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公開番号2025061926
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-11
出願番号2025012893,2021055245
出願日2025-01-29,2021-03-29
発明の名称ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C07C 37/84 20060101AFI20250404BHJP(有機化学)
要約【課題】色調及び色調安定性に優れ、かつ重合活性に優れるビスフェノールの製造方法を提供すること。
【解決手段】 下記の工程A~Dを含むビスフェノールの製造方法であって、
工程A:芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドとからビスフェノールを生成し、ビスフェノールを得る工程
工程B:工程Aで得られたビスフェノールを油水分離状態で水洗し、ビスフェノールを含有する有機相を得る工程
工程C:工程Bで得られたビスフェノールを含有する有機相を晶析させてビスフェノールを含むスラリー液を得る工程
工程D:工程Cで得られたビスフェノールを含むスラリー液を固液分離し、ビスフェノールのケーキを得る工程
前記工程C及び/又は前記工程Dにおいて、融点が40℃以下であるエーテル結合を有する有機化合物を用いる、ビスフェノールの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記の工程A~Dを含むビスフェノールの製造方法であって、
工程A:芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドとからビスフェノールを生成し、ビスフェノールを得る工程
工程B:工程Aで得られたビスフェノールを油水分離状態で水洗し、ビスフェノールを含有する有機相を得る工程
工程C:工程Bで得られたビスフェノールを含有する有機相を晶析させてビスフェノールを含むスラリー液を得る工程
工程D:工程Cで得られたビスフェノールを含むスラリー液を固液分離し、ビスフェノールのケーキを得る工程
前記工程C及び/又は前記工程Dにおいて、融点が40℃以下であるエーテル結合を有する有機化合物を用い、
前記ビスフェノールが、下記一般式(1)で表される化合物である、ビスフェノールの製造方法。
TIFF
2025061926000008.tif
26
112
(式(1)中、R

~R

は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、無置換のアルキル基、無置換のアルコキシ基、無置換のアリール基、アミノ基から選択される。R

とR

は、それぞれに独立に水素原子、無置換のアルキル基、無置換のアルコキシ基、無置換のアリール基から選択される。)
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記工程Bにおいて、油水分離した水相のpHが8以上13以下になるように中和する工程を有する、請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。
【請求項3】
前記工程Aは、酸性触媒下で実施する、請求項1又は2に記載のビスフェノールの製造方法。
【請求項4】
前記エーテル結合を有する有機化合物が、下記一般式(4)で示される化合物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
TIFF
2025061926000009.tif
19
112
(式(4)中、R
11
及びR
12
はそれぞれ独立にアルキル基、アルキレン基、アルケニル基、及びアリール基からなる群から選択されるいずれか1つであり、R
11
とR
12
とが架橋していてもよい。)
【請求項5】
前記ビスフェノールが、ビス(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)プロパン、及び9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンからなる群から選択されるいずれか1つである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノールを用いてポリカーボネート樹脂を製造する工程、を含むポリカーボネートの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスフェノールの製造方法に関するものである。また、前記ビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
ビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの高分子材料の原料として有用である。代表的なビスフェノールとしては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-メタンなどが知られているなどが知られている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014-40376号公報
特開2020-37530号公報
特開2002-187862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂等の様々な樹脂の原料として幅広い用途に使用され、今後も、その用途の拡大が期待される。特に、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-メタン(以下「TMBPF」と称する)は難燃性及び耐薬品性に優れたポリカーボネート樹脂の原料モノマーとして注目されている。
【0005】
通常、ビスフェノールの代表的な用途であるポリカーボネート樹脂は、無色であり、透明であることが求められる。ポリカーボネート樹脂の色調は、原料の色調の影響を大きく受けるため、原料であるビスフェノールの色調も、無色であることが好ましい。しかしながらTMBPFなどの一部のビスフェノールは着色しやすく、公知品は淡黄色の結晶である。
【0006】
特許文献3によると、TMBPFはpHの影響を受け易く、強酸性及び塩基性環境下で色調し易いと記載されている。ビスフェノールの製造方法は一般的に酸性触媒下で行われ、TMBPFも同様である。反応速度を高め、収率良くビスフェノールを製造するには強酸性の触媒を用いることが好ましい。そのためTMBPFを生成させる反応中にビスフェノールが着色することが容易に推測できる。
【0007】
特許文献2によると、ビスフェノールを含有する有機相から相分離させた水相のpHを8.5以上にすることで重合活性に優れたビスフェノールを得られると記載されている。しかし、実施例1に記載の方法でTMBPFを製造し、製造したTMBPFをアセトンに溶解し、溶液の色を観察したところ、著しく着色しており、また、時間経過とともに色調が更に悪化することが分かった。時間経過とともに色調が悪化するということは着色成分が生成し増加しているためであると考えられる。その場合、製造したTMBPFの純度が低下していることと同義であり、TMBPFの純度低下は所望の分子量のポリカーボネート樹脂を得る上で好ましくない。
【0008】
そのため、色調、色調安定性、及び重合活性に優れたビスフェノールを効率的に製造することが出来る製造方法の開発が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、色調及び色調安定性に優れ、かつ重合活性に優れるビスフェノールの製造方法を提供することを目的とする。また、前記ビスフェノールの製造方法で得られたビスフェノールを用いて、色調の良いポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、晶析またはビスフェノールのウェットケーキの洗浄にエーテル結合を有する有機化合物を用いることで着色成分を選択的に除去し、色調に優れたビスフェノールを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
[1]下記の工程A~Dを含むビスフェノールの製造方法であって、
工程A:芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドとからビスフェノールを生成し、ビスフェノールを得る工程
工程B:工程Aで得られたビスフェノールを油水分離状態で水洗し、ビスフェノールを含有する有機相を得る工程
工程C:工程Bで得られたビスフェノールを含有する有機相を晶析させてビスフェノールを含むスラリー液を得る工程
工程D:工程Cで得られたビスフェノールを含むスラリー液を固液分離し、ビスフェノールのケーキを得る工程
前記工程C及び/又は前記工程Dにおいて、融点が40℃以下のエーテル結合を有する有機化合物を用いる、ビスフェノールの製造方法。
[2]前記工程Bにおいて、油水分離した水相のpHが8以上13以下になるように中和する工程を有する、[1]に記載のビスフェノールの製造方法。
[3]前記工程Aは、酸性触媒下で実施する、[1]又は[2]に記載のビスフェノールの製造方法。
[4]前記エーテル結合を有する有機化合物が、下記一般式(4)で示される化合物である[1]乃至[3]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
TIFF
2025061926000001.tif
19
112
(式(4)中、R
11
及びR
12
はそれぞれ独立にアルキル基、アルキレン基、アルケニル基、及びアリール基からなる群から選択されるいずれか1つであり、R
11
とR
12
とが架橋していてもよい。)
[5]前記ビスフェノールが、ビス(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)プロパン、及び9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンからなる群から選択されるいずれか1つである、[1]乃至[4]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
[6][1]~[5]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノールを重合する工程、を含むポリカーボネートの製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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