単一の培養容器で行うことができる共に、細胞に与える物理的ダメージを可及的に低減することができ、かつ、培養液中の細胞の培養状態を光学センサでモニタリングするに際し、モニタリングの基準値を全ての培養スケールで共用することができる培養装置及び培養方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施形態に係る培養装置の全体構成を示す側面図である。
実施形態に係る培養装置を上方から見た図である。
実施形態に係る培養装置を後方から見た図である。
培養容器を図1に示す状態から上方側に90°傾動させた状態を示す図である。
実施形態に係る培養装置で培養工程を実行するときの状態を模式的に示す図である。
培養スケールを逐次拡大してゆく工程を示す図である。
培養スケールを逐次拡大してゆく工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

東洋紡株式会社
逆転写反応用組成物
6日前
学校法人立命館
紐状構造物の製造方法
5日前
株式会社日立製作所
酵素反応装置
6日前
JCRファーマ株式会社
血清アルブミンと生理活性を有する蛋白質との融合蛋白質
6日前
JCRファーマ株式会社
血清アルブミンと生理活性を有する蛋白質との融合蛋白質
6日前
JCRファーマ株式会社
血清アルブミンと生理活性を有する蛋白質との融合蛋白質
6日前
国立大学法人東京工業大学
リシール細胞セット及びその製造方法
3日前
国立大学法人 東京大学
デバイス、システム、方法、および薬剤評価方法
4日前
学校法人 関西大学
凍結耐性付与剤、それを含む冷凍物、及びその製造方法
4日前
オートラス リミテッド
細胞
10日前
日産化学株式会社
一本鎖オリゴヌクレオチド
6日前
シージェン インコーポレイテッド
抗TIGIT抗体
6日前
味の素株式会社
未分化維持培地添加剤
6日前
株式会社ダイセル
6-ヒドロキシダイゼインの製造方法
6日前
ベイジーン リミテッド
抗OX40抗体及び使用方法
6日前
コデクシス, インコーポレイテッド
操作されたDNAポリメラーゼバリアント
6日前
ヴィアサイト,インコーポレイテッド
ユニバーサルドナー細胞及び関連方法
6日前
レサリス セラピューティクス エスアールエル
マイクロRNA22の阻害剤
5日前
ソーラー フーズ オサケユイチア
菌株、及び、単一細胞タンパク質又はバイオマス生産のための方法
6日前
アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
第Xa因子阻害剤に対する解毒剤
6日前
株式会社キコーコーポレーション
辺円対応変倍構造を有する生乳中の体細胞検査キット
6日前
スロゼン オペレーティング, インコーポレイテッド
Wntサロゲート分子及びその使用
6日前
フェインズ セラピューティクス,インコーポレーテッド
抗葉酸受容体1抗体及びその使用
6日前
サムヤン コーポレイション
フルクトース-6-リン酸3-エピマー化酵素およびその用途
6日前
ザ チャイニーズ ユニバーシティー オブ ホンコン
無細胞試料中の腫瘍DNAの解析
10日前
レクセント バイオ, インコーポレイテッド
生体試料のフィンガープリンティングのための方法
6日前
個人
がん特異的突然変異に対し抗原特異性を有するT細胞受容体を単離する方法
6日前
ジオバックス・インコーポレイテッド
腫瘍関連抗原に対する免疫応答を誘起するための組成物及び方法
6日前
エヌジーエム バイオファーマシューティカルス,インコーポレーテッド
C3結合薬及びその使用方法
6日前
ファクター バイオサイエンス インコーポレイテッド
細胞中でタンパク質を発現するための方法および生成物
6日前
ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
癌を治療するためのキメラ抗原受容体改変T細胞の使用
6日前
大塚製薬株式会社
エクオール含有抽出物及びその製造方法、エクオール抽出方法、並びにエクオールを含む食品
6日前
プロジェニア インコーポレイテッド
プログラムDNA駆動型自己集合RNAハイドロゲル
6日前
2セブンティ バイオ インコーポレイテッド
CBLBエンドヌクレアーゼバリアント、組成物、および使用方法
10日前
株式会社インプランタイノベーションズ
ゲノム編集方法およびゲノム編集用組成物
4日前
コバイオラブス,インコーポレーテッド
非アルコール性脂肪性肝疾患の予測若しくは診断用キット、および診断方法
6日前
続きを見る