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公開番号
2025107629
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-22
出願番号
2024000954
出願日
2024-01-09
発明の名称
嗅覚受容体の応答感度増強剤
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
個人
,
個人
主分類
A61K
38/16 20060101AFI20250714BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】本発明は、匂い物質に対する嗅覚受容体の応答感度を増強させる物質の提供を課題とする。
【解決手段】本発明者らは、上記課題を解決するために、ヒト嗅粘液からいくつかの嗅覚受容体と匂い物質の組み合わせに対し、嗅覚受容体の応答感度を強める物質を探索したところ、当該物質としてフィブロネクチンを同定した。すなわち、本発明は、フィブロネクチンを含有する嗅覚受容体の応答感度増強剤、フィブロネクチンを含有する、匂いセンサーの感度増強剤およびフィブロネクチンを含有する、嗅覚障害を改善するための医薬組成物を解決手段とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
フィブロネクチンを含有する、嗅覚受容体の応答感度増強剤。
続きを表示(約 260 文字)
【請求項2】
前記嗅覚受容体が哺乳動物由来である、請求項1に記載の応答感度増強剤。
【請求項3】
フィブロネクチンを含有する、匂いセンサーの感度増強剤。
【請求項4】
前記匂いセンサーが、嗅覚受容体を構成要素とすることを特徴とする、請求項3に記載の匂センサーの感度増強剤。
【請求項5】
フィブロネクチンを含有する、嗅覚障害を改善するための医薬組成物。
【請求項6】
前記嗅覚障害が、嗅覚低下または嗅覚脱失である、請求項5に記載の医薬組成物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、匂い物質に対する嗅覚受容体の応答を増強する効果を有する物質、および当該物質を含む剤または組成物に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
ヒトを含む陸上脊椎動物において、匂いを感知するプロセスは、匂い物質を含む空気が鼻腔に流れ込むと開始する。匂い物質を含む空気は、鼻腔の奥に存在する嗅上皮に到達し、そこで、気相の匂い物質が嗅粘液(olfactory epithelial mucosa:OEM)に溶解し、拡散して嗅神経細胞(olfactory sensory neurons:OSNs)に到達する。嗅神経細胞の繊毛は、嗅覚受容体(olfactory receptors:ORs)を発現している。匂い物質が嗅覚受容体と結合すると、嗅神経細胞が活性化し脳への情報伝達を誘導するシグナル伝達が誘導される。
【0003】
嗅覚受容体は、Gタンパク質共役型受容体(G-protein coupled receptors:GPCRs)で、7回膜貫通型の受容体で、クラスAグループに属する。クラスAのGPCRは、膜貫通ドメインによって形成されるリガンド結合ポケットを有している。匂い物質は、嗅覚受容体のリガンド結合サイトに結合して、嗅覚受容体を活性化し、G
αolf
経路を通じてシグナルを伝達する。G
αolf
は、G
αs
タイプのGタンパク質で、嗅覚神経細胞と他の嗅覚受容体を発現する細胞に特異的に発現している。G
αolf
は、アデニル酸シクラーゼを活性化し、細胞内cAMP濃度上昇を通じて、環状ヌクレオチド感受性チャネルの活性化を引き起こし、カルシウムイオンの細胞内への流入と神経細胞の脱分極および活動電位を誘導する。
ゲノムにコードされる嗅覚受容体の数は、動物種毎に異なり、マウスは1200以上に対し、ヒトは、およそ400程度である。哺乳類、鳥類およびトカゲにおいて、嗅覚受容体は、系統関係に基づいて2つのクラスから分類され、魚類および両生類にはその他のクラスの受容体も存在する。哺乳類において、Class II型の嗅覚受容体遺伝子は、全嗅覚受容体のおよそ90%を占めている。Class I型の嗅覚受容体は、親水性の匂い物質を認識すると考えられており、Class II型嗅覚受容体は、疎水性の匂い物質を認識すると考えられている。
【0004】
嗅覚システムの感度は非常に高いことが知られているが、この感度性を可能とするメカニズムについては、未だに不明な点が多い。嗅覚受容体を発現する繊毛を覆う嗅粘液に障害を有する患者は、正常者と比べると非常に低い嗅覚感度を示すこと、医学的治療によって嗅粘液の分泌を改善すると嗅覚感度が増強するとの報告がある(非特許文献1などを参照のこと)。また、嗅粘液の分泌に障害のあるマウスにおいて、野生型マウスと比較すると嗅覚感度が顕著に低下していることが報告されている。この分泌に障害のあるマウス嗅球のイメージングアッセイにより、匂い物質オイゲノールに対する応答の閾値が、野生型マウスでは0.1% オイゲノールであったのに対し、分泌障害マウスでは、10% オイゲノールにまで上昇していることが明らかとなっている(非特許文献2)。
さらに、カメおよびウシガエルを用いたエクスビボにおける電気生理学的実験により、嗅粘液の一部を除去すると、除去した部分における嗅神経細胞の応答が減少または消失することが報告されている(非特許文献3)。
以上の報告から、嗅粘液に存在する何らかの因子が嗅覚感度に重要であることが示唆されている。
【0005】
ところで、近年、匂い物質を検出するための生体の嗅覚器官をミミック(模倣)した匂いセンサーが報告されている(特許文献1、非特許文献4および非特許文献5など)。しかしながら、その感度については改善の余地がある。
【0006】
以上のように嗅覚感度を増強する因子は、嗅覚低下を改善させ、匂いセンサーの感度を上昇させる点などにおいて、医療分野や産業分野での高い有用性を発揮することが期待されている。しかしながら、現在のところそのような因子は見出されていない。嗅粘液の組成の複雑さが、嗅覚感度を増強する因子の同定が困難な理由の1つとして考えられるが、その他にも、例えば、匂い物質への嗅覚受容体の応答を気相において検出するアッセイ系(インビボの条件に近いアッセイ系)が確立されていないことも当該因子の同定が進まない原因の1つとして考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
WO2017/147323号
【非特許文献】
【0008】
Henkinら, Annals of Internal Medicine 76:375-383 1972
Fukudaら, European Journal of Neuroscience 27:2665-2675 2008
Shibuya, Science 143:1338-1339 1964
Hommaら, Biosensors and Bioelectoronics 224, 115047, 2023
Hirataら, Lab Chip 21:2643-2657 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、匂い物質に対する嗅覚受容体の応答感度を増強させる物質の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために匂い物質に対する嗅覚受容体の応答感度を強める物質を、ヒト嗅粘液から探索したところ、当該物質としてフィブロネクチンを同定した。
フィブロネクチンを同定するにあたり、発明者らは生体の嗅覚システムにより近いアッセイ系、すなわち、気相における匂い物質に対する嗅覚受容体の応答を検出できる系を開発し、このアッセイ系において、フィブロネクチンが嗅覚受容体の応答感度を増強することを確認した。さらにに、マウス嗅上皮を用いたエクスビボの系においても、フィブロネクチンが嗅覚受容体の応答感度を増強することを確認した。
以上のことから、フィブロネクチンは、生体における嗅覚系において、嗅覚感度を増強させる因子とし機能している可能性が示唆された。
(【0011】以降は省略されています)
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