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公開番号2025180165
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-11
出願番号2024087316
出願日2024-05-29
発明の名称耐風装置及び耐風装置の制御方法
出願人清水建設株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類E04H 9/14 20060101AFI20251204BHJP(建築物)
要約【課題】摩擦面の摩擦係数が小さくても、大きな制動力を得ることができる耐風装置及び耐風装置の制御方法を提供する。
【解決手段】耐風装置2は、免震構造の構造物側に接続され、第1方向に間隔を空けて第1方向に板面を向けて配置された複数の第1板材32と、他の構造物側に接続され、第1方向に間隔を空けて複数の第1板材32と交互に配置されるとともに、第1方向に板面を向けて配置された複数の第2板材22と、第1板材32と第2板材22との間に配置された摩擦材40と、第1板材32及び第2板材22を相対的に第1方向と交差する交差方向に変位可能にしつつ、第1板材32、第2板材22及び摩擦材40を連結するジャッキ装置45と、を備える。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
免震構造の構造物側に接続され、第1方向に間隔を空けて前記第1方向に板面を向けて配置された複数の第1板材と、
他の構造物側に接続され、前記第1方向に間隔を空けて前記複数の第1板材と交互に配置されるとともに、前記第1方向に板面を向けて配置された複数の第2板材と、
前記第1板材と前記第2板材との間に配置された摩擦材と、
前記第1板材及び前記第2板材を相対的に前記第1方向と交差する交差方向に変位可能にしつつ、前記第1板材、前記第2板材及び前記摩擦材を連結するジャッキ装置と、を備える耐風装置。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
前記ジャッキ装置は、
ジャッキ本体と、
前記ジャッキ本体に接続され、前記第1板材、前記第2板材及び前記摩擦材にそれぞれ前記第1方向に貫通するように形成された貫通孔に挿通された軸部と、
前記軸部に接続されたピンと、を備え、
前記ジャッキ本体及び前記ピンで、前記第1板材、前記第2板材及び前記摩擦材を挟み込む請求項1に記載の耐風装置。
【請求項3】
前記第1板材及び前記第2板材のいずれか一方に形成された前記貫通孔の前記交差方向の長さは、前記軸部の径よりも長く、
前記軸部は、前記第1板材及び前記第2板材のいずれか一方に形成された前記貫通孔を前記交差方向に移動可能である請求項2に記載の耐風装置。
【請求項4】
前記軸部は、前記第1板材及び前記第2板材を前記第1方向回りに回動可能に連結する請求項2に記載の耐風装置。
【請求項5】
前記ジャッキ装置が前記第1板材、前記第2板材及び前記摩擦材を連結する際に生じる押圧力は、変更可能である請求項1または2に記載の耐風装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の耐風装置の制御方法であって、
通常時には、前記ジャッキ装置が前記第1板材、前記第2板材及び前記摩擦材を連結する際に生じる押圧力は生じず、
所定の風速以上の暴風時に、前記ジャッキ装置は前記押圧力を作用させる耐風装置の制御方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の耐風装置の制御方法であって、
通常時には、前記ジャッキ装置が前記第1板材、前記第2板材及び前記摩擦材を連結する際に生じる押圧力は生じず、
所定の地震力以上の地震時に、前記ジャッキ装置は前記押圧力を作用させる耐風装置の制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、耐風装置及び耐風装置の制御方法に関するものである。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年の建築物は再開発に伴って、複合化・大型化する傾向にあり、今後も大型化していくことが予想される。大規模複合建築においては高い防災性が求められ、構造体としては耐震設計・耐風設計の両面において高いグレードが求められている。下記の特許文献1に、建築物の風揺れ防止装置が開示されている。
【0003】
耐震グレードを高める手段として、免震構造の採用が考えられる。しかし、受風面積が大きく風荷重が大きくなる超高層建物に対して、水平剛性の小さな免震構造を採用すると、耐風設計の面では不利に働くため、高さ160mを超える超高層建物に基礎免震が採用される事例は稀である。
【0004】
一方、地震被害の経験から免震構造へのニーズは強く、超高層免震建物の風対策として、免震層の剛性やダンパー量を高める対応や、暴風時に金属製のピンを挿して建物を物理的に固定する耐風シアピン等の対応が行われている。耐風シアピンについては有人による運用に頼るため、必ずしも理想的な運用でないことが実情である。また、耐風設計のために免震層の剛性やダンパー量を高めることは、免震効果を犠牲にする事に直結するため、耐震設計上は不利側に働く。
【0005】
昨今では高さ200mを超える超高層建物は複合用途化し免震の採用ニーズも高まっているが、超高層建物においては耐震設計と耐風設計がトレードオフ関係にあることが、建築計画や設コストに影響を与える設計上の課題となっている。上述の背景から、超高層免震の技術開発については、新たな風対策装置を開発し、耐震設計と耐風設計のトレードオフを解決する事がフロンティアであると言える状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2004-11164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(1)風のみに寄与する風対策装置が必要
風にのみ寄与する風対策装置については、建物管理人によるシアピンの抜き挿しでも概ね達成できるが、シアピンは一度挿し込むと風が納まるか破断するまで装置を解除できない性能的課題がある。さらに、暴風時に在館者が免震層に自ら赴いてシアピンを挿す作業が必要で、管理オペレーション上の負荷が大きい事が課題視されている。また、暴風時に地震が発生した場合は破断してしまい性能が持続できない点も問題である。
【0008】
解決策として、シアピンではなく、摩擦板にジャッキを押し当てることでその摩擦力を制動力として利用し建物の風対策装置がある。摩擦板とジャッキであればセミアクティブに制御が可能で管理上の負荷が軽減できるうえ、制御に基づき起動と解除を任意のタイミングで行う事が可能になり、暴風時にのみ作用する風対策装置が実現できる。また、地震用のオイルダンパーのオイルの流路を制御する事でオイルダンパーを油圧ジャッキのようにして建物をロックする機構も発案されている。
【0009】
(2)超高層建物が受ける風荷重は非常に大きいため、風対策装置のみで受け止めることは現実的でない
もし風対策装置にて完全に建物を固定する場合は、建物に作用する風荷重の100%が風対策装置に作用し、大きければ数千トンの荷重を負担することが求められる。実際的にはこのような大荷重を負担できる装置は非常に大型化してしまう上、装置を支持する建物側のフレームも非現実的な部材サイズになってしまう事が課題である。
【0010】
解決策として、風荷重を受ける際に荷重に応じて装置が滑る(摺動する)ことで力を逃がし、免震層の変形を許容するのが望ましい。摺動を許容することで風対策装置以外の免震装置やダンパーにも風荷重を負担させ、併用することができる。他の装置と力を分担することで、風対策装置の小型化と周辺部材の設計が可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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