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公開番号2024056367
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-23
出願番号2022163190
出願日2022-10-11
発明の名称逆転写反応用組成物
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類C12N 9/10 20060101AFI20240416BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 安定性に優れた逆転写反応用組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明の逆転写反応用組成物は、逆転写活性を有する酵素及びMPCポリマーを含むことを特徴とする。MPCポリマーは、アニオン性官能基を有するモノマーを構成単位として含むMPCポリマーであることが好ましく、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、アニオン性官能基を有するビニルモノマーとを構成単位として含む共重合体のMPCポリマーであることが更に好ましい。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
MPCポリマー及び逆転写活性を有する酵素を含む、逆転写反応用組成物。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
MPCポリマーが、アニオン性官能基を有するモノマーを構成単位として含む、請求項1に記載の逆転写反応用組成物。
【請求項3】
MPCポリマーが、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、アニオン性官能基を有するビニルモノマーとを構成単位として含む共重合体である、請求項1又は2に記載の逆転写反応用組成物。
【請求項4】
逆転写活性を有する酵素が、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)由来の逆転写酵素、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)由来の逆転写酵素、及びヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)由来の逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の逆転写反応用組成物。
【請求項5】
MPCポリマーの濃度が、組成物全体に対して0.0002%以上である、請求項1又は2に記載の逆転写反応用組成物。
【請求項6】
更に多価アルコールを含む、請求項1又は2に記載の逆転写反応用組成物。
【請求項7】
多価アルコールが、グリセロール、グリコール、及び糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の逆転写反応用組成物。
【請求項8】
更に2価陽イオンを含む、請求項1又は2に記載の逆転写反応用組成物。
【請求項9】
2価陽イオンが、マグネシウムイオン及びマンガンイオンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の逆転写反応用組成物。
【請求項10】
更にデオキシヌクレオチドを含む、請求項1又は2に記載の逆転写反応用組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、逆転写活性を有する酵素の安定性を向上させる方法、及びそれにより得られる逆転写反応用組成物等に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
逆転写酵素はRNAを鋳型としてDNAを合成する酵素であり、遺伝子工学や分子生物学では必要不可欠な酵素である。例えば、モロニ―マウス白血病ウイルス(Moloneymurine leukemia virus:MMLV)逆転写酵素、トリ骨髄芽球症ウイルス(Avian myelobslastosisvirus:AMV)逆転写酵素、ヒト免疫不全ウイルス1型(Human Immunodefficiency Virus1型:HIV-1)逆転写酵素、またそれらの改変体が市販されている。これらの酵素は核酸増幅法と組み合わせることで、数コピーの標的RNAを可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅することができ、研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられている。
【0003】
代表的な核酸増幅法であるPCR(Polymerase Chain Reaction)は、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。この増幅に使用される酵素、DNAポリメラーゼの反応はDNAに特異的であるため、対象がRNAの場合、逆転写酵素によって、一度DNAに変換する逆転写(Reverse Transcription;RT)を実施してから上記増幅反応を行う必要がある。この逆転写反応とPCRを組み合わせた反応をRT-PCRと呼び、RT-PCRには、(1)RT、PCRを非連続に実施する2ステップRT-PCR、(2)RT、PCRを連続的に実施する1ステップRT-PCRが存在する。
【0004】
逆転写反応には逆転写酵素以外にも、緩衝剤、マグネシウム等の補因子、デオキシヌクレオチドが通常必要とされる。そのため、市販の逆転写酵素は、例えば、緩衝剤、塩、界面活性剤などを含む50%程度のグリセロール溶液中で保存され、使用時に緩衝剤及びマグネシウムなどを含む反応Bufferと混合して用いられる試薬の形態として販売されたり、又は緩衝剤及びマグネシウム等を含む反応Bufferと酵素が最初からすべて混合されて1液化(マスターミックス化)されており、使用時にそのまま用いることが可能な試薬の形態などで販売されている。これらの逆転写反応は一般に、核酸増幅法とは独立して実施され、その後、核酸増幅法と組み合わされる。また、例えば、Thermo Fisher製のTaqPath 1-Step RT-qPCR Master Mix,CGのように逆転写反応のマスターミックスにDNAポリメラーゼが含有され、RT-PCR用のマスターミックス試薬として、RT、PCRを連続的に実施する1ステップRT-PCRに利用される試薬等も存在する。
【0005】
このような逆転写酵素試薬は一般的に-20℃から-80℃で保存される。そして、逆転写酵素は、耐熱性であるDNAポリメラーゼに比べ、安定性が低いことが多く、逆転写酵素の失活が実験の再現性の低下などにつながることが知られている。しかし、一般的にこれらの試薬は使用時には4℃などで融解または一時保管されるため、何回か使用した後は酵素が徐々に失活し、試薬の再購入や再調製を検討する必要があり、多大なる労力及びコストがかかっていた。
【0006】
このような逆転写活性を有する酵素の失活は、RNAの発現解析など逆転写反応を行う研究において時間、労力、費用の面で負担を大きくする。また、RNAウイルス検査などのRNAをターゲットとする検査を行う必要がある臨床の現場では、このような逆転写活性を有する酵素の失活が誤った診断につながるため、これらの酵素の安定化が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたものであり、逆転写活性を有する酵素の安定性を向上させ、例えば、長期に保存しても安定な逆転写反応用組成物を提供することを目的とする。安定性の向上した逆転写反応用組成物とすることで、例えば、-20℃から-80℃よりも高い温度で一定期間保管されても逆転写活性を有する酵素の失活を抑えることができ、逆転写反応を行う実験や試験の再現性を高めることができる。また、逆転写活性を有する酵素を含む試薬の再購入・再調製を抑えることで、無駄な費用と手間等を減らし、低コストで実験、試験を実施することができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記事情に鑑み、鋭意研究を行った結果、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを含むポリマー(MPCポリマー)、特にはアニオン性官能基を有するモノマーを構成単位として含む共重合体のMPCポリマーを、逆転写活性を有する酵素と共存させることで、逆転写活性を有する酵素の保存安定性を向上させることができることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
代表的な本願発明は、以下の通りである。
[項1] MPCポリマー及び逆転写活性を有する酵素を含む、逆転写反応用組成物。
[項2] MPCポリマーが、アニオン性官能基を有するモノマーを構成単位として含む、項1に記載の逆転写反応用組成物。
[項3] MPCポリマーが、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、アニオン性官能基を有するビニルモノマーとを構成単位として含む共重合体である、項1又は2に記載の逆転写反応用組成物。
[項4] 逆転写活性を有する酵素が、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)由来の逆転写酵素、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)由来の逆転写酵素、及びヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)由来の逆転写酵素からなる群より選択される少なくとも1種である、項1~3のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項5] MPCポリマーの濃度が、組成物全体に対して0.0002%以上である、項1~4のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項6] 更に多価アルコールを含む、項1~5のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項7] 多価アルコールが、グリセロール、グリコール、及び糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、項6に記載の逆転写反応用組成物。
[項8] 更に2価陽イオンを含む、項1~7のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項9] 2価陽イオンが、マグネシウムイオン及びマンガンイオンからなる群より選択される少なくとも1種である、項8に記載の逆転写反応用組成物。
[項10] 更にデオキシヌクレオチドを含む、項1~9のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項11] 更にDNAポリメラーゼを含む、項1~10のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項12] 更に界面活性剤を含む、項1~11のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項13] 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、項12に記載の逆転写反応用組成物。
[項14] 37℃で4日間保管した場合に60%以上の残存活性率を示す、項1~13のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項15] RT-PCR反応に用いられる、項1~14のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項16] マスターミックス試薬として用いられる、項1~15のいずれかに記載の逆転写反応用組成物。
[項17] 逆転写活性を有する酵素をMPCポリマーと共存させることを特徴とする、逆転写活性を有する酵素の安定化方法。
[項18] MPCポリマーが、アニオン性官能基を有するモノマーを構成単位として含む、項17に記載の安定化方法。
[項19] MPCポリマーが、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、アニオン性官能基を有するビニルモノマーとを構成単位として含む共重合体である、項17又は18に記載の安定化方法。
[項20] 逆転写活性を有する酵素を含有する溶液中においてMPCポリマーを共存させる、項17~19のいずれかに記載の安定化方法。
[項21] 逆転写活性を有する酵素を含有する溶液を37℃で4日間保管した場合の残存活性率を60%以上にする、項17~20のいずれかに記載の安定化方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、逆転写活性を有する酵素の安定性を向上させることができ、例えば、長期に保存しても安定な逆転写反応用組成物を提供することができる。逆転写活性を有する酵素の失活を抑えることで、逆転写反応に用いる試薬の再購入・再調製の手間を低減し、低コストでの逆転写反応を行う実験や試験を可能にする。また、逆転写活性を有する酵素の失活による再現性低下を防ぐことができ、安定した実験結果、試験結果を得ることが可能になる。研究用途だけでなく、臨床分野にも大いに寄与し得る。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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