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公開番号2024075263
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-03
出願番号2022186594
出願日2022-11-22
発明の名称鉄道車両
出願人株式会社日立製作所
代理人弁理士法人第一国際特許事務所
主分類B61F 5/22 20060101AFI20240527BHJP(鉄道)
要約【課題】鉄道車両の曲線通過時において、車体と台車との間の相対変位と連動して、空気ばねの剛性を可変とできる構成とし、乗客に作用する左右方向の定常加速度を低減し、乗心地の向上を可能とする、鉄道車両を提供する。
【解決手段】鉄道車両は、空気ばねと接続する第1の空気室と、第2の空気室とを備えた補助タンクと、前記第1の空気室と前記第2の空気室とを接続する配管と、前記配管を閉止する閉止位置と、前記配管を開放する開放位置との間で移動可能な弁体を備えた弁機構と、車体と台車との間において中立位置から上下方向に相対変位が生じたときに、前記相対変位を入力して前記弁体に駆動用変位を出力し、前記弁体を前記開放位置から前記閉止位置へと移動させることが可能な伝達機構と、を有する。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
車体と、空気ばねを介して前記車体を支持する台車とを備えた鉄道車両において、
前記空気ばねと接続する第1の空気室と、第2の空気室とを備えた補助タンクと、
前記第1の空気室と前記第2の空気室とを接続する配管と、
前記配管を閉止する閉止位置と、前記配管を開放する開放位置との間で移動可能な弁体を備えた弁機構と、
前記車体と前記台車との間において中立位置から上下方向に相対変位が生じたときに、前記相対変位を入力して前記弁体に駆動用変位を出力し、前記弁体を前記開放位置から前記閉止位置へと移動させることが可能な伝達機構と、を有することを特徴とする鉄道車両。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
請求項1の鉄道車両において、
前記伝達機構は、入力された前記相対変位に応じて直線変位可能な調整棒と、前記調整棒に連結され、回転変位することによって前記弁体に前記駆動用変位を出力することが可能なレバーと、を含むリンク機構であることを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項1の鉄道車両において、
前記台車の台車枠側に前記補助タンクを設け、前記補助タンクの内部に隔壁を配設することにより、前記第1の空気室と前記第2の空気室とを画成したことを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1の鉄道車両において、
前記車体側に前記補助タンクを設け、前記補助タンクの内部に隔壁を配設することにより、前記第1の空気室と前記第2の空気室とを画成したことを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項2の鉄道車両において、
前記車体と前記台車との間の相対ロール変位と、前記レバーの回転変位とを連動させることにより、前記弁機構が前記配管を開閉可能であることを特徴とする鉄道車両。
【請求項6】
請求項1の鉄道車両において、
前記伝達機構は、前記空気ばねの近傍に配置されていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項7】
請求項1に記載の鉄道車両において、
前記空気ばねが、レール幅方向に沿って2つ配置され、
各空気ばねに対して、前記補助タンク、前記配管及び前記弁機構がそれぞれ配設され、
前記伝達機構は単一であって、前記相対変位を入力して前記弁機構の前記弁体に同時に駆動用変位を出力することを特徴とする鉄道車両。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の鉄道車両において、
前記弁機構は、前記第1の空気室につながる配管に接続された第1の開口部及び前記第2の空気室につながる配管に接続された第2の開口部を備えたケースと、前記ケースに対して外周が封止され前記ケース内で移動可能である筒状の前記弁体と、前記弁体の端部に当接して遮蔽可能なシールと、を有し、
前記伝達機構から出力された駆動用変位によって前記弁体が移動して前記シールに当接したときに、前記ケース内における、前記第1の開口部につながる空間と、前記第2の開口部につながる空間とが非連通状態となることを特徴とする鉄道車両。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
一般的な鉄道車両は、1つの車体と2つの台車で構成され、車体と台車との間には空気ばねが備えられており、この空気ばねにより台車に対して車体が前後・左右・上下の各方向に弾性支持されている。この空気ばねの左右方向の弾性支持部の高さは、車体重心位置の高さに対しオフセットされているため、車体重心位置に遠心力などの左右方向の力が作用すると、車体が軌道カント面に対してレール方向の軸回りに変位(以下、レール方向の軸回りの変位をロール変位と呼ぶ)する。
【0003】
一般的に、鉄道車両が曲線区間を高速で走行する場合、車体に遠心力が作用して、車体が曲線外軌側の向きにロール変位する。この場合に曲線区間で乗客が感じる左右方向の定常加速度は、曲線半径と速度で一意に定まる遠心加速度より、重力加速度×(軌道カント角度-車体ロール変位)の加速度成分を引算して求まる。この定常加速度が大きくなると、乗客は左右方向に引張られる感覚を受けてしまい、不快感を覚えるため乗心地が阻害される。従って、鉄道車両では、曲線通過時の乗心地を向上させるために、車体のロール変位を小さくし、左右方向の定常加速度の増加を抑制することが重要となる。曲線通過時の乗心地を向上する方法として様々な方法が検討されているが、例えば特許文献1と特許文献2に開示された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2005-238858号公報
特開2008-100614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に記載された鉄道車両では、車体と台車の間にアンチローリング装置を備えている。かかる鉄道車両によれば、アンチローリング装置のトーションバーを内外二重構造とし、車体ロール変位が小さい場合には内側のトーションバーが捻れる一方で、曲線通過時に車体ロール変位が大きくなる場合には内外のトーションバーが一体で捻れることで、ロール方向の剛性を高めて車体ロール変位の増加を抑制し、曲線通過時の乗心地向上を狙っている。しかし、上記の構成では、アンチローリング装置のトーションバーが二重構造を有することから、例えば分解検査を要する場合には、車両保守時の手間が増えるという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載された鉄道車両では、左右一対の空気ばねを介して車体を支持した車体傾斜装置において、各空気ばねへの給排弁と、空気ばね本体と補助タンクとの間に配置された制御絞りとを有する構成となっている。かかる構成によれば、曲線通過時に、空気ばねに給気して車体を傾斜させる過程で、制御絞りの流路状態を適切に制御することにより、曲線通過時の車体ロール変位の変化をスムーズに行わせることができ、それにより曲線区間での乗心地向上を狙っている。しかし、上記の構成では、絞り制御を行うための制御弁、および制御装置を追設する必要があり、これら搭載のための設計検討や車両追設等の費用が生じるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、電気制御を必要としない簡素な機械式構成でありながら、台車に装備される空気ばねの状態を車体姿勢に応じてパッシブに切り替えることにより、車両保守性が良くかつ曲線通過時の乗心地向上を実現可能な鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の鉄道車両の一つは、
車体と、空気ばねを介して前記車体を支持する台車とを備えた鉄道車両において、
前記空気ばねと接続する第1の空気室と、第2の空気室とを備えた補助タンクと、
前記第1の空気室と前記第2の空気室とを接続する配管と、
前記配管を閉止する閉止位置と、前記配管を開放する開放位置との間で移動可能な弁体を備えた弁機構と、
前記車体と前記台車との間において中立位置から上下方向に相対変位が生じたときに、前記相対変位を入力して前記弁体に駆動用変位を出力し、前記弁体を前記開放位置から前記閉止位置へと移動させることが可能な伝達機構と、を有することにより達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気制御を必要としない簡素な機械式構成でありながら、台車に装備される空気ばねの状態を車体姿勢に応じてパッシブに切り替えることにより、車両保守性が良くかつ曲線通過時の乗心地向上を実現可能な鉄道車両を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、第1の実施形態の鉄道車両台車の側面図である。
図2は、第1の実施形態の鉄道車両台車の機械式制御機構周辺の側面図である。
図3は、第1の実施形態の弁機構の構成と動作を説明する断面図である。
図4は、第1の実施形態の鉄道車両台車が、曲線軌道を走行した際の本機構の動作説明図である。
図5は、第2の実施形態の機械式制御機構周辺の側面図である。
図6は、第3の実施形態の機械式制御機構周辺の正面図である。
図7は、第3の実施形態の鉄道車両が、曲線軌道を走行した際の本機構の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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