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公開番号
2025026001
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-21
出願番号
2023131317
出願日
2023-08-10
発明の名称
アシルヒドラゾン誘導体
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人 津国
主分類
C07C
251/86 20060101AFI20250214BHJP(有機化学)
要約
【課題】光エネルギーによる相変化効率やエネルギー貯蔵状態における熱安定性が向上した新規の光誘起相転移材料、それを用いた太陽光などの光エネルギーを回収・貯蔵できる蓄熱材及び熱利用システムの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のアシルヒドラゾン誘導体は、新規の化合物であり、光誘起相転移材料として使用することができ、下記式(I):
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2025026001000018.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">43</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">161</com:WidthMeasure> </com:Image>
(式中、R
1
及びR
2
は水素、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になった縮合フェニル環;R
3
は炭素数1~3のアルキル基;Rは非置換またはOHで置換された炭素数1~9のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基)で表される。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
式(I):
TIFF
2025026001000014.tif
43
161
(式中、
R
1
及びR
2
は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になって縮合フェニル環を形成し;
R
3
は、炭素数1~3のアルキル基であり;
Rは、炭素数1~9のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基であり、これらアルキル基又はアルケニル基は非置換か又はOHで置換されている)
で表されるアシルヒドラゾン誘導体。
続きを表示(約 750 文字)
【請求項2】
R
1
及びR
2
が、それらが結合する炭素原子と一緒になって縮合フェニル環を形成する、請求項1記載のアシルヒドラゾン誘導体。
【請求項3】
R
3
がメチルである、請求項1記載のアシルヒドラゾン誘導体。
【請求項4】
Rが炭素数4~9の直鎖のアルキル基である、請求項1記載のアシルヒドラゾン誘導体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項記載のアシルヒドラゾン誘導体を製造する方法であって、
式(II):
TIFF
2025026001000015.tif
29
161
の化合物を、式(III):
JPEG
2025026001000016.jpg
24
161
の化合物と、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、又はこれらの混合溶媒中で、反応させて、式(I):
TIFF
2025026001000017.tif
43
161
(式中、R、R
1
、R
2
、及びR
3
は、請求項1~4のいずれか1項で定義されたものである)で表されるアシルヒドラゾン誘導体を得る工程
を含む、方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項記載のアシルヒドラゾン誘導体を含む、蓄熱材。
【請求項7】
請求項6記載の蓄熱材を備えた熱利用システム。
【請求項8】
住宅用光エネルギー利用システムである、請求項7項記載の熱利用システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アシルヒドラゾン誘導体、ならびにその蓄熱材としての使用、当該誘導体を用いる蓄熱方法、及び当該蓄熱材を利用した熱利用システムに関する。
続きを表示(約 4,600 文字)
【背景技術】
【0002】
今日、太陽光エネルギーの利用が望まれているが、光エネルギーが得られるシーン(時間)とその光エネルギーを利用する(又はしたい)シーンとが必ずしも時間的に一致しない問題があった。例えば、日中の太陽光の光エネルギーを、日没後の任意の時間(例えば、当日の夜、翌日の夜等)に使うことができれば、光熱費を削減することができる。
【0003】
近年、紫外光などの光エネルギーを物質の相変化エネルギーに変換して貯蔵し、熱エネルギーとして再利用する技術が注目され始めている。
例えば、有機分子の光異性化に伴う固-液相転移現象は蓄熱剤や接着剤などへの応用が期待されている(非特許文献1)。特に、アゾベンゼンの光異性化を利用した結晶の光誘起融解(photo-induced crystal-to-liquid transition、以下PCLTと略記)は潜熱と異性化熱を同時に利用することで優れた蓄熱特性を実現できることが報告されている(非特許文献2及び3)。
【0004】
PCLT挙動を示す材料を光誘起相転移材料と称する。PCLTの発現には、光応答性分子が高い熱安定性や光変換収率などを持つことに加え、結晶中での異性化を促進するための分子設計が求められる。このような背景から、PCLTの報告例はアゾベンゼンとその他一部の光応答性分子に限られていた(非特許文献4~6)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Xu, W.-C.; Sun, S.; Wu, S. Photoinduced Reversible Solid-to-Liquid Transitions for Photoswitchable Materials. Angew. Chem. Int. Ed Engl. 2019, 58 (29), 9712-9740.
Ishiba, K.; Morikawa, M.-A.; Chikara, C.; Yamada, T.; Iwase, K.; Kawakita, M.; Kimizuka, N. Photoliquefiable Ionic Crystals: A Phase Crossover Approach for Photon Energy Storage Materials with Functional Multiplicity. Angew. Chem. Int. Ed Engl. 2015, 54 (5), 1532-1536.
Zhang, Z.-Y.; He, Y.; Wang, Z.; Xu, J.; Xie, M.; Tao, P.; Ji, D.; Moth-Poulsen, K.; Li, T. Photochemical Phase Transitions Enable Coharvesting of Photon Energy and Ambient Heat for Energetic Molecular Solar Thermal Batteries That Upgrade Thermal Energy. J. Am. Chem. Soc. 2020, 142 (28), 12256-12264.
Qiu, Q.; Yang, S.; Gerkman, M. A.; Fu, H.; Aprahamian, I.; Han, G. G. D. Photon Energy Storage in Strained Cyclic Hydrazones: Emerging Molecular Solar Thermal Energy Storage Compounds. J. Am. Chem. Soc. 2022, 144 (28), 12627-12631.
Hoshino, M.; Uchida, E.; Norikane, Y.; Azumi, R.; Nozawa, S.; Tomita, A.; Sato, T.; Adachi, S.-I.; Koshihara, S.-Y. Crystal Melting by Light: X-Ray Crystal Structure Analysis of an Azo Crystal Showing Photoinduced Crystal-Melt Transition. J. Am. Chem. Soc. 2014, 136 (25), 9158-9164.
Komura, M.; Sotome, H.; Miyasaka, H.; Ogawa, T.; Tani, Y. Photoinduced Crystal Melting with Luminescence Evolution Based on Conformational Isomerisation. Chem. Sci. 2023. https://doi.org/10.1039/D3SC00838J.
van Dijken, D. J.; Kovaricek, P.; Ihrig, S. P.; Hecht, S. Acylhydrazones as Widely Tunable Photoswitches. J. Am. Chem. Soc. 2015, 137 (47), 14982-14991.
Yuan, Y.-X.; Zheng, Y.-S. New Acylhydrazone Photoswitches with Quantitative Conversion and High Quantum Yield but without Hydrogen Bond Stabilizing (Z)-Isomer. ACS Appl. Mater. Interfaces 2019, 11 (7), 7303-7310.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、既存の材料では、光エネルギーによる相変化効率が十分でなかったり、相変化後の構造変化の評価ができていなかったりという問題があり、また、エネルギー貯蔵状態における熱安定性にも問題が散見される。
【0007】
本発明の課題は、光エネルギーによる相変化効率やエネルギー貯蔵状態における熱安定性が向上した新規の光誘起相転移材料、それを用いた太陽光などの光エネルギーを回収・貯蔵して利用時には熱エネルギーとして取り出せる蓄熱材及び熱利用システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
アシルヒドラゾン誘導体は、光応答性分子として知られ、2015年頃から盛んにその光物性が研究されている(非特許文献7及び8)。本発明者らは、アシルヒドラゾン誘導体の高い光スイッチング特性がPCLTの発現に利用できると考え、鋭意研究を重ねた結果、柔軟性の高いアルキル側鎖を導入した新規のアシルヒドラゾン誘導体が光誘起融解を示し、その光エネルギーによる相変化効率及びエネルギー貯蔵状態における熱安定性が向上していることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
式(I):
TIFF
2025026001000002.tif
44
161
(式中、
R
1
及びR
2
は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になって縮合フェニル環を形成し;
R
3
は、炭素数1~3のアルキル基であり;
Rは、炭素数1~9のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基であり、これらアルキル基又はアルケニル基は非置換か又はOHで置換されている)
で表されるアシルヒドラゾン誘導体。
[2]
R
1
及びR
2
が、それらが結合する炭素原子と一緒になって縮合フェニル環を形成する、前記[1]記載のアシルヒドラゾン誘導体。
[3]
R
3
がメチルである、前記[1]又は[2]記載のアシルヒドラゾン誘導体。
[4]
Rが炭素数4~9の直鎖のアルキル基である、前記[1]~[3]のいずれか1項記載のアシルヒドラゾン誘導体。
[5]
前記[1]~[4]のいずれか1項記載のアシルヒドラゾン誘導体を製造する方法であって、
式(II):
TIFF
2025026001000003.tif
30
161
の化合物を、式(III):
JPEG
2025026001000004.jpg
24
161
の化合物と、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、又はこれらの混合溶媒中で、反応させて、式(I):
TIFF
2025026001000005.tif
43
161
(式中、R、R
1
、R
2
、及びR
3
は、前記[1]~[4]のいずれか1項で定義されたものである)で表されるアシルヒドラゾン誘導体を得る工程
を含む、方法。
[6]
前記[1]~[4]のいずれか1項記載のアシルヒドラゾン誘導体を含む、蓄熱材。
[7]
前記[6]記載の蓄熱材を備えた熱利用システム。
[8]
住宅用光エネルギー利用システムである、前記[7]記載の熱利用システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアシルヒドラゾン誘導体は、太陽光エネルギーなどの光エネルギーを回収・貯蔵し、利用時には熱エネルギーとして取り出すことができるので、蓄熱材及び蓄熱方法、ならびに当該蓄熱材を用いた熱利用システムを提供することができる。
本発明のアシルヒドラゾン誘導体は光を吸収して異性化及び/又は相転移することで光エネルギーを回収・貯蔵することができる。この光エネルギーを貯蔵した本発明のアシルヒドラゾン誘導体は、外部からトリガー、例えば熱又は物理的・機械的刺激を与えることにより、貯蔵した光エネルギーを熱エネルギーとして放出し得る。
本発明のアシルヒドラゾン誘導体は、高い光変換収率、異性化後の異性体の高い熱安定性、異性化前後の両異性体の吸収帯の良好な分離を維持していることに加え、アシル側鎖の導入により結晶中の分子の動的性質が高まったことで、結晶中でも高い収率で異性化が進行する。その結果、本発明のアシルヒドラゾン誘導体は、光異性化により、優れた蓄熱効果を発揮することができ、また、エネルギーを貯蔵した状態で熱安定性を有する蓄熱材を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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