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公開番号2025101763
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-08
出願番号2023218725
出願日2023-12-26
発明の名称多層フィルム、及び半導体製造工程フィルム
出願人リケンテクノス株式会社
代理人個人
主分類B32B 27/32 20060101AFI20250701BHJP(積層体)
要約【課題】
軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物のフィルムを代替し、それにより可塑剤に起因する問題が根本的に解決されている、半導体製造工程フィルムのフィルム基材として好適な多層フィルム、及び該多層フィルムをフィルム基材として用いた半導体製造工程フィルムを提供すること。
【解決手段】
多層フィルムであって、(α1)第1ポリプロピレン層、(β)プロピレン系軟質ポリオレフィン層、及び(α2)第2ポリプロピレン層が、この順に直接積層されており、上記(α1)第1ポリプロピレン層と上記(α2)第2ポリプロピレン層は高結晶性かつ高融点の(A)ポリプロピレンからなり、上記(β)プロピレン系軟質ポリオレフィン層は非晶性又は低結晶性の(B)プロピレン系軟質ポリオレフィンからなる、上記多層フィルム。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
多層フィルムであって、
(α1)第1ポリプロピレン層、(β)プロピレン系軟質ポリオレフィン層、及び(α2)第2ポリプロピレン層が、この順に直接積層されており、
上記(α1)第1ポリプロピレン層は、下記特性(a1-1)及び(a1-2)を満たす(A1)ポリプロピレンからなり、
上記(β)プロピレン系軟質ポリオレフィン層は、下記特性(b-1)を満たす(B)プロピレン系軟質ポリオレフィンからなり、
上記(α2)第2ポリプロピレン層は、下記特性(a2-1)及び(a2-2)を満たす(A2)ポリプロピレンからなる、
上記多層フィルム:
(a1-1)融解エンタルピーが90J/g以上である:
(a1-2)融点が145℃以上である:
(b-1)融解エンタルピーが50J/g以下である:
(a2-1)融解エンタルピーが90J/g以上である:
(a2-2)融点が145℃以上である。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
上記(B)プロピレン系軟質ポリオレフィンが、下記特性(b-1-2)及び(b-2)を満たす、請求項1に記載の多層フィルム:
(b-1-2)融解エンタルピーが5~30J/gである:
(b-2)融点が130℃以上である。
【請求項3】
上記(B)プロピレン系軟質ポリオレフィンが、示差走査熱量測定装置により測定されるセカンド融解曲線に結晶性ポリエチレン成分に由来する融解ピークの現れないものである、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項4】
上記(A1)ポリプロピレンが、下記特性(a1-1-2)及び(a1-2-2)を満たし、かつ上記(A2)ポリプロピレンが、下記特性(a2-1-2)及び(a2-2-2)を満たす、請求項1に記載の多層フィルム:
(a1-1-2)融解エンタルピーが95J/g以上である:
(a1-2-2)融点が155℃以上である:
(a2-1-2)融解エンタルピーが95J/g以上である:
(a2-2-2)融点が155℃以上である。
【請求項5】
上記(α1)第1ポリプロピレン層の厚みが1μm以上であり、
上記(β)プロピレン系軟質ポリオレフィン層の厚みが、多層フィルム全体の厚みの70%以上であり、
上記(α2)第2ポリプロピレン層の厚みが1μm以上である、
請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項6】
上記多層フィルム全体の厚みが50~300μmである、請求項5に記載の多層フィルム。
【請求項7】
半導体製造工程フィルムのフィルム基材用である、請求項1~6の何れか1項に記載の多層フィルム。
【請求項8】
請求項1~6の何れか1項に記載の多層フィルムを含む、半導体製造工程フィルム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は多層フィルム、及び該多層フィルムをフィルム基材として用いた半導体製造工程フィルムに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
半導体チップは、大径のシリコンウエハ上に多数個をまとめて形成した後、該シリコンウエハを、裏面(回路が形成されている面(回路面)とは逆側の面)から、所望の厚みに研磨し、続いて、個々の半導体チップにダイシング(切断分離)して生産される。このシリコンウエハを研磨する工程は、上記シリコンウエハの回路面の保護などを目的として、しばしば該回路面に粘着フィルム(以下、「バックグラインドフィルム」という)を貼合してから行われる。この個々の半導体チップにダイシングする工程は、半導体チップの表面保護、並びに、切断された個々の半導体チップの固定及びピックアップなどを目的として、しばしば上記シリコンウエハの回路面又は/及び裏面の上に粘着フィルム(以下、「ダイシングフィルム」という)を貼合してから行われる。また、半導体チップを基盤に接着積層して実装するために、しばしば粘着フィルム(以下、「ダイアタッチフィルム」という)が使用される。このように、半導体の製造工程では、多くの種類の工程フィルムが使用されている。
【0003】
従来から、半導体製造工程フィルムのフィルム基材としては、耐熱性と柔軟性とのバランスが高いこと;エキスパンド工程(シリコンウエハを切断した後、ダイシングフィルムを引張り、個々の半導体チップ間の距離を広げてピックアップし易くする工程)に適した引張特性を有すること;透明性の高いこと;及び、低コストであることなど多くの利点を有することから、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物のフィルムが多用されている。一方、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物のフィルムには、可塑剤が多量に配合されていることから、可塑剤が粘着剤に移行し、粘着特性を不安定にする(粘着力を低下、又は増加させる)ことがある;可塑剤により半導体チップ等を汚染してしまうことがあるという不都合がある。そこで、半導体製造工程フィルムのフィルム基材としてポリオレフィン系樹脂のフィルムが提案されている(例えば、特許文献1~3)。しかし、これまでのポリオレフィン系樹脂のフィルムは、半導体製造工程フィルムのフィルム基材としての性能が、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物のフィルムに及ばない。特に、ポリオレフィン系樹脂のフィルムは、十分な柔軟性やエキスパンド性(エキスパンド工程に適した引張特性)を付与しようとすると、耐ブロッキング性や耐熱性が不十分なものになるという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-065327号公報
特開2001-232683号公報
特開2016-162787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物のフィルムを代替し、それにより可塑剤に起因する問題が根本的に解決されている、半導体製造工程フィルムのフィルム基材として好適な多層フィルム、及び該多層フィルムをフィルム基材として用いた半導体製造工程フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の多層フィルムにより、上記課題を達成できることを見出した。
【0007】
即ち、本発明の諸態様は以下の通りである。
[1].
多層フィルムであって、(α1)第1ポリプロピレン層、(β)プロピレン系軟質ポリオレフィン層、及び(α2)第2ポリプロピレン層が、この順に直接積層されており、
上記(α1)第1ポリプロピレン層は、下記特性(a1-1)及び(a1-2)を満たす(A1)ポリプロピレンからなり、上記(β)プロピレン系軟質ポリオレフィン層は、下記特性(b-1)を満たす(B)プロピレン系軟質ポリオレフィンからなり、上記(α2)第2ポリプロピレン層は、下記特性(a2-1)及び(a2-2)を満たす(A2)ポリプロピレンからなる、上記多層フィルム:
(a1-1)融解エンタルピーが90J/g以上である:
(a1-2)融点が145℃以上である:
(b-1)融解エンタルピーが50J/g以下である:
(a2-1)融解エンタルピーが90J/g以上である:
(a2-2)融点が145℃以上である。
[2].
上記(B)プロピレン系軟質ポリオレフィンが、下記特性(b-1-2)及び(b-2)を満たす、[1]項に記載の多層フィルム:
(b-1-2)融解エンタルピーが5~30J/gである:
(b-2)融点が130℃以上である。
[3].
上記(B)プロピレン系軟質ポリオレフィンが、示差走査熱量測定装置により測定されるセカンド融解曲線に結晶性ポリエチレン成分に由来する融解ピークの現れないものである、[1]項に記載の多層フィルム。
[4].
上記(A1)ポリプロピレンが、下記特性(a1-1-2)及び(a1-2-2)を満たし、かつ上記(A2)ポリプロピレンが、下記特性(a2-1-2)及び(a2-2-2)を満たす、[1]項に記載の多層フィルム:
(a1-1-2)融解エンタルピーが95J/g以上である:
(a1-2-2)融点が155℃以上である:
(a2-1-2)融解エンタルピーが95J/g以上である:
(a2-2-2)融点が155℃以上である。
[5].
上記(α1)第1ポリプロピレン層の厚みが1μm以上であり、上記(β)プロピレン系軟質ポリオレフィン層の厚みが、多層フィルム全体の厚みの70%以上であり、上記(α2)第2ポリプロピレン層の厚みが1μm以上である、[1]項に記載の多層フィルム。
[6].
上記多層フィルム全体の厚みが50~300μmである、[1]項に記載の多層フィルム。
[7].
半導体製造工程フィルムのフィルム基材用である、[1]~[6]項の何れか1項に記載の多層フィルム。
[8].
[1]~[6]項の何れか1項に記載の多層フィルムを含む、半導体製造工程フィルム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の多層フィルムは、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂組成物のフィルムの可塑剤に起因する問題が、可塑剤を配合しないことにより根本的に解決されており、高い柔軟性と良好な耐ブロッキング性を有している。本発明の好ましい多層フィルムは、更に、エキスパンド性や耐熱性も良好であり、柔軟性やエキスパンド性と耐ブロッキング性や耐熱性とのバランスが高い。そのため、本発明の多層フィルムは、半導体製造工程フィルム、例えば、ダイシングフィルム、バックグラインドフィルム、及びダイアタッチフィルムなどのフィルム基材として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において「樹脂」の用語は、2種以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。
【0010】
本明細書において「フィルム」の用語は、「シート」と相互交換的に又は相互置換可能に使用する。本明細書において、「フィルム」及び「シート」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできるものに使用する。「板」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできないものに使用する。また本明細書において、ある層と他の層とを順に積層することは、それらの層を直接積層すること、及び、それらの層の間にアンカーコートなどの別の層を1層以上介在させて積層することの両方を含む。
(【0011】以降は省略されています)

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