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公開番号2024070742
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-23
出願番号2022181451
出願日2022-11-11
発明の名称パルプモールド成形品の製造方法、及び、成形品
出願人日本モウルド工業株式会社
代理人個人
主分類D21J 5/00 20060101AFI20240516BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】 パルプ泥漿に炭酸カルシウム粉末を混ぜてパルプモールド成形用の原料泥漿として用いる技術に於いて、パルプ繊維への炭酸カルシウム粉末の定着を良好にする。
【解決手段】 パルプ繊維を含む原料泥漿20へ成形型1を浸漬し、成形型面11の背面側からの吸引により前記成形型面11上に原料を堆積させて成形体31と成し、前記成形型1を前記原料泥漿20から引き上げた後、前記成形型面11から前記成形体31を取り外して乾燥させることによりパルプモールド成形品32を得る、パルプモールド成形品の製造方法であって、前記原料泥漿20は、平均粒径が10~20[μm]の範囲で且つ粒径分布が対数正規分布を成すように調整した炭酸カルシウム粉末を、パルプ繊維を含むパルプ泥漿に混合して成る製造方法。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
パルプ繊維を含む原料泥漿へ成形型を浸漬し、成形型面の背面側からの吸引により前記成形型面上に原料を堆積させて成形体と成し、前記成形型を前記原料泥漿から引き上げた後、前記成形型面から前記成形体を取り外して乾燥させることによりパルプモールド成形品を得る、パルプモールド成形品の製造方法であって、
前記原料泥漿は、平均粒径が10~20[μm]の範囲で且つ粒径分布が対数正規分布を成すように調整した炭酸カルシウム粉末を、パルプ繊維を含むパルプ泥漿に混合して成る、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
続きを表示(約 480 文字)【請求項2】
請求項1に於いて、
前記炭酸カルシウム粉末は、平均粒径を算術標準偏差で除算して成る値が1.6以上である、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
【請求項3】
請求項1に於いて、
前記炭酸カルシウム粉末は、少なくとも3.7~35[μm]の粒径範囲が2σ区間に含まれる、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
【請求項4】
請求項2に於いて、
前記炭酸カルシウム粉末は、少なくとも3.7~35[μm]の粒径範囲が2σ区間に含まれる、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
【請求項5】
請求項1に於いて、
前記原料泥漿は、前記成形型を浸漬する浸漬層に供給する直前に、前記炭酸カルシウム粉末を前記パルプ泥漿に混合することにより得られる、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れかの製造方法により製造されたパルプモールド成形品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原料泥漿から成形体を形成する成形工程(例:成形型を原料泥漿に浸漬して成形型面の裏面側から吸引することにより該成形型面を覆っている網上に原料を付着・堆積させて成形する工程)を経てパルプモールド成形品を得る製造方法と、該製造方法により製造されるパルプモールド成形品に関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1や2に記載のように、パルプ泥漿に炭酸カルシウム(卵殻粉末等)を混ぜた泥漿をパルプモールド成形用の原料泥漿として用いることが試みられている。
特許文献1:
特開2021-147713号公報(特許文献1)には、
「パルプAと、卵殻、貝殻、及び、貝化石から選択される少なくとも1種の粉状物Bとを含有し、パルプA(乾燥重量)および前記粉状物Bの総量における粉状物Bの含有量が10重量%以上50重量%未満の範囲であるパルプモールド成形体。」
が、開示されている。
上記粉状物Bの粒径について、
「好ましくは10μm以上500μm以下の範囲であり、より好ましくは20μm以上300μm以下である。」
との記載もある。
また、
「意匠性を高めるためには、粒径500μm超の粉状物Bを加えてもよい。」
との記載もある。
【0003】
特許文献2~5:
特許第6829451号(特許文献2)には、
「繊維状物質を成形してパルプモールドを生成するパルプモールドの製造方法であって、繊維状物質及び卵殻粉末を混合して成形原料を生成する混合工程と、前記成形原料を所望形状に成形する成形工程とを備え、前記成形原料において、前記繊維状物質と前記卵殻粉末の総重量に対する該卵殻粉末の重量含有比率が10%以上であり、更に、卵殻から卵殻膜を分離して卵殻粉末を生成する卵殻膜分離工程を備え、前記卵殻粉末は、900℃以上の焼成が行われていない状態のものを含み、前記卵殻膜分離工程では、前記卵殻を粉砕し、かつ、前記卵殻と前記卵殻膜との比重差を利用して前記卵殻膜を分離して前記卵殻粉末を生成することを特徴とする、パルプモールドの製造方法。」
が、開示されている。
上記卵殻粉末の粒径について、
「微粉砕行程では、卵殻膜が分離された卵殻のみをミルを用いて微粉砕する。粉砕する粒径は、例えば、体積平均粒形として300μm以下が好ましく、更に100μm以下が好ましく、70μm以下が望ましい。一方、粉砕後の凝集作用を低減するためには、体積平均粒形として5μm以上にすることが好ましく、望ましくは10μm以上、更に望ましくは20μm以上とする。」
との記載もある。
特許文献2の分割元(直接又は間接の分割元)出願/特許である特開2020-180402号公報(特許文献3)、特許第6667841号(特許文献4)、特許第6747686号(特許文献5)にも同様の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-147713号公報
特許第6829451号
特開2020-180402号公報
特許第6667841号
特許第6747686号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パルプモールド成形では、古紙等のパルプ繊維を水と攪拌して得られるパルプ泥漿を成形工程(例:成形型を原料泥漿に浸漬して成形型面の裏面側から吸引することにより該成形型面を覆っている網上に原料を付着・堆積させて成形する工程)に供給して成形体を形成し、該成形体からパルプモールド成形品を得ている。
【0006】
特許文献1や2のように、パルプ泥漿に炭酸カルシウム(例:卵殻粉末)を混ぜてパルプモールド成形用の原料泥漿として用いる場合、パルプ繊維に炭酸カルシウムを良好に定着させる必要がある。定着が不良であると、例えば、残余の炭酸カルシウムが、原料泥漿供給ラインの各段階や成形工程の槽底に沈殿して、動作不良等の種々の不具合の原因となるためである。
しかしながら、特許文献1や2には、定着を良好に行う技術について、記載が無い。
本願は、パルプ泥漿に炭酸カルシウム(例:卵殻粉末)を混ぜてパルプモールド成形用の原料泥漿として用いる技術に於いて、パルプ繊維への炭酸カルシウム(例:卵殻粉末)の定着を良好にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の構成を、下記[1]~[6]に記す。なお、この項([課題を解決するための手段])と次項([発明の効果])に於いて、符号は理解を容易にするために付したものであり、本発明を符号の構成に限定する趣旨ではない。
【0008】
[1]発明1
パルプ繊維を含む原料泥漿20へ成形型1を浸漬し、成形型面11の背面側からの吸引により前記成形型面11上に原料を堆積させて成形体31と成し、前記成形型1を前記原料泥漿20から引き上げた後、前記成形型面11から前記成形体31を取り外して乾燥させることによりパルプモールド成形品32を得る、パルプモールド成形品の製造方法であって、
前記原料泥漿20は、平均粒径が10~20[μm]の範囲で且つ粒径分布が対数正規分布を成すように調整した炭酸カルシウム粉末を、パルプ繊維を含むパルプ泥漿に混合して成る、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
炭酸カルシウム粉末としては、工業的に製造されたものの他、卵殻、貝殻、貝化石等を例示することができる。
[2]発明2
発明1に於いて、
前記炭酸カルシウム粉末は、平均粒径を算術標準偏差で除算して成る値が1.6以上である、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
この値は、後述の実施例1では「1.94」、実施例2では「1.72」である。
[3]発明3
発明1に於いて、
前記炭酸カルシウム粉末は、少なくとも3.7~35[μm]の粒径範囲が2σ区間に含まれる、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
2σ(σは標準偏差)区間とは、-2σ~+2σの区間である。後述の実施例1(試料A)では、端からの頻度の和が「2.5%」を越えないNo.24~No.42は、確実に含まれる。また、実施例2(試料B)では、端からの頻度の和が「2.5%」を越えないNo.27~No44は、確実に含まれる。
[4]発明4
発明2に於いて、
前記炭酸カルシウム粉末は、少なくとも3.7~35[μm]の粒径範囲が2σ区間に含まれる、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
[5]発明5
発明1に於いて、
前記原料泥漿20は、前記成形型1を浸漬する浸漬層2に供給する直前に、前記炭酸カルシウム粉末を前記パルプ泥漿に混合することにより得られる、
ことを特徴とするパルプモールド成形品の製造方法。
[6]発明6
発明1~発明5の何れかの製造方法により製造されたパルプモールド成形品。
【発明の効果】
【0009】
発明1は、パルプ繊維を含む原料泥漿20へ成形型1を浸漬し、成形型面11の背面側からの吸引により前記成形型面11上に原料を堆積させて成形体31と成し、前記成形型1を前記原料泥漿20から引き上げた後、前記成形型面11から前記成形体31を取り外して乾燥させることによりパルプモールド成形品32を得る、パルプモールド成形品の製造方法であって、前記原料泥漿20は、平均粒径が10~20[μm]の範囲で且つ粒径分布が対数正規分布を成すように調整した炭酸カルシウム粉末を、パルプ繊維を含むパルプ泥漿に混合して成る製造方法であるため、パルプ泥漿に炭酸カルシウム粉末を混ぜてパルプモールド成形用の原料泥漿として用いる製造技術に於いて、パルプ繊維への炭酸カルシウム粉末の定着を良好にすることができる。
発明2~発明4は、上記発明1の作用効果を得る炭酸カルシウム粉末を更に的確に規定することができる。
発明5は、原料泥漿供給ラインの複数の段階の各槽底への炭酸カルシウム粉末の沈殿を、確実に防止できる効果がある。
発明6は、上記効果を奏して成形されるパルプモールド成形品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例1、2、比較例1、参考例1、2、及び、特許文献1~5の製造に於いて、パルプ泥漿に混合する炭酸カルシウム粉末の粒径等を示す一覧図。実施例1、2、比較例1、参考例1、2については、定着評価も併せて示す。
実施例1の炭酸カルシウム粉末の粒子径のヒストグラム(横軸は対数目盛)及び試験条件等を示す説明図。
実施例2の炭酸カルシウム粉末の粒子径のヒストグラム(横軸は対数目盛)及び試験条件等を示す説明図。
比較例1の炭酸カルシウム粉末の粒子径のヒストグラム(横軸は対数目盛)及び試験条件等を示す説明図。
参考例1の炭酸カルシウム粉末の粒子径のヒストグラム(横軸は対数目盛)及び試験条件等を示す説明図。
参考例2の炭酸カルシウム粉末の粒子径のヒストグラム(横軸は対数目盛)及び試験条件等を示す説明図。
実施例1の炭酸カルシウム粉末の粒子径及び頻度のデータ一覧。及び、粒子径と頻度から算出した平均粒径や算術標準偏差等の各データの一覧図。
実施例2の炭酸カルシウム粉末の粒子径及び頻度のデータ一覧。及び、粒子径と頻度から算出した平均粒径や算術標準偏差等の各データの一覧図。
比較例1の炭酸カルシウム粉末の粒子径及び頻度のデータの一覧図。
参考例1、2の炭酸カルシウム粉末の粒子径及び頻度の各データの一覧図。
実施の形態のパルプモールド製造システムの構成を示す説明図。
パルプモールド成形品の一例の斜視図。
150倍・顕微鏡写真(炭酸カルシウムの混合無し)
150倍・顕微鏡写真(炭酸カルシウムの混合有り)
600倍・顕微鏡写真(炭酸カルシウムの混合無し)
600倍・顕微鏡写真(炭酸カルシウムの混合有り)
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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