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公開番号2025118455
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-13
出願番号2024013776
出願日2024-01-31
発明の名称ホウ素含有化合物及びそれを含む医薬
出願人国立大学法人 東京大学
代理人弁理士法人フィールズ国際特許事務所
主分類A61K 47/58 20170101AFI20250805BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】ホウ素中性子捕捉療法への使用に適した新規化合物を提供すること。
【解決手段】本発明によれば下記式(I)の化合物が提供される。
A-(-L-Q)p (I)
(上記式中、Aは腫瘍集積性ポリマーであり、Lは光開裂可能な基を含むリンカーであり、Qは10Bを含有する基であり、pは5~75の整数である)
Aは好ましくはP(HPMA/APMA)であり、Qは好ましくはホウ素クラスターからなる1価の基である。
本発明の化合物はがん治療用ホウ素中性子捕捉療法剤として有用である。
【選択図】図10
特許請求の範囲【請求項1】
下記式(I)の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
A-(-L-Q)p (I)
(上記式中、Aは腫瘍集積性ポリマーであり、Lは光開裂可能な基を含むリンカーであり、Qは
10
Bを含有する基であり、pは5~75の整数である)
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
光開裂可能な基が、ニトロベンジルリンカー、フタロシアニンリンカー、クマリンリンカー及びベンゾキノンリンカーからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項3】
Aが、HPMAと他の1種又は2種以上の単量体との共重合体、HPMAの単独重合体、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリオキサゾリン、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ及びこれらの誘導体からなる群から選択されるポリマーである、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項4】
Aが、HPMAとAPMAとの共重合体(P(HPMA/APMA))である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項5】
P(HPMA/APMA)の数平均分子量が50~500kDaである、請求項4に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項6】
P(HPMA/APMA)の数平均分子量に対する重量平均分子量の比率(Mw/Mn)が1.1~3.0である、請求項4に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項7】
Lが直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖からなる二価の基であり、前記炭化水素鎖中の1以上の-(CH

)-は、-O-、-S-、-C(=O)-及び-NH-からなる群から選択される1種又は2種以上により置換されていてもよい、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項8】
Bがホウ素クラスターからなる1価の基である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項9】
ホウ素クラスターが多面体構造を有する、請求項8に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
【請求項10】
ホウ素クラスターが、メルカプトウンデカヒドロドデカボレート、クロソドデカボレート、クロソカルボラン、ニドカルボラン、ビスジカルボリド金属錯体、GB10、1,2-ジカルバクロソ-ドデカルボラン、1,7-ジカルバ-クロソ-ドデカルボラン、1,12-ジカルバ-クロソ-ドデカルボラン及びジカルバ-クロソ-デカルボランからなる群から選択される、請求項8に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素含有化合物及びそれを含む医薬に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、熱中性子が照射されたホウ素原子(
10
B)の核分裂反応により生成されるα粒子及びリチウム反跳核によりがん細胞を殺傷する治療法である。核分裂反応により生成されたこれら2つの粒子は、非常に高いエネルギーを与えながら、細胞直径(10~30μm)よりも短い飛距離(すなわち10μm未満)で飛程するため、ホウ素薬剤が集積した細胞のみを選択的に殺傷することが可能である。生体に照射された熱中性子は散乱し、腫瘍部だけでなく正常組織にも少なからず届くことから、BNCTによるがん治療を成功させるためには、がん細胞特異的にホウ素を送達することが重要である。
【0003】
現在の臨床BNCTでは、効率的な治療効果を得るために腫瘍内のホウ素濃度が25ppm以上であり、かつ、正常組織への有害な放射線損傷を避けるために、腫瘍と血液とのホウ素濃度比(T/B比)又は腫瘍と周囲の正常臓器とのホウ素濃度比(T/N比)が2.5以上であることが求められている。すなわち、T/B比又はT/N比が最大放射線被曝量を決定するため、単純に腫瘍内ホウ素濃度を高めるだけでは治療効果の向上につながらない。
【0004】
これらの要件を満たしうる薬剤として、現在、臨床BNCTでは、4-ボロノ-L-フェニルアラニン(BPA)が最も多く使われている。BPAは、フェニルアラニン骨格を持つため、がん細胞にて過剰発現しているLAT1等のアミノ酸トランスポーターを介してがん細胞に取り込まれるため、標的腫瘍内に選択的に集積することが知られている。特に局所性再発頭頸部がんに対しては極めて優れた臨床実績を示している。しかしながら、LAT1陰性のがんに対してのBPAの治療効果は限定的であるとされており、BNCTの適用範囲拡大には、腫瘍集積機序がBPAとは異なる新たなホウ素薬剤の開発が必要である。
【0005】
このような背景のもと、生体適合性ポリマー等のドラッグデリバリーシステム(DDS)を利用して、ホウ素薬剤を腫瘍に選択的に送達するホウ素キャリアの開発が進められてきた(非特許文献1及び2)。しかしながら、腫瘍血管から腫瘍組織への浸透機会を増やすため、血中滞留性を向上させ、腫瘍組織への薬剤暴露時間と濃度を高める設計が施された従来の抗がん剤用DDSを使用することによって腫瘍内薬剤濃度を高めることができても、中性子照射のタイミングで必ずしも高いT/B又はT/N比を満たすことはできなかった。すなわち、従来の抗がん剤用DDSを転用したBNCT用のホウ素薬剤では治療効果の向上が依然として課題であったといえる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
T. Nomoto et al., Sci Adv. 6 (2020) eaaz1722.
P. Mi et al., J. Control. Release. 254 (2017) 1-9.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ホウ素中性子捕捉療法への使用に適した新規化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは今般、生体適合性ポリマーの側鎖に光開裂リンカーを介してホウ素クラスター分子を導入した新規化合物を調製し、この化合物を実験動物に投与したところ、該化合物を標的腫瘍内に選択的に集積させることができる一方で、腫瘍以外の部位に光照射することによって正常組織や血中からホウ素薬剤をクリアランスできることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0009】
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]下記式(I)の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
A-(-L-Q)p
(上記式中、Aは腫瘍集積性ポリマーであり、Lは光開裂可能な基を含むリンカーであり、Qは
10
Bを含有する基であり、pが5~75の整数である)
[2]光開裂可能な基が、ニトロベンジルリンカー、フタロシアニンリンカー、クマリンリンカー及びベンゾキノンリンカーからなる群から選択されるである、上記[1]に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[3]Aが、HPMAと他の1種又は2種以上の単量体との共重合体、HPMAの単独重合体、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリオキサゾリン、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ及びこれらの誘導体からなる群から選択されるポリマーである、上記[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[4]Aが、HPMAとAPMAとの共重合体(P(HPMA/APMA))である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[5]P(HPMA/APMA)の数平均分子量が50~500kDaである、上記[4]に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[6]P(HPMA/APMA)の数平均分子量に対する重量平均分子量の比率(Mw/Mn)が1.1~3.0である、上記[4]又は[5]に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[7]Lが直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖からなる二価の基であり、前記炭化水素鎖中の1以上の-(CH

)-は、-O-、-S-、-C(=O)-及び-NH-からなる群から選択される1種又は2種以上により置換されていてもよい、、上記[1]~[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[8]Bがホウ素クラスターからなる1価の基である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[9]ホウ素クラスターが多面体構造を有する、上記[8]に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[10]ホウ素クラスターが、メルカプトウンデカヒドロドデカボレート、クロソドデカボレート、クロソカルボラン、ニドカルボラン、ビスジカルボリド金属錯体、GB10、1,2-ジカルバクロソ-ドデカルボラン、1,7-ジカルバ-クロソ-ドデカルボラン、1,12-ジカルバ-クロソ-ドデカルボラン及びジカルバ-クロソ-デカルボランからなる群から選択される、上記[8]に記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物。
[11]上記[1]~[10]のいずれかに記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物を含む、医薬組成物。
[12]ホウ素中性子捕捉療法に用いるための、上記[11]に記載の医薬組成物。
[13]がん治療用である、上記[11]又は[12]に記載の医薬組成物。
[14]上記[1]~[10]のいずれかに記載の化合物又はその塩若しくは溶媒和物を含む、がん治療用ホウ素中性子捕捉療法剤。
【0010】
本発明によれば、ホウ素中性子捕捉療法への使用に適した新規化合物が提供される。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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