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公開番号2025104343
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-09
出願番号2024232569
出願日2024-12-27
発明の名称光学装置及びレーザー
出願人国立大学法人 東京大学
代理人個人,個人,個人,工藤・狩野国際弁理士法人
主分類H01S 3/1115 20230101AFI20250702BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】発振波長を調整することを可能にする光学装置及びレーザーを提供すること。
【解決手段】光学装置100は、人工可飽和吸収体として機能し、偏波保持型の透過部材PMCによって非線形偏波回転を発生させる偏波回転部20を有し、偏波回転部20は、偏波回転開始部R1,R3と偏波回転終端部R2,R3との間に偏波保持型の透過部材PMCで形成された複数の偏波保持素子11,12を有し、偏波回転部20は、偏波回転開始部R1で分岐されたファスト軸の第1偏波とスロー軸の第2偏波とを、相互の位相ずれを結果として補償するように偏波回転終端部R2まで独立して伝搬させ、対象波長域で残留フィルタフィルター効果を抑制している。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
人工可飽和吸収体として機能する光学装置であって、
偏波保持型の透過部材によって非線形偏波回転を発生させる偏波回転部を有し、
前記偏波回転部は、偏波回転開始部から偏波回転終端部までの通過光路に前記偏波保持型の透過部材で形成された複数の偏波保持素子を有し、
前記偏波回転部は、前記偏波回転開始部で分岐されたスロー軸の第1偏波とファスト軸の第2偏波とを、相互の位相ずれを結果として補償するように前記通過光路で独立して伝搬させ、
対象波長域で残留フィルター効果を抑制している、
光学装置。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記偏波保持型の透過部材は、偏波保持ファイバーである、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記対象波長域は、前記偏波保持ファイバーの異常分散領域に対応する、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記偏波回転開始部と前記偏波回転終端部とは、前記通過光路として機能する直線状の片道型光路の両端に設けられる、請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記片道型光路を挟むように配置される一対の偏光子をさらに有する、請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
少なくとも前記偏波回転終端部と後段の前記偏光子との間において、前記第1偏波と前記第2偏波との相互の位相ずれを相殺することによって、前記残留フィルター効果を抑制する、請求項5に記載の光学装置。
【請求項7】
前記偏波回転開始部と前記偏波回転終端部とは、前記通過光路として機能し一端に反射器が設けられた往復型光路の他端に設けられる1つの開始終端部である、請求項2に記載の光学装置。
【請求項8】
前記開始終端部を挟んで前記往復型光路の反対側に配置される偏光子をさらに有する、請求項7に記載の光学装置。
【請求項9】
前記開始終端部と前記偏光子との間において、前記第1偏波と前記第2偏波との相互の位相ずれを相殺することによって、前記残留フィルター効果を抑制する、請求項8に記載の光学装置。
【請求項10】
前記複数の偏波保持素子のうち、隣り合う偏波保持素子間に、前記スロー軸と前記ファスト軸との切換えを行う第1軸回転部を有する、請求項2に記載の光学装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、人工可飽和吸収体として機能する光学装置及びこれを組み込んだレーザーに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
超高速モードロックレーザーは、医療、材料加工、光学計測、分光法、光通信等の多様な分野において、大きな可能性を秘めている。特に、波長可変MLFL(mode-locked fiber laser)は、バイオメディカルイメージング分野の誘導ラマン散乱(SRS)顕微鏡のような応用に不可欠である。非線形光ループミラー(NOLM)、非線形増幅ミラー(NALM)、非線形偏波回転(NPR)といった人工の可飽和吸収体(SA)は、受動型モードロックレーザーに広く利用されている。これらの人工可飽和吸収体すなわち人工SAは、材料系SAと比べて高い損傷閾値、広い動作波長帯域、十分な変調深度という利点がある。しかし、非偏波保持型(non-PM)レーザーキャビティで偏波状態を調整するために用いられる偏波コントローラ(PC)の導入は、レーザーの再現性を損なう要因となる。さらに、非偏波又は非PMの構成は環境の影響を受けやすく、安定した動作が難しいという課題がある。
【0003】
全偏波保持型(all-PM)ファイバーにおけるNPRの実装は、従来の非線形偏波回転(NPR)モードロックレーザーにおいて一般的であった環境安定性の問題を解決する可能性がある。2017年にSzczepanekらは、YDFを基本とする全正常分散(ANDi)モードロックレーザーにおいて初の全PM型のNPRレーザーの開発に大きく貢献した(非特許文献1)。
【0004】
このシステムでは、PMファイバーのスロー(slow)軸とファスト(fast)軸に沿って伝搬する偏波成分のウォークオフ(walk off)を補償するために、3つのPMファイバーセグメントが90度の角度でクロススプライスされている。この全PMシステムは、長期安定性と再現性に優れているが、各ファイバーセグメントの長さに厳密な要件が課される。この問題を解決するため、Szczepanekらは2018年に反射型の全PM型のNPRレーザーを提案した(非特許文献2)。この構成では、ファラデー回転ミラー(FRM)を使用してNPRセクションをその中点で折り返し、ウォークオフの自動補正を実現している。これにより、レーザー設計が簡素化され、ファイバーセグメント長の誤差に対する要求も緩和された。
【0005】
しかしながら、上記非特許文献1等に開示された非線形偏波回転(NPR)レーザーは、発振波長を調整可能に構成されていない。
【0006】
発振波長の調整又はチューニングについては、機械的手法や熱的手法によって達成したものが公知となっている(例えば非特許文献3)。このようなリアルフィルターを用いた装置の場合、波長の掃引速度の最大達成値が500Hzであり飛躍的な高速化が困難であり、かつ、システムが複雑で不安定になる。波長の掃引速度の高速化は、SRS顕微鏡、二光子顕微鏡等の分野で強く望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
J. Szczepanek, T. M. Kardas, C. Radzewicz, and Y. Stepanenko, "Ultrafast laser mode-locked using nonlinear polarization evolution in polarization maintaining fibers," Opt. Lett. 42(3), 575-578 (2017).
J. Szczepanek, T. M. Kardas, C. Radzewicz, and Y. Stepanenko, "Nonlinear polarization evolution of ultrashort pulses in polarization maintaining fibers," Opt. Express 26(10), 13590-13604 (2018).
X. Sun, et al., Opt. Express. 31(8), 12837-12846 (2023).
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、発振波長を飛躍的に高速で調整又はチューニングすることを可能にする光学装置及びレーザーを提供することを目的とする。本発明は、制御可能なフィルタリング効果を持つSAを提供することによって発振波長の高速チューニングを達成することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る光学装置は、人工可飽和吸収体として機能する光学装置であって、偏波保持型の透過部材によって非線形偏波回転を発生させる偏波回転部を有し、前記偏波回転部は、偏波回転開始部と偏波回転終端部との間に前記偏波保持型の透過部材で形成された複数の偏波保持素子を有し、前記偏波回転部は、前記偏波回転開始部で分岐されたファスト軸の第1偏波とスロー軸の第2偏波とを、相互の位相ずれを結果として補償するように偏波回転終端部まで独立して伝搬させ、対象波長域で残留フィルター効果を抑制している。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るレーザーは、上述した光学装置を含む光共振器と、前記光共振器の光路上に配置される光増幅素子を含む光増幅装置とを備える。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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