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公開番号
2025126161
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-28
出願番号
2025022472
出願日
2025-02-14
発明の名称
テラヘルツ波帯位相変調回路
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
H03C
3/00 20060101AFI20250821BHJP(基本電子回路)
要約
【課題】本発明の目的は、簡単な方法でテラヘルツ波に位相変調を行い、さらに位相変調と振幅変調の両方を施した直交変調を実現する手段を提供することである。
【解決手段】テラヘルツ波変調回路において、ミキサの局部発振周波数を生成する逓倍器の前に位相シフト回路を挿入することで、振幅変調または振幅位相変調されたテラヘルツ波を生成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
IF入力とLO入力とRF出力を備えたミキサと、
原発振をN倍に逓倍して前記ミキサに与えるLOを生成する逓倍器と、
前記逓倍器と原発振の間に配置された位相シフト回路から構成され、
前記位相シフト回路のシフト量がRF出力においてN倍に拡大されることを利用して位相変調を行う変調回路。
続きを表示(約 230 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の変調回路において、前記ミキサの代わりにサブ・ハーモニック・ミキサを用いて、位相シフト量が2×N倍に拡大される変調回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の変調回路において、前記位相シフト回路による位相変化が離散的である変調回路。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の変調回路において、位相シフト量とIF入力を同時に変化させ、振幅と位相の変調を同時に行う変調回路。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に100GHz以上のテラヘルツ波帯無線通信における変調回路の構成方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)
【背景技術】
【0002】
テラヘルツ波帯は高速大容量の無線通信が期待されている周波数帯域である。高周波信号を変調するにはミキサと呼ばれる部品が使われる。信号の変調方法には振幅変調や位相変調、および、それらを組み合わせた振幅位相変調がある。
テラヘルツ波帯用の位相変調回路をマイクロ波・ミリ波技術の延長として作成するのであれば、I相とQ相の2つのミキサを用意して出力を混合する方法が考えられる。しかし、この方法は機械的に高い加工精度が要求されるほか精確な高周波源や精確な90度移相器などが要求され、現実には個々の部品のばらつきや不安定性によって実現困難である。
他のアプローチとしてはレーザー光の周波数の差からテラヘルツ波を発生させる方法や、メタマテリアルを作成する研究が存在するが、実用化されてはいない。
従来の技術ではテラヘルツ波帯は振幅変調しか行うことができず、位相変調は困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、簡単な方法でテラヘルツ波に位相変調を行い、さらに位相変調と振幅変調の両方を施した直交変調を実現する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
図1を用いて本発明の構成を説明する。高周波発振器と位相シフト回路(移相回路)、周波数逓倍器(AMC)、テラヘルツ波帯で動作する高周波ミキサ(SHM)を用意する。
位相シフト回路とは入力した信号の位相を連続的に変化させることができる回路であり、ここでは印加したアナログ電圧に応じて連続的に変化できるものとする。シフト可能な量は5~6度程度でよい。
周波数逓倍器はAMC(Amplifier Multiplexer Chain)と呼ばれる高周波部品であり、逓倍器と増幅器を1つの筐体に収めた部品である。AMCは入力された周波数からN倍の周波数を作り出すことができる。
SHM(SubHarmonicMixer)は高周波ミキサであり、入力した周波数の2倍の周波数で変調を行う。
高周波発振器は周波数が安定していて位相ノイズ(ジッタ)が少ない信号源が求められる。なぜならば、高周波発振器の出力周波数はAMCとSHMで2×N倍されてLOを生成するが、高周波発振器の出力に含まれるジッタも2×N倍されてしまうためである。
本発明の特徴は、高周波発振器のジッタが逓倍によって拡大されてしまうという現象を利用し、極めて安定した周波数源である高周波発振器の出力に位相シフト回路を挿入して、LOの位相を大きく変化させる点にある。通常は、高周波発振器と逓倍器の間は非常に敏感であり、この箇所に何かの回路を挿入することはない。
図1の構成においてミキサ(SHM)のIF入力に一定電圧を与えて動作させると、LOの周波数の2倍の周波数で一定振幅のRF信号が出力される。高周波発振器の出力の位相をシフトすると、シフト量が逓倍器によってN倍に拡大され、SHMでさらに2倍に拡大される。こうして振幅一定で位相変調が施されたテラヘルツ波を得ることができる。(図2)
IF入力に一定電圧ではなく、位相シフトとタイミングを合わせて変化させた信号を入力すれば、振幅と位相を同時に変調することができる。(図3)
位相シフト量は必ずしも連続的である必要はなく離散的でもよい。例えばシフト量を2段階とし、IF入力も2段階として同時に変化させるとQPSK変調を行うことができる。シフト量を4段階とし、IF入力も4段階として同時に変化させるとQAM16の変調を行うことができる。IFと位相シフト量を適切に与えればディジタル変調も可能である。(図4)
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、1つのミキサと簡単な位相シフト回路のみを用いてテラヘルツ波の位相変調回路を作成することができる。導波管の分岐や合流がないため導波管部品の機械加工精度や組み立てに高い精度が要求されない。大幅なコスト削減と機器の小型化が可能となる。
一般的に振幅変調よりも位相変調のほうが電力効率は高く、少ない電力でノイズに強い通信が可能である。微弱な電力しか得られないテラヘルツ帯においては有利な変調方式となる。
位相と振幅を同時に離散的に変化させることでディジタル変調も行うことができ、同一電力であれば振幅変調の場合と比べて通信帯域を2倍に増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の構成図
位相シフトの原理
振幅位相変調の原理
振幅位相変調の結果得られるディジタル変調
SHMの構造と動作原理
位相シフト回路の構成
位相変調の実験構成
SHMの位相検波出力
正弦波で位相変調を行った場合の検波出力
矩形波で位相変調を行った場合の検波出力
従来の技術で構成した位相変調回路
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を用いて本発明の動作原理について説明する。
本発明の変調回路は、原発振器、高周波発振器、位相シフト回路、AMC、SHMで構成される。
原発振器は10MHzの正確な発振器であり、高周波発振器のリファレンス・クロックとして与えられる。高周波発生器はPLLによって10MHzのリファレンス入力を1600逓倍して16GHzの高周波信号を生成する。
高周波信号は位相シフト回路に入力され、最大で約6度シフトされる。位相シフト回路の出力はAMCの入力に接続され、AMCによって8逓倍されて128GHzの局部発振周波数(LO)が生成される。
高周波ミキサにはハーモニック・ミキサとサブ・ハーモニック・ミキサ(SHM)の2つの型がある。ハーモニック・ミキサはLOポートから入力された信号とIF信号を乗算してRFから出力するのに対し、サブ・ハーモニック・ミキサはLOポートから入力された信号の2倍の周波数をIF信号と乗算する。いずれの型も使用可能であるが、テラヘルツ波帯ではサブ・ハーモニック・ミキサのほうが使いやすく種類も豊富である。
AMCからの128GHzは導波管を通じてSHM(サブ・ハーモニック・ミキサ)のLO入力に接続される。SHMはIF入力、LO入力、RF出力の3つのポートを持つ高周波部品である。
【0008】
SHMの構造と動作原理を図5に示す。LO入力からの電圧が高い状態ではSHM内部の反並行ダイオードペアがONとなり、IFから入力された電圧はスタブを通じてGNDに落とされる。LOの1周期で2回、ダイオードがONするため、IF入力をLO入力の2倍の周波数でスイッチングした波形がRFから得られる。
例えば、LOを128GHzとしてIFに帯域1GHz程度のベースバンド信号を入力すれば、256GHzで断続された波形が出力される。
SHMの通常の使い方ではミキサのLOに与えられる周波数は一定で、位相のゆらぎが少ないほうが安定した出力が得られるため良いとされている。なぜならば、LOの位相が揺らぐとRFの位相も揺らぐためである。そのため、LOを生成する高周波発生器の位相ノイズは極めて小さいものが求められる。
例えば、高周波発生器が16GHz(周期62.5ピコ秒)を出力している状態で、出力クロックに1ピコ秒の揺らぎが生じた場合、一周期に対するずれは1.6%であるが、16GHzから逓倍して生成される256GHzの搬送波(周期3.9ピコ秒)に対しても1ピコ秒揺らぐため、256GHzに対しては25%のゆらぎ、すなわち、位相にして約90度の揺らぎとなる。
このようにAMCとSHMによる逓倍で位相ノイズも拡大するため、高周波発生器とAMCに位相シフト回路を挿入することでわずかな位相シフトを拡大でき、大きな位相変化量が得られる。
【0009】
位相シフト回路の構成を図6に示す。ハイブリッド回路によって16GHzの信号入力から0度と90度の信号が生成されるが、90度側の信号はコンデンサでカップリングした区間に挿入されたHEMTによってGNDにプルダウンされる。このHEMTは増幅のためではなく、ゲート電圧で制御される抵抗として用いられている。ゲート電圧がゼロに近いほど抵抗値が低くなるので90度側の信号は弱められ、ウィルキンソン・デバイダを用いて混合される。すなわち、0度の信号と、適度に弱められた90度の信号が混合されることで、連続的に制御可能な位相シフト回路を構成している。当該回路でシフトできる位相の量は約5~6度であるが、逓倍回路で16倍に拡大されるため、LOの位相を0度から約90度までシフトすることができる。
【0010】
位相がシフトしたことを確かめるために用いた実験の構成を図7に示す。送信器と受信器のAMCには同一の高周波発振器から分配した周波数を与える。送信された信号は受信器のミキサで復調されるが、当実験で用いたミキサでは、RF(RX)とLO(RX)の位相差が0度のときに最小出力となり、位相差が90度のときに最大出力となる。なお、ミキサによっては0度の時に最大出力となり90度の時に最小出力となるものもあるが、どちらのタイプでも本質は変わらない。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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