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公開番号
2025089251
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-12
出願番号
2024156745
出願日
2024-09-10
発明の名称
肝臓オルガノイドを増殖させるための培地
出願人
国立大学法人 東京大学
,
関東化学株式会社
代理人
弁理士法人葛和国際特許事務所
主分類
C12N
1/00 20060101AFI20250605BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】本発明の課題は、従来培地に比べてコストの低い、肝臓オルガノイドを増殖するための新しい培地を提供することにある。
【解決手段】L細胞をR-spondin-1、肝細胞増殖因子(HGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)7および線維芽細胞増殖因子10を発現するように改変した改変L細胞の培養上清を含む、ヒト多能性幹細胞由来肝臓オルガノイドの増殖用培地によって上記課題は解決された。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
L細胞をR-spondin-1、肝細胞増殖因子(HGF)および線維芽細胞増殖因子(FGF)7および線維芽細胞増殖因子10を発現するように改変した改変L細胞の培養上清を含む、肝臓オルガノイドの増殖用培地。
続きを表示(約 840 文字)
【請求項2】
肝臓オルガノイドが、多能性幹細胞由来肝臓オルガノイドである、請求項1に記載の増殖用培地。
【請求項3】
多能性幹細胞が、ヒト多能性幹細胞である、請求項2に記載の増殖用培地。
【請求項4】
改変L細胞の培養上清が、R-spondin-1、HGFおよびFGF-7およびFGF-10を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の増殖用培地。
【請求項5】
改変L細胞の培養上清が、R-spondin-1、HGF、FGF-7およびFGF-10を、R-spondin-1:HGF:FGF-7:FGF-10=30:1:2:2の比率で含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の増殖用培地。
【請求項6】
改変L細胞の培養上清が、改変L細胞を、FBSを含む培地で培養することにより得られたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の増殖用培地。
【請求項7】
改変L細胞が、L細胞に、R-spondin-1、HGF、FGF-7およびFGF-10の遺伝子配列を夫々含む4種類のレンチウイルスベクターを順次感染させることによって作製されたL-RHF2細胞である、請求項1~3のいずれか一項に記載の増殖用培地。
【請求項8】
改変L細胞が、NITE P-04111(受託番号)で表されるL-RHF2細胞である、請求項1~3のいずれか一項に記載の増殖用培地。
【請求項9】
ヒト多能性幹細胞由来肝臓オルガノイドを増殖する方法であって、請求項1~3のいずれか一項に記載の増殖用培地中でヒト多能性幹細胞由来肝臓オルガノイドを培養することを含む、前記方法。
【請求項10】
増殖した肝臓オルガノイドの幹細胞性を高める方法であって、請求項1~3のいずれか一項に記載の増殖用培地で肝臓オルガノイドを増殖させることを含む、前記方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝臓オルガノイドを増殖させるための培地、肝臓オルガノイドの増殖方法、かかる方法により作製した増殖した肝臓オルガノイド等に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
オルガノイドと呼ばれる細胞凝集体は、その構造や機能が生体組織と類似していることから、医薬品や食品の生体への影響を調べるためのツールとして利用されている。そのため、オルガノイドを形成、増殖するための様々な方法や、それらの方法に用いられる培地の開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、i.任意選択で、FGF7、FGF10及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、50~500ng/mlの線維芽細胞増殖因子(FGF)、ii.R-スポンジン及び少なくとも1つのグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)阻害剤を含む、Wntアゴニスト、iii.5~100ng/mlの上皮増殖因子(EGF)、iv.5~100ng/mlの肝細胞増殖因子(HGF)、ならびにv.アクチビン受容体様キナーゼALK4、ALK5及び/またはALK7シグナル伝達経路の阻害剤を含む、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-β)阻害剤を含む肝細胞培養培地が開示されており、かかる培養培地により培養された肝臓組織から単離された細胞の少なくとも一部が肝細胞オルガノイドを形成すること、同培養培地が肝細胞オルガノイドを増殖することにも用いられることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、Rスポンジン1~4のいずれか1つ、ノギン、ニコチンアミド、EGF、FGF10、HGF、ガストリン、TGF-β阻害剤およびPGE2を含む肝臓細胞の増殖のための培地が開示されており、かかる培地を用いて、肝臓の細胞または組織断片から肝臓オルガノイドを形成することが開示されている。特許文献3には、ニューレグリンポリペプチドなどのErb3/4リガンド、FGF-7および/または10などの受容体型チロシンキナーゼリガンド、およびNogginなどのBMP阻害剤、さらにはRスポンジンなどのWntアゴニストを含む培地が開示されており、かかる培地を用いて上皮幹細胞を増殖させ、肺オルガノイド、乳房オルガノイドを形成することが開示されている。
しかしながら、いずれの文献に記載のオルガノイドを形成、増殖させるための培地においても、増殖因子等の高価なリコンビナントタンパク質が多数使用されており、そのため、培地の価格が高くなり、ユーザーの経済的負担が大きくなっている。
【0005】
このようなリコンビナントタンパク質を使用しない例として、マウスL細胞にWnt3a、R-spondin-1およびNogginを発現するように遺伝子導入した細胞の培養上清を用いて調製した培地で、ヒト人工多能性幹細胞由来の小腸オルガノイドを培養した例が報告されている(非特許文献1)。
しかしながら、肝臓オルガノイドは、オルガノイドの代表的な1つでありながら、培養系、機能評価、遺伝子導入などの肝臓オルガノイドを扱うための体系的な方法論が不十分であり、肝臓オルガノイドにおいて、リコンビナントタンパク質を用いることなく培養された例はいまだ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2022-511757号公報
特表2014-516562号公報
特開2022-28828号公報
【非特許文献】
【0007】
Takahashi et al., Stem Cell Reports. 2018 Jan 9; 10(1): 314-328
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来培地に比べてコストの低い、肝臓オルガノイドを増殖するための新たな培地等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究する中で、マウス皮膚線維芽細胞株L細胞をR-spondin-1、肝細胞増殖因子(HGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)を発現するように改変した、L-RHF2細胞を樹立することに成功した。そして本発明者らは、L-RHF2細胞の培養上清を用いることで、従来の肝臓オルガノイドの培養培地に用いるような高価なリコンビナントタンパク質を用いる必要がなく、低コストで肝臓オルガノイドを増殖させることができる培地を調製できるという知見を得た。かかる知見に基づき、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]L細胞をR-spondin-1、肝細胞増殖因子(HGF)および線維芽細胞増殖因子(FGF)7および線維芽細胞増殖因子10を発現するように改変した改変L細胞の培養上清を含む、肝臓オルガノイドの増殖用培地。
[2]肝臓オルガノイドが、多能性幹細胞由来肝臓オルガノイドである、前記[1]に記載の増殖用培地。
[3]多能性幹細胞が、ヒト多能性幹細胞である、前記[2]に記載の増殖用培地。
[4]改変L細胞の培養上清が、R-spondin-1、HGFおよびFGF-7およびFGF-10を含む、前記[1]~[3]のいずれか1つに記載の増殖用培地。
[5]改変L細胞の培養上清が、R-spondin-1、HGF、FGF-7およびFGF-10を、R-spondin-1:HGF:FGF-7:FGF-10=30:1:2:2の比率で含む、前記[1]~[4]のいずれか1つに記載の増殖用培地。
[6]改変L細胞の培養上清が、改変L細胞を、FBSを含む培地で培養することにより得られたものである、前記[1]~[5]のいずれか1つに記載の増殖用培地。
(【0011】以降は省略されています)
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