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公開番号
2024114756
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-23
出願番号
2024099565,2021512530
出願日
2024-06-20,2019-09-07
発明の名称
ユニバーサルドナー細胞
出願人
クリスパー セラピューティクス アクチェンゲゼルシャフト
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
5/10 20060101AFI20240816BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】複数の対象に適合する遺伝子改変細胞、例えば、ユニバーサルドナー細胞、及び前記遺伝子改変細胞を作製する方法が、本明細書で提供される。
ここから発明の課題を簡潔に記載して下さい。
【解決手段】ユニバーサルドナー細胞は、1つ以上のMHC-I若しくはMHC-IIヒト白血球抗原又はMHC-I若しくはMHC-II複合体の構成要素若しくは転写調節因子をコードする少なくとも1つの遺伝子内又は近傍での少なくとも1つの遺伝子改変、免疫寛容原性因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの発現を増加させる少なくとも1つの遺伝子改変、及び任意選択により、生存因子をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を増加させるか又は減少させる少なくとも1つの遺伝子改変を含む。
【選択図】図1A
特許請求の範囲
【請求項1】
ユニバーサルドナー細胞を作製する方法であって、
(i)MHC-I若しくはMHC-IIヒト白血球抗原又はMHC-I若しくはMHC-II複合体の構成要素若しくは転写調節因子のうちの1つ以上をコードする少なくとも1つの遺伝子内又は近傍の部位で前記細胞のゲノム中の少なくとも1つの塩基対の欠失及び/又は挿入を導入すること;並びに
(ii)前記細胞のゲノムにおいて(i)の前記部位に部分的に重複するか、完全に重複するか、又はその内部に含有される部位で免疫寛容原性因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの挿入を導入することによって、細胞を遺伝子改変し、それにより前記ユニバーサルドナー細胞を作製することを含む方法。
続きを表示(約 1,400 文字)
【請求項2】
ユニバーサルドナー細胞を作製する方法であって、
(i)MHC-I若しくはMHC-IIヒト白血球抗原又はMHC-I若しくはMHC-II複合体の構成要素若しくは転写調節因子のうちの1つ以上をコードする少なくとも1つの遺伝子内又は近傍の部位で前記細胞のゲノム中の少なくとも1つの塩基対の欠失及び/又は挿入を導入すること;並びに
(ii)前記細胞のゲノムにおいてセーフハーバー座位に免疫寛容原性因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの挿入を導入することによって、細胞を遺伝子改変し、それにより前記ユニバーサルドナー細胞を作製することを含む方法。
【請求項3】
前記ユニバーサルドナー細胞が、未改変細胞と比較して免疫回避及び/又は細胞生存の増加を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上のMHC-I若しくはMHC-IIヒト白血球抗原又は前記MHC-I若しくはMHC-II複合体の前記構成要素若しくは前記転写調節因子をコードする前記少なくとも1つの遺伝子が、HLA-A、HLA-B、若しくはHLA-Cから選択されるMHC-I遺伝子、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、若しくはHLA-DRから選択されるMHC-II遺伝子、又はB2M、NLRC5、CIITA、RFX5、RFXAP、若しくはRFXANKから選択される遺伝子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
免疫寛容原性因子をコードする前記少なくとも1つのポリヌクレオチドが、PD-L1、HLA-E、HLA-G、CTLA-4、又はCD47のうちの1つ以上をコードする1つ以上のポリヌクレオチドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
免疫寛容原性因子をコードする前記少なくとも1つのポリヌクレオチドが、外来プロモーターに作動可能に連結される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記外来プロモーターが、構成的、誘導性、時間特異的、組織特異的、又は細胞型特異的プロモーターであり、任意選択により、前記外来プロモーターが、CMV、EFla、PGK、CAG、又はUBCプロモーターである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(i)の前記欠失及び/又は挿入が、B2M内又は近傍にあり、且つ(ii)の前記挿入が、PD-L1又はHLA-Eをコードするポリヌクレオチドである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法がさらに、未改変細胞に対して、少なくとも1つの生存因子の発現を増加させるか又は減少させる少なくとも1つの遺伝子改変を導入することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの生存因子の発現を増加させるか又は減少させる前記少なくとも1つの遺伝子改変が、前記未改変細胞に対してMANFの発現を増加させる、MANFをコードするポリヌクレオチドの挿入;又は前記未改変細胞に対してZNF143、TXNIP、FOXO1、若しくはJNKの発現を減少させるか又は消失させる、ZNF143、TXNIP、FOXO1、若しくはJNKをコードする遺伝子内又は近傍での少なくとも1つの塩基対の欠失及び/若しくは挿入である、請求項9に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年9月7日に出願された米国仮特許出願第62/728,529号明細書の利益を主張するものであり、その開示は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
続きを表示(約 4,900 文字)
【0002】
本発明は、遺伝子編集の分野に関し、いくつかの実施形態では、複数の対象に適合する細胞、例えば、ユニバーサルドナー細胞を作製するための遺伝子改変に関する。
【背景技術】
【0003】
HLA適合、抗体によりT細胞活性化を誘発する経路の遮断、免疫抑制剤のカクテルの使用、及び自己細胞療法を含む、移植された細胞又は生着された細胞の同種拒絶を克服するために、様々な手法が提案されてきた。移植片拒絶を弱める別の戦略は、移植された細胞又は生着された細胞とレシピエントの間の同種間相違の最小化を含む。6番染色体上のヒト主要組織適合抗原複合体に位置する遺伝子によってコードされる分子である細胞表面に発現されるヒト白血球抗原(HLA)は、免疫拒絶の主要なメディエーターである。ドナーと対象の間の単一のHLA遺伝子の不一致が、強い免疫応答を引き起こし得る(Fleischhauer K.et al.「Bone marrow-allograft rejection by T lymphocytes recognizing a single amino acid difference in HLA-B44」,N Engl J Med.,1990,323:1818-1822)。HLA遺伝子は、MHCクラスI(MHC-I)及びMHCクラスII(MHC-II)に分類される。MHC-I遺伝子(HLA-A、HLA-B、及びHLA-C)は、ほとんど全ての組織型において発現され、「非自己」の抗原がプロセシングされたペプチドをCD8+T細胞に提示し、それにより細胞溶解性CD8+T細胞へのそれらの活性化を促進する。「非自己」MHC-I分子を発現する移植された細胞又は生着された細胞は、これらの細胞に向けられる強い細胞性免疫応答を引き起こすことになり、最終的に、活性化された細胞溶解性CD8+T細胞によるそれらの消滅をもたらす。MHC-Iタンパク質は、本質的に、小胞体中のベータ-2-ミクログロブリン(B2M)と関連し、これは細胞表面上で機能的MHC-I分子を形成するのに必須である。
【0004】
MHC-I遺伝子の広範な細胞での発現とは対照的に、MHC-II遺伝子の発現は、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞などの抗原提示細胞に制限される。HLA抗原遺伝子は、ヒトゲノムにおいて観察される最も多型の遺伝子である(Rubinstein P.,「HLA matching for bone marrow transplantation--how much is enough?」N Engl J Med.,2001,345:1842-1844)。どのHLA遺伝子型とも適合する「ユニバーサルドナー」細胞の作製は、免疫拒絶及び免疫回避のための既存の方法論の関連する経済的コストを解決し得る代替の戦略を提供する。
【0005】
そのようなユニバーサルドナー細胞の系列を作製するために、先行する1つの手法は、MHC-I及びMHC-IIクラス遺伝子の発現を機能的に破壊した。これは、例えば、MHC-I軽鎖、B2Mをコードする両方の遺伝子アレルの遺伝子破壊により活性化され得る。得られたB2M KO細胞株及びその派生体は、表面MHC-Iの著しい減少、それにより同種のCD8+T細胞に対する免疫原性の低減を呈すると予想されるであろう。転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)で標的化する手法を使用して、B2M遺伝子のエクソン2中の数ヌクレオチドの欠失によってB2M欠損hESC株を作製してきた(Lu,P.et al.,「Generating hypoimmunogenic human embryonic stem cells by the disruption of beta 2-microglobulin」,Stem Cell Rev.2013,9:806-813)。B2M標的化hESC株は表面HLA-I欠損であると思われたが、それらは、依然としてB2M及びMHC-Iに特異的なmRNAを含有することが見出された。B2M及びMHC-I mRNAは、非標的化hESCのものと同等のレベルで発現された(両方ともに構成的であり且つIFN-g誘導性)。したがって、これらのTALEN B2M標的化hESC株は、B2M mRNAも発現するB2M2/2マウス細胞で観察されたように、免疫拒絶を引き起こすのに十分であると考えられる残留の細胞表面MHC-Iを発現する可能性があるという懸念がある(Gross,R.及びRappuoli,R.「Pertussis toxin promoter sequences involved in modulation」,Proc Natl Acad Sci,1993,90:3913-3917)。TALEN B2M標的化hESC株は、オフターゲット切断現象について試験されなかったが、TALENを使用する際の非特異的切断の発生は、それらの臨床使用に対して主要な安全性の懸念を強いると考えられる重大な問題のままである(Grau,J.et al.「TALENoffer:genome-wide TALEN off-target prediction」,Bioinformatics,2013,29:2931-2932;Guilinger J.P.et al.「Broad specificity profiling of TALENs results in engineered nucleases with improved DNA-cleavage specificity」,Nat Methods 2014,11:429-435)。さらに、別の報告では、第1のB2Mアレルをノックアウトし、且つ第2のB2MアレルでHLA-E遺伝子をノックインして、HLA-A、HLA-B、又はHLA-Cの表面発現がない状態でHLA-Eの二量体又は三量体の表面発現をもたらすことによって、同種認識を回避したIPS細胞を作製した(Gornalusse,G.G.et al.,「HLA-E-expressing pluripotent stem cells escape allogeneic responses and lysis by NK cells」,Nature Biotechnology,2017,35,765-773)。
【0006】
上記の戦略のうちの一部の潜在的な制約は、MHCクラスI陰性細胞が、HLA分子がナチュラルキラー(NK)細胞に対する主要なリガンド阻害剤として機能するためナチュラルキラー(NK)細胞によって溶解されやすいことである。宿主NK細胞は、移植されたか又は生着されたB2M-/-ドナー細胞を除去することが示されており、同様の現象は、MHCクラスI陰性ヒト白血病株によりインビトロで発生する(Bix,M.et al.,「Rejection of class I MHC-deficient haemopoietic cells by irradiated MHC-matched mice」,Nature,1991,349,329-331;Zarcone,D.et al.,「Human leukemia-derived cell lines and clones as models for mechanistic analysis of natural killer cell-mediated cytotoxicity」,Cancer Res.1987,47,2674-2682)。したがって、先行する方法を改善して免疫応答を回避できるユニバーサルドナー細胞を作製する必要性、及び生着後に生存できる細胞を作製する必要性が存在する。本明細書に記載されるとおり、生着後の細胞の生存は、同種拒絶に依存しない多くの他の経路、例えば、低酸素、活性酸素種、栄養欠乏、及び酸化ストレスによって媒介され得る。また、本明細書に記載されるとおり、生存因子(遺伝子及び/又はタンパク質)の遺伝的導入は、細胞が生着後に生存する助けとなり得る。本明細書に記載されるとおり、ユニバーサルドナー細胞株は、同種拒絶及び生着後の生存の両方に対処する特性を兼ね備え得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの態様では、本開示は、ユニバーサルドナー細胞を作製する方法を包含する。第1の方法は、(i)MHC-I若しくはMHC-IIヒト白血球抗原又はMHC-I若しくはMHC-II複合体の構成要素若しくは転写調節因子のうちの1つ以上をコードする少なくとも1つの遺伝子内又は近傍の部位で細胞のゲノム中の少なくとも1つの塩基対の欠失及び/又は挿入を導入すること;並びに(ii)細胞のゲノムにおいて(i)の部位に部分的に重複するか、完全に重複するか、又はその内部に含有される部位で免疫寛容原性因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの挿入を導入することによって、細胞を遺伝子改変し、それによりユニバーサルドナー細胞を作製することを含む。第2の方法は、(i)MHC-I若しくはMHC-IIヒト白血球抗原又はMHC-I若しくはMHC-II複合体の構成要素若しくは転写調節因子のうちの1つ以上をコードする少なくとも1つの遺伝子内又は近傍の部位で細胞のゲノム中の少なくとも1つの塩基対の欠失及び/又は挿入を導入すること;並びに(ii)細胞のゲノムにおいてセーフハーバー座位に免疫寛容原性因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの挿入を導入することによって、細胞を遺伝子改変し、それによりユニバーサルドナー細胞を作製することを含む。いくつかの実施形態では、ユニバーサルドナー細胞は、未改変細胞と比較して免疫回避及び/又は細胞生存の増加を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つ以上のMHC-I若しくはMHC-IIヒト白血球抗原又はMHC-I若しくはMHC-II複合体の構成要素若しくは転写調節因子をコードする少なくとも1つの遺伝子は、HLA-A、HLA-B、若しくはHLA-Cから選択されるMHC-I遺伝子、HLA-DP、HLA-DM、HLA-DOA、HLA-DOB、HLA-DQ、若しくはHLA-DRから選択されるMHC-II遺伝子、又はB2M、NLRC5、CIITA、RFX5、RFXAP、若しくはRFXANKから選択される遺伝子である。
【0009】
いくつかの実施形態では、免疫寛容原性因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドは、PD-L1、HLA-E、HLA-G、CTLA-4、又はCD47のうちの1つ以上をコードする1つ以上のポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、免疫寛容原性因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドは、外来プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、外来プロモーターは、構成的、誘導性、時間特異的、組織特異的、又は細胞型特異的プロモーターであり、任意選択により、外来プロモーターは、CMV、EFla、PGK、CAG、又はUBCプロモーターである。
【0010】
いくつかの実施形態では、(i)の欠失及び/又は挿入は、B2M内又は近傍にあり、(ii)の挿入は、PD-L1又はHLA-Eをコードするポリヌクレオチドである。
(【0011】以降は省略されています)
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