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公開番号2024067025
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-16
出願番号2023188376
出願日2023-11-02
発明の名称中枢神経系モデルの製造方法
出願人国立大学法人神戸大学
代理人個人,個人,個人
主分類C12N 5/079 20100101AFI20240509BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、形態的及び/又は機能的に生体内の中枢神経系により近い形態を反映したin vitro中枢神経系モデルを提供することである。
【解決手段】中枢神経細胞前培養物に、中枢神経系グリア前駆細胞及び/又はニューロスフィアを播種して共培養することで、生体内の中枢神経系と同様に、複雑に分枝し極性化した中枢神経系グリア細胞と中枢神経細胞とが共存する中枢神経系モデルが得られる。また、中枢神経細胞を、所定の酸素濃度及び所定のグルコース濃度の条件で培養することで、シナプス機能障害及び神経細胞の変性を経て神経細胞の死に至る過程が生体内の中枢神経系により近い緩徐な態様で再現された中枢神経系モデルが得られる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
中枢神経細胞を前培養することで、神経細胞前培養物を得る工程1と、
前記神経細胞前培養物に、中枢神経系グリア前駆細胞及びニューロスフィアからなる群より選択される共培養用細胞を播種する工程2と、
前記中枢神経細胞と前記共培養用細胞とを共培養することで、中枢神経細胞及び中枢神経系グリア細胞を含む中枢神経系モデルを得る工程3と、を含む、中枢神経系モデルの製造方法。
続きを表示(約 720 文字)【請求項2】
前記中枢神経系グリア細胞がアストロサイトである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程1における前記前培養の時間と前記工程3における前記共培養の時間との合計が12日以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程2の前に、前記共培養用細胞を、血清濃度0~1.2v/v%の培地で培養することにより得る工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程3の後に、前記中枢神経細胞及び前記中枢神経系グリア細胞を含む共培養物を、3~7v/v%酸素雰囲気下、且つ、グルコース含有量が10~18mMの培地を用いた培養に供する工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記中枢神経細胞と前記共培養細胞とが、それぞれ異なる個体に由来するものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1の製造方法により得られる中枢神経系モデル。
【請求項8】
中枢神経細胞を、3~7v/v%酸素、且つ、グルコース含有量が10~18mMの培地を用いて培養する工程を含む、中枢神経系モデルの製造方法。
【請求項9】
前記工程において、前記培養を2~5時間行い、前記中枢神経系モデルをシナプス機能障害観察用モデルとして得る、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記工程において、前記培養を6時間以上行い、前記中枢神経系モデルを少なくとも中枢神経細胞死観察用モデルとして得る、請求項8に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、中枢神経系モデルの製造方法に関する。より具体的には、本発明は、生体内の形態及び/又は機能をより忠実に反映できる中枢神経系モデルの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病などの神経変性疾患で見られる神経細胞の変性と死を阻害する薬剤の創出のために、その病態を模倣するスクリーニング系として、神経細胞を用いたin vitroモデルが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリハイドロキシエチルメタクリレートが基質上に細胞非接着性の微少領域を形成していることを特徴とする培養基質を用い、この培養基質上でグリア細胞を培養し、さらにこのグリア細胞の上で神経細胞を培養することで、生体外で神経細胞の形態制御を安定に行うことが開示されている。
【0004】
また、酸素及びグルコース欠乏が神経細胞に及ぼす影響を検討するin vitroの実験系として無酸素・無グルコース(Oxygen-Glucose Deprivation:OGD)培養法が汎用されている。OGD実験系は、虚血性脳損傷の病理学的変化を良好な再現性でシミュレートすることができるとされており、虚血耐性に関与する要因の研究に精力的に利用されてきた。
【0005】
例えば、OGD実験系の利用により、非特許文献1には、ストレス蛋白質HSPの遺伝子発現をはじめ各種の転写因子活性化及びそれに引き続く遺伝子発現が見出されたことが報告されており、非特許文献2には、免疫機能、とくにToll-like受容体を介した炎症起点、それに引き続く炎症抑制、免疫抑制が、耐性獲得脳で発現していることが報告されており、非特許文献3には、慢性低灌流脳において脳軟膜動脈吻合レベルでの血管適応現象が生じ、その後に加わる重度の虚血侵襲を軽減する作用があることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平7-075547号公報
【非特許文献】
【0007】
Kitagawa K : CREB and cAMP response elementmediated gene expression in the ischemic brain.FEBJ J 274 : 3210―3217, 2007
Kariko K, Weissmann D, Welsh FA : Inhibition of Toll-like receptor and cytokine signaling―A unifying theme in ischemic tolerance. J Cereb Blood Flow Metab 24 : 1288―1304, 2004
Kitagawa K, Yagita Y, Sasaki T, Sugiura S, Omura-Matsuoka E, Mabuchi T, Matsushita K, Hori M : Chronic mild reduction of cerebral perfusion pressure induces ischemic tolerance in focal cerebral ischemia. Stroke 36 : 2270―2274, 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
脳内において、神経細胞は種々のグリア細胞(アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイトなど)と物理的及び機能的に相互作用しており、これらの相互作用がそれぞれの細胞の正常状態の構造及び機能の維持又は病態の増悪、若しくはこれらの両方に関与していることが知られている。したがって、病態を模倣した実験系を構築するためには、神経細胞とグリア細胞とが生体内に近い状態で共存している実験系を開発することが極めて重要である。生体内の中枢神経系グリア細胞は複雑に分枝し突起を伸展して極性化しており、その突起先端(perisynaptic astrocyte processes;PAPs)がシナプスと相互作用し三者間シナプスを形成している。この形態は、中枢細胞系の機能に大きく影響する。しかしながら、これまでの神経細胞を用いたin vitroモデルは、このような生体内に近い形態及び機能を十分再現できるには至っていない。
【0009】
また、OGD実験系は、虚血性脳損傷の病理学的変化をシミュレートするモデルとして有用ではあるが、慢性の低酸素・低グルコース状態を再現していないため、神経変性疾患において生体内でみられる、シナプスの変性から神経細胞死に至る緩徐な過程を詳細に観察することができない。
【0010】
このように、これまでの神経細胞のin vitroモデルは、形態的にも機能的にも生体内の中枢神経系を反映したものになっていないため、多数の突起を持つ正常アストロサイトの神経細胞保護作用や異常アストロサイトの神経障害機能の解析が困難であり、神経変性疾患の病態モデルとして未だ検討の余地がある。
(【0011】以降は省略されています)

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