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公開番号2024056901
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-23
出願番号2024021262,2022179759
出願日2024-02-15,2018-03-27
発明の名称未分化維持培地添加剤
出願人味の素株式会社,個人
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 1/00 20060101AFI20240416BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】多能性幹細胞を、未分化状態を維持しながら効率的に増殖するための培地、及び当該培地を用いた多能性幹細胞の増殖方法を提供する。
【解決手段】L‐トリプトファン、又はL‐キヌレニン、キヌレン酸若しくはL‐トリプトファン、及びアミノ酸がペプチド結合した、ジペプチドから選択されるL‐トリプトファン誘導体を176μM以上の濃度で含む、ヒト多能性幹細胞の増殖を促進するための、無血清培地添加剤を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
L‐トリプトファン、又はL‐キヌレニン、キヌレン酸若しくはL‐トリプトファン及びアミノ酸がペプチド結合したジペプチドから選択されるL‐トリプトファン誘導体を含む、ヒト多能性幹細胞の増殖を促進するための無血清培地添加剤。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
L‐トリプトファン誘導体が、L‐トリプトファンとアミノ酸がペプチド結合したジペプチドである、請求項1記載の培地添加剤。
【請求項3】
ジペプチドが、L‐アラニル‐L‐トリプトファンである、請求項2記載の培地添加剤。
【請求項4】
培地添加剤が、ヒト多能性幹細胞の増殖を未分化状態を維持したまま促進するための培地添加剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の無血清培地添加剤。
【請求項5】
L-トリプトファン又はL-トリプトファン誘導体を培地中176μM以上の濃度となるように含むための、請求項1~3のいずれか一項に記載の無血清培地添加剤。
【請求項6】
L-トリプトファンを培地中176μM以上の濃度となるように含むための、L‐トリプトファンを含む、ヒト多能性幹細胞の増殖を促進するための無血清培地添加剤。
【請求項7】
L‐トリプトファン、又はL‐キヌレニン、キヌレン酸若しくはL‐トリプトファン及びアミノ酸がペプチド結合したジペプチドから選択されるL‐トリプトファン誘導体を含む、ヒト多能性幹細胞の未分化維持剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、未分化状態を維持しながら多能性幹細胞を効率的に増殖するための培地、及び当該培地を用いた多能性幹細胞の増殖方法等に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
ES細胞(Embryonic stem cell)や誘導多能性幹細胞(iPS:induced pluripotent stem cell)などの多能性幹細胞は、その優れた増殖性や多分化能から、再生医療等での使用が期待されている。特にiPS細胞は、作製・入手が比較的容易であること、作製に際しての倫理的制約が少ないこと、さらには移植の際の拒絶反応の観点から、非常に優れた再生医療の材料と目されている。
【0003】
多能性幹細胞を用いて再生医療を行う場合、疾患の治療や治療法の開発研究に、多量の多能性幹細胞が必要となる。このため、多量の多能性幹細胞の供給を可能とするような、多能性幹細胞培養方法を開発及び改良することが重要となる。中でも、要となるのが培地の改良である。多量の細胞を培養するためには、多量の培地が必要となる。例えば、10

個のiPS細胞を培養して10
10
程度の心筋細胞を作製し、患者一人に移植する場合、一人の患者あたり100リットルもの培地が必要となり、培地にかかる費用は少なく見積もってもおよそ100,000ドルに達する。培地にかかる費用を抑える方法の1つは、単位培地体積あたりの培養することが可能な細胞数を増やすことである。つまり、より高効率かつ低コストの効果的な多能性幹細胞培養用培地のニーズが存在する。
【0004】
通常、培地には必須アミノ酸が添加されている。例えば、幹細胞培養用培地であるmTeSR1培地(非特許文献1、2、3)やEssential-8培地(非特許文献4)は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)/F12培地を基礎培地とし、bFGFやインスリン等のいくつかの因子を加えたものである。このDMEM/F12培地中のアミノ酸の含有量は、血液中の遊離アミノ酸量をもとに設定されており、9.0200mg/LのL‐トリプトファンが含まれている。これまで多くの培地が開発されてきたが、培地中のアミノ酸組成についてはほとんど改良されてこなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2004-135672号公報
特開2007-228815号公報
US2010/0317104A1
WO2011/100286A2
【非特許文献】
【0006】
Ludwig TE et.al.Nat. Methods 3(8):637-46;2006
Ludwig TE et.al.Nat.Biotechnol 24(2):185-7;2006
Masters et.al.Human Cell Culture.Dordrecht:Springer Netherlands;2007
Chen G et.al.Nat.Methods 8(5)424-9;2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、多能性幹細胞を効率的に増殖することが可能な培地、及び当該培地を用いて多能性幹細胞を効率的に増殖する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、多能性幹細胞の培養過程における、培地中のアミノ酸量変化に注目した。その結果、多能性幹細胞の培養過程において培地中のL‐トリプトファン量が急速に減少し、培地に含まれる全アミノ酸中でL‐トリプトファンが最も早く枯渇することを見出した。ここで、必須アミノ酸であるL‐トリプトファンは他のアミノ酸に比べても培地処方濃度が低く(非特許文献1、2、3、4)、多能性幹細胞の大量増殖時にいち早く不足し、細胞増殖を制限する要因となることが予測された。そこで、本発明者らは、培地中のL‐トリプトファン量を増加させたり、培養の途中でL‐トリプトファンを添加して消費されたL‐トリプトファンを補うことにより、多能性幹細胞の増殖を促進できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]L‐トリプトファン又はL‐トリプトファン誘導体を176μM以上の濃度で含む、多能性幹細胞培養用の培地。
[2]培地中のL‐トリプトファン又はL‐トリプトファン誘導体を176μM~1408μMの濃度で含む、[1]の培地。
[3]無血清培地である、[1]又は[2]の培地。
[4]多能性幹細胞が誘導多能性幹細胞である、[1]~[3]のいずれかの培地。
[5]トリプトファン誘導体が、トリプトファンとアミノ酸がペプチド結合したジペプチドである、[1]~[4]のいずれかの培地。
[6]ジペプチドが、L‐アラニル‐L‐トリプトファンである、[5]の培地。
[7][1]~[6]のいずれかの培地中で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞の培養方法。
[8]多能性幹細胞を増殖するための方法である、[7]の方法。
[9][1]~[6]のいずれかの培地及び多能性幹細胞を含む、多能性幹細胞培養調製物。
[10]以下の工程を含む、多能性幹細胞の培養方法:
(1)L‐トリプトファン又はL‐トリプトファン誘導体を含む培地中で、多能性幹細胞を培養すること;
(2)得られた多能性幹細胞培養物に、L‐トリプトファン又はL‐トリプトファン誘導体を添加し、(1)で消費された培地中のL‐トリプトファン又はL‐トリプトファン誘導体の一部又は全部を補うこと;及び
(3)L‐トリプトファン又はL‐トリプトファン誘導体が添加された多能性幹細胞培養物を、引き続き培養に付すこと。
[11]L‐トリプトファン又はL‐トリプトファン誘導体を含む培地が、無血清培地である、[10]の方法。
[12]トリプトファン誘導体が、トリプトファンとアミノ酸がペプチド結合したジペプチドである、[10]又は[11]の方法。
[13]ジペプチドが、L‐アラニル‐L‐トリプトファンである、[12]の方法。
[14]L‐トリプトファン又はL‐トリプトファン誘導体を含む、多能性幹細胞の増殖を促進するための培地添加剤。
[15]トリプトファン誘導体が、トリプトファンとアミノ酸がペプチド結合したジペプチドである、[14]の培地添加剤。
[16]ジペプチドが、L‐アラニル‐L‐トリプトファンである、[15]の培地添加剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多能性幹細胞の細胞増殖を促進させることが可能となるため、多能性幹細胞を効率よく大量に培養することができる。本培地の使用による具体的な効果としては、従来の培地に比べて短期間に目標細胞数を得られること、大量培養に特化した培養設備への変更なしに、既存の設備のままの培養でも目標細胞数を得られることなどが期待できる。従って、多能性幹細胞の培養にかかる人的コスト及び金銭的コストを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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