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公開番号2024058391
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-25
出願番号2022165722
出願日2022-10-14
発明の名称ゲノム編集方法およびゲノム編集用組成物
出願人株式会社インプランタイノベーションズ,国立研究開発法人産業技術総合研究所,TOPPANホールディングス株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 15/09 20060101AFI20240418BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】真核細胞ゲノム内の新たなPAM配列を認識して当該ゲノムを部位特異的に改変可能なゲノム編集手段を提供する。
【解決手段】真核細胞のゲノム内の標的DNA配列を部位特異的に改変する方法であって、前記真核細胞中に、
(1)塩基配列5’-NNACNN-3’(「N」は各々、アデニン、シトシン、チミン、およびグアニンから独立して選択される任意の1塩基)を含むPAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)配列を認識するCasタンパク質、または、当該Casタンパク質をコードする核酸、および、
(2)ゲノム内の前記標的DNA配列にハイブリダイズし得ると共に、前記Casタンパク質と複合体を形成し、前記複合体の前記標的DNA配列への配列特異的結合を指向することが可能なガイドRNA、または、当該ガイドRNAをコードする核酸を導入することにより、前記真核細胞のゲノムを前記標的DNA配列において改変することを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
真核細胞のゲノム内の標的DNA配列を部位特異的に改変するための方法であって、
前記真核細胞中に、
(1)配列番号1に記載の塩基配列5’-NNACNN-3’(ここで「N」は各々、アデニン、シトシン、チミン、およびグアニンから独立して選択される任意の1塩基を意味する。)を含むPAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)配列を認識するCasタンパク質、または、当該Casタンパク質をコードする核酸、および、
(2)ゲノム内の前記標的DNA配列にハイブリダイズし得ると共に、前記Casタンパク質と複合体を形成し、前記複合体の前記標的DNA配列への配列特異的結合を指向することが可能なガイドRNA、または、当該ガイドRNAをコードする核酸
を導入することにより、前記真核細胞のゲノムを前記標的DNA配列において改変することを含む方法。
続きを表示(約 790 文字)【請求項2】
前記Casタンパク質が、アビシコッカス(Abyssicoccus)属菌、好ましくはアビシコッカス・アルバス(Abyssicoccus albus)に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Casタンパク質が、核局在化シグナル(NLS)を含む、請求項1または2に記載の方法
【請求項4】
前記Casタンパク質が、配列番号4に記載のアミノ酸配列と80%以上、又は85%以上、又は90%以上、又は92%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記Casタンパク質が、エンドヌクレアーゼ活性を有する、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記PAM配列が、配列番号2に記載の塩基配列5’-NNACGN-3’または配列番号3に記載の塩基配列5’-NNACAN-3’を含む、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ガイドRNAが、1本鎖ガイドRNA(sgRNA)であると共に、crRNAおよびtracrRNAを含む、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記crRNAが、標的DNA相補鎖と二本鎖を形成することが可能な15~30ヌクレオチド長のスペーサー配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記crRNAが、12~36ヌクレオチド長のステムループを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記真核細胞が、動物細胞、植物細胞、又は微生物細胞である、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子工学の分野に関し、さらに詳細にはゲノム編集の分野に関する。より具体的に、本発明は、真核細胞のゲノム内の標的DNA配列を部位特異的に改変するための新たなゲノム編集方法および当該方法に用いられるゲノム編集用組成物等のゲノム編集手段に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
ゲノム編集技術として、部位特異的DNA修飾タンパク質を利用することが知られている。中でも近年では、CRISPR/Cas(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats-CRISPR associated proteins)システムをゲノム編集に応用する技術が盛んに開発され、利用されている。CRISPR/CasシステムにはI型、II型、およびIII型があるが、ゲノム編集で最も多く用いられているのはII型である。II型CRISPR/Casシステムでは、RNA誘導型ヌクレアーゼ(RNA-guided nuclease:RGN)RGNとして、Cas9と呼ばれるヌクレアーゼを用いる。Cas9は様々な真核細胞(例えば魚、植物、ヒト等)のゲノムを操作するのに使用されてきた(非特許文献1)。Cas9は、一般的にはガイドRNAとの複合体として用いられる。Cas9とガイドRNAとの複合体を細胞内に導入することにより、様々な動植物において標的遺伝子を変異させることができる。Cas9は、CRISPR RNA(crRNA)およびトランス活性化crRNA(tracrRNA)と呼ばれる2つのRNAと複合体を形成することにより、活性を有するエンドヌクレアーゼとして機能し、侵入したファージまたはプラスミド中の外来遺伝因子を切断する。このように、CRISPR/Casシステムは、標的DNA配列と相同な配列を有する短いsgRNAを合成するだけで利用可能である上に、特にII型CRISPR/Casシステムでは、単一のタンパク質であるCas9を用いてゲノム編集が可能であるという利点がある。
【0003】
Cas9は、DNA中のPAM(プロトスペーサー隣接モチーフ:protospacer adjacent motif)配列を認識し、その上流で二本鎖DNAを平滑末端になるように切断する。Cas9が認識するPAM配列の長さや塩基配列は、Cas9が由来する細菌種によってさまざまである。例えば、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)由来のCas9(略称SpyCas9)は、5’-NGG-3’という3つの塩基をPAM配列として認識するため、グアニンが2つ並んだ配列の上流を切断できる(特許文献1)(なお、別途明記しない限り、本明細書における塩基配列中の「N」は任意の塩基を表す。)。また、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)は2種類のCas9を有し、それぞれ5’-NGGNG-3’又は5’-NNAGAA-3’という5~6塩基の配列をPAM配列として認識する(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2014/093661号
特表2015-510778号公報
【非特許文献】
【0005】
Charpentier and Doudna, Nature, 2013, 495:50-51
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、CRISPR/Casシステムは優れたゲノム編集手段ではあるが、その汎用性を高めるために、認識可能なPAM配列の多様化が求められている。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、真核細胞ゲノム内の新たなPAM配列を認識して当該ゲノムを部位特異的に改変することが可能な、新たなゲノム編集手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前述の課題解決のために鋭意検討を行なった結果、5’-NNACNN-3’を含む新たなPAM配列を認識するCasタンパク質を見出し、斯かるCasタンパク質をガイドRNAと共に、標的DNA配列をゲノム内に含む真核細胞内で発現させることで、新たな標的DNA配列に基づく真核細胞ゲノムの部位特異的な改変が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下を包含する。
[項1]真核細胞のゲノム内の標的DNA配列を部位特異的に改変するための方法であって、
前記真核細胞中に、
(1)配列番号1に記載の塩基配列5’-NNACNN-3’(ここで「N」は各々、アデニン、シトシン、チミン、およびグアニンから独立して選択される任意の1塩基を意味する。)を含むPAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)配列を認識するCasタンパク質、または、当該Casタンパク質をコードする核酸、および、
(2)ゲノム内の前記標的DNA配列にハイブリダイズし得ると共に、前記Casタンパク質と複合体を形成し、前記複合体の前記標的DNA配列への配列特異的結合を指向することが可能なガイドRNA、または、当該ガイドRNAをコードする核酸
を導入することにより、前記真核細胞のゲノムを前記標的DNA配列において改変することを含む方法。
[項2]前記Casタンパク質が、アビシコッカス(Abyssicoccus)属菌、好ましくはアビシコッカス・アルバス(Abyssicoccus albus)に由来する、項1に記載の方法。
[項3]前記Casタンパク質が、核局在化シグナル(NLS)を含む、項1または2に記載の方法
[項4]前記Casタンパク質が、配列番号4に記載のアミノ酸配列と80%以上、又は85%以上、又は90%以上、又は92%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む、項1~3の何れか一項に記載の方法。
[項5]前記Casタンパク質が、エンドヌクレアーゼ活性を有する、項1~4の何れか一項に記載の方法。
[項6]前記PAM配列が、配列番号2に記載の塩基配列5’-NNACGN-3’または配列番号3に記載の塩基配列5’-NNACAN-3’を含む、項1~5の何れか一項に記載の方法。
[項7]前記ガイドRNAが、1本鎖ガイドRNA(sgRNA)であると共に、crRNAおよびtracrRNAを含む、項1~6の何れか一項に記載の方法。
[項8]前記crRNAが、標的DNA相補鎖と二本鎖を形成することが可能な15~30ヌクレオチド長のスペーサー配列を含む、項7に記載の方法。
[項9]前記crRNAが、12~36ヌクレオチド長のステムループを含む、項7又は8に記載の方法。
[項10]前記真核細胞が、動物細胞、植物細胞、又は微生物細胞である、項1~9の何れか一項に記載の方法。
[項11]前記Casタンパク質をコードする核酸のヌクレオチド配列が、動物細胞、植物細胞、又は微生物細胞における発現のためにコドン最適化されている、項1~10の何れか一項に記載の方法。
[項12]項1~11の何れか一項に記載の方法に使用するためのゲノム編集用組成物であって、前記のCasタンパク質、または、当該Casタンパク質をコードする核酸を含む組成物。
[項13]前記のガイドRNA、または、当該ガイドRNAをコードする核酸を更に含む、項12に記載の組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゲノム編集方法によれば、5’-NNACNN-3’を含む新たなPAM配列を認識するCasタンパク質を用いることにより、新たな標的DNA配列に基づく真核細胞ゲノムの部位特異的な改変が可能となる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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