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公開番号2024056338
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-23
出願番号2022163140
出願日2022-10-11
発明の名称酵素反応装置
出願人株式会社日立製作所
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12M 1/40 20060101AFI20240416BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】光触媒によるエネルギーを使用することで、還元反応と酵素反応とを連結した処理を実行することにより、付加価値の高い物質を生成できる酵素反応装置を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明の酵素反応装置は、反応容器の内部をアノード室とカソード室とに仕切るイオン交換膜と、カソード室を光触媒反応室と酵素反応室とに仕切る半透膜と、アノード室に収容されたアノード電解液と、光触媒反応室に収容されたカソード電解液と、酵素反応室に収容された酵素反応液と、アノード室に配置されたアノード電極と、光触媒反応室に配置されたカソード電極と、を備え、カソード電極は、光触媒層を表面に有し、カソード電解液は、電子伝達体を含み、酵素反応液は、酵素及び原料基質を含み、カソード電解液及び酵素反応液は、半透膜を介して接し、半透膜は、電子伝達体が還元された物質を透過させ、かつ酵素を透過させないことを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
反応容器と、
前記反応容器の内部をアノード室とカソード室とに仕切るイオン交換膜と、
前記カソード室を光触媒反応室と酵素反応室とに仕切る半透膜と、
前記アノード室に収容されたアノード電解液と、
前記光触媒反応室に収容されたカソード電解液と、
前記酵素反応室に収容された酵素反応液と、
前記アノード電解液に浸漬されるように前記アノード室に配置されたアノード電極と、
前記カソード電解液に浸漬されるように前記光触媒反応室に配置されたカソード電極と、を備え、
前記カソード電極は、光触媒を含む光触媒層を表面に有し、
前記カソード電解液は、電子伝達体を含み、
前記酵素反応液は、酵素及び原料基質を含み、
前記カソード電解液及び前記酵素反応液は、前記半透膜を介して接し、
前記半透膜は、前記電子伝達体が還元された物質を透過させ、かつ前記酵素を透過させないことを特徴とする酵素反応装置。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
反応容器と、
前記反応容器の内部をアノード室とカソード室とに仕切るイオン交換膜と、
前記カソード室を光触媒反応室と酵素反応室とに仕切る半透膜と、
前記アノード室に収容されたアノード電解液と、
前記光触媒反応室に収容されたカソード電解液と、
前記酵素反応室に収容された酵素反応液と、
前記アノード電解液に浸漬されるように前記アノード室に配置されたアノード電極と、
前記カソード電解液に浸漬されるように前記光触媒反応室に配置されたカソード電極と、を備え、
前記カソード電極は、光触媒を含む光触媒層を表面に有し、
前記カソード電解液は、二酸化炭素を含み、
前記酵素反応液は、酵素を含み、
前記カソード電解液及び前記酵素反応液は、前記半透膜を介して接し、
前記半透膜は、前記二酸化炭素が還元された物質を透過させ、かつ前記酵素を透過させないことを特徴とする酵素反応装置。
【請求項3】
前記半透膜の分画分子量(MWCO)は、1000Da以上10000Da以下の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酵素反応装置。
【請求項4】
前記アノード電極及び前記カソード電極に正の電圧及び負の電圧をそれぞれ印加する外部電源をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の酵素反応装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素反応装置に関し、特に光触媒に光を照射することで生じるエネルギーを使用することで酵素反応を実行する酵素反応装置に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
大気中の温室効果ガスの濃度の上昇は地球温暖化の主要因と考えられており、特に直近二世紀で級数的に排出量が増加した二酸化炭素(CO
2
)は、主な排出抑制対象となっている。地球温暖化やそれに伴う気候変動による災害は既に問題となっており、排出抑制と並行して気中に放出される二酸化炭素の固定(吸収)も喫緊の課題となっている。これまで様々な二酸化炭素の固定方法が提案されてきたが、低コストかつ低エネルギーで運用できるものは少ない。また、二酸化炭素の固定方法としては、他の化成品に変換するなど二酸化炭素の価値を転換して社会に還元できるものが望ましい。近年、合成バイオ技術の進歩により、二酸化炭素を含む様々な化合物を原料として用い、生物化学的に付加価値の高い物質を生成することが可能になってきた。しかしながら、現状では、二酸化炭素の固定及び付加価値の高い物質の生成を可能にする反応システムは、開発途上である。
【0003】
遷移金属酸化物等の光触媒は、光が照射されることで、光エネルギーを吸収し表面に正孔が生じて電子を放出する。このような光触媒としては、例えば、これらの作用により殺菌や有機物の分解を行い、抗菌物質として広く用いられる酸化チタンが知られている。光触媒の材料となる、例えば、酸化チタン等の遷移金属酸化物は、遷移金属の種類、数、酸化数等の違いなどにより多数の組合せが存在している。また、遷移金属酸化物は、化学組成が同一でもその結晶及び準結晶構造が千変万化であり、酸化チタンのように光を受容することでその表面で利用価値の高い反応を惹起する遷移金属酸化物の探索は、緒についたばかりである。遷移金属酸化物等の材料からなる光触媒については、今後も様々な有用物質の産生に結び付く還元反応に寄与するものが開発されることが待たれている。具体的には、光触媒の中でも、二酸化炭素を直接還元できる光触媒、付加価値の高い物質を生成する合成バイオプロセスでエネルギー供給源となる電子伝達体等を還元できる光触媒などは、今後、脱炭素プロセスにおけるエネルギー供給源として非常に重要な役割が期待できるため、特に開発が望まれている。
【0004】
現在大気中に僅か0.04v/v%程度しか含まれていない二酸化炭素は、地球が誕生したとされる46億年前の原始大気中には窒素と同程度含まれていたと考えられている。そして、約27億年前、光合成を行うシアノバクテリアが出現することにより、大気中で二酸化炭素が減少し始め、酸素が増加し始めたと考えられている。二酸化炭素の標準生成エンタルピー(以下、「ΔfH°」と略すことがある。)は-394kJ/molと金属酸化物並みに安定であるのに対し、酸素のΔfH°は0kJ/molである。27億年間にわたる植物の光合成のエネルギー生産活動が、大きな潜在的化学結合エネルギーを大気中にため込んできたわけであるが、人間の生産活動により、特に直近二世紀の間に気候変動をもたらすほどの組成変化が大気にもたらされている。
【0005】
これに対して、二酸化炭素の還元は、産業革命以降、消費の一方であった化学結合エネルギーをもとに戻すことになり、地球温暖化の進行を抑制できる。さらに、電子伝達体は、還元されることで合成バイオプロセス等のプロセスでエネルギー供給源となるため、電子伝達体の還元により、化石燃料由来のエネルギーとは独立に有機物質等の物質の生成プロセスを構築できる可能性がある。よって、光触媒の汎用化、高機能化、及び多目的化は、物質の生成プロセスの現在求められている規格を大きく転換する可能性を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、光触媒の汎用化、高機能化、及び多目的化と、付加価値の高い物質の生成プロセスとを有効に組み合わせることが求められている。具体的には、企図した物質に対して有効な還元能を持つ光触媒反応と、光触媒反応で還元された物質を用いて付加価値の高い物質を生成する生化学反応等の酵素反応とを連結できる装置が求められている。
【0007】
これに対して、これまでの光触媒による二酸化炭素や電子伝達体等の物質の還元に関する研究は行われてきたが例証数は少ない。さらに、光触媒による二酸化炭素や電子伝達体等の物質の還元と、生化学反応等の酵素反応による物質生成(物質転換)とを単一の反応容器で連結して実行を行う方法はシステムとして確立されていない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光触媒に光を照射することで生じるエネルギーを使用することで、物質を還元する還元反応と、還元反応で還元された物質を用いて物質を生成する酵素反応と、を連結した処理を実行することにより、付加価値の高い物質を生成できる酵素反応装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の酵素反応装置は、反応容器と、上記反応容器の内部をアノード室とカソード室とに仕切るイオン交換膜と、上記カソード室を光触媒反応室と酵素反応室とに仕切る半透膜と、上記アノード室に収容されたアノード電解液と、上記光触媒反応室に収容されたカソード電解液と、上記酵素反応室に収容された酵素反応液と、上記アノード電解液に浸漬されるように上記アノード室に配置されたアノード電極と、上記カソード電解液に浸漬されるように上記光触媒反応室に配置されたカソード電極と、を備え、上記カソード電極は、光触媒を含む光触媒層を表面に有し、上記カソード電解液は、電子伝達体を含み、上記酵素反応液は、酵素及び原料基質を含み、上記カソード電解液及び上記酵素反応液は、上記半透膜を介して接し、上記半透膜は、上記電子伝達体が還元された物質を透過させ、かつ上記酵素を透過させないことを特徴とする。
【0010】
本発明の酵素反応装置によれば、光触媒に光を照射することで生じるエネルギーを使用することで、電子伝達体を還元する還元反応と、還元反応で還元された電子伝達体を用いて物質を生成する酵素反応と、を連結した処理を実行することにより、付加価値の高い物質を生成できる。
(【0011】以降は省略されています)

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