特許ウォッチ

公開番号2025100160
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2023217327
出願日2023-12-22
発明の名称ボールペンチップ
出願人株式会社パイロットコーポレーション
代理人弁理士法人志賀国際特許事務所
主分類B43K 1/08 20060101AFI20250626BHJP(筆記用または製図用の器具;机上付属具)
要約【課題】抑揚のある筆記線が得られるボールペンチップの提供を目的とする。
【解決手段】このボールペンチップは、ボール10と、ボール10を回転自在に収容するボール抱持室24、及び、ボール抱持室24に通じるインキ流通路28を有するチップ本体20と、を備える。ボール抱持室24は、ボール抱持室24の一部を画成するボール受け座26と、ボール受け座26との間にボール10を抱持しつつ、ボール10の一部を外部に露出させる先端開口23とを有する。そして、ボール受け座26に着座した状態のボール10を、チップ本体20の中心軸線CLに垂直でかつ先端開口23を含む断面で見たときに、ボール10の外周面と先端開口23との間に形成される隙間gの寸法が、チップ本体20の中心軸線CLを中心とする周方向に沿って周期的に増減している。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
ボールと、
前記ボールを回転自在に収容するボール抱持室、及び、前記ボール抱持室に通じるインキ流通路を有するチップ本体と、
を備え、
前記ボール抱持室が、
前記ボール抱持室の一部を画成するボール受け座と、
前記ボール受け座との間に前記ボールを抱持しつつ、前記ボールの一部を外部に露出させる先端開口と、
を有し、
前記ボール受け座に着座した状態の前記ボールを、前記チップ本体の中心軸線に垂直でかつ前記先端開口を含む断面で見たときに、
前記ボールの外周面と前記先端開口との間に形成される隙間の寸法が、前記チップ本体の中心軸線を中心とする周方向に沿って周期的に増減している
ことを特徴とするボールペンチップ。
続きを表示（約 330 文字）【請求項２】
前記断面で見たときに、前記先端開口を画成する前記チップ本体のかしめ部が、
前記周方向の各位置で一定である肉厚と、
前記周方向において前記中心軸線からの半径が前記隙間の増減に比例して周期的に増減する第１外周面と、
を有する
ことを特徴とする請求項１に記載のボールペンチップ。
【請求項３】
前記断面で見たときに、前記先端開口を画成する前記チップ本体のかしめ部が、
前記周方向において前記隙間の増減に反比例して周期的に増減する肉厚と、
前記中心軸線からの半径が前記周方向の各位置で同じである第２外周面と、
を有する
ことを特徴とする請求項１に記載のボールペンチップ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、ボールペンチップに関する。
続きを表示（約 3,200 文字）【背景技術】
【０００２】
従来、ボールペンの先端構造として、例えば下記特許文献１に示されるボールペンチップが知られている。ボールペンチップは、ボールとチップ本体とを有する。チップ本体には、ボールを抱持するボール抱持室と、このボール抱持室に連通すると共にボールの一部を外部に露出させる先端開口と、ボール抱持室内にインキを供給するインキ流通路とが形成されている。ボール抱持室には、ボールが着座するボール受け座と、インキ流通路に連通する複数本のインキ流通溝とが形成されている。
上記構成を有するボールペンチップにおいては、筆記の際、ボールを筆記面に押し当てて転動させながらボールペンチップを移動させる。すると、ボールの転動に伴い、インキ流通路内のインキが各インキ流通溝を介してボール抱持室内に導かれ、さらにはボールの外周面と先端開口との隙間を介して筆記面に移され、筆記線となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特許第４４８７４３２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ここで、従来のボールペンチップにおいては、筆記時のボールの外周面と先端開口との間の隙間寸法が、ボールペンチップを筆記面上の何れの方向に走らせても略一定であるため、筆記面に記される筆記線の線幅もほぼ一定であった。当然、筆記される字体も一定の線幅を有するものとなるが、これを例えば毛筆で書かれた字体などと見比べた場合、どうしても抑揚に乏しいところがあった。
【０００５】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、抑揚のある筆記線が得られるボールペンチップの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、上記課題を解決して係る目的を達成するために以下の態様を採用する。
【０００７】
（１）本発明の一態様に係るボールペンチップは、
ボールと、
前記ボールを回転自在に収容するボール抱持室、及び、前記ボール抱持室に通じるインキ流通路を有するチップ本体と、
を備え、
前記ボール抱持室が、
前記ボール抱持室の一部を画成するボール受け座と、
前記ボール受け座との間に前記ボールを抱持しつつ、前記ボールの一部を外部に露出させる先端開口と、
を有し、
前記ボール受け座に着座した状態の前記ボールを、前記チップ本体の中心軸線に垂直でかつ前記先端開口を含む断面で見たときに、
前記ボールの外周面と前記先端開口との間に形成される隙間寸法が、前記チップ本体の中心軸線を中心とする周方向に沿って周期的に増減している。
【０００８】
上記（１）に記載のボールペンチップによれば、ボール受け座に着座した状態にあるボールの外周面と先端開口との隙間に、予め、周方向に沿って周期的に増減する隙間分布が付与されている。
そして、筆記の際は、筆記面に対してボールを押し当てながらボールペンチップを筆記面に沿って走らせる。すると、インキ流通路を通してボール抱持室内に供給されたインキは、転動するボールの外周面と先端開口との隙間を介してチップ本体から外部に流れ出て、筆記面へと移り、筆記線となる。
このとき、隙間寸法が相対的に大きい方が筆記方向の前方を向くようにボールペンチップを走らせて筆記した場合には、隙間から出て筆記面に移るインキ量が多めになるので、筆記線が太くなる。一方、隙間寸法が相対的に小さい方が筆記方向の前方を向くようにボールペンチップを走らせて筆記した場合には、隙間から出るインキ量が少なめになるので、筆記線が細くなる。このように、筆記方向を変えるだけで、筆記線の太さを自由に変化させることが可能となる。
【０００９】
（２）上記（１）に記載のボールペンチップにおいて以下の様に構成しても良い：
前記断面で見たときに、前記先端開口を画成する前記チップ本体のかしめ部が、
前記周方向の各位置で一定である肉厚と、
前記周方向において前記中心軸線からの半径が前記隙間の増減に比例して周期的に増減する第１外周面と、を有する。
上記（２）に記載のボールペンチップの場合、中心軸線から第１外周面までの半径が周方向に沿って周期的に増減することにより、ボール受け座に着座した状態にあるボールの外周面と先端開口との隙間に、周方向に沿って周期的に増減する寸法分布が付与される。すなわち、第１外周面のうち中心軸線からの半径が最も小さい位置では、一定肉厚を介してその内側にある先端開口の位置が中心軸線に最も近くなるため、先端開口とボールの外周面との間に形成される隙間が最も狭くなる。そして、ここを出発位置として、周方向に沿って移動するように見ていくと、チップ本体の中心軸線を中心とする第１外周面の半径が徐々に広がっていくことに比例して、隙間寸法も徐々に広がっていく。さらに周方向に沿って移動していくと、第１外周面のうち最も中心軸線からの半径が大きい位置に達し、一定肉厚を介してその内側にある先端開口の位置も中心軸線から最も遠ざかるため、先端開口とボールの外周面との間に形成される隙間が最も広くなる。ここを折り返し位置として、さらに周方向に沿って移動するように見ていくと、中心軸線を中心とする第１外周面の半径が徐々に小さくなっていくことに比例して、隙間寸法も徐々に狭まっていく。そして、ついには前記出発位置に戻り、第１外周面の半径及び隙間寸法の双方が最も小さくなる。
なお、隙間寸法の増減と第１外周面の半径の増減との関係は、正比例の関係のみに限らず、正比例から若干ずれたものとしてもよいが、正比例とした方が筆記線の変化を最も効果的に発現できるので最も好ましい。
【００１０】
（３）上記（１）に記載のボールペンチップにおいて以下の様に構成しても良い：
前記断面で見たときに、前記先端開口を画成する前記チップ本体のかしめ部が、
前記周方向において前記隙間の増減に反比例して周期的に増減する肉厚と、
前記中心軸線からの半径が前記周方向の各位置で同じである第２外周面と、
を有する。
上記（３）に記載のボールペンチップの場合、かしめ部の肉厚が周方向に沿って周期的に増減することにより、ボール受け座に着座した状態にあるボールと先端開口との隙間に、周方向に沿って周期的に増減する寸法分布が付与される。すなわち、かしめ部のうち肉厚が最も厚い位置では、その内周縁である先端開口の位置が中心軸線に最も近くなるため、先端開口とボールの外周面との間に形成される隙間が最も狭くなる。そして、ここを出発位置として、周方向に沿って移動するように見ていくと、肉厚が徐々に薄くなっていくことに反比例して、隙間寸法が徐々に広がっていく。さらに周方向に沿って移動していくと、肉厚が最も薄い位置に達し、その内周縁である先端開口の位置が中心軸線から最も遠ざかるため、先端開口とボールの外周面との間に形成される隙間が最も広くなる。ここを折り返し位置として、さらに周方向に沿って移動するように見ていくと、肉厚が徐々に増していくことに反比例して、隙間寸法は徐々に狭まっていく。そして、ついには前記出発位置に戻り、肉厚が最も厚くて隙間が最も狭くなる。
なお、隙間の増減と肉厚の増減との関係は、正反比例の関係のみに限らず、正反比例から若干ずれたものとしてもよいが、正反比例とした方が筆記線の変化を最も効果的に発現できるので最も好ましい。
【発明の効果】
（【００１１】以降は省略されています）

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