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公開番号2025092141
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2023207832
出願日2023-12-08
発明の名称クレーンの構造物の疲労評価方法および疲労評価システム
出願人株式会社三井E&S
代理人清流国際弁理士法人,個人,個人
主分類B66C 15/00 20060101AFI20250612BHJP(巻上装置;揚重装置;牽引装置)
要約【課題】クレーンにおける荷役を基準として構造物の疲労を忠実に評価でき、蓄積されるデータ量を削減できるクレーンの構造物の疲労評価方法および疲労評価システムを提供する。
【解決手段】疲労被害度の累積に基づいてクレーンCrの構造物の疲労を評価する方法では、クレーンCrに設置されたひずみ測定器2を用いた実機計測により、時刻ごとに構造物のひずみ量の変化を示すひずみデータD1を取得し、クレーンCrが荷役を行う度に、その荷役の開始時間t0と終了時間t1とに基づいて、演算装置3により、ひずみデータD1の中からその荷役にかかるひずみデータを部分データD2として特定し、その部分データD2からその荷役での疲労被害度を算出し、荷役ごとの疲労被害度を累積するとともにひずみデータD1の中から特定した部分データD2を削除する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
疲労被害度の累積に基づいてクレーンの構造物の疲労を評価するクレーンの構造物の疲労評価方法において、
前記クレーンに設置されたひずみ測定器を用いた実機計測により、時刻ごとの前記構造物のひずみ量の変化を示すひずみデータを取得し、
前記クレーンが荷役を行う度に、その荷役の開始時間と終了時間とに基づいて、演算装置により、前記ひずみデータの中からその荷役にかかったひずみデータを部分データとして特定し、前記部分データからその荷役での前記疲労被害度を算出し、前記荷役ごとの前記疲労被害度を累積するとともに前記ひずみデータの中から前記部分データを削除する、クレーンの構造物の疲労評価方法。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
疲労被害度の累積に基づいてクレーンの構造物の疲労を評価するクレーンの構造物の疲労評価方法において、
前記クレーンによる荷役が多数回繰り返される期間で、前記クレーンに設置されたひずみ測定器を用いた実機計測により前記荷役ごとの前記疲労被害度を算出してデータベースを作成する作成工程と、前記作成工程が完了した後で、作成した前記データベースを用いて前記荷役ごとの前記疲労被害度を予測する予測工程と、を有し、
前記作成工程では、
前記ひずみ測定器を用いた実機計測により、時刻ごとの前記構造物のひずみ量の変化を示すひずみデータを取得し、
前記クレーンが前記荷役を行う度に、その荷役の開始時間と終了時間とに基づいて、演算装置により、前記ひずみデータの中からその荷役にかかるひずみデータを部分データとして特定し、前記部分データからその荷役での前記疲労被害度を算出し、前記荷役ごとの前記疲労被害度が荷役状況について分類された前記データベースを作成し、
前記予測工程では、前記クレーンが前記荷役を行う度に、前記演算装置により、その荷役での前記荷役状況と前記データベースとに基づいてその荷役での前記疲労被害度を予測し、前記荷役ごとの前記疲労被害度を累積する、クレーンの構造物の疲労評価方法。
【請求項3】
前記ひずみデータと前記クレーンの荷役動作の履歴を示す履歴データとのそれぞれの時刻を同期させ、
前記履歴データに基づいて、前記演算装置により前記開始時間と前記終了時間とを特定する、請求項1または2に記載のクレーンの構造物の疲労評価方法。
【請求項4】
前記ひずみ測定器と前記クレーンの荷役動作を制御する制御装置とを電気的に接続し、
前記開始時間と前記終了時間とのそれぞれの時間に前記制御装置から送信された電気信号を前記ひずみ測定器が受信し、受信した前記電気信号に基づいて、前記ひずみ測定器により前記ひずみデータに前記開始時間と前記終了時間とを追加する、請求項1または2に記載のクレーンの構造物の疲労評価方法。
【請求項5】
1台の前記クレーンの前記構造物の疲労を評価する場合は、そのクレーンで前記作成工程と前記予測工程とを実施するとともに、前記作成工程と前記予測工程との間で前記ひずみ測定器を前記クレーンから撤去し、前記作成工程と前記予測工程とのそれぞれの工程で得られた前記荷役ごとの前記疲労被害度を累積する、請求項2に記載のクレーンの構造物の疲労評価方法。
【請求項6】
仕様および運用環境が同一の複数の前記クレーンから成るクレーン群の前記構造物の疲労を評価する場合は、
前記クレーン群の中から選択された1台の前記クレーンで前記作成工程を実施し、
前記クレーン群のそれぞれで、前記作成工程で作成された同一の前記データベースを共用して前記予測工程を実施する、請求項2に記載のクレーンの構造物の疲労評価方法。
【請求項7】
前記荷役状況には、荷役対象の荷物の重量と横行距離とを用いる、請求項2、5、6のいずれかに記載のクレーンの構造物の疲労評価方法。
【請求項8】
疲労被害度の累積に基づいてクレーンの構造物の疲労を評価するクレーンの構造物の疲労評価システムにおいて、
前記クレーンに設置され、時刻ごとの前記構造物のひずみ量の変化を示すひずみデータを実機計測により取得するひずみ測定器と、前記ひずみデータをデータ処理することにより前記疲労被害度を算出する演算装置とを備え、
前記演算装置は、前記クレーンが荷役を行う度に、その荷役の開始時間と終了時間とに基づいて前記ひずみデータの中からその荷役にかかったひずみデータを部分データとして特定するデータ処理と、前記部分データからその荷役での疲労被害度を算出するデータ処理と、前記荷役ごとの前記疲労被害度を累積するとともに特定した前記ひずみデータの中から前記部分データを削除するデータ処理とを実行する構成である、クレーンの構造物の疲労評価システム。
【請求項9】
前記ひずみデータの時刻が、前記クレーンの荷役動作の履歴を示す履歴データの時刻と同期していて、
前記演算装置は、前記履歴データに基づいて、前記開始時間と前記終了時間とを特定するデータ処理を実行する構成である、請求項8に記載のクレーンの構造物の疲労評価システム。
【請求項10】
前記ひずみ測定器は、前記クレーンの荷役動作を制御する制御装置と電気的に接続され、前記開始時間と前記終了時間とのそれぞれの時間に前記制御装置から送信された電気信号を受信していて、
前記ひずみ測定器が取得した前記ひずみデータには、受信した前記電気信号に基づいた前記開始時間と前記終了時間とが追加されている、請求項8記載のクレーンの構造物の疲労評価システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンの構造物の疲労評価方法および疲労評価システムに関し、より詳しくは、クレーンにおける荷役を基準として構造物の疲労を忠実に評価でき、蓄積されるデータ量を削減できるクレーンの構造物の疲労評価方法および疲労評価システムに関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
クレーンは、ブーム、ガーダ、脚タイビームなどの多数の構造物を有している。それらの構造物は、クレーンによる荷役が行われる度に疲労が蓄積する。したがって、クレーンの継続使用、更新(改修)、廃棄などを正確に判断するために、クレーンの構造物の疲労を評価することが求められている。評価指標としては、疲労被害度(疲労損傷度)の累積、その累積に基づいて算出される疲労損傷に至るまでの応力振幅の回数や余寿命期間(年数や日数)が用いられている。
【0003】
クレーンの構造物における疲労の評価では、一般的に数値解析または実機計測が用いられている。数値解析では、クレーンの構造物の構造計算が行われるため、構造物の詳細な設計図などが必須である。正確な設計図などが得られない場合は、構造計算が行えないため、疲労を忠実に評価ができないという問題がある。一方で、実機計測では、ひずみゲージ(疲労センサ)などのひずみ測定器を用いて構造物のひずみデータを取得している。それ故、実機計測は、数値解析に比して汎用性が高く、かつ、構造物の疲労をより忠実に評価できる。しかしながら、実機計測では、ひずみデータのデータ量が経時的に大きくなるという問題がある。特に、複数の構造物を有するクレーンでは、構造物ごとに疲労を評価する必要があり、複数のクレーンが運用されているコンテナターミナルでは、クレーンごとに疲労を評価する必要がある。したがって、疲労評価に要するデータ量が膨大になり、膨大なデータ量の解析に要する処理負荷も大きくなる。
【0004】
クレーンでは無いが、風力発電システムなどに用いられる複合材料の余寿命を実機計測で評価する装置および方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の発明では、上述した実機計測でのデータ量が膨大になるという問題に関して、一定期間ごとに処理を行い、一定期間ごとの累積損傷度を保存しておく方式が用いられている(特許文献1の段落0016参照)。この方式では、全ての時刻歴データを保存する必要が無くなり、一定期間ごとの累積損傷度のみを保存すればよく、データ量の増加が抑制される。
【0005】
クレーンでは、荷役する度に荷役状況が変わり、荷物の重量やその移動距離が異なるため、荷役する度に構造物に蓄積される疲労の度合いが異なっている。また、クレーンは、荷役を基準に予定(例えば、1日の荷役回数など)が管理されている。したがって、クレーンの構造物の疲労をより忠実に評価するには、荷役を基準にすることが望まれている。しかしながら、1回の荷役に要する期間は荷役対象の荷物ごとに異なる。そのため、上述した特許文献1に記載の発明をクレーンに適用しても、一定の期間を基準にした実機計測方式では、荷役を基準にして構造物の疲労を評価することができない。したがって、クレーンにおける荷役を基準として構造物の疲労を忠実に評価して、蓄積されるデータ量を削減するには更なる開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2017/163562号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、クレーンにおける荷役を基準として構造物の疲労を忠実に評価でき、蓄積されるデータ量を削減できるクレーンの構造物の疲労評価方法および疲労評価システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明の第一発明のクレーンの構造物の疲労評価方法は、疲労被害度の累積に基づいてクレーンの構造物の疲労を評価するクレーンの構造物の疲労評価方法において、前記クレーンに設置されたひずみ測定器を用いた実機計測により、時刻ごとの前記構造物のひずみ量の変化を示すひずみデータを取得し、前記クレーンが荷役を行う度に、その荷役の開始時間と終了時間とに基づいて、演算装置により、前記ひずみデータの中からその荷役にかかったひずみデータを部分データとして特定し、前記部分データからその荷役での前記疲労被害度を算出し、前記荷役ごとの前記疲労被害度を累積するとともに前記ひずみデータの中から前記部分データを削除することを特徴とする。
【0009】
本発明の第二発明のクレーンの構造物の疲労評価方法は、疲労被害度の累積に基づいてクレーンの構造物の疲労を評価するクレーンの構造物の疲労評価方法において、前記クレーンによる荷役が多数回繰り返される期間で、前記クレーンに設置されたひずみ測定器を用いた実機計測により前記荷役ごとの前記疲労被害度を算出してデータベースを作成する作成工程と、前記作成工程が完了した後で、作成した前記データベースを用いて前記荷役ごとの前記疲労被害度を予測する予測工程と、を有し、前記作成工程では、前記ひずみ測定器を用いた実機計測により、時刻ごとの前記構造物のひずみ量の変化を示すひずみデータを取得し、前記クレーンが前記荷役を行う度に、その荷役の開始時間と終了時間とに基づいて、演算装置により、前記ひずみデータの中からその荷役にかかるひずみデータを部分データとして特定し、前記部分データからその荷役での前記疲労被害度を算出し、前記荷役ごとの前記疲労被害度が荷役状況について分類された前記データベースを作成し、前記予測工程では、前記クレーンが前記荷役を行う度に、前記演算装置により、その荷役での前記荷役状況と前記データベースとに基づいてその荷役での前記疲労被害度を予測し、前記荷役ごとの前記疲労被害度を累積することを特徴とする。
【0010】
本発明の第三発明のクレーンの構造物の疲労評価システムは、疲労被害度の累積に基づいてクレーンの構造物の疲労を評価するクレーンの構造物の疲労評価システムにおいて、前記クレーンに設置され、時刻ごとの前記構造物のひずみ量の変化を示すひずみデータを実機計測により取得するひずみ測定器と、前記ひずみデータをデータ処理することにより前記疲労被害度を算出する演算装置とを備え、前記演算装置は、前記クレーンが荷役を行う度に、その荷役の開始時間と終了時間とに基づいて前記ひずみデータの中からその荷役にかかったひずみデータを部分データとして特定するデータ処理と、前記部分データからその荷役での疲労被害度を算出するデータ処理と、前記荷役ごとの前記疲労被害度を累積するとともに特定した前記ひずみデータの中から前記部分データを削除するデータ処理とを実行する構成であることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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