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公開番号2024065396
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-15
出願番号2022174244
出願日2022-10-31
発明の名称立体絵画の制作方法
出願人個人
代理人個人
主分類B44D 2/00 20060101AFI20240508BHJP(装飾技術)
要約【課題】表現したい既存の立体装飾体をそのまま用いるのではなく、またそのような立体装飾体と同じものをキャンバス上に最初から盛り付け等して形成していくのではなく、金属箔をうまく利用することで、前記既存の立体装飾体の外観を好ましく取り入れて表現できる立体絵画とその制作方法の提供を課題とする。
【解決手段】立体的画材からなる立体的表現をキャンバスの少なくとも一部に施してなる立体絵画1であって、キャンバス10は基板となる台紙20の上に金属箔30を貼り付けた状態に構成されており、金属箔30はキャンバス10上に表現したい既存の立体装飾体の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部31と、該立体型取り部31の周囲に平面状に構成され、台紙20に貼り付けられる平面貼り付け部32とを備え、且つ立体型取り部31の裏側に構成される裏側凹所に充填材が充填固化されている。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現をキャンバスの少なくとも一部に施してなる立体絵画であって、前記キャンバスは基板となる台紙の上に金属箔を貼り付けた状態に構成されており、前記金属箔は、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面状に構成され、前記台紙に貼り付けられる平面貼り付け部とを備え、且つ前記立体型取り部の裏側に構成される裏側凹所に充填材が充填固化されていることを特徴とする立体絵画。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
キャンバスの表面を構成する金属箔の平面貼り付け部に該金属箔による皺模様を背景として付加していることを特徴とする請求項1に記載の立体絵画。
【請求項3】
金属箔による皺模様を施したキャンバスの上に立体的画材による立体的表現を施してあることを特徴とする請求項2に記載の立体絵画。
【請求項4】
次のA~Dの工程を備えることを特徴とする立体絵画の制作方法。
A.キャンバスの基板となる台紙の上に貼り付ける金属箔、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体、をそれぞれ用意する工程。
B.前記既存の立体装飾体の表面に金属箔を押し付け、これによって前記押し付けた部分に立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面貼り付け部と、前記立体型取り部の裏側に裏側凹所とを、形成する工程。
C.前記金属箔の裏側凹所に充填材を、前記平面貼り付け部と面一になるように流動充填して固化する工程。
D.金属箔の前記平面貼り付け部の裏面を前記充填材の裏面と共に台紙の上に貼り付けてキャンバスとする工程。
【請求項5】
D工程において、金属箔を台紙の上に貼り付ける際に、金属箔の平面貼り付け部の表面に皺模様を付加することを特徴とする請求項4に記載の立体絵画の制作方法。
【請求項6】
E工程として.台紙に金属箔が貼り付けられてなるキャンバスに平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現を施す工程を備えることを特徴とする請求項5に記載の立体絵画の制作方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は立体絵画とその制作方法に関し、より詳しくは、キャンバス上に絵具やその他の画材を立体的に施して構成してなる立体絵画とその制作方法に関する。
続きを表示(約 5,000 文字)【背景技術】
【0002】
キャンバス上に絵具等で平面的に描いた通常の平面絵画の他、キャンバス上に画材を重ねる等して立体的に描いた立体絵画がある。立体絵画の制作方法としては、絵具を塗り重ねて立体化する方法、粘土等によりキャンバス上を立体化する方法、紙や写真等をキャンバス上に貼り付ける方法、造花や生花或いはプリザーブドフラワー等を貼り付ける方法、固体立体物を画材としてキャンバス上に貼り付ける方法等、種々の制作方法があり、それらの制作方法による立体絵画が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2001-301399号公報
特開2008-265211号公報
実用新案登録第3157930号公報
実用新案登録第3166224号公報
特開2021-121494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、家庭用電気ミキサーに紙片、水を入れて粉砕、ペースト状とし、これに木工用接着剤を適宜入れて紙ペーストを作成し、この紙ペーストを下絵の上に凹凸に塗り積み重ねて立体表現するようにした絵画法が開示されている。
しかしながら、この特許文献1の絵画法では、立体表現物3等は紙ペースト自体によりパレット上に最初から作り上げて行く必要がある。
上記特許文献2には、鉛の金属箔2の表面に接着剤3を塗布し、この接着剤3の上から花4や花びら等6を押し付けて貼り付け、その後に花4の外周付近に沿って切断し、切断した金属箔2と一体の花4にウエーブをかけて立体感を出すようにした装飾品または身飾品及びそれらの製造方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献2において、金属箔2の役割は、装飾対象物である花4の裏側に一体となって接着され、補強とウエーブをかけるためのものにとどまる。
上記特許文献3には、液体状シリル化ウレタン樹脂5を用い、これを絵画の線状輪郭部2に囲まれた領域に充填し、固化して、絵画に立体感をもたらすようにした立体絵画パネルが開示されている。
しかしながら、この特許文献3において、使用される樹脂5は、キャンバス上に描かれた絵画そのものに後から追加して使用されるものである。
上記特許文献4には、粘土とモデリングペースト、或いは更にアクリル絵具が混ぜ合わされて形成された造形部20をキャンバス部10の表面に固着するようにした装飾品が開示されている。予め作成した造形部20を用意しておき、これをキャンバス部10に貼り付ける等することで、複雑な装飾品を容易に得ることができる。
しかしながら、この特許文献4において、造形部20はキャンバス部10とは別に予め形成することができるというものの、造形部20そのものはペーストを用いて最初から作り上げて行く必要がある。
上記特許文献5には、粘着層32の上に増圧層37とその上に金属箔層38を形成して立体的な金属箔装飾体50a、50b、50cを構成するようにした、装飾用シール80a、80b、80c、及びその製造方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献5において、金属箔装飾体50a、50b、50cは、離形シート30の離形層30bの上に、粘着層32、増圧層37を形成し、更にその上に熱接着剤を用いて金属箔層38を接着したものであり、各金属箔装飾体はキャンバスである離形シート30の上に1つ1つ下から順に積層して作り上げていく必要がある。
【0005】
そこで本発明は上記従来における問題点を解決し、キャンバスの上に表現したい既存の立体装飾体をそのまま用いるのではなく、またそのような立体装飾体と同じものをキャンバス上に最初から盛り付け等して形成していくのではなく、金属箔をうまく利用することで、前記既存の立体装飾体の外観を好ましく取り入れて表現することができる立体絵画とその制作方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の立体絵画は、平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現をキャンバスの少なくとも一部に施してなる立体絵画であって、前記キャンバスは基板となる台紙の上に金属箔を貼り付けた状態に構成されており、前記金属箔は、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面状に構成され、前記台紙に貼り付けられる平面貼り付け部とを備え、且つ前記立体型取り部の裏側に構成される裏側凹所に充填材が充填固化されていることを第1の特徴としている。
また本発明の立体絵画は、上記第1の特徴に加えて、キャンバスの表面を構成する金属箔の平面貼り付け部に該金属箔による皺模様を背景として付加していることを第2の特徴としている。
また本発明の立体絵画は、上記第2の特徴に加えて、金属箔による皺模様を施したキャンバスの上に立体的画材による立体的表現を施してあることを第3の特徴としている。
また本発明の立体絵画の制作方法は、次のA~Dの工程を備えることを第4の特徴としている。
A.キャンバスの基板となる台紙の上に貼り付ける金属箔、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体、をそれぞれ用意する工程。
B.前記既存の立体装飾体の表面に金属箔を押し付け、これによって前記押し付けた部分に立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面貼り付け部と、前記立体型取り部の裏側に裏側凹所とを、形成する工程。
C.前記金属箔の裏側凹所に充填材を、前記平面貼り付け部と面一になるように流動充填して固化する工程。
D.金属箔の前記平面貼り付け部の裏面を前記充填材の裏面と共に台紙の上に貼り付けてキャンバスとする工程。
また本発明の立体絵画の制作方法は、上記第4の特徴に加えて、D工程において、金属箔を台紙の上に貼り付ける際に、金属箔の平面貼り付け部の表面に皺模様を付加することを第5の特徴としている。
また本発明の立体絵画の制作方法は、上記第5の特徴に加えて、E工程として.台紙に金属箔が貼り付けられてなるキャンバスに平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現を施す工程を備えることを第6の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の立体絵画は、平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現をキャンバスの少なくとも一部に施している。
前記キャンバスは、基板となる台紙の上に金属箔を貼り付けた状態に構成されている。
そして前記金属箔は、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体の凹凸模様を立体的に型取ってなる立体型取り部と、該立体型取り部の周囲に平面状に構成され、前記台紙に貼り付けられる平面貼り付け部と、前記立体型取り部の裏側に構成される裏側凹所とを備えている。
更に前記金属箔の前記裏側凹所には充填材が充填固化されている。
即ち、請求項1に記載の立体絵画によれば、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体をそのまま貼り付ける等して用いるのではなく、またそのような既存の立体装飾体と同じものをキャンバス上に最初から盛り付け等して形成していくことなく、金属箔によって前記既存の立体装飾体の立体的外観を好ましく取り入れてなるキャンバスと、その上に平面的画材の他、立体的画材からなる立体的表現を少なくとも一部に施した立体絵画を提供することができる。
加えて、金属箔は比較的変形し易く、これを既存の立体装飾体に押し付けることで、該立体装飾体の立体的外観を立体型取り部として、容易且つ良好に写し取ることができると共に、立体装飾体への押し付けを外した場合にも凹凸の変形状態を良好に維持することができる。即ち、金属箔によって、望むところの立体装飾体の立体模様をキャンバス上に再現することができる。
加えて、金属箔はプラスチックフィルム等と比べても強度が強く、また金属箔の立体型取り部の裏側の裏側凹所に充填材を充填固化する場合にも、金属箔はプラスチックフィルム等に比べて型崩れし難いので、良好な写し取り凹凸形状を保持することができる。勿論、普通の紙等と比べても十分に耐熱温度が高いので、溶融させたプラスチック充填材を充填する場合にも焼損することがない。
しかも金属箔の前記立体型取り部の周囲に構成される平面貼り付け部は、金属箔の変形能が高いことから、立体型取り部の周囲であっても容易に平面状態に維持することができる。よって金属箔の平面貼り付け部の台紙への貼り付けが正確に且つ容易に行うことができる。
また請求項1に記載の立体絵画によれば、好きな既存の立体装飾体の外観を金属箔で型取ることで、複数の型取り金属箔を用いて、既存の立体装飾体の立体模様を取り入れた種々の立体絵画を制作することができる。
【0008】
請求項2に記載の立体絵画によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、キャンバスの表面を構成する金属箔の平面貼り付け部に該金属箔による皺模様を背景として付加している。これにより皺の付き易い金属箔の性質を利用して、立体絵画の背景となるキャンバスの表面に容易に皺模様を付加することができる。よって立体絵画の背景となるキャンバスに、より容易に立体感を出すことができる。
【0009】
請求項3に記載の立体絵画によれば、上記請求項2に記載の構成による作用効果に加えて、金属箔による皺模様を施したキャンバスの上に立体的画材による立体的表現を施してあるので、金属箔の皺模様を利用することで、絵画材料による何度もの塗り重ね作業や貼り重ね作業を繰り返すことなく、比較的容易に立体感のある背景を得ることができる。
【0010】
また上記請求項4に記載の立体絵画の制作方法によれば、A工程で、キャンバスの基板となる台紙の上に貼り付ける金属箔と、キャンバス上に表現したい既存の立体装飾体を用意し、B工程で、前記用意した立体装飾体の表面に金属箔を押し付け、金属箔に立体型取り部と、その立体型取り部の周囲に平面貼り付け部と、立体型取り部の裏側に裏側凹所とを形成し、C工程で、金属箔の前記裏側凹所に充填材を流動充填して平面貼り付け部を面一状態に固化し、D工程で、金属箔の平面貼り付け部の裏面を裏側凹所に充填固化された充填材の裏面と共に台紙の上に貼り付けてキャンバスとしている。
即ち、請求項4に記載の立体絵画の制作方法によれば、キャンバスに表現したい既存の立体装飾体を、そのままキャンバスの上に配置するのではなく、また表現したい既存の立体装飾体を一からキャンバス上に再現していくのではなく、金属箔を用いて表現したい既存の立体装飾体の型を取ることで、その型取った金属箔を利用して容易に立体絵画の一部として表現することが可能となる。
そして金属箔には立体型取り部だけではなく、立体型取り部の裏側に生じる裏側凹所に充填材を充填固化することで、薄い金属箔の立体型取り部の強度をその後の創作作業にも十分に耐えることができるように補強することが可能となる。加えて、立体型取り部の周囲に平面貼り付け部を形成することで、前記充填材を充填固化した型取り部の裏面と平面貼り付け部の裏面とを台紙上に貼り付けることで、金属箔からなる立体装飾部(立体型取り部)付きの立体的なキャンバスを得ることができる。よってそのような立体的なキャンバスを用いることで、その後の立体絵画の制作が非常に容易となる。また形や位置を適当に異ならしめた立体装飾部(立体型取り部)を備えた金属箔製の立体的なキャンバスを容易に且つ複数個制作できるので、そのような形と位置の異なる立体装飾部(立体型取り部)を備えた金属箔のキャンバスを用いてバラエティーに富んだ立体絵画を制作することが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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