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公開番号
2024162115
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-21
出願番号
2023077340
出願日
2023-05-09
発明の名称
送信装置及び受信装置
出願人
日本放送協会
代理人
個人
,
個人
主分類
H04J
99/00 20090101AFI20241114BHJP(電気通信技術)
要約
【課題】信号分離手法SICと比較して、非線形伝送路における復号性能を向上する。
【解決手段】送信装置は、主信号とパイロット信号とを同一周波数帯で直交変調し、時分割多重して、LDM信号として送信する。受信装置は、主信号とパイロット信号とを同一周波数帯で直交変調し、時分割多重したLDM信号を受信し、UL信号の復号結果に応じて、パイロット信号処理部で得られた、非線形歪を考慮した基準点を選択し、選択した基準点を用いてLL信号の復号をする。別な態様の受信装置は、主信号とパイロット信号とを同一周波数帯で直交変調し、時分割多重したLDM信号を受信し、パイロット信号処理部で得られた、非線形歪を考慮した基準点を用いて、UL信号の復号とユークリッド距離を計算し、UL信号の復号結果に応じて、計算したユークリッド距離を選択し、ユークリッド距離を用いてLL信号の復号をする。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
2系統の伝送路符号化方式の変調信号をそれぞれ高階層及び低階層とし、2系統の前記変調信号を異なるレベルで電力を調整し合成して、主信号として出力する主信号生成部と、
ARIB STD―B44に準拠した手法で高階層用パイロット信号及び低階層用パイロット信号を生成し、前記高階層用パイロット信号と前記低階層用パイロット信号とを合成して、パイロット信号として出力するパイロット信号生成部と、
前記主信号と前記パイロット信号とを同一周波数帯で直交変調し、時分割多重する直交変調/時分割多重部と、
を備えた送信装置。
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【請求項2】
前記主信号生成部は、入力された高階層用伝送情報及び低階層用伝送情報をそれぞれ誤り訂正符号化する高階層用及び低階層用の誤り訂正符号化部と、誤り訂正符号化された、前記高階層用伝送情報及び前記低階層用伝送情報を、それぞれ設定した変調方式でマッピングする高階層用及び低階層用のマッピング部と、マッピングされた、前記高階層用伝送情報及び前記低階層用伝送情報を、インジェクションレベルに応じて電力比を調整する高階層用及び低階層用の電力調整部と、電力比が調整された、前記高階層用伝送情報及び前記低階層用伝送情報を合成して前記主信号として出力する合成部と、を備えた請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
高階層用と低階層用の2系統の伝送路符号化方式の変調信号を異なる電力で合成した主信号と、高階層用パイロット信号及び低階層用パイロット信号を合成したパイロット信号とを同一周波数帯で直交変調したLDM信号を受信し、該LDM信号に直交復調処理を施してLDMシンボル及びパイロット信号を抽出する直交復調部と、
前記LDMシンボルについて、高階層用のシンボルとみなし、前記LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置又は高階層用として予め定めた変調方式に従うシンボル位置を示す基準点を用いて対数尤度比を計算し、該対数尤度比を示す高階層信号を生成する、高階層用の対数尤度比計算部と、
前記高階層信号に対して、高階層用として予め定めた誤り訂正復号処理を施し、前記高階層信号の復号ビットを生成する、高階層用の誤り訂正復号部と、
前記パイロット信号を取得し、平均処理を施し、非線形歪の影響を考慮した基準点を取得するパイロット信号処理部と、
前記高階層信号の復号ビットに基づいて、前記パイロット信号から得られた前記基準点から、受信した前記LDMシンボルにおける低階層用のシンボルが取りうるシンボル位置を示す基準点を選択することにより、前記高階層信号の復号ビットに応じて低階層復号用の対数尤度比の計算に用いる基準点を決定する基準点選択部と、
前記基準点選択部により決定した前記基準点に基づいて、前記高階層信号に対応する受信した前記LDMシンボルに対する対数尤度比を計算し、該対数尤度比を示す低階層信号を生成する低階層用の対数尤度比計算部と、
前記低階層信号に対して、低階層用として予め定めた誤り訂正復号処理を施し、前記低階層信号の復号ビットを生成する低階層用の誤り訂正復号部と、
を備えた受信装置。
【請求項4】
前記基準点選択部は、高階層用の誤り訂正復号部によって、先に復号された前記復号ビットに基づいて、前記低階層復号用の対数尤度比計算における基準点を前記パイロット信号より得られる基準点から選択し、前記低階層用の対数尤度比計算部へ通知する、請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
高階層用と低階層用の2系統の伝送路符号化方式の変調信号を異なる電力で合成した主信号と、高階層用パイロット信号及び低階層用パイロット信号を合成したパイロット信号とを同一周波数帯で直交変調したLDM信号を受信し、該LDM信号に直交復調処理を施してLDMシンボル及び前記パイロット信号を抽出する直交復調部と、
前記パイロット信号を取得し、平均処理を施し、非線形歪の影響を考慮した基準点を取得するパイロット信号処理部と、
前記パイロット信号処理部から得られる前記基準点を用いて対数尤度比を計算し、該対数尤度比を示す高階層信号を生成する高階層用の対数尤度比計算部と、
前記高階層信号に対して、高階層用として予め定めた誤り訂正復号処理を施し、前記高階層信号の復号ビットを生成する高階層用の誤り訂正復号部と、
前記高階層信号として示される前記対数尤度比の計算に用いた、受信したLDMシンボル毎の前記パイロット信号から得られた各基準点に対するユークリッド距離の情報を所定シンボル数分、更新しながら一時蓄積するユークリッド距離蓄積部と、
前記高階層用の誤り訂正復号部によって前記高階層信号について復号したLDMシンボル毎に、前記高階層信号の復号ビットに基づいて、前記ユークリッド距離蓄積部に蓄積した各基準点のユークリッド距離のうち低階層信号の復号に用いる基準点のユークリッド距離を選択するユークリッド距離選択部と、
前記ユークリッド距離選択部によって前記低階層信号の復号用に選択した前記ユークリッド距離を用いて、前記高階層信号に対応する受信したLDMシンボルに対する対数尤度比を計算し、該対数尤度比を示す低階層信号を生成する低階層用の対数尤度比計算部と、
前記低階層信号に対して、低階層用として予め定めた誤り訂正復号処理を施し、前記低階層信号の復号ビットを生成する低階層用の誤り訂正復号部と、
を備えた受信装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置及び受信装置に関し、特に階層分割多重(LDM:Layered Division Multiplexing)方式を用いた衛星放送システムに用いられる送信装置及び受信装置に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
周波数利用効率の向上を目的とした無線伝送方式の一つに、異なる2つの変調信号を異なる電力で多重化し、同一周波数帯で伝送する階層分割多重方式(以下、「LDM方式」という)がある。地上デジタル放送においてもLDM方式の利用が検討されており、LDM方式を用いて新たな地上波放送方式を現行の地上波放送に多重するシステムが検討されている(非特許文献1、非特許文献2等)。
【0003】
LDM方式は、送信側では、一般的に電力の高い変調波をUL(Upper Layer)、電力の低い変調波をLL(Lower Layer)とし、IL(Injection Level)で定める電力差を付けて両者を多重する。受信側では、初めにUL信号を復調し、誤り訂正復号し、ULに割り当てられるサービスを取得する。次に、UL信号の復号結果を用いて再変調によりUL信号のレプリカを生成し、受信信号からこのレプリカ信号を減算することでLL信号を取り出し、誤り訂正復号によりLLに割り当てられるサービスを取得する。このような受信処理は、SIC(Successive Interference Cancellation)と称され、LDM方式で一般的に用いられるULとLLの分離処理である。
【0004】
LDM方式を用い、例えば、ULで標準サービスを提供するため受信耐性の高い伝送パラメータを使い、LLで拡張サービスを提供するため高いビットレートを実現可能な伝送パラメータを使うことで、受信環境に応じて柔軟なサービス提供が可能となる。
【0005】
一方、衛星放送では、衛星中継器で生じる非線形歪の影響を考慮する必要がある。非線形歪が生じる衛星伝送路において、良好な伝送特性を実現するための手法の一つとしてARIB STD-B44(非特許文献3)で規定する「伝送信号点配置信号」(以下、「パイロット信号」という)が挙げられる。パイロット信号を用いることで、誤り訂正復号における対数尤度比(Log-likelihood ratio;以下、「LLR」という)計算の基準点を、非線形歪を考慮したものに差替えることが可能となり、非線形伝送路における誤り訂正性能を向上することが可能である。主信号と同じ変調方式で既知のシンボルパターンを持つ変調シンボルをパイロット信号として用いることで、衛星伝送路で主信号が受ける非線形歪の影響を誤り訂正復号処理に反映することが可能である。
【0006】
衛星放送システムへの適用を想定したLDM方式の白色ガウス雑音伝送路における伝送特性を計算機シミュレーションにより評価した例が非特許文献4に記載されている。非特許文献4では、UL信号の復号手法として、GD(Gaussian Detection), JD(Joint Detection)の2通の手法が提示され、ILをパラメータとして、それぞれの復号性能を評価すると、ILを小さく設定したときGDの復号性能がJDより劣化することが示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
佐藤明彦、外11名,“次世代地上放送に向けたLDMの適用に関する一検討”,映像情報メディア学会技術報告,vol.41,no.6,BCT2017-34,pp.45-48,2017年2月
岡田寛正、外6名,“地上デジタル放送に対するLDM適用時の諸問題改善に関する一考察 ~新放送方式受信エリア拡大手法と同期方式に関する検討~”,映像情報メディア学会技術報告,vol.42,no.28,BCT2018-76,pp.13-16,2018年9月
高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式(ISDB-S3),ARIB STD―B44 2.1,2016年3月25日
小泉雄貴、亀井雅,“LDM方式を適用した衛星放送システムの検討-Injection levelに応じたUL信号の復号手法の評価”,電子情報通信学会技術研究報告SAT衛星通信,vol.122, no.137, SAT2022-26, p.52-56,2022年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した一般的な信号分離手法であるSICは、誤り訂正復号におけるLLR計算の基準点として、送信信号点に基づく基準点を用いている。非線形歪の影響を受けた受信信号からSICによりLL信号を取り出した際、UL信号の復号結果に応じて、LL信号が受けている非線形歪の方向が異なる。
しかし、SICではそれらLL信号を復号する際、非線形歪方向がそれぞれ異なるLL信号に対して一律にLLの変調方式に基づく基準点を適用するため、非線形歪の影響を考慮した復号を行うことができず復号性能が劣化してしまう。
【0009】
本発明は、LDM方式を適用した衛星放送システムの誤り訂正復号において、非線形歪に対して良好な伝送特性を実現する送信装置及び受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明に係る第1の態様は、2系統の伝送路符号化方式の変調信号をそれぞれ高階層及び低階層とし、2系統の前記変調信号を異なるレベルで電力を調整し合成して、主信号として出力する主信号生成部と、
ARIB STD―B44に準拠した手法で高階層用パイロット信号及び低階層用パイロット信号を生成し、前記高階層用パイロット信号と前記低階層用パイロット信号とを合成して、パイロット信号として出力するパイロット信号生成部と、
前記主信号と前記パイロット信号とを同一周波数帯で直交変調し、時分割多重する直交変調/時分割多重部と、
を備えた送信装置である。
(【0011】以降は省略されています)
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