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公開番号2024070743
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-23
出願番号2022181452
出願日2022-11-11
発明の名称断熱消磁冷凍機および断熱消磁冷凍方法
出願人国立大学法人神戸大学
代理人弁理士法人グローバル知財
主分類F25B 21/00 20060101AFI20240516BHJP(冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒートポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化)
要約【課題】短時間で極低温が得られる断熱消磁冷凍機(ADR)を提供する。
【解決手段】常磁性塩が格納されたソルトピル4と、ソルトピル4と一端で接続される超伝導式の熱スイッチ5と、熱スイッチ5の他端に接続されるクライオスタット6と、ソルトピル4と熱スイッチ5とクライオスタット6を収容する断熱真空層と、クライオスタット6と熱接触する冷却材と、ソルトピル4に磁場を印加する超伝導電磁石14などの磁場印加手段、を備え、熱スイッチ5が、常磁性塩の消磁中に断熱材として働く第二種超伝導体で構成され、常磁性塩の消磁冷凍と断熱を同時に行う。
【選択図】図2

特許請求の範囲【請求項1】
磁気冷凍材料が格納されたピルと、
前記ピルと一端で接続される超伝導式の熱スイッチと、
前記熱スイッチの他端に接続されるクライオスタットと、
前記ピルと前記熱スイッチと前記クライオスタットを収容する断熱真空層と、
前記クライオスタットと熱接触する冷却材と、
前記ピルに磁場を印加する磁場印加手段、
を備え、
前記熱スイッチが、前記磁気冷凍材料の消磁中に断熱材として働く第二種超伝導体で構成され、前記磁気冷凍材料の消磁冷凍と断熱を同時に行うことを特徴とする断熱消磁冷凍機。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記磁場印加手段の中心が、前記ピルと前記熱スイッチとの接続部に配置され、前記ピルと前記熱スイッチに対して、同時に磁場を印加することを特徴とする請求項1に記載の断熱消磁冷凍機。
【請求項3】
前記第二種超伝導体は、前記磁場印加手段の最高磁場未満、かつ、前記磁気冷凍材料における冷却効果がある最低磁場以上の範囲内に、上部臨界磁場が存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱消磁冷凍機。
【請求項4】
前記磁場印加手段が、超伝導電磁石であり、
前記第二種超伝導体は、CeIr

、または、Nb

NiSiであることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱消磁冷凍機。
【請求項5】
磁気冷凍材料が格納されたピルと、
前記ピルと一端で接続される第二種超伝導体の熱スイッチと、
前記熱スイッチの他端に接続されるクライオスタットと、
前記ピルと前記熱スイッチと前記クライオスタットを収容する断熱真空層と、
前記クライオスタットと熱接触する冷却材と、
前記ピルに磁場を印加する磁場印加手段、
を備える断熱消磁冷凍機を用いて、
前記磁気冷凍材料の消磁中に前記熱スイッチが断熱材として働き、前記磁気冷凍材料の消磁冷凍と断熱を同時に行うステップを備えることを特徴とする断熱消磁冷凍方法。
【請求項6】
前記磁場印加手段が、前記第二種超伝導体の上部臨界磁場以上の磁場を印加して前記熱スイッチをONするステップと、
前記第二種超伝導体の上部臨界磁場未満の磁場に下がり前記熱スイッチがOFFとなり、前記磁気冷凍材料が消磁冷凍されるステップ、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の断熱消磁冷凍方法。
【請求項7】
前記第二種超伝導体は、前記磁場印加手段の最高磁場未満、かつ、前記磁気冷凍材料における冷却効果がある最低磁場以上の範囲内に、上部臨界磁場が存在することを特徴とする請求項5又は6に記載の断熱消磁冷凍方法。
【請求項8】
前記磁場印加手段が、超伝導電磁石であり、
前記第二種超伝導体として、CeIr

、または、Nb

NiSiが用いられることを特徴とする請求項5又は6に記載の断熱消磁冷凍方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱消磁冷凍機および断熱消磁冷凍方法に関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
異常磁性や非従来型超伝導などの強相関電子系の研究には、極低温での試料の測定が必要である。ヘリウムの2つの同位体(

He、

He)をそれぞれ液化し、

He相を

He相に注ぎ希釈する際の希釈熱を利用する

He-

He希釈冷凍機を用いれば50mK程度の低温が得られるが、試料のセッティングから最低温に冷却するまで多くの労力と時間を要するといった問題がある。一方、

He冷凍機を用いれば、比較的簡便に500mK程度の低温が得られるが、新規物質の超伝導の探索などには、より低温が必要な場合がある。そこで、簡便に100mK以下(できれば、50mK以下)の最低温度が得られる断熱消磁冷凍機(Adiabatic Demagnetization Refrigerator:ADR)が利用されている。
【0003】
ADRは、磁気冷凍機の一種であり、ある一定温度における磁気モーメントの不規則性を表わすエントロピーが磁場を作用させると、磁気モーメントが部分的に整列して温度低下を生じるというものであり、磁性体が有するエントロピーの磁場依存性を用いて試料を冷却する。ADRは、図11に示すとおり、被冷却物50を冷却するため常磁性塩51が格納された非磁性のソルトピル52と、常磁性塩51を磁化するための超伝導電磁石53と、ソルトピル52を補助冷却するための補助冷凍機(例えば、液体Heなど)54と、ソルトピル52に対する補助冷凍機54の熱的な接続状態をON/OFFするための熱スイッチ55と、これらを収容するための断熱真空槽56を備える。ADRでは、補助冷凍機54により断熱真空槽56の内部を液体ヘリウムの温度まで冷却し、10分間程度、超伝導電磁石53を励磁すると共に、熱スイッチ55をスイッチONし、補助冷凍機54により磁化熱を捨て、熱スイッチ55をスイッチOFFとし、ソルトピル52を断熱し、超伝導電磁石53を消磁することにより、100mK以下の極低温環境を実現する。
【0004】
既存のADRの欠点として、常磁性塩を予冷するため断熱空間内に一時的にHeガスを導入するが、その残留ガスのために、十分な断熱状態が作れないという問題がある。かかる問題を解決するために、機械的な熱スイッチや超伝導体(Pbなどの第一種超伝導体)を用いた熱スイッチが用いられている。超伝導体を用いた熱スイッチは、超伝導状態においては熱を伝え難いためスイッチOFF(断熱)として機能し、超伝導臨界温度Tc以上、臨界磁場Hc以上ではスイッチONとして機能する。また磁場の印加のための電磁石が必要となる。
しかしながら、これらの熱スイッチはある程度の空間を必要とするため、実際の低温装置に組み込むと大がかりな装置となってしまうことが問題であった。物性実験において、極低温と同時に強磁場下での実験も行う必要があり、その場合には、超伝導電磁石の中に低温装置を挿入する必要があるため、利用できる空間は限られてしまう。
【0005】
また、ADRにおいて、冷却損失を少なくし、排熱の熱伝導を良くし、外部からの熱の進入を阻止して冷却効率を向上するものが知られている(特許文献1を参照)。これは、熱スイッチ、磁性体、冷却装置の低温部を同一の断熱容器内に収納されたものであるが、特許文献1では、昇降駆動装置により排熱用ガス冷凍機の少なくとも低温部が連結されている部分を下降させて熱スイッチの下端面を磁性体の上端面に密接させ、同時に超伝導マグネットに通電して磁性体を磁化すれば、磁性体が発熱してその熱は熱スイッチを経て直ちに低温部に流れて排熱されるという構成であり、熱スイッチの材料を工夫したものではない。
【0006】
また、非特許文献1では、熱スイッチが、機械式、超伝導式、ガスギャップ式の三種類があり、その内、超伝導式は、磁石を用いて磁場を印加してON/OFFする点が示されているが、非特許文献1におけるADRの構造では、熱スイッチが機械式であり、常磁性塩が格納されたソルトピルに磁場をかけるための超伝導電磁石(電磁石コイル)がソルトピルの周囲に示されているに過ぎず、やはり熱スイッチの材料を工夫したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平9-145195号公報
【非特許文献】
【0008】
断熱消磁冷凍機向けヒートスイッチの開発(http://www-x.phys.se.tmu.ac.jp/docs/grad-thesis/2009-03-Takaoka.Akira-ppt.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かかる状況に鑑みて、本発明は、短時間で極低温が得られる断熱消磁冷凍機(ADR)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、断熱消磁冷凍機において、磁気冷凍材料の一種である常磁性塩の消磁中に断熱材として機能する第二種超伝導体を熱スイッチに使用することで、短時間で極低温が得られるとの知見を得た。
(【0011】以降は省略されています)

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